2月と言えば梅
鮮やかな紅梅(2016年2月12日)
空に映える白梅(2017年2月25日))
同じ株から紅白混じり(2021年2月24日)
明らかにツバキではなくサザンカ。なぜなら「サザンカ公園」だから。
空にかがやくミモザ(2021年2月17日)
芳香ただようジンチョウゲ(沈丁花)(2021年2月24日)
2月と言えば梅
鮮やかな紅梅(2016年2月12日)
空に映える白梅(2017年2月25日))
同じ株から紅白混じり(2021年2月24日)
明らかにツバキではなくサザンカ。なぜなら「サザンカ公園」だから。
空にかがやくミモザ(2021年2月17日)
芳香ただようジンチョウゲ(沈丁花)(2021年2月24日)
藤原正彦『天才の栄光と挫折 数学者列伝』(文春文庫ふ26-2、2008年9月10日文藝春秋発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
自らも数学者である著者が、天才数学者——ニュートン、関孝和、ガロワ、ハミルトン、コワレフスカヤ、ラマヌジャン、チューリング、ワイル、ワイルズ——九人の足跡を現地まで辿って見つけたものは何だったのか。この世にいて天国と地獄を行き来した彼らの悲喜交々の人生模様を描くノンフィクション大作。解説・小川洋子
間違いなく数学の天才、以下の9人の略歴を紹介し、著者自身が彼らの育った地を訪ねた訪問録からなる。
アイザック・ニュートン(1642-1727)
関孝和(1639 ?-1708)
エヴァリスト・ガロワ(1811-1832)
ウィリアム・ロウアン・ハミルトン(1805-1865)
ソーニャ・コワレフスカヤ(1850-1891)
シュリニヴァーサ・ラマヌジャン(1887-1920)
アラン・チューリング(1912-1954)
ヘルマン・ワイル(1885-1955)
アンドリュー・ワイルズ(1953- )
米コロラド大や英ケンブリッジ大で教鞭をとり、数論を専門とする一流の数学者である著者にとっても、本書の9人の数学者たちは、ずっと「神のように思ってきた」存在だった。しかし、数学者として彼らの業績の凄さを知りつくした著者も、ゆかりの地を訪ね、その風土を知り、彼らの人間像と厳しい人生を知るうち、「神ではなくなった」という。天才の峰が高ければ高いほど、谷底も深く、底知れぬ孤独や挫折や失意に苦悶していたと知ったのだ。
本書はNHK教育TVで2001年に放送した「人間講座」テキスト(天才の栄光と挫折 (NHK人間講座))にワイルの章を加えるなど大幅に加筆した。 単行本は2002年5月新潮社より刊行。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
天才、とくに数学の天才にあこがれる私にはおなじみの人とエピソードばかりが紹介されていて、新鮮味がなかった。現地訪問記も藤原さんらしいユーモアがみれず、期待したほどではない。
インド出身の文字通り天才のラマスジャンを療養中に見舞った師のハーディが、「天気がひどいうえ、タクシーの番号も1729というつまらぬものだった」と冗談のつもりで最初に言った。ラマスジャンは間髪を入れず「とても面白い数字ですよ。三乗の和として二通りに書き表せる数のうち、最小のものです」。たとえば、1の三乗+12の三乗=1729、9の三乗+10の三乗=1729。(p198)
数学者には程遠い私は、中学生の頃(?)、道を通る車のナンバーの4つの数字を見て、等式(=)を作るか、10を作る遊びをよくしていた。7+2=9×1、7×1+ルート9(平方根2)=10。小学生じゃないの?って、ルートを使ってるんだから、中学生!。
藤原正彦(ふじわら・まさひこ)
1943(昭和18)年、旧満州新京生れ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。お茶の水女子大学名誉教授。新田次郎と藤原ていの次男。
1978年、『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞
その他、『遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス―』『父の威厳 数学者の意地』『心は孤独な数学者』『国家の品格』『この国のけじめ』『名著講義』『ヒコベエ』『日本人の誇り』『管見妄語(かんけんもうご) 始末に困る人』
新田次郎との共著『孤愁 サウダーデ』。
松籟(しょうらい):松に吹く風の音。まつかぜ。松韻。松濤 (しょうとう) 。また、これに見立てて、茶釜の湯が煮えたぎる音。
私が日頃たしなんでいるチョコは以下。口ざみしいときに一つ口の中に入れるだけなので、やたら甘くないカカオが多いものとしている。でも、86%はちょっとやりすぎで、ついつい72%の方へ手が伸びてしまう。
と言っても、2,3日に一つ程度なので、「美と健康」には残念ながら影響していない様子。
恒例で今年も頂いたチョコレートは、ブリュッセル郊外に誕生し100年以上の伝統を持つショコラティエ「ブリュイエールBruyerre」のプレミアムボックス12。
いかにもベルギーの高級チョコ。目も心も満足して、一日1~2個で十分満たされてしまう。
さらにもう一つ頂いたのは、 “ベルギーから冷凍することなくフレッシュな状態でお届け”という、例年通りの「ピエール・ルドン」のサンク・エトワール プリュス クール
中味はあさましくも、どれどれと味わってしまって、3,4日経ってから、はたと気がついて写真を撮ったので、以下の如し。
こちらは粒が大きく、一つで十分ご満足。
いずれも宝石の如く美しく、丁寧な作りが十分感じられて、ちょっと自分では買えない幸せの味。
千葉ともこ著『震雷(しんらい)の人』」(2020年9月20日文藝春秋発行)を読んだ。
文藝春秋の作品紹介は以下。
第27回松本清張賞受賞作
運命に抗う兄妹の、ロマン香る大河小説。
「書の力で世を動かしたい」。文官を目指しながら、信念を曲げず敵陣の刃に倒れた青年・顔季明。彼の許婚の采春は、興行一座に身を隠し、得意の武術を磨きながら、季明の仇討ちを計った。
一方、采春の兄・張永は、季明の遺志を継ぎ、新皇帝のいる霊武へと向かう。いちどは袂を分けた兄妹の運命が交差するとき、唐の歴史が動き始める――。
本作品は著者のデビュー作。
史実
755年、唐の玄宗皇帝は楊貴妃を寵愛し、そのおいの楊国忠一族を重用した。将軍安禄山は反乱を起こし、長安のはるか北東の范陽からわずか1か月で洛陽を落とし、長安に迫った。安禄山は洛陽で大燕皇帝と称したが、享楽に興じ、狂暴化し、愛妾の子を後継ぎにしようとしたため、嫡子の安慶緒に暗殺された。
唐の玄宗は一時長安を逃れたが、国難の元凶として楊国忠・楊貴妃は兵士らに殺された。皇太子は四川に逃れた玄宗を上皇にまつりあげ、粛宗として即位した。粛宗はウイグル軍に支援を求め、乱は763年に鎮圧された。
本作品では、范陽と洛陽の間にある地方の平原郡と常山郡(平原郡太守の顔真卿、張永、采春、常山郡太守の息子顔季明ら)が反乱軍との激動の中で、時に敵味方に分かれて戦う波乱の時に見舞われる。
題名の「震雷の人」とは、顔季明の以下の言葉から。
「書の一字を侮るなかれ。一字、震雷の如しといいます。刀でも弓でもない。人に一時、発した一言が、人を動かし、世を動かすのです」(p20)
顔季明:常山郡太守の息子。「書の力で世を動かしたい」と文官を目指す。16歳。
采春:季明の許嫁。張永の妹。武術の達人。19歳。季明の仇討ちのため安禄山を狙い、長安をめざす。
張永:平原軍の第一大隊の隊長。季明の親友。季明の遺志を継ぎ、新皇帝のいる霊武へと向かう。
顔真卿:平原郡の太守。書の達人として有名。季明の叔父。
安禄山:唐の玄宗皇帝に重用された将軍。楊国忠と対立し反乱を起こす。
安慶緒:安禄山の息子。後継と目される。
広平王:玄宗の孫、皇太子の長男。
建寧王:玄宗の孫、皇太子の3男。兵士、庶民に人気。
志護:采春に武術を教えた和尚。
圭々:志護により張永に預けられた若僧
白泰:騎馬隊長。張永の右腕。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
講談を聞いているようで、面白いのだが、深みがなさすぎる(難しいと文句を言うくせに)。
中国の時代劇として敵味方入り乱れる様子は面白いのだが、名前、地名が覚えにくい。おまけに短期間だけ登場する人物もやたらに多く、読むのに苦労する。
ルビがふってあるとはいえ、縁遠い漢字が頻発
鬣(たてがみ)、肌理(きり)、被帛(ひはく)、裙(くん)、姱容(かよう)、……
千葉ともこ
1979年茨城県生まれ。筑波大学日本語・日本文化学類卒業。現在、水戸市在住。役所勤め。8歳の息子と6歳の娘がいる。
2020年、本作でデビューし、松本清張賞受賞
「オール読物」編集部「本の話」インタビュー、 千葉 ともこ「松本清張賞記念エッセイ 雷の呼吸 壱の型『震雷の人』」
奥様のお供でスーパー内をぼんやり散策していると、フォカッチャを見つけ、思わずそっと籠の中に忍ばせてしまった。
フォカッチャ(Focaccia)とはイタリアの平たいパンで、オリーブオイルを混ぜた生地をのばして、表面にオリーブオイル、塩をまぶし、焼き上がりが平らになるよう指先などでくぼみをつけて焼くのが基本的な特徴。
超熟のフォカッチャは、「平焼きでパサつきがちなフォカッチャを独自の超熟製法で「もっちり、しっとり」とした食感に焼き上げました」とある。
オーストラリアのパースで良く食べたフォッカッチャは、レタスやトマト、肉、チーズなどを挟んで、焼いて、押しつぶして出されることが多かった。
袋にはこんな豪華な写真が。
遠く及ばないが、まずはバターとチーズをのせて、
軽く焼き上げると
これでもまあまあのお味。
せめてもと、ウインナーを追加すると、
明日の朝食は、普通のパンにしよう!
凪良ゆう著『滅びの前のシャングリラ』(2020年10月10日中央公論新社発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして――荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。
2021年本屋大賞ノミネート作品
17歳の江那友樹(えなともき)はおとなしくぽっちゃり型で同級生の井上にいじめられていた。学校一の美少女・藤森雪絵には相手にもされない。そして突然「一か月後、小惑星が地球に衝突します」という重大ニュースが全世界を駆け巡った。
友樹の母・静香はヤンキーのシングルマザーで、友樹の父は死んだと言っていた。
藤森さんは養女で、後に妹が生れ、真実子(マミコ)と名付けられた。平等に育てられたが、ことあるたびに彼女は違いを感じてしまった。今や人気の頂点にいるLoco(山田路子)のライブに行きたいと東京を目指し、友樹も守ろうと同行するが、途中で井上が……。
静香の元夫の信士は、虐待されて育ちすぐ暴力をふるう男だった。世話になったヤクザの五島に、対立グループの角田をヤッテくれと頼まれて……。
信士、静香、友樹、雪絵は混乱し荒れ果てた世紀末の東京、大阪をさ迷い歩く。路子は……。
この小説は書き下ろし。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの? 最大は五つ星)
最初の方の、中学生の友樹と藤森さんの幼く平凡な話が長くていやになった。静香と元暴力夫・信士のやりとりもよくある話だ。負けてない静香のキャラが多少面白いが。
突然登場する路子も、芸能人のよく聞く話で、新鮮さがない。
一か月後に地球上の人間が全員死ぬという中をさまよう話も、いくつか映画や小説で見聞きし、この作品に何か特別なものを感じなかった。
私には最初から最後まで乗り切れない話で、本屋大賞は無理だろう。
「お婆ちゃんが使っていただろうちふれの化粧水を拝借し」(p209)と、なんでわざわざ会社名を出すのか? 安物だと言いたいのか? 私、使ってるんですけど!
亀泉きょう著『へんぶつ侍、江戸を走る』(2020年8月12日小学館発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
将軍家の駕籠担ぎ・御駕籠之者組に席を置く明楽久兵衛は、剣の腕は一級品。だが、深川の唄い手・愛乃の大首絵を蒐集し、江戸の下水を隅まで熟知する「へんぶつ」ぶりを発揮して、周囲からは「大供」呼ばわりされて侮られていた。
そんなある日、愛乃の急死を知ったことから、物語は動き出す。気づけば、郡上一揆の箱訴を巡り、幕閣、果ては暗愚と呼ばれる九代将軍・家重まで巻き込んだ巨大な渦の中に、久兵衛は巻き込まれていた。
「へんぶつ(変物)」とは「変わり者」という意味。
御駕籠之者の明楽久兵衛は剣道の腕は頭抜けているが、趣味は江戸の下水調査というへんぶつ(変わり者)で通っている。愛乃の唄に夢中で追っかけをしていて、子供のような大人の大供(おおども)と呼ばれている。
水茶屋で愛乃がついさっき死んだと知らされた久兵衛は、御駕籠之者の頭・範太郎と共に棺桶がわりの油樽を担いで愛乃の叔父・茂吉の「かし前屋」まで運ぶ。樽の中で愛乃の両目は落ちくぼみ、舌先が唇から出ていた。範太郎が銀のかんざしを愛乃の唇に差し込むと黒く変色した。一服盛られたらしい。
久兵衛は、愛乃に贈ろうと愛乃の大首絵を描いてもらい、漢詩を添えたすだれを弔い合戦とばかり将軍の駕籠の中に貼ってしまった。それを見て驚いた将軍家重は何も言わなかったが、老中・伯耆守は息をのんだ。
亀泉きょう(かめいずみ・きょう)
1984年京都市生れ。
本作品『へんぶつ侍、江戸を走る』がデビュー作。
[アンフィニ]にこうある。
「以前、雑誌N∞「アンフィニ」で、沖縄での生活や子育て事情を描いたエッセイ「いちゃりばちょうでー」を連載してくださった葱里菜於子さんが「亀泉きょう」というペンネームで、時代小説で作家デビューを果たしました!」
新人作家なのに、江戸の生活に関する小さな知識がいろいろなところに散りばめられている。巻末には28冊の江戸に関する参考文献が並ぶ。よく勉強している。
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)
直参旗本なのに駕籠かきというユニークな存在を取り上げて、唯一一揆側が勝利した郡上一揆を関連付け、趣味で詳しい下水道を利用するなど、よく練られた話に仕上げている。
新人なのに、時代考証が求められる時代物を扱い、江戸のトリビア情報も豊富に提供している点にも感心する。
登場人物
明楽(あけら)久兵衛:御家人。将軍の御駕籠を担ぐ御駕籠之者。25歳。剣道道場では首席格。「お愛乃連」
嘉助(かすけ):久兵衛の老下男
津ね:すだれ屋邦左衛門の娘。久兵衛の幼馴染。17歳。器量よしで丈夫ではねっかえり。
愛乃(えの):富貴屋の芸者。唄が人気で追っ駆け「お愛乃連」がいる。郡上の庄屋の娘るい。妹分はたえ。
今下誠助:御駕籠之者。久兵衛の先輩。
井原範太郎:御駕籠之者の頭。60代
明楽源之助:久兵衛の従兄。御庭之者(通称御庭番)
竹之進:金森家の徒士(かち)。久兵衛の友人。「お愛乃連」
茂吉:愛之の叔父。質屋「かし前屋」を経営。
吉右衛門:茂吉の同郷者。詩歌好きの風雅者
徳川家重:江戸九代将軍。吉宗の長男
大岡出雲守忠光:家重の側用人
田沼主殿頭(とのものかみ)意次(おきつぐ):家重の小姓頭
千瀬:家重の側室。元の名は逸(いつ)で遊女屋の娘。
金森兵部少輔頼錦(よりかね):美濃郡上藩主
本田伯耆守正珍(まさよし):幕府老中
本田長門守忠央(ただなか):幕府寺社奉行
大橋近江守親義:幕府勘定奉行
藤次郎:郡上の農民
東野圭吾著『犯人のいない殺人の夜 新装版』(光文社文庫1994年1月光文社発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
親友が屋上から落ちて、死んだ。自殺と思えない「俺」は当時の様子を探り始めるが……。(「小さな故意の物語」)直美は死ぬ直前にビデオメッセージを残した。その理由とは……。(「さよならコーチ」)岸田家の中で殺人が起きた。しかしそこには、死体もなければ犯人もいない……?(表題作)
渦巻く人間の欲望を描いた全七編を収録。エンタメの頂点を極めた著者が贈る、珠玉の短編集!
東野圭吾初期の7作品が収録された短編集。
1990年7月 単行本(光文社)、1994年1月光文社文庫
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
まだ東野さんが若かった頃(失礼)の、謎解きを主体とするいわゆる本格物の短編集だ。つまり、東野さんが、個性ある人、生活、組織などを描いて小説としての面白さを深めていくようになる前の作品集だ。短編集なので、次々と提示される謎解き問題を解こうとする面白さはあるのだが、私の好みから言えば、深みがないのでいまいちと感じた。
「小さな故意の物語」 初出:『小説現代』1985年11月号
県立高校の屋上から3年生の行原達也が転落死した。達也が一人で屋上の柵に上り歩いていて、ふらつき、落ちたとの目撃証言があったことから、警察は事件を自殺と考えた。
達也とは小学校時代からの親友・中岡良は、自殺するとは信じられずに調べ始める。達也の恋人で同級生の佐伯洋子、目撃者で秀才の藤尾、2年生で達也にラブレターを渡したこともある笠井美代子、ミステリー好きの木島礼子などから話を聞く。
「闇の中の二人」 初出:『小説宝石』1986年1月号
中学の英語教師・永井弘美が担任する萩原信二の、信二にそっくりだと評判の生後3ヶ月の弟が絞殺された。泥棒が戸締りし忘れた萩原家に侵入して泣き出した赤ん坊を黙らせるために絞殺したと考えられた。
萩原信二の実母は数年前に病死。会社重役の父・啓三の後妻・麗子は赤ん坊の死に激しく動揺。信二との折り合いは悪かった。中西幸雄は啓三の側近の優秀な部下。
高間、日野:県警捜査一課刑事。
「踊り子」 初出:『小説宝石』1986年9月特別号
中学2年生の孝志は塾の帰り道、女子高「S学園」に潜り込み、体育館で新体操の練習をしている女子高生に目を奪われ、毎週水曜日に体育館をこっそり覗いていた。家庭教師の黒田のアドバイスでスポーツ・ドリンクとファンよりと書いたメモを学校の玄関に置いた。その後、彼女の姿は見られなくなってしまった。
友達の家のアルバムで彼女の写っている写真を見て、彼女の住所がわかった。しかし、黒田が住所を調べ、残酷な真実を知る。
「エンドレス・ナイト」 初出:『小説宝石』1987年5月特別号
4年前に結婚し東京で洋裁学校の講師をしている田村厚子は、大阪の支店の経営を任された夫の洋一に、大阪嫌いなので大阪には単身赴任してもらっていた。洋一が殺されたと知らされ、現場の洋一の店に駆け付けると、担当刑事の番場から、洋一がナイフで胸を刺され真っ直ぐに仰向けに行儀よく寝ていたと聞かされた。翌日番場は厚子を洋一の大阪での立ち回り先を巡ることになる。洋一の店は経営状態が悪かった。
「白い凶器」 初出:『小説宝石』1988年9月号
A食品株式会社内で材料課課長の安倍が6階の窓から転落死した。次に係長の佐野が交通事故で死亡し、体内から睡眠薬が検出された。当日の夜、材料課で残業していたのは、去年の秋に結婚した夫の洋一を今年の5月に交通事故で亡くし、ようやく復帰した中町由希子と、甘い顔立ちのスポーツマンタイプで、由希子に交際を申し込んでいる森田だった。由希子は洋一を亡くした時妊娠していたが、流産してしまったのだった。
「さよならコーチ」 初出:『小説現代』1988年11月特別号
20代の青春の時間をアーチェリーに注いできたある企業のアーチェリー部の選手・望月直美が自殺した。彼女は遺書代わりにビデオで自らを撮影し、メッセージを残していた。遺体を発見した直美のコーチは、直美がオリンピック選考会に敗れたことを悲観していたと刑事に話す。刑事は、コーチに自殺と思われた直美の死の真実を告げるのだった。だがコーチは、直美の死にさらなるからくりが仕掛けてあったことに気付く。
「犯人のいない殺人の夜」 初出:1988年3月号
著名な建築家・岸田創介の家で安藤由紀子という女性が殺害された。居合わせた家庭教師の拓也は、岸田から事件隠蔽を依頼され、遺体を隠し、岸田家は由紀子と関係が無かったように、創介の妻・時枝、長男・正樹、次男・隆夫、拓也の恋人で隆夫の英語の家庭教師・雅美と口裏を合わせて、処理しようと画策する。
由紀子の兄という安藤和夫が周辺を嗅ぎまわり、事件の担当刑事の高野と小田はしつこく質問をくり返す。
2月12日に届いた花は
8本のスイートピーと、背後の3本のリューココリーネ、左の1本のキンセンカと、右下背後に葉先が少し見えるレザーファン。
5日後には、キンセンカが一回り大きくなった。スイートピーは咲き終わった下の方の花を摘み取られて小ぢんまりと。
1月8日に届いたデンファレ3本が辛くも生き残って、一輪挿しに。驚異の生命力。
昨年、10月23日に届いた中にルスカスという葉があった。葉の真ん中に虫のように見える小さな突起があり、そこから小さな花芽が出てきる。50日以上経過した12月6日(10月(2)の花)ようやく花芽らしきものが顔を出した。そして、
約4か月経過した現在のルスカスの葉の花芽はまだ少しずつ成長している。
知念実希人著『祈りのカルテ』(2018年3月29日KADOKAWA発行)を読んだ。
諏訪野良太(すわの・りょうた)は、純正会医科大学附属病院の研修医。
初期臨床研修で、精神科、外科、皮膚科、小児科、内科を数か月ごとに回わり、自分の専門になる科を決めなくてはならない。
「彼女が瞳を閉じる理由」
諏訪野が週一回の救急部での当直のとき、睡眠薬を大量にのんだ山野瑠香(26)が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫岡部彰の名前が「あきら」と火傷(ヤケド)で刻まれていた。離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返し、1,2か月に1回は睡眠薬の多量服薬で搬送されてくるという。彼女はなぜ、毎月5日に退院できるよう入院するのか……。
精神科での指導医は30代半ばの立石聡美。諏訪野は任された瑠香への面談を行うが、瑠香は「明後日に退院させて」と言うばかり。諏訪野は、立石に「君は相手の顔色を伺うのが抜群にうまいのよ」、「精神科医は少し離れた距離から患者を診ないと、毎日何十人と診るのに、全部受け止めていたら壊れちゃうでしょ」と言われる。
「悪性の境界線」
もうすぐ80歳になる近藤玄三(79)は初期の胃癌だった。「胃の一番表面の粘膜層に癌細胞がとどまっていれば、内視鏡での除去だけで完治するが、その下まで達していると胃の部分切除が必要になる」と諏訪野の指導医・冴木から説明を受けた。その後、近藤は胃がんの内視鏡手術を拒否する。何故?
「冷めない傷跡」
皮膚科では火傷の患者以外は比較的簡単な対応で済むので女性の医療従事者が多い。諏訪野が桃井佐恵子の指導を受けて数時間毎に包帯交換と採血を行ったのは右下腿に重い火傷を負った守屋春香。見舞いは娘の花南と職場の上司だという鍋島。翌日、火傷が広がっていたのは何故?
「シンデレラの吐息」
諏訪野が小児科で研修を受けているときに、救急で喘息発作の姫井姫子(8)が運ばれてきた。入院してよくなってきたのにまた激しい発作を起こした。ゴミ箱に薬が捨ててあった。犯人は母・裕子か、父・洋介か、それとも?
「胸に嘘を秘めて」
循環器内科での指導医は上林。新館26階のセキュリティ万全の特別病棟に入院しているのは我が儘な四十住(あいずみ)絵理(27)、かっての人気女優、芸名愛原絵里。拡張型心筋症でアメリカでの心臓移植待ち。女性マネージャー横溝が付き添うだけで、母や、腎臓内科に入院している妹の面会は断っていた。
そんなとき、マスコミに重病で愛原絵里が入院と報じられた。
エピローグ
初出:「小説 野性時代」2014年2月号~2017年11月号
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
よくまとまった話で、面白く読める。
しかし、とくに何者でもなく、単に人懐っこく誰とでも話せるというだけの諏訪野が、謎を次々と解いてしまうのは納得できる展開ではない。患者の心に入り込んで、心を開かせて、謎を解き明かすという展開にして欲しかった。
篠田節子著『純愛小説』(角川文庫し31-5,2011年1月25日角川書店発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
純愛小説で出世した女性編集者を待ち受ける罠と驚愕の結末、影のように慎ましく生きてきた女性が抱く最初で最後の狂おしい想い、息子の恋人に抱いてしまったときめき、年齢を超え理不尽なまでの磁力で惹かれあう男女……成熟したからこそ逃れがたい「恋」という名の愚行がときに苦く、ときに危険なほど甘やかに綴られる4篇の物語。直木賞作家、円熟の筆が冴える、ほんとうの大人のための“ロマンティック・ラヴ”。
いわゆる純愛ではないが、これも中年の大人の愛の形、一種の“純愛”なのだという4編の短編小説集。
『純愛小説』
妻から離婚を迫られている柳瀬はその理由に見当が付かない。バブルの時代、若いころの柳瀬はイケイケの遊び人で、派手な女性関係を繰り返し、奥さんも諦めていた。40歳間近になり、10年ほど前からは家庭第一の生活に態度を改めていた。中学からの付き合いで気の置けない友人である出版社勤務の香織は柳瀬の相談にのってやり、あれこれと原因を探る。
香織の中学の同級生の山下真由の娘・藍子が母の13回忌終了の報せとともに香料・ローズウオーターを送ってきた。柳瀬のところにも送られてきたこれが……。
『鞍馬』
校長をしていた優子は徳之島にフリースクールを立ち上げようとしていたが、300万円不足していた。長姉の静子は20代で仕事を止めて結婚もせず、母を看取ってくれたので、優子と末の妹は東京・杉並の家と土地を譲った。そこで、優子は姉・静子に300万円の融通をお願いしたが、はっきりとした返事はもらえなかった。
電話しても出ない静子を心配して、東京に実家を訪ねると、家のあったところは更地になっていた。
子供の頃から優秀で社会に出てからも上り詰めた優子の視点から見ると、気弱で優しいが世間知らずの静子はすっかり若い男・吉田に騙されて資産を失った哀れな老女となる。視点を静子に取ると、妹二人を母代わりに育て、母を看護し、看取っただけのつまらない人生の最後のこの時期が、破滅へ進んでいくことは解っていても、唯一の短い華やかな時期だったのだ。吉田との最後の旅の宿は鞍馬だった。
『知恵熱』
高広の次男の大地は東大に入り、井の頭線・東松原の学生用マンションに一人住まいしている。連絡がつかないで3日になり心配して電話すると、今大阪へ旅行中だという。1か月後、残業で10時過ぎになって高尾からバスで自宅へ帰るのもおっくうで、突然息子の部屋を訪れた。そこには屈託なく、なにげない様子の彼女・清家可奈子がいた。化粧気はないが芙蓉のような匂(にお)やかな女性で、高広はこんな娘が欲しかったと思った。大地は母親にはしゃべらないでといい、高広は「無責任な真似だけはするな」という。結局、……。
(知恵熱とは、生後1年以内の、知恵がつき始める時期の乳児が出す熱で、原因がわからず短時間で治まるもの。医学用語ではない。大人に対して「無理して頭を使ったから知恵熱が出たんじゃない」とからかったりする)
『蜂蜜色の女神』
メンタルクリニックの44歳の医師・尚美は、辻井光奈子の訴えを聞いている。35歳の夫・和臣が47歳の女性・希恵(のりえ)に夢中で異常なのだという。夜中でも会社でも、急にそういう状態になって、その女性の肉体を求めて我慢できなくなってしまうらしい。希恵は有名なデザイナーで、蜜蜂色の肌をして、ハーブティーでもてなすという。
原因についての妻の解釈と弟・浩二の解釈は違う。尚美は思う。浮気を巡る解釈のいずれが正しいかは重要ではない。治療するにあたってはそう意味はない。正常か異常かは社会や家庭での生活に支障があるかないかの基準に過ぎない。医師は患者の困った症状を治療するために診断を下すが、正常か、異常か、異常なところを直して正常にするなどという抽象的なことではない。
この作品は2007年5月角川書店より単行本として刊行。
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)
著者の言わんとするところは明快で、どちらかと言えば理知的な小説だ。一見異常な中年の男女の恋愛感情を描いているが、その心理解析に主眼が置かれていて、恋愛小説だが抒情的ではない。
「純愛小説」の改心した柳瀬が抜け殻かのように受け取れる表現があるが、それも違うのではと思った。
「鞍馬」一見誠実そのものに見える吉田はサプリメントを一瓶渡されて、どうしたのだろう?
「知恵熱」での母の「大地、たぶんふられるわね」という言葉が染みる。
「蜂蜜色の女神」は理解不能だが、単なる麻薬中毒で済まされるのでは面白くない。
貫井徳郎『ドミノ倒し』(創元推理文庫Mぬ16、2016年6月24日)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
地方都市・月影市で探偵業を営む十村(とむら)は、亡くなった元恋人の妹から殺人事件の調査を依頼される。十村が旧友の警察署長と調査に着手したところ、過去に月影市内で起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、さらに調べるとまた別の殺人事件との繋がりが浮かび上がる。真実を追えば追うほど異様に広がっていく事件。その真相に探偵が真相に迫るとき、恐るべき結末が待ち受ける。
十村(とむら):東京育ちだが、月影市で一人の探偵事務所を運営。元恋人の江上沙英(さえ)は死亡。28歳。
江上友梨(ユリ):江上沙英の妹。姉にそっくりだが、性格がきつそう。
前山(さきやま)耕一:コー。江上友梨の元彼。24歳。朱美のストーカーで殺人容疑者。見た目は良いがヘタレ。
新明(しんめい)佑:署長。十村と幼馴染。28歳。宵埼警察署のキャリアのお飾り署長。
世良朱美:27歳。山に埋められた死体で発見。
田ノ浦好美:朱美の双子の妹。田ノ浦家へ養女にいった。
大関善郎:38歳のフリーター。2年前に河川敷の茂みで絞殺死体で発見。
羽田:刑事。パンチパーマ。
成田:刑事。らっきょう顔。
本書は2013年6月東京創元社より刊行の作品の文庫版。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの? 最大は五つ星)
私立探偵の語りが軽妙で、面白く、途中まではスイスイ読んだ。しかし、ミステリーとして肝心な最後の結末がはっきり言って不明。「そんなのあり?」という結論。例えば、署長の行方は不明。
ワイズラック wisecrack:軽口。気の利いた言葉(皮肉・嫌味)
村上春樹の略歴と既読本リスト
1949年京都市生まれ、まもなく西宮市へ。
1968年早稲田大学第一文学部入学、1971年高橋陽子と学生結婚
1974年在学中に喫茶で夜はバーの「ピーター・キャット」を国分寺駅南口のビルの地下に開店。
1977年(?)千駄ヶ谷に店を移す。
1979年 「風の歌を聴け」で群像新人文学賞
1982年「羊をめぐる冒険」で野間文芸新人賞
1985年「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で谷崎潤一郎賞
1986年約3年間ヨーロッパ滞在
1991年米国のプリンストン大学客員研究員、客員講師
1993年タフツ大学
1994年「ねじまき鳥クロニクル」で読売文学賞
1999年「約束された場所で―underground 2」で桑原武夫学芸賞
2000年「神の子どもたちはみな踊る」
2002年「海辺のカフカ」
2004年「アフターダーク」
2006年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、世界幻想文学大賞
2007年朝日賞、早稲田大学坪内逍遥大賞受賞
2008年プリンストン大学より名誉博士号(文学)、カリフォルニア大学バークレー校よりバークレー日本賞
2009年『1Q84』で毎日出版文化賞受賞、エルサレム賞受賞。スペイン芸術文学勲章受勲。
2011年カタルーニャ国際賞受賞
2016年アンデルセン文学賞受賞
その他
『蛍・納屋を焼く・その他の短編』、『若い読者のための短編小説案内』、『めくらやなぎと眠る女』、『走ることについて語るときに僕の語ること』『村上春樹全作品集1979~1989 5 短編集Ⅱ』、
翻訳
『さよなら愛しい人』、『必要になったら電話をかけて』、『リトル・シスター』、『恋しくて』、『オンブレ』、『グレート・ギャツビーを追え』
エッセイ他
『走ることについて語るときに僕の語ること』、『日出る国の工場』、『職業としての小説家』、『雑文集』、『村上さんのところ』(読者からの質問メール(2週間で3万通以上)を村上さんが全部読んで、一部に答えるという企画)、『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』、
対談
川上未映子訊く、村上春樹語る『みみずくは黄昏に飛びたつ』、『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2009』、
村上春樹に関する評論、
川村湊『村上春樹をどう読むか』
加藤典洋『群像日本文学 村上春樹』
講演
宮脇俊文『村上春樹とアジア』
ジョン・グリシャム著、村上春樹訳『グレート・ギャツビーを追え』(2020年10月10日中央公論新社発行)を読んだ。
英語のペーパーブックの裏表紙にある内容要約は以下。(村上春樹による「あとがき」から)
「文学史上最も大胆不敵な強奪計画が実行された。場所はプリンストン大学図書館の厳重警戒な地下金庫。
時価2500万ドル(値段のつけようがないと言うものもいるだろう)のF・スコット・フィッツジェラルドの長編小説5作の原稿は、世界で最も価値あるもののひとつだが、それが消え失せてしまった。間を置かず一連の逮捕がなされたが、強盗団の冷酷な首謀者は原稿と共に忽然と姿を消した。
FBIの精鋭たちが頭を抱え込んだこの難事件に、スランプ中の新進女性作家マーサー・マンが挑むことになった」
原題は “CAMINO ISLAND”。
窃盗団と、盗本の買取人、極めて貴重な本(稀覯本)の収集家に対し、FBIや保険会社側の調査会社、協力するスランプ中の小説家が闘いを挑む。
窃盗団5人はFBIに次々と逮捕されたが、主犯のデニーは盗品を持って逃げてしまう。
一方、本書の実質的主人公ともいうべきブルース・ケーブルはフロリダ州カミ―ノ・アイランドにあって繁盛している新刊本書店「ベイ・ブックス」を経営していた。彼はサイン会を開催するなどして多くの作家を支援する一方で、高額な稀覯本の収集家であり、プレーボーイでもあった。
保険調査会社のイレインは、ブルースを探るために、カミ―ノ・アイランドにコテッジを持ち、学資ローン返還に悩むマーサーに目を付けて、スパイ役を務めるように誘いかける。
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)
文句なしに面白く、どんどん読み進めてしまう。
原稿の行方はさておき、さまざまな状況にある作家が登場し、書店の事情などアメリカの出版界の内情が描かれていて、本好きはそれだけでも十分楽しめる。
盗品の購入者と保険会社の戦いに絞ったことは確かに面白く、成功といえるのだが、欲をいえば、窃盗団とFBIの出番がほとんどないのはユニークではあるが、どうなのか?
プリンストン大学でフィッツジェラルドの生原稿を見たことがある村上春樹はこの本を読み、止まらなくなったという。
ジョン・グリシャムJohn Grisham
1955年アーカンソー州生まれ。野球選手になることを夢見て育つ。 ロースクール卒業後、1981年から10年にわたり刑事事件と人身傷害訴訟 を専門に弁護士として活躍し、その間にミシシッピ州下院議員も務めた。
1989年『評決のとき』を出版。以後、『法律事務所』『ペリカン文 書』『依頼人』『危険な弁護士』など話題作を執筆。その作品は40カ 国語で翻訳出版されている。