小兵衛と嘗て試合をした牛堀も一流の剣客だ。
それ以来、小兵衛と親しくしている。
剣の道は人の道、というのが無外流の真髄らしい。
名人の小兵衛は、それを感じる多くの人から慕われる。
人の道だから一律ではない。
無外流は、個々の個性を活かす剣術であり道だった。
宗家の辻が飄然と道場から去った時の後始末。
竜虎といわれた小兵衛も嶋岡も他の高弟もわきまえていた。
例え宗家の道場が無くなっても、無外流の教えを貫いた。
体裁や損得で立場にこだわるようでは、真髄は消えてしまう。
それぞれが、自分をわきまえた決定に師の辻は満足していた。
結果として、宗家の道場は閉鎖となった。
牛堀「おれも秋山さんをみていると、剣の道を外したくなる。
しかし、あの自由自在、融通無碍の境地にはなれぬ」
一流から名人へは、こだわりから放れて進める。
そんな小兵衛でも、一流になった大治郎を心配してしまう。
大治郎暗殺の話を聞いて心が動くが、本人には伝えない。
優しさからの心の弱さは、人の強さかもしれない。
(「まゆ墨の金ちゃん」より)
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