事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的大河ドラマ史PART16 風と雲と虹と

2018-03-15 | 大河ドラマ

PART15「元禄太平記」はこちら

1976年は「風と雲と虹と」。原作海音寺潮五郎。実はこの題材が選ばれるにあたっては曲折がある。エースディレクターだった大原誠の「NHK大河ドラマの歳月」によると……

・第十四作の担当を命じられた小川淳一チーフプロデューサーは戦国時代に的を絞り、加藤清正の生涯を描いた池波正太郎の「火の国の城」をドラマ化しようと考え、池波の了解を取りつけていた。しかし、芸能畑出身の坂本朝一放送総局長(後に会長)に「小説は面白く立派なものであるが、一年間大河ドラマとして描くには、スケールの大きさがないのではないか」と反対され、白紙に戻された。大河ドラマの企画はすでに、上層部が了承しなければ成立しなくなっていた(この時点で実は西郷隆盛も候補にあがっている)。

・小川は実は、加藤清正役として俳優座の加藤剛に出演交渉し、内諾を得ていた。改めて原作選びを始めたところ、加藤剛が「平将門に関心があり、演じてみたい」と希望した。

平将門!世間的には大逆賊。朝敵、新皇を名乗った男、首塚の人、歴史上もっとも祟りを恐れられた男、「帝都物語」で……怖そうなイメージだけれど、加藤が演じたことによって好漢の側面が強調されたと思う。

にしても加藤剛は「砂の器」で連続殺人犯、この大河では朝廷への反逆者。やっていることはエグいのに、なんかスマート。逆に言えば、他の俳優がやっていたらだいぶ印象の違うドラマになったかもしれない。

他のキャストは、将門とほぼ同時期に西国で反乱を起こす藤原純友に緒形拳。将門の幼なじみで、結果的に彼を討ち取ることになる平貞盛に山口崇、ふたりの間を揺れ動いてとんでもないことになってしまう貴族に吉永小百合。他に小林桂樹星由里子、真野響子、新珠三千代多岐川裕美草刈正雄露口茂と豪華版。

読者のひとりは、この大河が歴代ベストワンだと主張しております。脚本は「真田風雲録」など反体制の劇作家、福田善之。現在のその場所をロケしたり、原作者を登場させるなどの新機軸もこの大河から。

PART17「花神その1」につづく

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