生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信264 ・過ちては改むるに憚ること勿れ――高速道路無料化策

2009-08-14 07:05:13 | 日記
264おはようございます。
生き生き箕面通信264(090814)をお届けします。

・過ちては改むるに憚ること勿れ――高速道路無料化策
 「多くの疑問がある高速道路の無料化案」を見出しに掲げたのは、本日の日経朝刊社説です。

 民主党の「高速道路無料化」政策については、単に環境重視の観点からばかりでなく、もっと大きな「車社会にどう対応するのか」といった人間社会のありかたそのものを問う立場からも強い批判が巻き起こっています。

 人間は「ホモ・モビル」といわれ、移動する動物ではあります。しかし、それで絶滅するようでは本末転倒ではありませんか。

 民主党は、政権公約(マニフェスト)で、高速道路の無料化を盛り込みました。流通コストの引き下げや料金所撤廃に伴う渋滞緩和が狙いでした。だから、無料化することで、交通量の多い首都高速道路、阪神高速道路はかえって渋滞がひどくなると判断し、大都市周辺部は無料化の対象からはずすともしていました。

 鳥の目で空高くから「この国の形」を見たらどうでしょう。空、陸、海を公共の空間として、みんながお互いの立場を尊重しながら使わせていただくという姿勢がほしいものです。個々のビークル、移動体が勝手気ままに走り回るのではなく、都市間移動などは、大量ないし中量輸送機関とする、そうした社会づくりが必要です。都市の中でも、路面電車のようなLRTが高く評価されるようになりました。ドイツのフライブルクなどでは、すでに大きな成果を上げて、世界中からの視察が続いているようです。

 民主党の政策集(インデックス2009)には、「総合交通ビジョンの実現」という項目で、次の3点から実現すると約束しています。
  ①自動車中心の街づくり製作を転換し、路線バスや軌道系交通(鉄道、路面電車、次世代型路面電車システム(LRTなど)を充実 
  ②道路を整備する費用をバス事業者などに補助し、サービスが向上するインセンティブを与えることにより移動困難者の利便性を確保
  ③路線バスや軌道系交通機関などのマス・トランスポーテーションを見直し、環境負荷の低減につながるモード(交通機関)の整備

 高速道路の無料化は、やはり選挙用の「人気取り」であり、時代に逆行する間違った政策と断じざるを得ません。選挙ですから、ある程度のポピュリズム(大衆迎合)はやむを得ない面もありますが、高速道路の無料化は、ここへきてむしろ選挙用にもマイナスとなってきました。

 排ガスの著しい増加を引き起こす環境悪化、地球温暖化促進策、エネルギー多消費社会へ結びつくことは、ほとんど異論の余地がなさそうです。過ちです。先人は「汝、過ちて改むるにはばかることなかれ」といいました。



生き生き箕面通信263 ・せっかくの機会を逃した党首討論

2009-08-13 07:04:50 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信263(090813)をお届けします。

・せっかくの機会を逃した党首討論
 新しい時代を切り開く期待がかかる今回の衆院総選挙。そのなかで昨日、麻生首相と鳩山民主党代表との党首討論が行われました。ぼくは、両党首が「この国の形」をどのようにしたいと考えているのか、ぜひ聞きたいものだと考えていました。

 ところが、骨太の「この国の形」については、ほとんど触れられませんでした。逆に、麻生首相は「民主党は経済の成長戦略が全くない。国の安全保障、防衛問題についてもぶれているうえ、財源の裏づけのないばらまき政策を掲げ、無責任」と、相手党の批判、ネガティブ・キャンペーンに注力しました。

 他方、鳩山代表も「子ども手当てなどを通じて、内需を拡大する」など、個別の政策に時間の多くを費やしてしまいました。政治は、将来の「夢」を掲げること、その目標に向かって国民が努力し、いい国を作る、ここにかかっているはずです。鳩山さんにして、なぜこうなるのか。なぜ将来ビジョンを熱を込めて語らないのか、ぼくには本当に理解出来ません。

 党首討論は、国の将来ビジョン、哲学を語り、その上で政権選択をゆだねるべきものでしょう。もちろん、「哲学だけでは飯は食えない」のですから、肉付けする個々の政策も欠かせません。さはさりながら、まずは将来ビジョンでしょう。哲学なくして「何の政治」なのか。

 国民が等しく理解ができるはずのキーワード、例えば、「平和」「民主主義」「国民主権」「国連中心の外交、安全保障」「大きな政府、小さな政府」「地球環境に配慮する経済政策」「国民皆保険、国民皆年金」「クリーン・エネルギー政策への移行」あるいは「社会民主主義」「国家資本主義」などによって、めざすべき「この国の形」を描くことが、政治家のまず最初の義務のはずです。

 今からでも、残された期間、大いにそこの議論を深めるような運動をしていただきたいと望みます。マスメディアも、あまり個々の政策の優劣などだけにこだわらず、もっと広い議論が行われるように働きかけてほしいものです。


生き生き箕面通信262 ・「海軍400時間の証言」と「空気」

2009-08-12 06:46:27 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信262(090812)をお届けします。

・「海軍400時間の証言」と「空気」
 NHK総合テレビが昨夕までの3日連続で「海軍400日の証言」というスペシャル番組を放映しました。貴重な「証言」を発掘して世に出したNHKディレクターの「仕事ぶり」を高く評価するとともに、こうした番組が放映され続けるよう、NHKあてにコメントを送信しました。こうした番組を制作するスタッフを守り、さらに今後の仕事につなげるには、視聴者の支持が社内での発言力に決定的に大きな支えになるはずだからです。

 第一部(9日)は「・将校たちの告白・開戦・知られざる真実にほんのエリート         集団はなぜ暴走・失敗したか」
 第二部(10日)「悲劇の神風・人間魚雷・明かされた特効の真実・なぜ若者た         ちは死地へ将校の告白」
 第三部(11日)「東京裁判での極秘工作・上層部を戦犯にするな・マッカーサ         ーの密使・真実の行方」

 旧日本帝国海軍中枢にいた軍人たちは、戦後11年間に130回にわたって秘密の「反省会」を開き、そこで得られた証言をテープに残していました。そうした「反省会」が開かれていたこと自体、世間には知られていませんでした。もちろんテープが残っていることも一部の人以外、全く伏せられていました。

 驚くのは、「開戦」自体が、戦争を最初から最期まで仕切った海軍軍令部によると、「戦争に向かおうとする時代の空気に抗しきれず、流された」という総括です。生き延びた高級将校には、真摯な反省もザンゲもありません。(中国大陸は陸軍)

 ただ、「空気」ついていえば、当時の世論形成に大きな影響力を及ぼした新聞がこぞって「開戦やむなし」と太鼓を打ち続けたことも事実です。「朝日」をはじめ各紙がそろって、「米英何するものぞ」と勇ましい紙面を連日作り、部数を伸ばす競争にのめりこんだのでした。最後まで「1億総玉砕」と太鼓もちをしたのが、当時の新聞の真の、そして無様な姿なのです。そこには「こんな紙面をつくっていてはいけないのではないか」というジャーナリズムに欠かせない自己点検機能が働かなかったことを付け加えておく必要があります。軍部から厳しい統制をうけていたこともありますが、むしろ国民を積極的に戦争へ狩り出し、協力するための「洗脳機関」に自ら進んで成り下がっていた面が強いのです。

 神風特効作戦も、闘う武器も作戦も尽き果てた軍令部が、「こうなれば人間をぶつけることでしょう」「一機命中ですよ」といとも簡単に「特効作戦」を採用し、潜水服を着て敵艦に体当たりする「伏龍」と名付けた「思いつき兵器」までが真剣に実験までされたのでした。この段階ですでにまともな作戦能力は崩壊し、「行き当たりばったり」しか対応のしようがない無能力振りをさらしていました。それでも、「戦争をやめよう」という勇気ある声は出さなかった。番組では「やましき沈黙」という表現でした。

 神風特攻隊の成功率は、米軍がすぐに艦砲射撃作戦で対抗したため2%という極めて低率だったにも関わらず、軍令部はこだわり続け、新聞も「赫々たる戦果」と大本営発表をそのまま垂れ流しました。「人間の身体そのものを兵器として使う」ことは、「越えてはならない一線」です。どんな作戦でも「必ず生還の道」が残されていなければならないものです。

 戦後の戦犯を裁く東京裁判では、海軍は軍令部の生き残りが「上層部を守り、責任は戦争現場の下部に押し付ける作戦」を立案、その中心となったのが「二復」でした。復員軍人の受け入れ事務に関わる一方で、上層部の弁護のために「口裏合わせの作戦」を広範囲に行い、その結果、死刑判決が当然視されていた嶋田繁太郎大将は死刑を免れたのでした。他方、現地で指揮をとった大佐クラスは「死刑」に処せられました。このあたりは映画「私は貝になりたい」でも知られているところです。

 要するに、エリート集団といわれましたが、その実態は「ひ弱な武器所有集団」にすぎなかったのです。「国の形」として平和に徹する決意のないまま、いままた「座して死を待つわけにはいかない」という一見勇気があるかの如き言辞をもてあそび、「敵基地攻撃論」をさもさかしらに振りかざすやからが登場しつつあります。単に「KY」、空気が読めないどころではありません。しっかりしなければ私たちの方こそ、また「空気」に流されかねない危うさのなかにあります。



生き生き箕面通信261 ・生きがいを持って働き続けられる社会を

2009-08-11 06:45:40 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信261(090811)をお届けします。

・生きがいを持って働き続けられる社会を
 「この国の形」を誇りを持てるものにする根幹は、「生きがいを持って働き続けられる社会」をどのように作っていくか、だと思います。もちろんその大前提として「平和な社会」がありますが、何よりも欠かせないのは、「一人ひとりの人間が尊厳を持って生きていく」「日々、働く喜びを実感する」が欠かせないですよね。人間としての尊厳を保つには、自分で働いて日々の糧を得、自立している状態が必要不可欠の条件です。

 小泉・竹中路線による「市場原理主義」の行き過ぎた導入は、人間の尊厳を奪うような政策を平然と行い、「自民党をぶっ壊す」どころか「日本をぶっ壊した」わけです。戦後、営々として築いてきた労働者の橋頭堡(労働3法)などが著しく損なわれました。いわゆる派遣切り、雇い止めなどです。過労死、過労自殺が増えました。若い人の中には、働きたいけど職が見つからない、そして年収200万円にも満たず、したがって結婚もできない状態が現実に続いています。そのかげで、トヨタ、パナソニック、キャノンなど日本を代表するグローバル企業は、厚い内部留保を溜め込みました。グローバル企業を否定しているわけではありません。労働分配率があまりにも働く人たちをないがしろにしてきたではないか、と社会の公平さを求めているのです。

 民主党政権になれば、まずこの雇用・労働問題を改善してもらう必要があります。

 民主党の政権公約(マニフェスト)や政策集(インデックス2009)を見ますと、問題意識はまずまずと思いますが、少しシビアに点検すると、次々に問題が出てきます。「あれもします」「これもします」とおいしそうな政策が並んでおり、やはり財源の手当てと、政策の具体的な手順が気にかかります。

 公約37 : 月額10万円の手当てつき職業訓練制度により、求職者を支援します(所要額5000億円程度)
 公約38 : 雇用保険を全ての労働者に適用する(所要額3000億円程度)
 公約39 : 製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る
 公約40 : 最低賃金を全国平均1000円まで引き上げる(所要額2200億円程度)
 公約41 : ワークライフバランスと均等待遇を実現する、などです。

 こうした政策を次々に実現できればいうことはないのですが、実際には財源問題に直面し、遅々として進まず、そして支持率急落の事態が想定されます。財源確保のためのは、やはりそれなりの経済成長が欠かせない。一般的には「実質2%成長」が望ましいとされています。これをどう達成するか。

 中小企業を元気にし、健全な産業で働く場を確保する、一方で地球環境問題(温暖化ガスの排出削減など)ともバランスをとらなければならない。
 
 選挙後、民主党が浮かれずにどこまで現実に対処できるか、日本の新しい地平を切り開くために、私たちもできるところで「司司の役割」を果たしたいものです。


生き生き箕面通信260 ・政権公約は民主が自民より「上」

2009-08-10 06:33:46 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信260(0908010)をお届けします。

・政権公約は民主が自民より「上」
 本日の各紙朝刊は「政権公約の平均点は、民主党が53点で、自民党の47点を上回る」という「21世紀臨調」の採点結果を伝えています。麻生首相が「今度の選挙は『政権選択』ではなく『政策選択』の選挙」と強調していますが、その政策選択でいわば第三者が民主に軍配を上げたことになります。ただ「政権運営について、自民には不満があり、民主には不安がある」という評価があるのも事実です。

 民主党に好意的な評価が多かったのは、政権構想で「脱官僚」と「政府・与党の一元化」などの基本方針を打ち出し、首相直属の「国家戦略局」を新設することで国家的課題に取り組むとした点がとりわけ高く評価されのでした。自民党が主導した政治が半世紀以上続くなかで、いつの間にか官僚に丸投げしたかのような「官僚政治」に堕した状態に陥ったわけですが、自民党はこれから抜け出す策がないのに対し、民主は「しがらみがない」ことから「政治主導の政策決定ができるのではないか」と期待されているようです。

 しかし、問題は「連立政権公約」は明らかではありませんから、実際に政権と取った場合はどうなるのか。最悪のシナリオは、例えば安全保障問題などで社民党との調整が行き詰まり連立崩壊となることです。

 選挙を闘う上では、対立が想定される問題は「隠し倒して、マヌーバーに徹する」方が得策ですから、選挙対策を仕切っている小沢副代表は表に出さないでしょうが、本来は「この国の形」を新たに模索するためにもしっかりと公約して有権者に問うべき筋合いのものです。

 ただ、現在のところ民主有利の状態は続いていますが、投票日まであと20日ほどあります。まだ何か飛び出すか予断は許しません。民主党には、この期間に出される批判や意見を真摯に受け止め、血肉化して「頼りになる政党」に成長してもらいたいものです。