東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

今戸焼(47) 灰皿 (大平造)

2011-11-04 02:02:55 | 今戸焼(浅草 隅田川)

P1010419最近明治頃の日本からの輸出陶磁器を中心に当時英文で書かれた日本の陶磁器についての本をとりあげたブログを知りました。その中で今戸焼についての説明とその訳をとりあげられていて、今戸焼の中に「大理石のような」装飾で成功しているといった表記があるのが面白いと思いました。「大理石のような」装飾とある表現に当たるものは、これまでに橋本三治郎作の手あぶりや炉台などがそれに当たるように思いますが画像の灰皿もまたそれらしき感じではないでしょうか?

この灰皿は今日見慣れた灰皿のように煙草の受けがあります。 「大平造」という陶印があります。

昭和9年・大阪山中商会発行の「日本陶磁器名工略伝」という書物に「◎大平(たいへい) 明治二十三年頃、無釉の火鉢類を製し、下掲の銘を款したるものを出せり。作は巧妙にして、素人の域を脱せり。或は曰ふ、今戸白井系の人ならんかと。」
という記述があり、また他の書物でも同様な記述が見られるので、この灰皿もまた上記「大平造」のものだと思います。「今戸白井系の人ならんかと」とありますが、屋号のみで実際の作者の表記はありません。

葛飾区青砥で今でも素焼きの,植木鉢を作っていらっしゃる内山英良さん(今戸焼はまだ葛飾区内でも健在なのです。)が所蔵されていた昭和3年発行の「東京今戸焼同業組合」による「仲買渡シ相場表」という印刷物の中で製品の種類と価格とともに組合員34名の氏名と屋号が記されている中に「大平事 橋本龍太郎」という名前が記されています。

また昭和8年発行の「郷土風景」という雑誌の「第二玩具号」に掲載されている山崎荻風という人による「今戸人形」という記事の中に「現存せる窯」として8人の今戸焼窯元の名前が記されている中に「橋本柳太郎  一、黒物」とあります。

「橋本龍太郎」「橋本柳太郎」は同一人物なのではないか?そうであれば画像の灰皿も黒物のひとつであり、「太平」とも重なり合うのではないかと思うのですが推測の域を出ません。

今戸神社の狛犬の台座には「橋本姓」の名前が複数あり、この「橋本龍太郎」という人は橋本姓のどの人の流れにあった人なのだろうと気になっています。