水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・216」

2014-05-21 19:23:13 | Weblog



カルテ番号 た・21(13)

田原正一の頭が少しずつクリアになってくる。
院長の話は何となくだが頭に入っている。
「受け身の生き方と積極の生き方。
それだけで生命力は大きく変わってしまうのです。
食べ物や運動や生き甲斐の趣味や仕事も元気にはなれます。
ですが、同じ食事をするにしても、この積極という生き方で影響は変わります」

やっと院長のいおうとしている意味が見え始めた。
「同じ運動でも、受け身、しなければならない、健康の為、というのと、
愉しいからしたい、運動そのものが面白いから続ける、という積極な姿勢では大きく違うのです。
元気というのは、元の氣のことです。
人にとって元というのは赤ちゃんや幼児や子供時分の氣です。
その頃は生きるというのは積極だけだったのです。
単純に言えば、興味があること、面白いこと、気持ちいいことを求めるだけです」

田原正一は僅か2時間の施術で生まれ変わったと思った。
気づけば単純な事。
だが気がつかなければ、5年10年はあっという間に過ぎてしまう。
そして、受け身でも目標があった組織から離れた身では、受け身さえ見失う。
残された道は急速な衰えや痴呆になっていただろう。
定年後半年でボケる、という岐路だったのだ。
「ありがとうございました」
本心からお礼を言って、田原正一は家に帰って行った。
何をするにせよ、明日からは別な生き方ができるという自信があった。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・215」

2014-05-20 19:13:30 | Weblog



カルテ番号 た・21(12)

「私の感覚では、田原さんの肉体的異常は無いと思えます。
つまり元気を出す、出さないは、自分の意思で決められますよ。
ここからは、私の勝手な想像の話になります。
まだ気功の影響でぼんやりしているようですから、覚めるまでのお話です」
そう言って院長はゆっくり話し出した。

「田原さんは長年会社勤めをされてきたようです。
同じ会社勤めでも人それぞれに仕事の姿勢が違うとは思います。
ですが、基本的には会社の方針があり、それに沿って仕事をするわけです。
楽しい事も嫌な事もあるでしょうが、与えられた仕事の報酬として給料があります。
それは受け身の仕事、ともいえます。
良い、悪いではなく、組織の一員として働く仕組みですね」

院長は少しずつ考えながら話しているようだ。
「人によって、退社後は自分の時間として積極的に行動する事もあるでしょう。
特に若いうちはスタミナと疲労からの回復時間が少なくてすみますから、少々無理しても翌日の仕事に影響しないから積極的なプライベート時間が作れます。
でも、ある程度の年齢になると責任が重くなり、仕事への一日の依存度が高くなります。
それは意識上、意識下でも受け身の癖がついてしまうようです。
一日は会社の仕事をする事でほとんど占めてしまうわけですね」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・214」

2014-05-19 19:17:48 | Weblog



カルテ番号 た・21(11)

そこで田原正一は気付いた。
人生を面白く生きたい、などと今まで考えた事がなかった。
そんな風に積極的に人生を思ったことがなかった。
毎日がただすぎていく。
あるいは、何とか一日が終わる。
ただ、それだけの意識だった。

自分はどうしたのだろう。
同窓会に出席して、同級生の様々にショックを受けたからだろうか?
いや、そうではない。
僅かの時間だが、この治療院に来てからだ。
この身体の中から、何かの力が起きている。
あの、予想外の院長の反応がスイッチになったのか?
それとも、これが気功の影響なのだろうか?

「田原さん、時間ですよ」
いつの間に眠っていたのだろう。
頭がぼうとしている。
だが、同時に軽くなっているのも感じる。
身体もぼうとしている。
そして、やはり軽くなっている。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・213」

2014-05-18 18:36:11 | Weblog



カルテ番号 た・21(10)

予想外の答えばかり続く。
変わった事を自覚できなければ不満ではないのか?
あるいは迷いから抜け出せないのではないのか?
どうでもいいのか?
そんな田原正一の心を読んだかのように院長は言葉を続けた。

「生きていると、人と人、人とモノ、人と出来事が出会います。
それにより必ず何かが変わります。
毎時毎秒時間が流れていますから、例え部屋の中で閉じこもっていても同じです。
生きているなら細胞は変化します。
細胞、肉体が変化すると意識、心も変わります。
身体も心も常に変化し続けているのが、時間が流れている、この世の仕組みです。
諸行無常、万物流転は自動的に例外無し、なのですね。
ただし意思の力、あるいは思い込みの力で心が変わらない事もあります。
変わらないのは、変わらないという変化をし続けているわけです。」

何だか坊さんの説法のようだ。
理屈はそうかもしれないが、実世界とはズレがあると思っている。
常に変化しているのなら、今更変わった、変わらないにこだわる必要も無いということか?
だが、それでは生きている意味が無くなってしまう。
心や身体がイキイキしない。
悟ったような意識では、人生、何も面白くないのだ。
自分はこれからの人生を面白く生きたいのだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・212」

2014-05-17 19:03:05 | Weblog



カルテ番号 た・21(9)

田原正一は期待しないで来た事をすっかり忘れて言った。
「ちょうど60歳の同窓会でした。
同級生達は様々に変わっていました。
それを見て、いろいろ考えてしまいました。
今の暮らしだけで単純に人生を判断できない。
仕事をしなくても暮らしていける今の自分は黄昏ているようだ。
といって何でもいいから仕事をすればいいわけでもない。
何かを変えて、もっと元気に戻りたいと思いました」

院長は少し黙ってから、ぼそりと言った。
「そうですか」
ええ?その反応は?どうとらえればいいのだろう?
「とにかく始めましょう。話しながらでかまいませんから」
マットの上に仰向けになると、院長は腹部、胸部に軽く手を当てた。
温かい。いや、温かいというより暖かいと感じる。
手からの人の熱ではなく、院長全体から太陽からの暖かさを感じる。
さきほどの受け答えといい、この感じといい、予想外すぎる。

「気功は初めてなのですが、これで何か変わるのですか?」
またしても院長は少し黙ってから話し始めた。
「気功といっても様々ですから、私のが一般的というわけではありません。
まぁ、普通か特殊かなんて、どうでもいいことです。
何か変わるか、という質問ですと、変わります。
ですが、変わった事を自覚できるかどうかはわかりません。
それも実は、どうでもいいことです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・211」

2014-05-16 19:39:10 | Weblog



カルテ番号 た・21(8)

「今日は中学校時の同窓会からの帰りなのです」
「そうですか、どちらの学校でした?」
「今はもう廃校になってしまったのですが」
と、この地方の学校名を言った。
この院長は少し考えて
「私、知っていますよ。私も中学校の時に試合で行ったことがあります。
あの頃、剣道が強かった学校でしたね。県大会で優勝しましたね」

今度は田原正一が考えてしまった。
確かに剣道が強かった。
だが、それは2年先輩の頃だったはず。
「失礼ですが、先生は何年生まれですか?」
院長は少し躊躇して答えた。
それを聞いた田原正一が驚いた。
自分よりも2年も先輩ではないか。
すると、62歳? 
いや、どうみても40代だろう。

今日来たのは、その事に関係している。
自分は定年になり、ますます衰えた。
同窓会でも、自分よりも年老いて見えた同級生もいた。
また、自分よりも若く、イキイキしている同級生もいた。
その違いはなんだろう?
自分も今後の人生でもっと若く生きたい


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・210」

2014-05-15 19:17:48 | Weblog



カルテ番号 た・21(7)

本当に久しぶりの同窓会だった。
人生ってものに、いろいろ思う事もあった。
他界している同級生も数名いた。
病気で出席できない同級生もいた。
田原正一のように組織を勤め上げたサラリーマンは、定年後は時間がある。
だが、自営業はまだまだ現役が普通であり、生活も大変な場合が多い。

同い年なのに、ずいぶん体型や顔に差が出ていた。
自分はどう見られていたのだろう。
そして、まだまだ人生は長いのに、定年という言葉に騙されていた。
人生の定年のような思い込みがあった。
それぞれが、それぞれの人生を60年間歩んできただけの事だ。

鈴木に教わった治療院は、車で10分くらいのところだった。
予約制とのことで、他の患者はいないようだ。
院長は40代くらい。
特に愛想がいいわけでなく、淡々とした感じだ。
一応鈴木からの紹介ということで挨拶をした。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・208」

2014-05-13 19:57:26 | Weblog



カルテ番号 た・21(5)

その鈴木と話す機会がきた。
「鈴木、今日は御苦労さまだな。
おかげで、いい同窓会だよ」
「いやいや、皆に会えて俺も嬉しいよ」
「それにしても鈴木は若いな。同級生とは思えないぞ」
「聞いているんだろ。再婚したんだ」
「俺も再婚だぜ」
「いや、うちは坊主がまだ小学生だから20年は働かないとな。
それに、まだ俺達、まだ60歳なんだぜ」

同い年でもずいぶん違う。
田原はもう定年で、働き先が見つからなかったのを言い訳にした。
もう特に働かなくてもいいと思っていた。
そう思ってから、どんどん気力が落ちてきた。
老いてきたのが実感できる。
ボケるのではないかという恐怖心もある。
だが鈴木は未来を作り出す意欲がある。
老いるとかボケるとかとは無縁な状態だ。

田原は鈴木を見て、自分も変えたいと思った。
まだまだ老いたくはない。
ましてやボケなどになりたくない。
まだ、たったの60歳だ。
定年という言葉に騙されていた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・207」

2014-05-12 19:16:34 | Weblog




カルテ番号 た・21(4)

その流れで話題は年老いた話が続く。
身体のあちこちにガタがきている。
いろいろな機能が衰えた。
何事もやる気が起きない。
病気で来られない同級生の話。
そして、鬱になった話が出た。

「おい、田原、お前みたいに定年後何もしてないと鬱になりやすいらしいぞ」
実は思い当たる。
僅かの期間で自分の気持ちが萎えている自覚がある。
どんどん、明日に伸ばし、外に出るのもメンドウになった。
そうか、それと並行して物忘れがひどくなった。
女房も名前が出てこない、とはいう。
だが、二人して思い出そうとすると、必ず女房が思い出す。
自分の方が記憶力は良いはずなのに、思い出せないのだ。

「それにしても幹事の鈴木はさすがだな。よく動くし気が利く」
「バリバリの現役で働いているからな」
「再婚相手が20歳年下だしな」
「子供は小学校に入ったばかり」
「大変だ、と思うよりも、張り切っていて羨ましいよ」
そうだったのか。何も知らなかった。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・206」

2014-05-11 18:38:29 | Weblog



カルテ番号 た・21(3)

会場に集まり、幹事と恩師の挨拶のあと宴会となった。
ここに来る前は全員覚えている、と自負していた。
ところが、見覚えない同級生が何人もいる。
相手から話しかけられても、まだ思い出せない。
名前を言われても、思い出せない場合が何人もいるのだ。

「お、おい、わからない同級生が幾人もいるんだが・・・」
幹事の鈴木に耳打ちした。
「この歳だからな。皆変わったし。
だけど話し出せば面影が浮かび出すぜ」
そうじゃない。これは相手が年をとって変わったからじゃない。
田原正一は何か違和感があった。

恩師は75歳だが、若くみえる。
退職後もいろいろな活動をしているらしい。
同級生でも老けているのもいる。
生徒と先生の時は大きな年齢の隔たりがあったが、今は大して変わらない。
何か不思議だった。

3時間ほど宴会をし、風呂に入って、まだ話し足りない同級生が集まった。
「近頃は物忘れが多くなって」
そんな話題で盛り上がった。
「そうそう、人の名前が出てこないんだよな」
「顔は思い出すけど、名前が出ないのがもどかしい」
「女房と言った、言わないでもめるし・・・」
やはり同級生だ。似たような境遇にある。


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