東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

上州?の鉄砲狐

2017-01-07 11:43:03 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 一番急ぎの納めは鉄砲狐。但し浅草被官様のものとは別です。昨年、高崎の「琴平神社」さま境内に鎮座する「和田稲荷」さまの奉納用の鉄砲狐のご依頼をいただきました。今まで作って納めていらっしゃったところがやめてしまったのでネットで観たとのことです。いただいた画像では、昔、今戸の鉄砲狐から型どりして作られていたものが時間とともに形が独特に変化したもののようでした。先方のご希望ではできれば、地元に根付いた形になぞらえて作ったほうがよいとのことなので、お手本をお借りしながらそれに近い形と色にしてみました。神社では「鉄砲狐」ではなくて「白狐さま」(びやっこさま)と呼んでおられます。今戸焼の鉄砲狐の古作には大きさ形さまざまありますが、オーソドックスなタイプから型をとって抜き出してあるためかひとまわり小さく9センチ強といったところです。細部は型が甘くなって顔が丸みを帯びでいて、面描きの筆もぼったりと長く描いていて、目は耳の後ろくらいまで伸びているといった感じです。それと目の位置が高いのも印象的。髭もぼったりとしています。台の縞模様を側面まで入れているのは今戸の古式に倣っているようです。

 稚拙というか野趣溢れる表情が独特なので意図的に狙って描いたつもりです。伝統こけしなんかでは、戦前の古いこけしから写したもので意図的に稚拙さを狙ったものなどありますが、あんまりわざとらしくないように、加減が難しいと思います。画像の狐についてはあくまで神社のほうのご希望なのでこのように作ったという感じです。これらあくまで奉納用ということで、地元に馴染まれた感じになっているかどうか、、。

 こういう感じの鉄砲狐は埼玉の比企地方のお稲荷さまの祠で観たのとよく似ていると思いますが、向こうのはもっと大型だったように思います。関東一円くまなく確認したわけではないのですが、今戸焼の型から地元で独自に作られた鉄砲狐は結構あるのではないかと思います。埼玉だと戦前の雑誌に深谷で作っているという記事があったり、秩父市内あたりの鉄砲狐はまた別な感じで観たことがあります。佐野土鈴の相沢さんの作っていらっしゃたのはスリムな感じで雌雄顔のモデリングの異なるものもあったような感じがします。千葉の成田山境内の出世稲荷にもやや小型で形のぼんやりした鉄砲狐が並んでいたのを思い出します。

 神様への奉納品としてわざわざご依頼いただいたのがうれしいです。