アバウトなつぶやき

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トルコ至宝展

2019年07月07日 | かんしょう

このところ平日に仕事を休む日数が減ったため、美術展に行くのは週末の時間をやりくりする必要が出てきました。これって簡単なようでいて、今まで混雑を避けて平日に遊んでいた人間にとってはなかなか受け入れがたいものです。遠方だとなんだか億劫になってしまって「もう観に行くのはやめとこうかな」と思ってしまいがち。。。

そんな風で行くのを断念しかけていたこの「トルコ至宝展」。

数か月前に友人に「うちの団体の研修旅行に参加する人が足りなくて困ってるの。参加してくれない?」と頼まれて申し込んだのが7月上旬の京都旅行でした。団体行動で時間配分のタイトなバス旅行だと聞いていたのですが、午後の岡崎公園周辺散策は自由行動との事やった、トルコ至宝展観れる

「私、午後は美術館行ってくるから!」と言ったら、「私も行くよ~、こんな機会でもなきゃ美術館なんて行かないし」と、平安神宮を参拝したことがない友人も付いてきました。ごめん、周辺にゃぁ観光名所も多いのにつき合わせて。

 



さて、トプカピ宮殿のお宝たちときたらすごいのなんの。

チューリップ(トルコ語でラーレ)の宮殿ということで、スルタンの至宝と共にチューリップデザインの生活用品も展示されています。特に織物はチューリップモチーフが目を引きます。

しかし、やっぱり一番目を引くのは宝飾品です。ビックリするようなサイズの宝石たち(エメラルドのサイズがどうかしてるぐらい大きい 世界で産出される宝石は一部の富裕層が独占しているのを実感する)や、金細工を見る事が出来ました。そしてポスターに写真が使われている手鏡は本当に美しかった。。。

図録も買ったんですが、図録の写真は本当に見事ですわ。本物より色が鮮やかに出てます。しかし、本物を見ないとやはり質感というか重みを感じないので、展覧会っていうライブ会場はフェスと一緒でやみつきになるんですよねぇ。

ゆっくり、というわけではなかったけれど企画展だけで1時間は取れたので満足です。堪能しました~。


昭和美術館 「青を愛でる」展

2019年06月30日 | かんしょう
 
ずっと前からいつか行こうと思いつつ訪れないままになっていた昭和美術館
ちょっとしたキッカケがあって行ってみようかという気になりました。
 名古屋市昭和区にある昭和美術館は茶道具が主な収蔵品であり、施設はお茶会や展示会で利用できるのだとか(文化・芸術・教育・学術に関する行事に限る)。
本館の裏手には庭園が広がっており、旧武家の別邸であった「南山寿荘」(旧正門も同様に移築)、茶室「有合庵」、腰掛待合などを備えています。これらは地域の文化遺産として指定されています。
 
▲愛知県指定文化財の「南山寿荘」 毎年11月3日のみ全体を公開するとか
 
昭和美術館は夏季と冬季は閉館しており、春の上期展示と秋の下期展示の2期にわたるコレクション展を開催しているようです。
今年の上期展示は「青を愛でる」と題した、青磁や青絵付けなどの青いやきものが中心の展示でした。
 
青磁の説明に、青磁は「砧青磁」「天龍寺青磁」「七官青磁」の3種(宋の時代とか龍泉窯とかの分類?)があるとし、それぞれの説明がなされていました。
もちろん砧青磁が最上であり均整がとれており釉も美しく半透明、天龍寺は作りが大振りで色が黄味を帯びて濃くなります。七官青磁は青緑に濁りがあり侘びがあるものとなりますが、一室のなかに青というテーマで並んでいるためつぶさにその違いが見て取れて、特徴がよくわかり勉強になりました。
また、作品名により「祥瑞(しゅんずい)」という言葉も知る事が出来ました。
※祥瑞(しゅんずい) 中国明時代末期(17c前半)に景徳鎮で日本向けに作った染付のうちやや紫がかった青、紺青色で祥瑞文といわれる吉祥柄や幾何学模様が埋め尽くすように配され、透明釉がムラなくかけられたもの
さすが茶道具に秀でた美術館という感じです。
 
私は茶道具に詳しくありませんが、茶道を嗜んでいる方には非常に身近な美術館だと思います。
今回は陶磁器が主でしたが、きっとほかにもたくさんの名器をそろえておられるんでしょうね。

増山雪斎展とボタニカル・デザイン展

2019年06月15日 | かんしょう

 先月から、体調を崩したりして延び延びになっていた二つの展覧会。会期終了目前の今日、やっと観に行くことができました。

 まずは三重県立美術館の増山雪斎展。

 三重県にこんな文人大名がいたとは、この展覧会が開催されるまで知りませんでした。あまりに立派で、ホント申し訳ない気持ちになりました。。。

  三重(伊勢国)大名というと、つい南勢(伊勢の方)を連想してしまうのですがこの方は長島藩の第5代目藩主です。つまり南側でなく三重の最北、尾張と接する側の地域の大名です。

 増山雪斎は諱(名)を正賢(まさかた)と言い、1754〜1819年に生きた人物です。

 当時、大名の仕事の一環として地産の記録として絵を必要としたようですが、それ以上の才が雪斎には備わっていたようで花鳥画の様な芸術性の高い絵を描くようになります。(当時「芸術」という概念かどうかはともかく)

 雪斎の絵は博物学として捉えても十分な見識を持って描かれているとの事で、動植物の特徴を見事に表現しながら緻密で美しい絵を描いています。虫豸帖(ちゅうちじょう)という図譜は特に優れているようで、現代の学者が見てその種類がほぼ同定できるのだとか。

 雪斎は長島藩のお抱え絵師である春木南湖を長崎に遊学させていますが、雪斎の死後数年経った1823年にシーボルトが来日しています。

シーボルトがもう少し早く生まれていたら、というか雪斎がシーボルト級の人物に出会っていたらこの辺りの本草学は尾張でなく伊勢が主流になっていた事間違いなしですよ。惜しい!

 雪斎の人物像を語るにあたり木村蒹葭堂という人物は欠かせない事も知りました。

 展覧会内でこの木村蒹葭堂から煎茶道の偉人、売茶翁の茶器を譲り受けた、という逸話込みの絵が展示されていました。ここでも始めて知る「売茶翁」という人物。なんだそれ、煎茶道って今時の人が美味しいお茶を飲むために作ったポップカルチャー的なのじゃなくて、近世から続く伝統的なものだったの?とまた新たに知ることが増えました。

 煎茶道って、調べると結構面白くて意外なことに後で見に行ったボタニカルデザイン展にもつながります。

 三重県立美術館で増山雪斎展を観た後、三重県総合博物館に寄って企画展「ボタニカル・デザイン」を観てきました。

 この企画展は全てが撮影OKとの事で、メモを取らずに観れるので嬉しい(^^)

 広々としたスペースに見やすい展示。可愛らしくてセンスある解説と手書きの学芸員コメントなど、わかりやすくてしかも楽しめる、とても良い展示だと思います!

展示物の中にいくつかの模型があったので「へぇ〜、これ大きくってわかりやすくてイイじゃん♡」と思ってキャプションを見たら「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」って書いてありました。

すごいな茨城県。さすが、つくば学園都市を抱えてるだけあって良い博物館がいっぱいあるのね。

 最近、ワダちゃんと地被類を愛でることが増えてるんだけど、そこも網羅。

 この展覧会の最後の方は人のくらしの中にあるボタニカルデザインって事でさまざまな利用の仕方が紹介されているんですが、その中に盆栽の紹介がありました。

 ここで知る、盆栽の愛でられ方!

 盆栽って確かに立派なのが豪邸の床の間にあるイメージありました。でも、縁側でおじちゃんがハサミをパッチンパッチンしてるイメージも強くて、なんというか園芸好きの高じた最たる姿っていう気がしていたんですよね。

盆栽って未来の枝ぶりを想像して整えるわけですから途方も無い時間と知識の必要な芸術です。素人がちょっと手を出して成せる類の分野じゃありません。

 で、この盆栽を床の間に飾ってたのが先に出てきた煎茶道と知って「なるほど!」と頷く事しきりです。

 抹茶を頂く「抹茶道=茶道」が形式化しているのを嫌って生まれたのが煎茶道。(もっとも、普及するうちに色んな作法や美意識が生まれて結局は形式化していくのですが)

形式にとらわれず会話を楽しむ事で、文人から愛好されたというのもうなずけます。侘びを重んじる茶道に対し、古代中国の隠遁する賢人のような自由と精神の気高さを表す風流を重んじたのが煎茶道。そして床の間は茶道が生け花なのに対して盆栽が飾られたわけですね。

 

と、いう感じでいつもは展覧会は一日一つにしたいと思っていましたが、この展示は二つセットで正解でした。体調が芳しくないんだけど、無理めでも行った甲斐がありましたぁ。


竹宮惠子展とはしもとみおの世界展

2019年05月30日 | かんしょう

5月に行った展覧会。

観に行ってから結構時間が経ってるので、自分用のメモを。

まずは竹宮恵子展。

やっぱりけこたんは偉大な漫画家やで〜、と再確認。


「地球へ…」は私が小学生の時にすでにアニメになってたんだもんねぇ。

あの設定があの時代に生まれてるんだから、本当に花の24年組は偉大!泣ける、、、

 

四日市市博物館でも人の呼べる展覧会。

かわいいもんね〜、この人の作品。

そして、毎回思う。

はしもとみおさんの生き様が「めっちゃ絵になる」!

前に見たPVは「いなべがめっちゃ良いところに見える」と思ったけど、今回は「チェーンソーかっこええわ〜」が一番。工具、欲しくなった…


手塚雄二展 ー光を聴き、風を視るー

2019年05月24日 | かんしょう
 先週末、京都髙島屋で開催中の手塚雄二展を見てきました。
 
 来年の2020年に明治神宮が御鎮座100年を迎えるにあたり、内陣屏風が交換される予定なのですが、この度、その屏風を描く事になったのが手塚雄二氏です。
 このことを知ったのはNHK日曜美術館のアートシーンでの紹介ですが、それ以前に院展の画家として作品を目にしたことがありました。
 100年前に奉納したのは院展の画家である下村観山であったため、その流れを汲む手塚雄二氏に白羽の矢が立ったとの事です。
 
 手塚氏の絵は色がとても美しいです。そして繊細。
 以前に拝見した作品は美しいけれどパンチの足りないという印象を受けていたのですが、テレビの紹介で映った作品は引き込まれるような美しさがあったため、ぜひ実物を見てみたかったのです。
 今回の展覧会は過去最大級の回顧展ということで、たくさんの作品を観ることができました。そのおかげで、私の手塚氏に対する印象はかなり変わりました。
 まず、「パンチが足りない」という印象が間違いであったということ。
 パンチのきいた作品、ちゃんと揃ってました(笑) 特に初期の作品は力強い印象のものが見受けられます。
 ただ描く対象が変わってきているので、現在の絵は“パンチ”という言葉で表現すること自体が正しくない気がします。心に響くことを単純にパンチと表現すると強い印象を与えてしまいますが、手塚氏の絵はガツンというより「スッ」とか「キュッ」とかいう染みこむようなスマートな響き方をする気がします。
 もっとも「響く」という点では描く対象の違いよりも、生の作品を観たということが大きいです。実物はやはり美しいですし迫力もありますねぇ。
 特に【波洸】(第81回再興院展)は水の色の表現が素晴らしくて、私にとって絵の前を立ち去り難い作品でした。
 
 今回の明治神宮内陣屏風は透き通るような美しさと落ち着いた空気感を併せ持っていて、本当に素晴らしいと思います。
 屏風のなんとなくの雰囲気はこちらでどうぞ→日経新聞記事
 
 手塚氏の作品はホームページでも見ることができます→手塚雄二 公式ホームページ (色が全く違って見えますが…)
 
 屏風は奉納されてしまうと、ほぼ一般の人は見ることができないのでこの機会を逃さず観れて良かったです。