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昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

干支の丑(牛)づくり④ 「草刈り童子」その2

2020-12-17 13:20:30 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 先日新しく割型をこしらえ、型抜き、素焼きしていた人形の彩色、とりあえず筆をおいたところです。

 手元にあるお手本の今戸人形は江戸後期くらいではないかと思われますが、経年のため、ほとんど色が残っておらず、童子の着ている着物がおそらく鉛丹のオレンジがかった赤にまがい砂子(真鍮粉)が酸化するなどして黒ずんだ状態、そして尻尾にはベンガラが残っています。それ以外は黒牛としてまっ黒だったのか斑牛だったのか、何となく墨が残ったような感じはします。

 現物からわかる配色の手がかりは以上でしかないのであとは今戸らしい色みとしてあり得る色で塗ってみました。いちばん迷ったのは黒牛にすべきか否かでした。斑牛のほうが変化があります。斑牛というとホルシュタイン種みたいに明治以降なのではないかと思っていたのですが、ひとに聞いたところ、江戸時代には斑牛はいた、白牛、赤牛もいた、と聞いて斑にしてみましたが、斑も難しいですね。これまで招き猫の斑は描いてきましたが、それらはしっかりした先行作(つまり古い今戸人形)を知ることができたから安心してできたものの、この草刈童子は形だけでも目の前にあったからモデリングなできたものの、斑か黒かなど想定でしかできない手探りです。ひとつ必然のように感じられたのは童子のまたがっている下の四角い筵(むしろ)のような部分、黄色くぬりましたが、向かって左側の頭寄りの辺には地肌の白のままではぼんやりしているのでコントラストをつけるために斑を置きました。
 他にも童子の着物部分、襦袢が赤で腰までぬいだ綿入れみたいな部分と区別させるかどうか。
 
 まずは今回の彩色で出していきます。少しなのでまた抜き出して塗るときまた考えてみたいと思います。
 少数ですが、吉徳さんとべにや民藝店さんにお持ちする予定です。
 まだ干支の牛の未出のやりかけがあるのですが、王子の装束稲荷向け、王子ヤマワさん向けのきつねを最優先させる時期。また新年開けの催事、1月下旬の催事があるのでそれらを優先させつつ、やってみたいこともまだまだあります。