カルテ番号 た・21(7)
本当に久しぶりの同窓会だった。
人生ってものに、いろいろ思う事もあった。
他界している同級生も数名いた。
病気で出席できない同級生もいた。
田原正一のように組織を勤め上げたサラリーマンは、定年後は時間がある。
だが、自営業はまだまだ現役が普通であり、生活も大変な場合が多い。
同い年なのに、ずいぶん体型や顔に差が出ていた。
自分はどう見られていたのだろう。
そして、まだまだ人生は長いのに、定年という言葉に騙されていた。
人生の定年のような思い込みがあった。
それぞれが、それぞれの人生を60年間歩んできただけの事だ。
鈴木に教わった治療院は、車で10分くらいのところだった。
予約制とのことで、他の患者はいないようだ。
院長は40代くらい。
特に愛想がいいわけでなく、淡々とした感じだ。
一応鈴木からの紹介ということで挨拶をした。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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