おはようございます。
生き生き箕面通信1181(120303)をお届けします。
・読売新聞の異常な原発再稼働キャンペーン
読売新聞がおかしい。狂ったように原発再稼働のキャンペーンを始め
ました。本日3月3日、雛祭りの日の社説は「原発再稼働で『電力不況』
防げ」が見出しでした。読売新聞にあるのは、原発再稼働こそが日本の
正しい選択という思い込みです。この思い込みの上で、社説は「野田首相
は再稼働に向け、一刻も早く、先頭に立って、地元の説得を始めるべ
きだ」と政府の尻を叩いています。結びも、「政府は、電力不足が景気の
足を引っ張る『電力不況』を防止すべき重い責任を負っている」と政府に
ムチを入れました。
読売の社説は、「ともかく原発」という論理です。まず、「あと2か月ほど
で全ての原発が止まる非常事態だ」と、何かとんでもないことが起こる
ような文言ではじめました。そのあとに続けて、「政府は、安全が確認
できた原発を速やかに再稼働させるよう、全力をあげるべきである」と
主張しました。
その根拠は、電力不足に対処するには石油や天然ガス(LNG)を輸入
しなければならないが、価格が高騰し電気料金が高くなる。「産業界には、
電力供給不安とコスト上昇のダブルパンチだ」と、不安をあおっています。
再生エネルギーについては「太陽光や風力など、自然エネルギーの拡大
は望ましいが、発電量はわずかだ」と、一言のもとに切って捨てました。
読売新聞の致命的な欠陥は、「原発がなくても日本は大丈夫」という
事実については意識的に言及しないことです。「脱原発の社会を創ろう」
という前向きの視点がすっぽり抜け落ちていることです。脱原発の観点
からみれば、すでにこの冬は乗り切るメドがついたではありませんか。
産業界も、自衛のために自家発電体制を急いでいます。最大のピンチ
とされるのが今年の夏ですが、火力や水力などの既設発電能力だけで
対応できることも分かっています。その上で、節電や他電力からの融通
など知恵を働かせ、みんあで努力すれば、充分に乗り切れることは経産
省も承知しています。
日本がいま世界から注目されているのは、「いかにして原発のない経済
大国へ脱皮するか」という変身モデルへのプロセスです。実はドイツがす
でに、「脱原発経済成功国」として一歩先を歩み始めています。
読売新聞が世論形成のリーダー役を自負するなら、提供すべき紙面は
「原発のない、自然の生態系の中で共生する人間社会をどうして創って
いくか」という希望に満ちた内容であってもらいたい。
以前も明らかにしましたが、ボクはかつて読売新聞の記者をしており、
今は定年退職の身です。愛着があり、それだけに今の異様にゾンビ化
した論調に耐えられないのです。読売新聞の問題の根源は、渡邉恒雄
という一人の老人です。このナベツネという老人が除かれない限り、新聞
自体が凋落の坂道を転げ落ちることは確かだと思えます。いや、いまの
ように大事な時に、いまのような日本を間違った進路へ導く紙面を作り続
けるなら、一刻も早く凋落させることが正しいのかもしれません。