事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ヨイトマケの唄」詞・曲 丸山明宏

2009-04-17 | 音楽

Maruyamaakihiro02 工事現場のひる休み たばこふかして目を閉じりゃ
聞こえてくるよ あの唄が
働く土方の あの唄が  貧しい土方のあの唄が
子供の頃に 小学校で ヨイトマケの子供 
きたない子供と いじめぬかれて はやされて
くやし涙にくれながら 泣いて帰った道すがら
母ちゃんの働くとこを見た
母ちゃんの働くとこを見た

姉さんかむりで 泥にまみれて 
日に灼けながら 汗を流して
男にまじって綱を引き 天に向かって声あげて
力の限り 唄ってた
母ちゃんの働くとこを見た
母ちゃんの働くとこを見た
慰めてもらおう 抱いてもらおうと 
息をはずませ 帰ってはきたが
母ちゃんの姿 みたときに 泣いた涙も忘れはて
帰っていったよ学校へ
勉強するよ と 言いながら
勉強するよ と 言いながら

あれから何年たった事だろ 高校も出たし大学も出た
今じゃ機械の 世の中で おまけに僕は エンジニア
苦労 苦労で 死んでった
母ちゃん見てくれ この姿

母ちゃん見てくれ この姿
何度か僕も ぐれかけたけど
やくざな道はふまずにすんだ どんなきれいな唄よりも
どんなきれいな声よりも 僕をはげまし 慰めた
母ちゃんの唄こそ 世界一
母ちゃんの唄こそ 世界一

……曲の成り立ちからして泣かせる。かつてシスターボーイとして騒がれ、三島由紀夫などとの交流が騒がれた美輪(当時は丸山)明宏は、メイクアップやジュエリーをかなぐり捨て、庶民の歌を吟遊詩人のように唄っていこうと心に決める。

 そんな彼がまだ銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」で歌っていた頃、苦学をしていた戦災孤児の青年と出会った経験と、小学生のときに、授業参観なのに汚い格好をして現れたいじめられっ子の母親の映像を組み合わせ、できあがったのが「ヨイトマケの唄」。この曲は、工事現場の監督をやっているあの苦学生への応援歌なのだった。
 
詞を読んでもらえれば一目瞭然。ここには日本人を泣かせる要素がすべてぶちこんである。

背景にあるのが土方(ATOKでもこの言葉は排除されている)、ヨイトマケ(まあ、日雇いのことですわな)などの職業差別。そして何より日本人は貧乏が好きなのである。加えてヨイトマケの子が立身出世しているあたりがダメ押しだ。

構造としてはどこかのうさんくさいオヤジが書いた「一杯のかけそば」にとてもよく似ている。でも、あのあざとさを逃れているのが美輪の人徳ってものなのだろう。「一杯の~」のことはもう誰も口にしなくなったが、桑田佳祐、米良美一、槇原敬之などがカバーして名曲は生き続けている。差別語が影響して放送禁止に近かったさみしい状況から脱却できたのも、この曲の力だと思う。ぜひ、聴いてみて。

コメント
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