生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

1589 ・「がってぃんならん」と、沖縄の異議申し立て

2013-04-29 07:26:45 | 日記

おはようございます。                                                                生き生き箕面通信1589(130429)をお届けします。

・「がってぃんならん」(合点がいかない)と、沖縄の異議申し立て

 日本は戦後67年間の長い期間、外国と戦争をせずに「異例の平和」を維持してきました。それはひとえに、9条を掲げる「平和憲法」があり、米軍基地をほぼ一手に引き受けさせられた「沖縄の犠牲」の上になりたったものでした。

 昨日4月28日に行われた安倍政権主導の「主権回復の日」と称する式典。安倍首相は「沖縄が経てきた辛苦に深い思いを寄せる努力をすべきだ」と、式辞を述べました。その言葉通りに「深い思いを寄せる努力」を本当にしようとするなら、まず「普天間基地」は、県外、国外へ出す努力をすべきでしょう。これ以上、沖縄に基地の負担を負わせないようにするというのなら、沖縄の高江に建設しつつある「ヘリパッド基地」はどう説明するのでしょうか。

 沖縄では昨日、この日を「屈辱の日」として政府主催の祝賀式典に異議申し立てをする抗議集会が開かれました。そこで、「「がってぃんならん」(合点がいかない=許さない)と深い思いを込めたスローガンを叫ぶ集会参加者の抗議の声が繰り返されたそうです。

 本日の読売新聞と朝日新聞の紙面は、大きな違いがありました。まず、1面に持ってきた写真ですが、読売は紙面中央に「日の丸の国旗の下に天皇、皇后が座り、横に立つ安倍首相」という構図。これに対し朝日の1面写真は、「『沖縄を返せ』の歌を歌い、『屈辱の日を忘れない』などと書いたプラカードを掲げる抗議集会への大勢の参加者」の姿でした。

 社説は、読売は「国際社会復帰の重み忘れまい」というタイトルでした。「沖縄ではこの日を『屈辱の日』と呼ぶ。しかし、日本が主権を回復したからこそ、米国と交渉し、沖縄返還を実現できたことも事実だ」と、主権回復=国際社会復帰の意義を強調する内容でした。

 まるで、「オレたち本土が主権を回復したからこそ、お前たち沖縄も返還してやれたんだぞ。それをとやかく言うな」といわんばかりの内容です。

 朝日は2本立ての社説とし、最初の見出しは「過ちを総括してこそ」と、「総括の重要性」を指摘しました。「4・28を語る際、忘れてならない視点がある。なぜ日本が占領されるに至ったのかということだ。言うまでもなく、日本が侵略戦争や植民地支配の過ちを犯し、その末に敗戦を迎えたという歴史である」と、事実を指摘。

 そのうえで、「同じ敗戦国のドイツは、全国民的に過去の総括にとりくみ、国際社会での立ち位置を定めた。その経験にならい、日本人も占領が終わった4・28と、戦争が終わった8月15日を通じて、左右の立場の違いを超えて総括しよう」と、呼びかけました。

 2本目は「47分の1の重い『ノー』」のタイトルで、「がってぃんならん」の集会に焦点を合わせ、沖縄で挙げ続けられている日本政府への「ノー」の意味を考える内容です。そして、安倍首相が「沖縄の辛苦に思いを」という言葉が本当なら、「政府はまず、辺野古案にこだわるべきではない。地位協定の改正も急がなくてはならない」と、強調しました。

 二つの新聞の論調の違いは、日本の国論が二つに分かれている実情を反映したものといえます。一つは安倍政権に代表される保守勢力と、民主主義を大切にしようとする勢力です。しかし、その民主主義勢力も、さまざまなことに対して「総括」をきちんとしてこなかったのも事実です。ひとつひとつの事象に対して、遅ればせでも「総括」することからやり直すことが欠かせません。

 私たちは民主主義を大切にしようとする立場です。しかし、それがいま危機に直面しています。踏みとどまれるかは、3か月後に迫った夏の参院選の結果によります。わたしたちは、政治を嫌うのではなく、積極的に周りの人と政治を語り、日本がめざすべき方向について考る「日常の努力」が求められています。