裂けて海峡 (新潮文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2004-08
弟が船長をしていた船が大隅海峡で消息不明となった。全員死亡という。しかし原因もわからず、目撃者も皆無。刑務所を出た私は、真相を知るべく単身現地の漁村に行き、漁師たちに接触する。やがて奇妙な追跡者のグループが……
前半、わりとのどかに展開するので、今回はユーモアたっぷりでけっこうですなあと油断していたらラストの怒濤のアクションに目がくらくら。
もちろん志水辰夫が訴えたかったのは
「信じる相手を間違えるな」
という強い願い。国なんてもんを信じちゃいけません、というありがたいアドバイスに満ちた作品でもある。そして、シミタツ冒険小説の主人公こそ、原田芳雄がやるべき役ではなかったか。
この版は最後の一行が著者によって変えられていて、論争の的になっている。うーん、わたしはちょっと保留。