アバウトなつぶやき

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ウィリアム・モリス展

2019年09月25日 | かんしょう

四日市市立博物館で開催中のウィリアム・モリス-英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡-展を観てきました。

今回はイギリス好きで何度も一人での渡英経験があるワダちゃんと一緒。
イギリスの風土の話なんかを交えながら観てきました。

「ウィリアム・モリスはアーツ&クラフツの人~!(「デザインあ」風に)」って感じで有名なので説明も何もあったもんじゃ無いのですが、分かっているのは「モリスの生地は高級」と言うこと(笑)
「この生地でカーテン作ったら一体いくらに…」と、雑な話をしながら楽しく観て参りました。
見慣れたパターンから「へぇ、こんなのも作ってるんだ」というデザインもあります。
同じパターンでも色が違うと印象がガラリと変わるものが多く、自分はこの生地が好きだなと、友人と話しながら観るのにはうってつけです。

私はやっぱり「いちご泥棒」と「柳」が好きですね。
ただでさえ好きなモチーフをあんなにロマンチックに描かれたら気に入らないわけがない。
見てる間に妄想するのは自由なわけで
そーゆー意味では楽しめる展覧会
けど、うちの家はモリスが似合うような落ち着いた佇まいではないので、結局見るだけで終わってしまうのでした。


蒲郡市生命の海科学館

2019年09月21日 | かんしょう
蒲郡市生命の海科学館に行ってきました。
 
今回はシロウタが息子の学園祭で蒲郡に行くっていうのでそれに同行。↑のチラシを見て気になってた私が「蒲郡に行くならコレ観たい」と言って予定に入れ込んでもらいました。
 
こちらの科学館、海のすぐ近くにあり、テーマも地球の起源などを扱っていて「生命の海」という名称にピッタリ!
外観は木を使った個性的な建築でとてもシンボリック。木だとつい隈研吾氏を思い出してしまいますが、こちらは高松伸建築設計事務所とのこと。どっちにしろ有名どころでデザインに長けているのは間違いないです。(高松伸の名前は新建築でよく見かけたな-)
 
 
混雑こそしていないけれど、なかなか賑わっていて地域の方に愛されているのが分かる施設です。
展示も遊んで学べる工夫が多く、私もシロウタもとても気に入りました。
 

今回は「カンブリアン・キングダム」と題して、アロマノカリスのようなカンブリア紀の生命にスポットを当てて紹介しています。


そして、ここの展示は全体的に興味深くて面白い!
地球の年代、と言われて古生代、中生代、新生代、、、程度の認識の私に46億年前の「冥王代」を突きつけてくれました。

私が認識している古生代以降の時代は地質時代の累代では全て「顕生代」に含まれる時代なんですね。

地質学的に時代を累代で分類しますと、、、
46億年前に地球が誕生した頃が「冥王代」
40億~25億年前辺りが「太古代」
25億~5億年前辺りが「原生代」
5億年前から現代までが「顕生代」(その中でも、現在は新生代の範疇)
なんだそうですよ。
ちなみに冥王代~原生代が先カンブリア時代、古生代前期がカンブリア紀と呼ばれます。念のため。

こんなこと、普段気にして生きてないから、こんなところで説明でも読まない限り考えもしなかったわ…



▲こんな風に体感させてくれる工夫も。

化石と聞くと、つい恐竜のいた中生代の頃を思うわけだけれど、ここはそれ以前の時代の化石が揃っています。
アノマロカリスとかピカイアとかハルキゲニアとか…古生代、まさにカンブリア紀のいきものが見られます。

ちょっと個性的な展示のこの科学館。面白いのでオススメです。


万葉文化館−持統天皇誕生の物語

2019年09月08日 | かんしょう
ただいま奈良県立万葉文化館では「マンガで語る古代大和ー持統天皇誕生の物語」が開催中。

これは持統天皇の生涯を描いた里中満智子作品『天上の虹』をなぞって、その頃の歴史や文化を紹介する展覧会です。
今回はこの企画の第2弾で、8巻から13巻を中心として壬申の乱が終わり天武天皇の治世となった辺りが主題です。




このマンガを読んだことのない方はピンと来ないかもしれませんが、ホント、名作です。
壬申の乱辺りの歴史を知るのにコレを外しては語れますまい。
里中満智子先生は膨大な文献と資料を使って史実に従った作品づくりをしています。もちろん登場人物の感情は想像ですが、歴史的な流れを変えずに物語を作り、その根拠となる歌を巧みに織り交ぜ紹介し、マンガという特性を発揮して文化や風俗を絵で見せます。
ワタクシ、仕事でこの時代の衣装をイラスト(簡易なもの)で描かなければならない事があり、このマンガを一部参考にさせて頂きました。その事を伝えた上で学芸員の方にチェックしてもらったら、それなら大丈夫と太鼓判をもらったほど。
ぜひご一読願いたい作品です。

原画が展示されているのでこの作品のファンの方は楽しめるに違いありませんが、中にはマンガが苦手な方もおられるかと。
出土遺物の他にこの時代やこの土地を描いた作品なども展示されているのでその視点からも見る事ができます。
そんな中、印象的なエピソードがありました。
小倉遊亀が持統天皇を描いた日本画があったのですが、この作品依頼があった当初は乗り気ではなかったのだとか。
その理由が、滋賀出身の小倉は大友皇子、ひいては近江大津宮を滅ぼした天武天皇や持統天皇を快く思っていなかったというもの。
なるほど地元民としては恨みがましい気持ちになるのね、と小倉遊亀の人間味を感じて非常に面白いと感じました。

万葉文化館を訪れたのは初めてですが、なかなか立派な資料館でした。
「令和」が万葉集からの出典とあってこの時代の文学が注目されるようになっていることもあり、多少は来館者が増えている様です。でも賑わってるというわけではなくかなり静か(笑)
もちろん、館内には「令和」に引用された部分の解説が展示されていました。
企画展は有料ですが、地下にある常設の展示室は無料。
企画展を見なくても、観光として奈良を訪れる際に立ち寄るには良い場所なんじゃないかと思いました。

クリムト展-ウィーンと日本1900-

2019年08月13日 | かんしょう

 クリムトの没後100年を記念して日本で開催されるクリムト展としては過去最大級というこの展覧会。会期終盤では混み合うのが目に見えています。

 8月の早いうち、と言うことで先週、シロウタ親子と一緒に観に行ってきました。

 トリエンナーレの会期と重なっているからかどうかはわかりませんが、まず、入場チケットの購入で並びます。私は前売り購入していたので、シロウタの促すままに先に会場内へ入ったのですが、シロウタが追いついてきたのは会場の3分の1を見終えた頃でした。結構な待ち時間のようなので、これから行く方はコンビニかどこかでチケットを入手していくのをオススメします。

 クリムトと言えばバブルをご存じの世代なら一時、相当なブームがあったのを覚えておられるのでは。複製画が多く出回っていたのはもちろん、うちにあった引き出物で頂いた小物にまで、クリムトの「接吻」がプリントされていたのを覚えています。

 その頃のクリムトのイメージは暗い表情、派手な金彩、個性の強いデザインパターン、というもの。お金持ち、、、というか成金の好みそうな絵だなぁという印象で、あまり良いイメージを持っていませんでした。

 しかし、印象に残る作品であることは否定のしようもありません。

 気になる展覧会は行っておかなければ!という気持ちで足を運んだわけですが、自発的に絵に向き合うと、これが良いんだなぁ、まったく。昔抱いていた印象は何だったんだと思うくらい印象が変わりました。

 まず、暗いと思っていた表情。

 もちろん病的な雰囲気のものもそれなりにあるのですが、それ以上に美しく「幻想的」という表現がぴったりのものが多いのです。肖像画に関していえば心情に思いを馳せてしまう、内面が現れるような表情を描いています。

 パトロンの奥さまを描いた《オイゲニア・プリマフェージの肖像》は美しさと意志の強さを感じる作品だと思いましたが、それ以上に息をのんだのは姪を描いた《ヘレーネ・クリムトの肖像》でした。

《ヘレーネ・クリムトの肖像》グスタフ・クリムト 1898年 油彩、厚紙 59.7×49.9 cm 個人蔵(ベルン美術館寄託)

なんてかわいいの。見た瞬間、遠くからでもその存在感と透明感がすごくて光を放っているかのようでした。(もちろん、スポット照明なんだけど、そういう理由でもなく)

アール・デコの印象はそのままに、意外にもミュシャのようなアール・ヌーボーを思わせるデザインが多いと感じました。

和を意識した装飾の多い図案は私の好むところではなかったのに、ちゃんと向き合って見るとレタリングや全体的な構成、簡素化されていても伝わる個性の強い絵柄など、デザインセンスは抜群だと思い知らされました。結局、好きになって帰ってきちゃうのよね。特に《ベートーヴェン・フリーズ》は素敵でした。

あと、今回の目玉だった《ユディトⅠ》《女の三世代》はまさに名作でした。さすがリーフレットの表紙になるだけのことはあります。

クリムトのデザイン要素に気を取られていた私ですが、画家としてのクリムトに感動しました。本当に行った甲斐があったと思いました

迷ってるなら、絶対行くべき展覧会だと思います。公式サイトはコチラ→https://klimt2019.jp/

 


デンマーク・デザイン展と中谷ミチコ展

2019年07月15日 | かんしょう

三重県立美術館で開催中の「デンマーク・デザイン」展を観てきました。

 



北欧の中でも小さめの国、デンマークが今回の舞台です。

このところ北欧の展覧会を立て続けに見ていた気がしますが、前回のフィンランド展を経て見比べると、やはりお国の違いが出るものですね。北欧は原色を上手に使うイメージがあって、その点からひと括りで考えていましたが、そこからしてずいぶん違っていたように思います。

色鮮やかで華やかな印象のフィンランド。ロシアからの独立を果たし、自国のアイデンティティを追い求めるように花開いたデザインは自由であり、シンプルな中にも柔軟さを感じさせました。

それを踏まえてデンマーク・デザインを見ると、かなり「機能性」という部分の比率が大きいです。ドイツと接しているからか、ちょっとドイツのような重厚さも感じるのは私だけでしょうか。

自然を上手に取り入れるという点で日本との共通点がある、という解説でしたが、それ以上に、特に家具のデザインにおいて中国の要素を取り入れているため東洋的であると強く感じました。

もちろん、デンマークの家具デザインも変遷があり非常に特徴的で斬新なモダンデザインも見受けられます。

曲木で背板から座板をもつ椅子を作り出したアルネ・ヤコブセン。私にとってデンマーク・デザインはアルネ・ヤコブセン(本展では「アーネ・ヤコブスン」と表記)なのです。彼のデザインした椅子ではセブンチェアが代表作であると紹介されていましたが、私はやっぱりアントチェアの丸っこい感じと3本足の繊細な感じが好きです。

アルネ・ヤコブセンといえば建築家なので立体デザインをする人だと思っていましたが、今回彼のデザインしたテキスタイルが何点も紹介されていました。このテキスタイルがすごく良かった!イラストのようでいて飽きの来ない連続性が、広い面を覆いつくせるテキスタイルとして秀逸だと思いました。あの生地、ファブリックボードにしたいわぁ。どこかで売ってないだろうか。

私はインテリアの中に北欧を取り入れているわけではないけれど、見て楽しいのはフィンランド、自分が取り入れやすいのはデンマークのデザインかなぁと感じたのでした。

▲エントランスではデンマークの代表玩具LEGOがお出迎えしてくれます。展示の椅子は触らせてもらえませんが、展覧会の最後には座ることのできる椅子が何点か用意されています。

企画展の後、柳原義達記念館に寄ったら「中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人」を開催していました。

 

この展覧会は「作家遺族の援助により、次世代を担う美術家を発信する『Y2project』として開催」されているのだそうです。この「作家」は開催場所と「Y」からして柳原義達氏のことでしょうね。

中谷さんは柳原氏の作品に強く影響を受けたとのことで、今回は氏の作品とコラボするかのように空間を演出しています。

写真撮影がOKだったのでかなり近寄って撮影してみました。

中谷さんの作品は石膏型の凹部に樹脂を流し、表面をフラットに仕上げたレリーフ作品です。

たとえば↓の作品。

着色が凹面のため、角度が変わっても隠れる部分がないのでどんどん表情が変わって見えます。正面から撮影すると右側の少女の右頬が見えていますが、鑑賞者が左へ移動するとだんだんと右頬は隠れてほぼ横顔に見えるようになります。(本当は動画でアップしたかったのですがブログの性質上うまくあげることが出来ませんでした。)

壁面に飾られた一見平面的なものが、実は奥行きのある彫刻であることに気づかされるという非常に面白い感覚を味わうことが出来ます。表情が変わっていくため、そこに息遣い、、、というか命を感じるのです。

2室に分かれていて、柳原氏の《道標・鴉》とコラボした部屋と、《犬の唄》とコラボした広くて明るい部屋があります。両方ともがそれぞれに個性的でした。私は好きです!

中谷さんは現在三重県で活動しておられるようなので、今後も作品を観る機会があるのかと思うととても楽しみです。私にとって追いかけてみたい作家さんがまた一人増えました。