斉藤徹著『新ソーシャルメディア完全読本 フェイスブック、グルーポン・・・これからの向き合い方』アスキー新書177、2011年1月アスキー・メディアワークス発行、を読んだ。
表紙裏にはこうある。
これからの時代は「信頼できる人」による推薦や評判が、購入の意志決定を左右する。そのために消費者とどうつながっていくか? 広く浸透したツイッター、ブレイク寸前のフェイスブック、日本でも続々とサービスが展開され始めたフラッシュマーケティング…。国内外の成功事例を分析しながら、ツイッター以降の新しいソーシャルメディア活用のカギを紐解いていく。
著者のブログ “
In the loop” にこの本の詳細な紹介がある。
内容を数点ご紹介。(太字は私による強調)
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、フェイスブックの月次アクティブ会員数は2010年11月で5.5億人。
フェイスブックのLikeボタンが、アマゾンやカカクコムの「★」による評価よりも圧倒的に効果的なのは、自分の知り合いのうち「誰がLikeボタンをおしたのか」が明確にわかる点です。
従来型Eコマースの多くが購買で完結してしまうのに対し、ソーシャルコマースはソーシャルメディアを媒介することでバイラルを誘発する仕組みが出来上がっているのです。
(グルーポンなどの)フラッシュマーケティングでは、サービス側が設定した一定数以上の申込が制限時間内に集まらないとその割引率にならないため、購入希望者は取引を成立させるために、スピーディーにほかの購入希望者を増やす必要があります。
そこでポイントになるのが、短時間で広範囲の情報伝達できるツイッターやSNSなどのシーシャルメディアの活用です。
フラッシュマーケティングの基本は、徹底的にシンプルなサービスにあります(日本の現状とは異なります)。エリアごとに、あえて一日一件、厳選したクーポン情報を掲載しているのです。
そして、ユーザーの使い方も徹底的にシンプルです。会社や自宅近くのエステティックサロンが50%オフで掲載されていて、「利用したい」と思えば購入のアイコンをクリックするだけ。・・・他店と価格やサービスを比較してから購入を決めるという複雑さを排除しているのです。
炎上を未然に防いだペプシの対応力
ペプシが行った投稿案の投票プロセスに対しNYタイムズ紙に疑惑記事が掲載された。これに対しペプシは、まず謝罪し、投票者の利便を考えて途中でルール変更を行ったが投票う結果に影響は与えていないこと、さらに選定を2案から3案に変更し、25万ドルの予算追加を直ちに発表した。
斉藤徹
1985年慶応大学理工学部卒。
日本IBMを経て、1991年(株)フレックスファーム創業
2005年(株)ループス・コミュニケーションズを立ち上げる。現在、国内の企業向けSNS構築分野でトップシェアとのこと。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
全体的にきれいにまとまっていて非常にわかりやすいが、割と巷で話題にあがることが多く、この種の本にありがちの新しもの好きの有り難がり屋で、内容が浅い。
分析にはなっていかいが、今まで起きたことを要領よくまとめてあり、要点を掴んでいる。
著者は会社を経営しているが、新動向、新サービスの伝道者としての使命感に燃えているようで、この点では好感が持てる。ただし、ネットの新しいサービスのプラスの面しか強調していない。
序章 ソーシャルメディアが変える「明日の商い」
第1章 ユーザー数だけではない フェイスブックの本当の凄さ
第2章 効率的な顧客導線のカギとなる”ソーシャルグラフ”
第3章 企業がコントロール不可能なマーケティング新時代
第4章 生活者を味方につけることができるビジネス活用のカギ
第5章 ”商品開発”は「コラボレーション」がキーワードに
第6章 生活者同士の「共有」が重視される”ソーシャルコマース”
第7章 「同時性」と「先回り」を実現する顧客サポート
第8章 ソーシャルメディア時代の”企業ブランディング”
第9章 グルーポンが火をつけた”フラッシュマーケティング”
第10章 ”位置情報サービス”でリアル店舗に顧客を増やす
終章 ソーシャルメディアが導く未来