事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「レッドクリフ PartⅡ」赤壁 決戦天下(2009 米・中・日・台・韓)

2009-04-23 | 洋画

Redcliff2 出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ビッキー・チャオ、フー・ジュン、中村獅童

PartⅠ特集はこちら

 世の中には(特に日本には)、組織の頂点に立つよりも有能な助言者でいたいと思う人がけっこういる。めざせ参謀というか。上昇志向の強いサラリーマン雑誌(ほれ、『プレジデント』とか)では、山本勘助や秋山真之(「坂の上の雲」でおなじみ)が、武田信玄や児玉源太郎よりも賞揚されているぐらいだ。その筆頭はなんといっても諸葛亮孔明だろう。劉備の名前を知らない人はいても、孔明を知らない人はいない。

 そんな孔明を、三国志フリークやプレジデント中高年以外の人間はどの程度“知っている”のだろう。

「三顧の礼」で劉備に迎え入れられたとか、

「天下三分の計」を唱えたとか、

「泣いて馬謖を斬」ったとか、

フレーズでは知っていても、はて諸葛亮孔明とはいったい何をした人なのだろう。よくわからん。

 現実の三国志をおもしろおかしくアレンジした「三国志演義」において、クライマックスはやはり赤壁(レッドクリフ)の戦い。ここでの孔明はライバルである周瑜(この人も名参謀ね)と頭脳合戦をくりひろげて見せる。

「三日で十万本の矢を用意する」と大言壮語した孔明の策は、確かに映画向きの題材だ。でも曹操軍の仲間割れを誘う周瑜の方は陰険ですなあ。でも演じているのが孔明→金城武、周瑜→トニー・レオンという美男二人なので、権謀術数うずまくオヤジたちの世界、というプレジデント的色彩は薄い。最初に考えられていた孔明→トニー・レオン、周瑜→チョウ・ユンファ、曹操→渡辺謙というキャストだと、違った味わいになっただろうが。

 今回も戦闘シーンはお祭り状態。例によって人民解放軍を動員しまくりでアクロバティックな水上戦を展開している。でもね、どこか戦術が楽しそうに見えるのは、わたしも心のどこかに参謀志向があって、自らの策で戦勝したいからだろうか。

 死屍累々たる戦場を見て「この戦いに勝者はいない……」とつぶやくトニー・レオンの言葉はいかにもとってつけたよう。監督ジョン・ウー自身が、いたるところから金をかき集めて赤壁の戦いを実写で映画化するという、およそ無茶なプロジェクトを成功させた勝者であることを確信しているだろうに。

コメント
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