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西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

ローマ遺跡・海の劇場

2006-02-12 | 地域居住学
今日テレビで見たローマ遺跡・海の劇場は14代皇帝ハドリアヌスの別荘ヴィラ・アドリアーナの中の施設だ。別荘自体は300haもある広大なものだが、海の劇場はハドリアヌス帝晩年を過ごした比較的小さな、お気に入りの空間だったようだ。2世紀の頃である。写真は建築評論家・五十嵐太郎さんのアーカイブから引用させていただいた。この「海の劇場」は半径(直径?)35メートル位の施設で、円い施設(円形劇場に模す)、居住空間として全てのものを含んでいるが、名前のように「水」もぐるりと取り巻いている。ハドリアヌス帝は13代のトラヤヌス帝の拡張政策に対して軍事費が財政の過半を占め苦しくなってきたのでストップをかけ、東方のいくつかの領土を放棄、ブリテン島でも北方にハドリアヌス防壁を築いて、これ以上拡張しない意志を示した。(昔ハドリアヌス防壁を見に行ったことがある)帝21年間の在位のうち12年もローマ帝国内を巡察し現実にもとづいて本格的に「縮小政策」に転じようとしたが、元老院等の反対で「挫折」した。晩年、可愛い「海の劇場」にこもったのは、「縮小が良い」との無言の意志表示か、と東大の青柳正規教授が示唆していた。縮小政策は、人口が減り始めた現代日本でも考える必要があるだろう。
(写真の著作権は、五十嵐太郎)

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