アバウトなつぶやき

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開館25周年記念企画展 ばんこやき再発見!ー受け継がれた萬古不易の心ー

2018年08月13日 | かんしょう
四日市市立博物館の開館25周年記念企画展として開催中の、「ばんこやき再発見!」を観てきました。
萬古焼は18世紀の半ばに現在の三重県桑名市で興った焼物で、以降三重県北勢部の主要産業となり、現在も四日市市を中心に伝統工芸として受け継がれています。
今年は萬古焼の創始者である沼波弄山(ぬなみろうざん)の生誕300年に当たるらしく、近隣地域にある朝日町歴史博物館やパラミタミュージアムでも萬古焼所蔵館連携事業として展覧会が企画されています。

↓それぞれクリックでHPへジャンプします。
●四日市市立博物館
●朝日町歴史博物館
●パラミタミュージアム

 萬古焼は今でこそ土鍋や蚊遣り豚という生活密着タイプの焼物というイメージが強いのですが、創始者の沼波弄山は茶人でもあったため、「古萬古」と呼ばれる創設当時の江戸時代中後期の作品は茶器や装飾性の高い名品が多いのです。
明治時代になると外貨獲得のための政府の政策と四日市の山中忠左衛門の尽力により、たくさんの輸出品が作られました。
今回の展示は歴史を語る堅苦しい感じではなく、萬古焼の変遷や多様な作風を一堂に知ることができるようになっています。
優美な名品からちょっと変わったものまで、本当に多岐にわたっています。
 萬古焼の歴史において、沼波弄山の死後に途絶えかけた萬古焼を再興させた森有節という人物がいます。
 森有節は猩臙脂釉というピンク色の釉薬を施した器が有名なのですが、今回の展覧会では猩臙脂釉の器よりも色絵や青釉、または木型造のもののような形状に特徴のあるものなどが多く見られました。絵付けの美しさはもちろんのこと、中に緑の発色が素晴らしい器があり、おかげで私は森有節の偉業を改めて思い知ることになりました。
 たくさんの名品があり写真撮影もOKだったのですが、SNS等への投稿は禁止されていた為アップできないのが残念です。
 もっと柔軟に対応したほうが、地場産業をアピールする良い機会になると思うのですが、、、いったいどんな弊害があるのやら
 
 四日市では春になると「ばんこ祭り」という焼き物市が開催されるのと、幼い頃は窯元の多い地域の近くに住んでいた事もあり、家には萬古焼の器がたくさんありました。
 なにぶん庶民の家に生まれたものですから高価な萬古焼の器には長い間巡り合えなかったのですが、大人になって積極的に萬古焼を観に行くと古萬古や有節萬古の絵付けの美しさに驚いたし、木型造りによる薄造りの繊細さには心が躍りました。
 赤土や紫泥の急須も、幼いころにはさらりとした手触りが洗いづらそうとしか思えずに良さが分からなかったのですが、大人になって同じく地場産業であるお茶との関りを知ると「萬古焼とお茶のマリアージュや~」という感じで、その味わいに深みを感じるようになりました。

 今の萬古焼に興味のある方はコチラをクリック→BANKO LIFE 暮らしを彩る萬古焼

 最近、やっと若い作家さんの作る新しい萬古焼が見られるようになってきた気がします。
 古い伝統も良いけれど、新しいものも開拓していかないと、と思います。ましてや萬古焼は明治時代に土を他所から買い付けた歴史もあるわけで、新しく進化し続けることが真骨頂なのではないかと思っているからです。
 若いクリエイターの活躍の目覚ましい波佐見焼のように、萬古焼もどんどん新しい風を吹かせてほしいものです。

 今回の展示で紹介された輸出品は、日本らしさに焦点が当たっているものが多かった気がします。
 外国に寄せて作った輸出品には今の北欧ブームに近いセンスのものも多いのですが、そういった作風の器は博物館よりもBANKO archive design museumの方で見る事が出来ます。
 
 博物館のように学術的な見地で見た後は、現代の新しい焼き物としての萬古焼も楽しんでほしい。。。地元民の願いです。

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