おはようございます。 生き生き箕面通信1585(130425)をお届けします。
・「懐メロを歌いながら沈んでいくニッポン。語り合おう」と、小熊(おぐま)教授
「7月の参院選で自民党の勝利が確実視されている。自民党以外に勝つ政党がない。原発も、憲法、TPP(環太平洋経済連携協定)も、雇用も外交も、おそらく参院選の結果を左右しない。たとえ国債が暴落しても、ほかに『勝つ』政党がない以上、自民党は『勝つ』だろう」
「昨年の総選挙で自民党の比例区得票率は約3割で、09年より得票数が減った。そして実は、民主党から自民党へ投票先を変えた人は少ない。09年に民主党に入れた人が、昨年には民主、維新、未来、棄権などに分散したため、自民党が相対的に浮上しただけだ。つまり、今の日本では、自民党そのもの衰退しても、どれほど問題が山積しても、自民党が『勝つ』。社会が急激に変化しているのに、議会にその変化が反映しない。これは事実上、議会制の機能不全である」
これは慶応大の小熊英二・教授(歴史社会学)が、本日4月25日の朝日新聞朝刊の「あすを探る」(15面)に寄稿した見解です。自民党を支えているのは、現状を変えることに消極的な保守層で有権者の3割。しかし、残り7割がちりじりに分散している以上、相対的に自民党が浮上し「勝つ」構造ががっちりでき上がっているというわけです。
この3割は、「いままでのやり方を続けてほしい」「自分が逃げ切るまでは昔のやり方で」「ほかに未来が見えないから」という層です。全体としては、「懐メロを歌いながら沈んでいる」のが、実態だと指摘しています。「今はアベノミクスの『小春日和『だが、長く続くと信じている人は多くはあるまい」とも。
ならば、どうするか。7月の総選挙のあとは、3年間は国政選挙がないとみておかなければならない。つまり、選挙という回路に頼ることはできない。小熊教授は、「これは危機だが、好機でもある」と力説しています。「覚悟を決め、思考停止と『お任せ』を脱し、政治を、社会を、未来を考えてみよう。家庭で、職場で、学校で語り合ってみよう。性急に批判するより、相手の話をよく聞き、自分で動いてみよう。一見遠回りだがこれが議会制や民主主義を蘇生させる最も効果的な方法である」と呼びかけています。
「実は、選挙に頼った政治が行き詰まり、人々に不安と孤独感が募っている今こそ『本当はそんな対話がしたい』という機運が、かつてないほど潜在的に高まっているはずだ」と、対話を勧めています。私たちは、政治をよみがえらせるためにも、「政治はキライ」などといわず、政治のさまざまな課題について話し合いましょう。そこからしかニッポンを取り戻す道は拓けないのですから。