事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「謎解きはディナーのあとで」 東川篤哉著 小学館

2011-10-02 | ミステリ

61laioupdol_4
謎解きはディナーのあとで
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2010-09-02

もんのすごいベストセラー。刊行して一年、いまだにランキングに入っている。版元(小学館)も著者自身(東川篤哉)もびっくりだろう。どちらもミステリ業界ではあまり注目されないでいたので、逆転ホームランという感じ。

図書館でお目にかかるにはだいぶ時間がかかりそう。でもこれだけ売れているのだから、なんとかなるんじゃないかと思っていたら(買えよオレもよ)、事務室の相方が買ってました。

「すごく面白かったです!」

ってことですぐに貸してもらいました。やはり学校事務職員は複数配置でなくっちゃ。

連作になっていて、主な登場人物は三人。

・お嬢様刑事の宝生麗子(お嬢様の名前と言えば麗子なのねやっぱり)。

・宝生家の執事の影山。

・麗子の上司で、事件を引っかき回す風祭。やっぱり富豪。

実はワトソン役の風祭のキャラ設定がおみごとで、常に真相を見誤って読者に事件の背景を解説してくれる。目撃者のガキとのやり取りには笑った。

守秘義務もへったくれもなく執事に事件のアウトラインを(いやいやだけど)話してしまう麗子に、

「この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」

どSに解決してみせる影山の存在は、アシモフ「黒後家蜘蛛の会」シリーズの給仕ヘンリーを彷彿とさせる。まあ、ヘンリーの場合はゲストたちのプライドを傷つけたりはしないんだけど。

まもなくフジテレビがドラマ化するそう。

麗子→北川景子

風祭→椎名桔平はともかく、

影山→櫻井翔

には事務室のふたりとも「違うだろーっ!」と合意。オダギリジョーか向井理の役回りじゃないっすか。

あとづけの理屈のようだけれど、こんなミステリをみんなが待っている時代なんだと思う(装幀のすばらしさにも注目)。殺伐としていない、あとに何も残らない、消費財としてのミステリ。

「このミステリーがすごい!」の評者たちには無視され(20位以下のランクでした)、影山の推理にはわたしも首をかしげる部分もある。でも、たとえば赤川次郎を購読していた人たちを、近年のミステリ業界は小難しくなりすぎて逃してきたのでは?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする