おはようございます。
生き生き箕面通信1192(120314)をお届けします。
・この1年、子どもたちは守られたでしょうか
「子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え」「まだ
恋も知らぬ我が子と思うとき『直ちには』とは意味なき言葉」。震災後、
現在8歳の一人息子を連れて、住んでいた仙台から沖縄へ避難した
俵万智さんが詠んだ歌です。今朝の読売新聞文化面(11面)に紹介
されました。こうした歌をツイッターに投稿すると、「自分だけよければ
いいのか」「もう帰って来るな」という批判を浴びたそうです。他方、
「言葉にできなかった気持ちを形にしてもらえた」という声も。
この1年、私たちは子どもたちを守ることができたでしょうか。これ
から守りきれるでしょうか。
政府は、野田首相と枝野、細野、藤村の関係3閣僚の会議を月内
にも開き、関西電力の大飯3,4号機の「再稼働了承」のハラを固め、
地元の福井知事やおおい町長などの説得に乗り出す方針です。
安全性すら充分に確認されていないにもかかわらず、原子力規制庁
が発足する前に「再稼働」の既成事実を作ろうと前のめりです。
「子どもたちを安全な場所へ避難させるべきだ。国会は何をして
いるのですか」と児玉龍彦東大教授(アイソトープセンター長)が、
参考人として呼ばれた時、声を大にして訴え、大きな反響をよび
ました。しかし、その後も子どもたちに避難の手が差し伸べられた
とは伝えられていません。
一方で、「がれき処理は全国で」と野田首相自身が旗を振って、
大急ぎのがれき処理が進められようとしています。巨額の「がれき
処理ビジネス」を盛り上げる措置です。急がせれば急がせるほど、
大型の重機を持つ大手ゼネコンに仕事が回るのです。地元の中小
業者は、「10年かけてでも、ゆっくりやってくれた方が、地元にカネが
落ちる」と、ゆっくりでも地元処理を要望しているにもかかわらずです。
「放射能がないがれき」なら、地元でゆっくりでもおカネが回る方法で
処理した方がいいはずです。
大手ゼネコン優先のビジネスには巨額のカネを回して手厚く配慮
する一方、子どもたちはどうでしょうか。被災地の子どもたちは屋外
でお日さまの光の下でのびのびと遊べているでしょうか。子どもたち
には、のびのびと育つ環境を等しく保証することが大人たちの責任
であり、義務です。政治はまずそこへ目を向けなければならないの
ではないでしょうか。そのためにも被災地から、安全な場所へ当分
の間避難させるべきです。また、子どもたちは、安全なものが食べら
れるように配慮されるべきです。しかし、被災地で今も放射能と共存
させられています。基準以下とはいえ放射能が検出される食べ物の
もとで生きていかなければならない実態があります。放射能は蓄積
されるものです。一つの食品の放射能は低くても、長い間に食べ続
ければ、体の中に蓄積されます。その体内被曝は、少しずつ放射能
を出して、子どもの遺伝子に悪い影響を与え続けます。
被災地以外の子どもはどうでしょうか。大阪では、「学力を上げる」
という名目で詰め込み教育復活です。教える先生には「君が代」を
押し付け、愛国教育のもとに「日の丸」を押し付けます。押し付けられ
教育で育つ子どもたちは、素晴らしい思いやりを持つ大人になるの
でしょうか。自分さえ良ければいいと、他人押しのけの心を持つ人間
ばかりになるのでしょうか。
世界でも学力がトップクラスのオランダでは、一人ひとりの子どもに
合わせた教育に力を入れています。「子どもたちには、動機が一番
大切です」と教育の基本が確固としています。自分からやり始める
やる気に火がついたとき、子どもたちは思ってもみないほどの力を
つけていきます。子どもの奇跡が起きるのは、自発心が動き出した
ときであることは、よく知られています。
そんな配慮が行われた1年だったでしょうか。これからはどうでしょう。