その26「山河燃ゆ」はこちら。
近現代史シリーズ第二弾は杉本苑子原作、中島丈博脚本による「春の波濤」。川上貞奴と川上音二郎、そして福澤桃介のお話。
この時点で「ああ日本初の女優とオッペケペ、そして電力王のことね」と理解できる人は事情通だ。わたしは当時、この大河の番宣を見ながら「こりゃー視聴率はとれないだろうなあ」と感じていた。
だって、ほとんどの視聴者は彼らのことを知らず、いくら偉人伝であることをやめた大河とはいえ、これで高視聴率は望むべくもない。数字は確かにそのとおりになった。
でも、この三人の人生はまさしく波濤そのものだ。貞奴(松坂慶子)は、伊藤博文(伊丹十三)に愛されるなど、日本一の芸妓。そんな彼女には思い人がいた。若いころ、馬術をしているときに野犬に襲われたのを助けてくれた慶應義塾の学生、桃介(風間杜夫)である。しかし彼は洋行する条件で福澤諭吉(小林桂樹)の娘と結婚する……ほんとですよ、このお姫様的なお話は。
その後貞奴は、川上音二郎(中村雅俊)というオッペケペ節で一世を風靡した奇天烈な興行師と結婚し、アメリカにともに渡る。しかしそこで女形が死んでしまい、仕方なく貞奴が演じたところ、これが大当たり。音二郎が亡くなったあとは、大金持ちとなった桃介と貞奴は睦まじく暮らしましたとさ。
おいおい中島丈博作品「真珠夫人」「牡丹と薔薇」だってここまでは(笑)。
明治のオールスター総出演。板垣退助(米倉斉加年)、山縣有朋(高橋悦史)、幸徳秋水(蟹江敬三)、松井須磨子(名取裕子)、島村抱月(山本學)……これまで「獅子の時代」でしか触れられていなかった時代なので、脇役のキャラはやたらに豪華です。
そして翌86年の「いのち」は昭和を描いたんだけど、橋田壽賀子脚本による橋田ファミリーのドラマのようで、見ていないのはもちろん、語るのもちょっとなのでした。わたしはわかりやすい客。
その28「独眼竜正宗」につづく。
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