豊臣政権下の五大老の一人・宇喜多 秀家の生涯を描いた歴史小説。豊臣VS徳川の大舞台に身を置きながらも、自分の足元では宇喜多騒動という内紛を抱え、激動の人生を歩みました。秀吉の恩顧を胸に抱く秀家に対し、家康の「世の流れに逆らわなかったからこそ、乱世を生きぬくことができたのです。」の言葉に動ぜず、
「流れに従うのでも抗うのでもなく、自ら流れを生み出す」
という気概を持ち、関ヶ原を戦い、備前に楽土を構築しようとしました。敗戦後は、薩摩島津家に逃れたが、八丈島へ流されました。16年を経て、加賀前田家から10万石を分与し、大名への復帰の申し出も断り、1655年まで生き延びました。最後は南の島が秀家にとっては楽土になったのでしょう。
どう生きるかに納得した生き方であったことだけは間違いありません。
『宇喜多の楽土』(木下昌輝著、文春文庫、本体価格770円、税込847円)
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