事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!07年6月号

2007-06-14 | 明細書を見ろ!(事務だより)

Haru004 さて、月に一度の事務だよりシリーズ。

07年6月号は題して「手取りが下がったそのわけは」

「あの、これは質問じゃないんですけど」
T嶋さん、関西弁のイントネーションはなかなか怖いです。
「きのう役所からこれが届いたんですがぁ」
「はい?あ、住民税の納付書だね」
「なんでこんなに去年に比べて高くなったんですか?倍近いですよ。これってわたしだけなんですかね」

……おおかたの職員は天引きされているので気づかないかも知れません。明細書の住民税の欄をごらんください。全員、先月より思いっきり高くなっているのです。これはウチの学校だけでなく、日本の納税者全員がこうなっています。それはまず【定率減税の廃止】によるもの。

 そもそも、景気対策を目的として1999年からわたしたちの税金は所得税で20%、住民税で15%、それぞれ減額されていました。ところが、どこの国の話か知りませんがどうやら景気がよくなってきたということで、その措置が昨年ほぼ半減。所得税は今年の1月から減税措置が全廃されています。そして、今月から住民税の定率減税もなくなったため、その増税分で手取りが減ってしまったわけです。
 
 それだけならまだしも、実はもうひとつ税金が増えた要因があります。
税源移譲】というしろもの。
 これは、小泉政権時代の三位一体改革の一環として、国の税源を地方に移しましょうという政策によるもの。国税の所得税を3兆円減らすかわりに、地方税である住民税を3兆円増やすことにしたのです。だから理屈としてはプラスマイナスゼロだからなんの影響もなかったはず。総務省も必死で負担に変わりはないとPRしています。

Photo ところが。

 所得税というのは毎月の給料から天引きされていて、減税措置はこの1月からすぐにはじまりました(でも定率減税が全廃されたからその影響はあまりなかった)。
 でも住民税はすぐに増税されませんでした。それはなぜかというと……

住民税というのは、その年の1月1日に住んでいる県、市町村に、前年の所得をもとに計算された税額をおさめるシステム。
 だから前年の所得が完全に把握される必要があります。これが年末調整しかしない給与所得者ならすぐに計算できますが、自営業者など、確定申告を行う層もありますし、所得額を市町村などが把握するのはだいぶ遅れてしまいます(だから前年の所得額証明書を発行できるのは、たとえば酒田市は今年は6月11日以降でした)。そしてその把握された所得額にたいして新しい税額が決定し、今月から徴収が開始される……つまり、所得税の額の変更と住民税の変更には半年のタイムラグがあるわけ。

 ということでこの6月給与には
【定率減税の廃止】
【税源移譲による住民税の増額】
のダブルパンチの影響が。
さて、それではいったいいくら増税によって手取りが減るのでしょう。
ある試算によると……
年収600万円(給与が月33万円、ボーナス3カ月分が年2回)で、妻と子供2人を扶養している場合、5月の手取り額27万6179円から、6月には26万7879円と、8300円も減ってしまう計算になり、その影響は扶養親族が少ないほど大きいと言われています。
 一般的に今月の手取り減は、5000円から9000円程度ではないかと(富裕層は減税になるらしい)。

3011101027 うーんそれでもよく理解できない、という人のために、誰とはいいませんが47才の男性事務職員を例にとってみます。税源移譲による住民税の増額を全国地方税務協会のホームページで計算してみると
去年の住民税→190,900円
今年の住民税→303,600円
その差は97,500円。なんだこりゃあ!妻子を扶養しているわたしですら(あ、言っちゃった)こんなに差があるのです。これが扶養親族ゼロだったら……わかっていただけましたかT嶋さん。つらいのはあなただけじゃない(T_T)。

5月号はこちら。 6月ボーナス号はこちら。

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