極楽浄土・・・。それにしては仏陀とキリストの超二大偉人が肘を付けているテーブルは白いプラスチック製だし、四脚置かれている椅子はバラバラに寄せ集められた安物だ。
もっとも、超豪華なテーブルセットに座る偉人なんてウサンクサイだけだ。この二人が座れば、どんなモノでも似合っている。
キ:「ゲシュはんも座りなよ」
ブ:「ちょっと古いけど充分使えるぜぇ」
ゲ:「何処からか拾われてきたのですか?」
キ:「うん。日本だ。あそこには使える家具が道に落ちている」
ゲ:「キリちゃんが拾ってきたのですか?」
キ:「そうだけどさぁ、ヒデェんだ。あそこは。」
そのとたん、仏陀が破顔で笑いこけている。
ゲ:「どうされたのですか?」
ブ:「キリちゃんさぁ、この姿だろ。椅子とテーブルを担いでいたら、近所の人に通報されたんだよ」
キ:「誰に危害を加えたわけじゃなく、まだまだ使えるのに捨てられているモノ達に手を差し伸べただけなのにねぇ・・・」
ブ:「キリちゃんだから、愛に区別しないだろ?それが通用しないんだ」
キ:「警官に連れて行かれて、それからが大変だったんだ」
ブ:「何しろ地球では住所不定だし。年齢は2000歳を超えるしね。
名前はキリストだし。この格好だろ?警官もブタ箱に入れるわな。」
キ:「久しぶりにマトモなお話をしてあげようとしたのに・・・」
ゲ:「今の文明国といわれる国では無理ですよ。肩書きと見た目でしか判断できないですからね」
ブ:「キリちゃんより小奇麗なワシでも捕まるだろうなぁ・・・。仏教関係者でも話は聞かないだろうね。どこの宗派にも寺にも属してないで説教したって・・・」
ゲ:「で?どうしました?」
ゲシュナムは興味津々、子供の目で話の続きを聞きたがった。
ブ:「ゲシュはん、その目をしている人間が少なくなったんだよ。仏教なんて子供の目と耳で学ぶもんだ。ワシは最初は森のケモノ達に話たんだぜ。小賢しい理屈なんざ誰が聞くか。そんな事も判らなくなっているんだなぁ・・・」
キ:「キリスト教なんてもっと酷いもんさ。積極的に差別し戦争してるもんね」
ゲ:「まぁ、御二人の教えがヘタということで・・・。
そんな事より、どうしました?その続きは?」
ブ:「ゲシュはん、その切り替えの速さが、ここに来られた要素だよ」
キ:「そ。いつまでも学んだ事にとらわれてないし、陽気だしね」
ブ:「どんな状況でも愉しめるから極楽に来られるのに・・・あまり来ないねぇ」
キ:「ゲシュはんが続きを聞きたがっているから」
ブ:「このへんでメシにするかぁ?」
ゲ:「はい、御相伴いたします」
(本館は 「氣の空間・氣功療法院」