東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

今戸人形「一文雛」(尾張屋春吉翁 作)

2011-03-02 21:07:32 | 今戸人形(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010127 最後の生粋の今戸人形師と言われた尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)のお作りになられた今戸焼の土人形です。

「一文人形」と呼ばれる小さな人形が今戸周辺で作られていたという話は有名ですが、鐚銭一文で鬻がれていたので手間を省いた簡素な人形だったそうです。そういう中にお雛様もあったのでしょう。

春吉翁作のこのお雛様は、昔を思い出して型を起して作られたものでしょう。

一文雛とはいいながら、模様の描き込みは手が込んでいます。女雛の檜扇部分の松竹梅や背面の裳への姫小松の描き込みなど骨が折れそうです。また、付属の台の繧繝風の縞も手間がかかっています。

もっと昔の一文雛は、もっと簡素な描彩だったのでは、と思えますが、一文雛の面影を偲ぶ貴重な作例と考えられると思います。

なお、春吉翁はこの雛に付属する五人囃子の人形も遺されています。