アバウトなつぶやき

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国宝の殿堂 藤田美術館展

2019年04月21日 | かんしょう
 先週のことですが、シロウタと奈良国立博物館で「国宝の殿堂 藤田美術館展」を観てきました。

 藤田美術館は個人的に思い入れのある美術館です。2度、目前まで足を運んでおきながら2度とも閉館中で入れなかったため、観覧したことがないのです。
 美術館は藤田邸跡公園として周囲が整備されており、そちらの公園が目的地だったせいもあるのですが「いつでも行けるし」と思っているうちにとうとうリニューアルで閉館することになってしまいました。
 結局、当時の蔵の状態の館内は見れなかったな…。



 私は仏教美術には疎いし特に好んで観に行くわけでもないけれど、出展の美術品がすごいものだということは分かります。歴史を語る際に聞いたことのある名前や言葉がゴロゴロ出てきてますから。
 今回のお目当ては、ご多分に漏れず国宝の曜変天目茶碗だったのですが、さすが展覧会の目玉です。展示方法が贅沢なことこの上ない!
 曜変天目茶碗専用の展示ブースが設けられており、その空間が凝ってます。
 1室目の展示室の中央にある、そのブース。円の中央にお茶碗の展示ケースが配されていて,周囲は黒の壁にところどころお茶碗の虹彩部分の拡大写真が埋め込まれています。ブース入り口も大きな透明アクリル板でブース内を透かし見れるような仕掛けになっていて、特別感がハンパないのです。
 途中、曜変天目茶碗を8Kで見れるシアタービジョンがあり、目視するよりも茶碗の光がよく見えます。
 展示ケースは上から光が当たっているため、外側の虹彩(光彩)の様子は肉眼では見づらいのが正直なところです。しかし、シアターがあるとそこを補完してもらえます。これは見なきゃダメですよ。

 
 帰りにショップで売ってた曜変天目茶碗のフィギア根付。
 これをどこに着けるか思い浮かばず、買うか買わないか迷ったんだけど、外側の虹彩やら釉だまりやらの再現度がすごかったので、使うあてもなく買ってしまいました。

 この後、職場でこれを見せたらコミケを制する男・やまもっちゃんに「これは出来がいい。良いもの買いましたね」、と褒めてもらいました。そして、「グッズを買うときはですね、『買わない理由が値段なら買え』っていう言葉があるんですよ。」と言われました。グッズは再販があるとは限らないので、モノが良いと後で後悔する、っつーことらしい。
 「それと逆の言葉で『買う理由が値段なら買うな』ってのもあります。」っていう金言を頂きました!
 それって、どの買い物にも共通する真理だわ~

---おまけ---
 観覧後、二人でならまちをウロウロして、お昼は「京家(きょうや)」というお店で頂きました。

 1000円程度でこの天ぷらランチが
 美味しかったぁ。満足、満足。

春の院展

2019年04月21日 | かんしょう
松坂屋美術館で開催中の「春の院展」を観てきました。


公募展他各団体の「○○展」と題した展覧会は多いですね。
日展や創画展はチケットを頂く機会がありましたが、院展はそういう事もないし、日本画に興味が出てきたのもこの十年くらいという事もあり、院展を観にいくのは初めてでした。

少し前に田渕俊夫氏の作品を観て、とても気に入ったのでその後院展のホームページを確認しました。(田渕氏は院展の現理事長です)
院展のホームページはとても親切な構成になっていて、会の成り立ちを知れるだけでなく作品の確認も出来るようになっています。
見ると、どの方の作品も素晴らしく本物を観てみたくなるのです。

さて、足を運んでみて「こんなに自分好みの作品が多い展覧会だとは」と驚きました。
特に人物が美しいのに感動しました。
日本画は風景や花鳥画などが好きだと思っていましたが、今回、人物を含めた現代の空間が美しい絵に魅かれたのです。

よくわからないからとりあえず有名な作品を見ておこう、と始めた美術館めぐりです。行けば楽しい時間があったり素敵な空間が広がったりしていて、自分なりの楽しみ方をするようになってきてはいましたが、最近になってやっと、現代の作家さんの作品に目がいくようになってきた気がします。

院展、もう少し追いかけてみたいと思います。

進みゆく日本画-近代を映すあまたの美-

2019年04月08日 | かんしょう
 会期の最終日の昨日のことですが、桑名市博物館で開催中の「進みゆく日本画-近代を映すあまたの美-」展を観てきました。

 桑名市博物館は決して広くはありませんが、展覧会ごとに館の所蔵品を工夫して紹介しており、とても頑張りを感じます。
 今回は日本画がテーマの展覧会です。桑名市がどういうものを持っているのかは知りませんでしたが、とりあえず伊藤小坡の作品が観れるようだったので行こうと思い立ちました。
 入場して5点目、鮮やかな版画が目に入ったので作者名を確認すると月岡芳年でした。
 ちょうど昨日まで名古屋市博物館では「国芳から芳年へ」展を開催しており、奇怪な日本画として月岡芳年も紹介されていました。
 そちらの展覧会は観に行っていませんが、国芳の「芳」の字を継ぐ一派の作品が紹介されているとのことで気になっていたのです。伊勢暴動を描いた浮世絵は当時の様子を伝えるにとどまらず動きもあって、さすが国芳に師事したものという感じです。
 自分の勉強不足のせいもあり知らない画家もたくさんいましたが、逆にビッグネームの近代日本画家の作品も何点か出ています。川合玉堂、横山大観などの掛け軸は派手さはないものの彼らの作風が伝わる作品でした。
 そんな中で気になったのは鈴木大麻という画家でした。
 入場してすぐの左手に「松竹群鶴図屏風」という作品があったのですが、鶴の様子が美しいだけでなく、目のあたりなどがとてもリアルです。観すすめて行くと額装や短冊の作品もあり、どれもしっとりとした質感のある美しい作品でした。
 明治に生まれ昭和50年までご存命だった桑名市出身の画家ということですが、経歴として若い頃に前田青邨に師事し、その後小茂田青樹に学んでいます。(以前は知らなかった小茂田青樹も今ならわかる…
小茂田青樹の「虫魚画巻」はとても繊細で美しかった)

 近くにこんな絵を描く人がいたことを知れて良かったです。

エロール・ル・カイン展

2019年03月27日 | かんしょう
 先週、パラミタミュージアムで開催しているエロール・ル・カイン展を観に行きました。
 
 名前を聞いて「ん?私はこの名前知ってるぞ。絵本作家だから?でもどんなお話か思い当たらない…」と、頭をぐるぐるさせていたのですが、リーフレット見て気づきました。「あ、この人、昔のイラスト雑誌でビアズリーと一緒に紹介されてた人だ」と。





 オーブリー・ビアズリー(←クリックでウィキペディア見れます)の絵はとても有名なので、イラストに興味のない人でも一度は見たことがあると思います。とてもエキゾチックな白黒のペン画で、一度見たら忘れられない強烈な個性を持っています。特に「サロメ」が有名かな。
 エロール・ル・カインは時代としてはビアズリーと同じ時代を生きている(二人ともイギリス人)けれど、別に模倣とかいうのではありません。ビアズリーっぽいと感じる作風は一部だけ、特に挿絵が白黒の「キューピットとプシケ」に見て取れるけれど、決して同じではありません。等身が細長いシルエットなので似た印象を受けるけれど、よく見るとかなり違います。
 シンガポールに生まれインドで幼少期を過ごしたため、カインの装飾はとてもアジアチックです。そして幻想的で、書き込みが緻密で、色彩が豊かです。ビアズリーも東洋的な表現があるけれど、ウィリアム・モリスっぽい気がするんですよね。
 何より、ビアズリーの絵には悪が潜んでいそうな気がするけれど、カインの絵には愛が潜んでいるような気がします。愛らしく、温かさがある。そこが決定的に違う。

 絵本として何気なく見ていたら見過ごしそうだけれど、原画を見るとその細かさには感嘆の声を上げずにはいられません。イメージの豊かさは尽きることがなかったのかと思わされます。
 先に行ったワダちゃんにオススメされて腰を上げたけど、観に行って本当に良かったです。

 豊かな描写はそのままに、画風は少しずつ変化しています。それぞれの画風がそれぞれに良いです。
 が、47歳という若さで亡くなっておられるんですよね。ビアズリーなんて25歳で亡くなってるし、二人とも早すぎますよ。もったいない。。。


 おまけで。
 パラミタの常設展示室で、中山保夫展を開催していました。
 この方、前回=平成の大嘗祭(大嘗祭は、天皇が即位の礼の後、初めて行う新嘗祭のことで一生に一度しかない儀式)で宮内省御用達の食器を作った方なんだとか。
 どおりで!洗練された美しい食器が並んでました。
 あぁ、平成が終わるなぁ。。。

辰野登恵子展と曜変天目と破草鞋展

2019年03月27日 | かんしょう
 前回の記事に引き続き備忘録。いや、もともとこのブログが備忘録なんだから、簡素バージョンってことで。
 シロウタと一緒に観に行った展覧会2つ。
 
 2月の終わりごろ行ったのは、名古屋市美術館で開催されている「辰野登恵子 ON PAPERS:」展。
 
 会場の使い方が珍しく、2階から地下まで続いていました。名古屋市美術館は企画展の会場内に階段があるけれど、それ以外にコレクション展で使われる展示室まで移動するために一般の階段を利用したのは初めてかも。
 それだけ作品が多岐にわたってたということですよね。この方の回顧展としてはなかなかの規模だったのでは、と推察します。
 無機質な感じのする「理知的で抑制された表現」から始まり、「有機的な形象」へと作風が変化していきます。
 私は若いころの作品の方が好きなんだけど、一番気に入ったのは版画からカンヴァスへと移行する前段階の時期の作品でした。整然としたストライプと絵の具をぶちまけたかのような動きの対比もさることながら、色彩がポップなようでいて少し沈んでいたりと「心惹かれる色遣い」ってやつがそこにはありました。

 あと、これ書いてる前の日に行ったMIHO MUSEUMで開催中の「大徳寺 龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」展。

 シロウタん家のちびっこ二人も一緒で、軽い感じでお話ししながら観れました。
 ってのは、ちびっこの弟君の方はやたらと歴史に詳しいので、年表とかでちゃんと時代を掴んで見よる。えらいわー。
 展示は目玉が曜変天目とはいえ、基本的に「龍光院にはこんなに価値のあるものが揃っているんですよ」ってのを知らしめる感じになってるので、なんでまたこんなに龍光院に揃ってるのかという歴史的背景自体が面白いのよね。
 私、仏教的見地は非常に弱いので、そういう観点で楽しめて助かった
 そして、曜変天目はやっぱり宝物でした。会期初めの方なので人は多いとはいえ行列になるほどは混んでおらず、ゆっくり観れたほうだと思います。
 龍光院の曜変天目は悪く言えば一番地味、よく言えば一番趣があるとのことで、茶人には一番好まれるという話を聞いたことがあります。
 私。。。「ほぇ~、たいしたもんだわ」と思いましたけれども、常設には前田家伝来の重要文化財の耀変天目も展示されておりまして「こっちのほうが好きかな」と思ったのでした。だって、国宝なのに光に曇りがあるんだもん。ピカピカなものはピカピカに光ってて欲しかったんだもん。