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ルーブルNo.9 -漫画、9番目の芸術-

2017年08月06日 | かんしょう
現在、松坂屋美術館で開催中の「ルーブル美術館特別展 LOUVRE N0.9 -漫画、9番目の芸術-」を覧てきました。



Introduction
ルーヴルが欲しがった9番目の芸術、「漫画」。

古代文明から19世紀中頃までの膨大な作品を所蔵する、世界最大級かつ最高峰の美術の殿堂「ルーヴル美術館」――1793年の開館以来、200年以上の長い歴史を持つルーヴル美術館が、「漫画」でルーヴル美術館を表現するという、かつて無い新たな試みとして「ルーヴル美術館BDプロジェクト」を立ち上げました。

日本の「まんが」、アメリカの「コミックス」のように、フランス、ベルギーなどのフランス語圏には古くから独自に発展してきた「バンド・デシネ(BD)」という漫画文化があります。「バンド・デシネ(BD)」には、大衆的な作品がある一方で、まるで絵画のような複雑で技巧に富んだ作品も多く、子どもから大人まで幅広い年代の人たちに楽しまれています。そうした特徴から、フランスにおいてBD(=漫画)は「第9の芸術」(※)と位置づけられるほどです。

「ルーヴル美術館BDプロジェクト」は、「漫画」という表現方法を通して、より多くの人々にルーヴル美術館の魅力を伝えるために企画されました。漫画家たちに、ルーヴル美術館をテーマに自由に作品を描いてもらう、という前代未聞の企画には、日本の漫画家を含むフランス内外の著名な漫画家が多数参加しており、すでに12作品が出版され、プロジェクトは現在も進行中です。

※フランスにおける芸術の序列。第1から8までは順に「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」とされる(諸説あり)。
 (HPより抜粋)

私はこの試みがよく分かって無くて「美の殿堂であるルーブルが漫画を芸術として認めたことを証明する展覧会」と思って観に行きました。
そしてその解釈はおそらく間違ってないんだけれども、私はどうしても「しゃらくせえな、おい」と思ってしまいました。正直なところ。

まず、ルーブルが「漫画」として評価しているのが「バンド・デシネ」であることが気に入らない。
もちろんね、絵が美しいことや画面構成がしっかりしてることは非常に大切なことだと思います。見開きでカラーで、本を開いた状態でどのページも見応えがあるってことに芸術性を感じるのも分かる。
でも漫画ってのはねぇ、文学とかと一緒で芸術性が高いものは哲学的な内容だったりすることもあると思うんですよ。例えば絵がちょっとアレでもつげ義春作品は芸術だと思うんですよ、私。前回記事の山岸涼子先生みたいな方はストーリーも絵も素晴らしいので文句なく芸術だと思います。
つまり、日本で発達して日本で描かれた、日本で「消費」されたものの中に芸術が埋もれてると思うんですよ、私は。
なのに「雑誌のように消費されるじゃなく、絵本みたいに書籍として販売されてる方が格上」みたいな位置づけってどうなのよ、って言いたくなってしまうのです。

まぁね、このプロジェクトには日本の漫画家が参加しててね、どなたもしっかりご活躍なさってますしね、文句付けるわけじゃないですよ、ホントですよ。

でもさー!「文学」や「メディア芸術」を芸術って言うのなら、長期連載になっててしっかりしたストーリーのある日本式の漫画を芸術って認めてもいいんじゃないの!?って思ってしまうのですよ。

展覧会自体はルーブルをテーマとして扱うことで統一感を出したんだと思うし、同じお題を貰うと似たような印象を持つ人もいれば見る角度が変わる人もいるんだなぁ、とも思いました。実際、読んで面白かった作品はたくさんありました。
しかし「これは今までの漫画とは一線を画した素晴らしい作品だ!」って思うものはありませんでした。原画展見た時の方が感動した。。。

と言うことで、漫画を馬鹿にしている芸術愛好家に「漫画を認めさせる」ためには必要なプロセスかも知れないとは思うけれど、「ルーブルがあるからって、フランスの漫画文化が漫画界の王道だって思ってもらっちゃぁ困るんだよ!」
というのが私の感想なのでした。

良い取り組みなんだけどなぁ、なんかしっくりこなかったんだなぁ。

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