事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察 その3 ~ 踊る大捜査線

2007-06-25 | 日本の警察

前号繰越Police

 それでは、警視庁が他道府県警から別格あつかいされているので、単にあがめ奉られているかというとちょっと違う。

 有名なのは「警視庁と神奈川県警の仲の悪さ」だ。どうしてこの日本で1位と2位の人口をかかえる都県の警察の関係が険悪なのかは判然としない。おそらく1位と2位の規模であるそのこと自体、つまりライバル意識が原因だろうか。多摩川をはさんだ二つの警察は、情報を提供しないなどで足を引っぱり合っている。

 だから犯罪を成功させようと思えば、狛江の銀行(城南信用金庫が駅前にあった)を襲ってそのまま川崎に逃げれば成功率高いんじゃないか、と学生時代に考えたことがある(^o^)。でも、たとえばスピード違反をやっちゃっても、県境を突破できるだろうというのは甘い。追跡パトカーはどこまでも追いかけてくるそうだ。

 まあ、仲が悪いのはこの東京都と神奈川だけではなくて、要するに全国どこでも警察はなわばり意識が強い。刑事の動機付けは“獲物(=犯人)を追う”ことだから、自然なことではある。でもその弊害が、たとえばグリコ=森永事件のときに、滋賀県警と大阪府警などの連携がとれなくて犯人を取り逃がしてしまった失態につながったりもする。

 まあ、他県との連携がとれない程度ならまだしも、警察内部においても手柄あらそいは日常。くわえてキャリア制度というのが話をややこしくしている。

 いま日本には27万名ほどの警察官がいる。しかしそのなかで、意志決定のほとんどをわずか500名のキャリアとよばれる国家公務員採用試験上級甲種合格者が行っていることをご存じだろうか。

 おそらく十年ほど前なら警察関係者しか知らないネタだったろう。しかし「踊る大捜査線」(フジ)がそのシステムをいっきにメジャーにしたわけだ。  このキャリア制度はめちゃめちゃに強固で、三十代前半でいきなり地方の署長を経験させるとか、なかでも東大閥が圧倒的に強いとか(だから「踊る~」の室井管理官は東北大出身なので苦労をしている)、ノンキャリアは出世してもここどまりとか、まるで制度そのものをキャリアが楽しんでいるかのようだ。

 青島が言うように「事件は会議室で起きているのではなく、現場で起きている」かもしれないが、彼らには事件解決よりも優先する事項がてんこ盛りにある。警察官として最高のポスト「警察庁長官」への出世レースこそ最優先なのだ。

 小説でこの制度を露わにしたのがあの「新宿鮫」である。以下次号

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