ひとりだけ故人を生き返らせることができるとしたら、(肉親をのぞけば)わたしは文句なく山中貞雄を選択する。戦病死するまでに彼が撮り続けた作品群の“軽さ”が戦後に健在であれば、日本映画史はずいぶんと違った様相を見せていただろう。おそらくは戦前の宮藤官九郎のような存在だったに違いない山中の、撮られなかった傑作を想像する楽しみはあるにしても。
彼の戦死の報をきいた深水藤子(とにかくひたすら綺麗な女優)が「もらっていただきたいと思っていました」と語るラストは哀切。
加藤泰が山中の甥っ子だったのを忘れてました。キネ旬連載中も読んでいたはずなのに☆☆☆☆
画像は、手前が山中貞雄、向こうが小津安二郎。ため息がでるような一枚。