アバウトなつぶやき

i-boshiのサイト:「アバウトな暮らし」日記ページです

手塚雄二展 ー光を聴き、風を視るー

2019年05月24日 | かんしょう
 先週末、京都髙島屋で開催中の手塚雄二展を見てきました。
 
 来年の2020年に明治神宮が御鎮座100年を迎えるにあたり、内陣屏風が交換される予定なのですが、この度、その屏風を描く事になったのが手塚雄二氏です。
 このことを知ったのはNHK日曜美術館のアートシーンでの紹介ですが、それ以前に院展の画家として作品を目にしたことがありました。
 100年前に奉納したのは院展の画家である下村観山であったため、その流れを汲む手塚雄二氏に白羽の矢が立ったとの事です。
 
 手塚氏の絵は色がとても美しいです。そして繊細。
 以前に拝見した作品は美しいけれどパンチの足りないという印象を受けていたのですが、テレビの紹介で映った作品は引き込まれるような美しさがあったため、ぜひ実物を見てみたかったのです。
 今回の展覧会は過去最大級の回顧展ということで、たくさんの作品を観ることができました。そのおかげで、私の手塚氏に対する印象はかなり変わりました。
 まず、「パンチが足りない」という印象が間違いであったということ。
 パンチのきいた作品、ちゃんと揃ってました(笑) 特に初期の作品は力強い印象のものが見受けられます。
 ただ描く対象が変わってきているので、現在の絵は“パンチ”という言葉で表現すること自体が正しくない気がします。心に響くことを単純にパンチと表現すると強い印象を与えてしまいますが、手塚氏の絵はガツンというより「スッ」とか「キュッ」とかいう染みこむようなスマートな響き方をする気がします。
 もっとも「響く」という点では描く対象の違いよりも、生の作品を観たということが大きいです。実物はやはり美しいですし迫力もありますねぇ。
 特に【波洸】(第81回再興院展)は水の色の表現が素晴らしくて、私にとって絵の前を立ち去り難い作品でした。
 
 今回の明治神宮内陣屏風は透き通るような美しさと落ち着いた空気感を併せ持っていて、本当に素晴らしいと思います。
 屏風のなんとなくの雰囲気はこちらでどうぞ→日経新聞記事
 
 手塚氏の作品はホームページでも見ることができます→手塚雄二 公式ホームページ (色が全く違って見えますが…)
 
 屏風は奉納されてしまうと、ほぼ一般の人は見ることができないのでこの機会を逃さず観れて良かったです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿