西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

ロンドン報告(16)コミュニティ・フォレスト-1 ケンブリッジへ

2005-09-26 | ロンドンの思い出(LSE時代など)
今回ロンドンに行くにあたり三つの目的を設定した。一つは、22年振りのセンチメンタル・ジャーニー、二つ目に、このコミュニティ・フォレスト調査、そして最後に郊外住宅の一つの原点ハムステッド田園郊外の現状確認だった。ここから私がある研究グループについて行なったイギリスのコミュニティ・フォレスト聞き取り調査関連のことを報告する。イギリスは元々森林がうっそうと生えていた地だが、大体傾斜のない地だったので小麦栽培や羊飼育のため樹木を切って畑や牧草地にしてきた。ある時点から、これではいけないと森林を増やす政策に力を入れだしている。しかし、今のところ国土において森林が日本で7割、イギリスは7%といったところでイギリスは圧倒的に少ない。日本は、そこから何を学ぶべきかだが、一つは現在のシステマティックな森林増殖・管理のやり方だろう。その一つが「コミュニティ・フォレスト政策」である。ここで、コミュニティというと、日本語の語感から極めて狭い地域をイメージするが、イギリスのここにおける使い方は、かなり広い自治体を越えた範囲をイメージしている。元々、良好な森林は「ナショナル・パーク」で保護し、不良の地を「ナショナル・フォレスト」で造林管理してきたが、その「ナショナル・フォレスト」に残念ながらならなかった(選にもれた)所を「コミュニティ・フォレスト」として救い上げたという経過があるようだ。全国で10数ヶ所指定している。今回、私は、それに関わっている政府機関である「FOREST COMMISSION(森林委員会?)」に聞き取りのため、それがあるケンブリッジへ出かけた。私以外に研究グループの4人(Na.、Mi.、Ma.、A.さん但しMi.さんは後日参加)だった。私の家内もケンブリッジまでついていき、我々5人が聞き取りの間、ケンブリッジ大学周辺を見学していた。
ケンブリッジへはロンドンのキングス・クロス駅から出ている直通列車(片道45分程)で往復した。それに乗車する間、ホームで何番線かと表示に出るのを待っていたが、Na.さんが「そう言えば面白い所がある」というので案内されて見に行った。キングス・クロス駅のホームは先ず8番線まで一つにまとまっていて、8番線のホームを少し行って左に曲がると別に9から11番線がある。その中間に何と93/4(9か3/4)番線が壁に表示してある。これでピンときたであろう。ここが例のハリー・ポッターに出てくる魔法の国に出発するホームなのだ。カートの一部突っ込んだ形になっていてリアルだ。我々は記念に写真を撮り、ここの横を通り11番線からケンブリッジへ出発した。

ノルウエー報告(14)ベルゲンの博物館・美術館訪問

2005-09-26 | 訪問場所・調査地
9月14日の11時頃からベルゲンの工芸博物館と国立美術館三つのうち二つにさっと行く。我々が泊まったホテルから歩いて直ぐだ。最初に行った工芸博物館はAdult大人50NOK(ノルウエー・クローネ)だがpensioner年金生活者は40NOKだ、というので「我々は年金生活者である(事実である!)」と言って一人40NOK(約800円)払った。受付の人がエレベーターで3階に案内してくれて、そこから順次1階まで階段で下りて見た。重力の法則に従う合理的見方である。この工芸博物館は「木の国」らしく木工家具が多く家内は感激していた。
次に美術館に行った。三館あって50NOKで何処にでも入れるが年金生活者割引はなかった。時間がなくムンクの作品のある館(2Fニ部屋)のみ行った。家内は、ムンクには暗いムンクと明るいムンクがある、と言っていた。その館には中国の美術品、工芸品も多数あり、それらは清の時代、ノルウエーから派遣された軍事顧問の将軍が「手当たり次第」コレクションしたもののようだ。ピカソの作品などのあるもう一つには行けなかったが、北欧随一という美術館群には又来たいと思った。

ノルウエー報告(13)ベルゲン郊外を見、ノルウエー国民生活を聞く

2005-09-26 | 訪問場所・調査地
14日午後15時から安達夫妻と安達夫人(ノルウエー人)運転の自動車でベルゲン郊外を見た。同時にあれこれのルウエー国民生活について聞いた。ノルウエー西海岸は、全体として西に面しているが入り江のフィヨルド等の地形を考えると、そこでは南面する斜面と北面する斜面が出来、当然、南面斜面が住むのに良い、となる。事実それらの南面斜面に多くの住宅が緑の林の間に建っていた。日本なら「環境破壊」と言われかねないがノルウエーでは「仕方ないな」と思った。戦後、庶民のために集合住宅も建てられたが、現在、多くは戸建てである。道々、国民生活についても聞いた。現在、ノルウエーは国民一人当たりの所得が世界最高の国だ。その所為か物価も日本より高い感じだった。税金も3割強で高いが老後が保障されているので貯金するのは家を造るため位で後は余りしないと言う。労働時間は週31時間で、これも世界最短であるようだ。夫人は病院で入院児童の教育にあたっているが、午後14時半まで働けばよいようだ。だから平日だが15時から付き合ってくれたのだ、と理解した。商店も普通17時頃に閉まってしまうようだ。勿論レストランとか旅行者用には少し長く営業しているようだが・・。女性を意識的に優遇し、国会議員の40%が女性と言う。安達さんは、しかし、北海油田で国も稼いでいるのに税金は高すぎる、と言われてはいたが・・。
人口450万人位の国民だから出来るという面もあるだろう。日本は1億で中国、インド、アメリカ(2億より10数億)より少なく、ノルウエーを含む北欧各国(一千万以下)より多い。中間に立って両方の良さを取り入れるべしと思うのだった。

ノルウエー報告(12)ベルゲン市役所聞き取り調査

2005-09-26 | 訪問場所・調査地
9月14日の午後、安達正興さんの紹介でベルゲン市役所に行き、世界遺産地区である港周辺の再整備計画について聞いた。安達さんが直接知っているノルウエー人ちょび髭の○○さんに先ず会った。日本語の堪能な人であった。安達さんに聞くと「ノルウエー日本協会」の会員でもあるらしい。このベルゲン市役所は1960年代の建物で鉄筋コンクリートの超高層、今なら認められない代物だ。○○さんの知っている市役所の××さんに会った。会った場所は隣の伝統的石造りの建物だった。
 ××さんはノルウエー語で書かれた世界遺産地区を含む地域の再整備計画報告書をくれた。この整備の主な目的は二つあり、一つは、この港湾地区を含む都心部から個人自動車を締め出して歩きやすくすることである。昔、ドイツのアーヘンに行き同じような都心部再整備計画を聞いたことがある。だから最先進の計画という訳ではない。しかし、私は「未だ日本に都心から自動車追い出し計画はない」と言っておいた。もう一つは、歴史的世界遺産の妻壁を見せる連棟建物を改修・保存することである。この建物群の基礎は木であったようだ。私は、常水面より下なら木は腐らない、平城宮で発掘された木簡がそうだ、と言うと、奈良出身の安達さんは納得のようだった。
××さんは4、5階の公共建築でも最近、木造であると言っていた。