事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

007/カジノ・ロワイヤル PART6

2007-06-01 | 洋画

前号繰越Casino_royale_004

 ものすごく乱暴なくくり方をすれば、007シリーズの特徴とはこんな感じだ。
I.東洋人をはじめとした少数民族は、例外なく蛮族として描かれ
II.出てくる美しい女性たちとは、例外なく(あ、違った。グレース・ジョーンズやファムケ・ヤンセンのような巨大で“強い”女性と、ミス・マネーペニーを除き)ベッドをともにし→だいたいボンドガールズの名前はすごいぞ。オナトップだのプッシーだのハニーだの(笑)
III.玩具性の高い秘密兵器を(提供するQが怒るにもかかわらず)平気で使い捨てにし
IV.どんなピンチでも軽口を忘れず、女王陛下への忠誠を忘れない

……つまり、(白人)男性にとっての子どもっぽい夢の具現なのだと思う。イアン・フレミングが生みだし、ブロッコリ家が育てたジェームズ・ボンドとは、イングランドの現代の騎士だ。東洋人であるわたしも、映画を観ている間はそんな夢につきあい、時を忘れる。
 ところが、新作「カジノ・ロワイヤル」はちょっと違う。何よりも、この映画は三人の女によって作り上げられたと言える。
 一人目は前号までにふれたようにバーバラ・ブロッコリ。変な顔(笑)のためにボイコット運動まで起こったダニエル・クレイグは、その肉体と圧倒的な運動神経で観客をノックアウトしてみせた

 二人目は、ジェームズ・ボンドの上司であるM。「ゴールデンアイ」からジュディ・デンチが演じているクールな彼女は、若いがゆえに功名心が先走り、ミスをおかしてしまうボンドを冷徹に断罪する(なんと今作ではMがベッドに入っているシーンがある!)。

 そして三人目は今回のボンドガール。ちょっと理由は言えないけれど、次作でボンドがどのように“007らしくなるか”のキーパーソンだ。

 そう、今回はジェームズ・ボンドがいかにして“あの”007になっていくかを、女性を主軸に描いている点でこれまでとまったく違った作品になっている。女性たちが熱狂するわけだ。マネーペニーとQも出てこないし、秘密兵器であるはずのアストンマーチンがアッという間に木っ端微塵になるあたり、ダニエル・クレイグの肉体(すごいです)を誇示するために必然だったのだろう。

 さて最後に、わたしが考える007ベストスリーを。
1.「カジノ・ロワイヤル」マジで最高傑作だと思う。
2.「ロシアより愛をこめて」スパイ映画として、よくできている。
3.「トゥモロー・ネバー・ダイ」ミシェル・ヨーがひたすらかっこいい。
いや、ひょっとして次作こそがその上を行ってくれるかも、と思わせるあたりが「カジノ・ロワイヤル」の最大の美点なのかも。ぜひ。

コメント (1)
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