hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

6月(2)の散歩

2021年06月30日 | 散歩

 

 

あまりにも可憐な路傍の花。名も知らず。(6月22日)

 

木に咲いた泡のような謎の花? ところどころでお会いする。アワブキ(泡吹)? そのままじゃん。(6月22日)

 

こちらも良くお見掛けする木の花。純白が目立つ。ヤマボウシ。(6月22日)

拡大し、

さらに接写すると、芸術的な花びらの形。

 

ムクゲ(槿、木槿)。(6月23日)

一輪だけじっと見ても、「う~ん、良く出来てる」。

 

5月29日には、どんと構えて堂々としていたのが、

約1か月後の6月27日には、さらに巨大に。

大きすぎて、ちょっと不気味。

 

 

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高野秀行『世にも奇妙なマラソン大会』を読む

2021年06月23日 | 読書2

高野秀行著『世にも奇妙なマラソン大会』(2011年2月10日、本の雑誌社発行)を読んだ。

 

本の雑誌社の宣伝文句は以下。

深夜のモヤモヤタイムに思わず申し込んでしまったのが、西サハラの砂漠を走るマラソン大会。砂だらけの42.195キロを、それまで10キロしか走ったことのない著者は走り切ることができるのか。いやなぜそんなアホな行動に出るのか。しかし行ってみればそこは未知の世界であり、発見や驚きに溢れているのであった。

そんな表題作のほか、高野秀行の真骨頂である「間違う力」全開の作品集。
インド入国のためだけに名前を変えようと必死に試みる「名前変更物語」、ブルガリアで怪しいおじさんに付いていったら、あら大変!の「ブルガリアの岩と薔薇」、そして書き下ろしの世界中の不思議な話満載の「アジアアフリカ奇譚集」を収録。

 

「世にも奇妙なマラソン大会」

西サハラはアフリカの北西部、太平洋に面した地域で、東のモロッコに占有されたままで独立を果たしていない。世界にこの実情を訴えるためでもあるマラソン大会が開催されるのだ。
高野氏は夜中の高揚感のまま、ネットでのマラソンランナー募集につい応募してしまう。普段からほとんどランニングしていなし、10キロしか走ったことがないにも関わらず、約3週間後のフルマラソンにエントリーしてしまった。世界中からマラソンの猛者が集まるこの砂漠の中の大会に超初心者の高野氏が参加してしまった顛末記だ。

 

25キロを過ぎると、砂を強く蹴ろうとするため足の足首と足の甲が攣(つ)った。やがて両足の上から下まで全部が痙攣(けいれん)した。休んでいると痛みが少し弱くなり、両足が攣ったまま走り出す。しばらく走り、休んでいる人を抜くと、また痙攣がひどくなって止まる。これを繰り返す。他の人も同じ謎の走りをしていた。いろいろあって、ついに、ついに、5時間40分でゴールした。

 

「ブルガリアの岩と薔薇」

セルビアからブルガリアへ向かうバスで隣り合った年配の男性がフランス語で話しかけてきた。バラの香水つけ、岩のようにゴツゴツした男で、ソフィアの自宅に泊まるように誘ってきた。なんとなくゲイの匂いがし、ソフィアに着いて家へ向かう途中、「ああ、これは失敗では……」と思えてきた。家へ着くと、岩薔薇おじさんはいきなりガバッと抱きしめ、「私の愛しい人!」と言い、首筋にキスされた。思い切り突き放すと、「え、これは日本式挨拶じゃなかったっけ?」と今や油断も隙もない。そして……。

 

 

「名前変更物語」

妻に土下座をしたのは四月一日の晩だった。

「僕と離婚してくれないか」と言ったのである(p.150)  ではじまる。

……次に私が言ったのはこうだった。

「で、そのあとに再婚してください」

 

謎の怪魚ウモッカを探すためにインドへ行きたかったが、著者は強制退去させられたことがあるため、姑息なことに名前を変えて新たなパスポートを取ろうと奮闘、迷走するのである。

名前を変えるために誰かと養子縁組するのは難しいので、妻と離婚し、再婚の際に妻の苗字にしようというのだ。それから爆笑の暴走、迷走が始まる。

 

 

「謎のペルシア商人――アジア・アフリカ奇譚集」

 

初出:「本の雑誌」+書き下ろし

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

好き嫌いあるだろうが、いまだ滅茶ばっかりやる高野さんが大好きな私は四ツ星。

 

何と言っても爆笑につぐ爆笑なのは「名前変更物語」。
「高野さんって、偉い!」といっても、奥さんの方だけど。

 

LGBTに配慮が要求される昨今だが、「ブルガリアの岩と薔薇」で、N饗指揮者の岩城宏之が語っていた話を思い出した。
アメリカの某超有名指揮者はゲイで、その相手をした人を引き立てて、有名指揮者にするという噂があった。岩城氏がその指揮者の屋敷に招待されて、風呂に入っているときに、彼が近づいてくる足音がした。岩城氏は、「ああ、俺もついに、世界的有名指揮者になるのか」と思ったという。しかし、彼は、結局風呂に入って来なかった。

 

 

高野秀行 略歴と既読本リスト

 

 

お勉強

足が攣(つ)る

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不便で楽しかった横須賀生活 

2021年06月22日 | 個人的記録

東京で育って30年、近辺に住んで数年、職場移転でまさかの横須賀住まいになってしまった。今から45年前のことだ。

先発隊として山の上にある新しい職場に行ったとき、窓の外の溢れる緑、絵のような富士山や眼下の東京湾にニンマリした。これじゃまるでリゾートじゃないか。しかし、夜になり、東京では考えられないほどまったく明かりが見えない真っ暗な光景に「ああここは田舎なんだ」と唖然とした。

 

社宅の最寄り駅も、改札口はあるのだが、乗客はみな線路をまたいで直接ホームにあがっていく。寂れた駅前にはよろずやが一軒あるだけだった。電車も良く見れば単線でびっくり。20分に一本しかこない。駅に行けばすぐ電車が来るものと思っていた私には、家に時刻表を貼っておいて、時間を見て駅に行く生活になかなかなじめなかった。

 

それでも10分も歩けばハイキングコースがあり、季節がくれば、筍掘り、みかん狩りなどが楽しめる。なんといっても海辺の町だ。散歩や子供を遊ばせるのによい海岸も歩いて数分の距離にある。

ジョギングを始めたのも横須賀だった。海岸線のまっすぐな道路を海風に吹かれながら走るのは心地よいものだし、浦賀や、走水、城ケ島の景色を眺めながらちょっぴり孤独を味わうのも乙なものだった。

 

これらの環境は自然に親しむ楽しみを教えてくれた。広々としてスイカ畑の一角を借りて野菜つくりも始めた。三浦富士など近くの山歩きも自然を身近なものにしてくれた。自宅や傍にある林にやってくる小鳥たちのさえずりも季節を教えてくれた。
一方で、デパートや美術館などへ行くのは不便でおっくうになった。まさに、「自然が近くなると文化が遠くなる」である。

 

排ガスをまき散らし、エコに反する車というものが大嫌いで、東京近辺では車の必要性も感じず、免許を持たなかった。しかし、横須賀では通勤や買物などどこに行くにも車がなくては生活が成り立たたず、30歳半ばで怒鳴られながら教習場に通うはめになった。ようやく車を持つと行動範囲がいっぺんに広くなり、あちらこちらと、行楽へ足をのばした。

10分ほど車で行くと、三浦海岸や、油壺マリンパークがあり、夏の土日には東京から子どもたちを連れた親戚が入れ代わり立ち代わりやってきて、大忙しだった。

今ではかってのような猥雑さはないが横須賀には独特の雰囲気を持つ商店街「どぶ板通り」がある。また、猿島、記念艦三笠、ペリー公園など歴史を感じさせる場所も多い。

 

海辺の別荘を持つのが夢だったが、自宅となると、潮風や干した魚網のにおいなど悩まされることも多かった。数年に一度の海からの強烈な潮風で、ガラス窓には塩がこびりつき、庭に作った畑の作物が一夜にしてまっ黒に枯れてしまうこともあった。車の塗装は10年ももたなかった。

 

不便なことも多く、不満もあったが、都会では味わえなかった18年の横須賀暮らしは、生活というものを見直すこととなり、私と家族にとって貴重な宝物になった。

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王谷晶『ババヤガの夜』を読む

2021年06月21日 | 読書2

 

王谷晶『ババヤガの夜』(2020年10月20日河出書房新社発行)を読んだ。

 

出版社の内容紹介は以下。

お嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う――。暴力を唯一の趣味とする新道依子は、腕を買われ暴力団会長の一人娘を護衛することに。拳の咆哮轟くシスターハードボイルド! 装画:寺田克也

 

タイトルの「ババヤガ」とはスラブの民話に登場する鬼婆。主人公の新道が北海道に住んでいた頃、祖母に聞かされた話として登場。

 

混血児で両親もいないままに、喧嘩術のみを祖父から叩き込まれ、暴力のうずきが燃える新道依子が、暴力団組長の一方的な強制で不自由な生活を強いられている娘・内樹尚子のボディガードをすることになる。性格も境遇も全く異なる女性二人が、互いに無視、反発から、交流を経て、連帯(シスターフッド)に至る物語。

 

新道と尚子の話の合間に、芳子と正の話が挿入されて、進んでいく。

 

新道依子(しんどう・よりこ):22歳。170㎝以上、75㎏。ロシアの血が入った武闘家。

内樹尚子(ないき・しょうこ):華奢で古風な美少女。母は当時の若頭マサと駆け落ちし、父・源造は二人の行方を10年以上追っている。

内樹源造:関東最大規模の暴力団奥津組の直参の内樹會会長。尚子の父。60代半ば。腹の突き出た禿頭。

柳:内樹會の若頭(?)。長身の混血。テコンドーの達人。

宇田川:登島興業社長。内樹源造の兄弟分。趣味は拷問。婚約者は……。

 

 

尚子「…あなたのお母様は? 何を作って食べさせたら、そんな熊みたいに野蛮に大きく育つのかしら」

依子「知りません。親の顔、見たことないんで」

返事は無かった。(p48-49)

 

初出:「文藝」2020年秋季号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

全体は喧嘩シーンのオンパレードでバイオランス真っ盛り。男性にも負けない桁違いな女性武闘家は爽快だ。美女ではなく、パワーで泥臭く、ともかく叩き壊せばいいんだろうと戦う姿がいいじゃない!

 

依子と尚子が当初はあまりにも違う境遇からつっけどんだが、互いを理解してシスターフッドになっていく過程を微笑ましく見守れる。

 

時代順に並べてないという禁じ手にすっかり著者に騙されてしまったが、事実を知った後にはこれもいいねと思える。

 

 

王谷晶(おうたに・あきら)

1981年生まれ。著書に『探偵小説には向かない探偵』、『あやかしリストランテ 奇妙な客人のためのアラカルト』、23の短編集『完璧じゃない、あたしたち』、エッセイ『どうせカラダが目当てでしょ』など。

小説丸に本作品についての著者インタビューがある。

 

 

お勉強

シスターフッド:女性同士の連帯を表す語で、友情と似ているものの利害関係を超えた関係性のこと。

刺股(さすまた):相手の動きを封じ込めるため、2、3メートルの柄の先にU字形の金具が付いた武具及び捕具。

嬲り(なぶり)殺す

膾(なます)にされる

擂身(すりみ)

金盥(かなだらい)

 

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6月(1)の散歩

2021年06月20日 | 散歩

 

植え込みに咲いていた低灌木。キンシバイ(金糸梅)かな?(5月22日)

 

一輪だけ拡大

 

西荻駅南口にあった案内板。 案内板は古いが、「西荻六童子めぐり」とは初耳。

あの薮内佐斗司さんの特徴ある(可愛くない)童子が並ぶ。(5月29日)

 

西荻南口の「花の童子」

 

やっぱり独特な顔を童子と象

 

 

 

堂々としておお威張りの花だが、名も知らず。(5月29日)

 

アジサイは青か、赤紫と決めつけていたが、白もいいじゃない!(6月2日)

 

そびえているのは、柏葉アジサイ。葉が柏の形。(6月5日)

 

ここにもあった日が当たって純白のアジサイ。(6月9日)

 

6月は何と言ってもアジサイの月だ。

 

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貫井徳郎『天使の屍』を読む

2021年06月19日 | 読書2

 

貫井徳郎著『天使の屍』(集英社文庫ぬ1-4、2009年2月25日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

平穏な家族を突然の悲劇が襲った。中学二年生の息子が飛び降り自殺をしたのだ。そして遺体からはある薬物が検出された――。なぜ彼は十四歳で死ななければならなかったのか。原因はいじめか? それとも? 遺された父親はその死の真相を求めて、息子の級友たちを訪ねてまわる。だが世代の壁に阻まれ、思うにまかせない。そして第二の悲劇が……。少年たちの心の闇を描く、傑作長編ミステリ。

 

青木:イラストレーター。妻は美保子。血のつながらない息子は中学二年の優馬。

光岡:優馬の担任教師。20代前半の女性。3年目。

水原佑:優馬の親しい友人。現実的で冷静。「青木(優馬)の気持ちも考えてあげてください。青木のことを思うなら、いたずらにつつき回したりしないでください」と語る。

永井:優馬の友人。世界を飛び回る母と二人暮らし。表面的にはいい子。

園田:優馬の友人。オドオドしている。

常盤暁子:優馬の同級生。美人でボーカリスト志望。

米倉文哉:鈴木(偽名)。青木を脅迫。郁美は友達。

平井:刑事。生活安全課

 

この作品は1996年11月に角川書店より単行本として、2000年5月に角川文庫として刊行。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

そもそも息子の優馬の自殺の原因がわからず、他殺の可能性もあるうちに、友人たちが一人、また一人とビルから飛び降りてしまう。警察からはLSD服用していたと言われ、いかがわしい写真で脅される。すべてが判然としないうちに、事件は広がっていく。このあたりの読者を引きずり込む著者の筆力は確かだ。

 

なさぬ仲ゆえに、むしろ強く息子の悩みに気づけなかった自分を責め、犯人捜し、死の原因探しに突っ込んでゆく父親の気持ちは理解できるのだが、警察に頼らずにここまで一人でやるか?

 

犯人(?)の動機がいまひとつ腑に落ちない。

 

 

貫井徳郎(ぬくい・とくろう )の略歴と既読本リスト

 

 

お勉強

屯(たむろ)する

窶(やつれ)た

直截(ちょくせつ)「ちょくさい」は慣用読み

韜晦(とうかい):自分の才能、身分などを包み隠すこと

 

 

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貫井徳郎『被害者は誰?』を読む

2021年06月17日 | 読書2

 

貫井徳郎著『被害者は誰?』(講談社文庫ぬ2-4、2006年5月15日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

豪邸の庭に埋められていた白骨死体は誰なのか? 犯人が黙秘を貫く中、警察は押収した手記をもとに、被害者の特定を試みるが……。警視庁の桂島刑事から相談される、迷宮入り寸前の難事件の数々。それを解き明かすのは、頭脳も美貌も態度も規格外のミステリー作家・吉祥院慶彦(きっしょういんよしひこ)。痛快無比! 本格推理の傑作。

 

普通のミステリーのように読者が犯人を探すのではなく、被害者、目撃者、誰が探偵か、を探すという構成の4編の連作短編集。

 

「被害者は誰?」

豪邸の庭に埋められていた白骨死体。その家の主人・亀山俊樹が犯人であるのは明らかなのだが、亀山は被害者が誰かについては黙秘を貫いていた。警視庁捜査一課の桂島刑事が頼ったのは、大学時代の先輩で、今はミステリー作家で、容姿端麗,頭脳明晰だが、尊大で口が悪く、けちで、ナルシストな吉祥院慶彦だった。
警察が自宅から押収した手記には、元妻の亀山美枝子と思われるミコが度々登場し、さらに「自分はこの三人の女性の誰かを殺すだろう」と書かれていた3人は田之浦亜紀、妹、富士喜子だろうか?

 

「目撃者は誰?」

男は学生時代に高嶺の花と憧れていた旧姓綾瀬の美春と10年ぶりに再会した。美春は男の同僚の妻になり、同じ社宅に引っ越してきたのだ。すぐに不倫関係になってしまった二人に現金2万円を要求する脅迫状が届けられる。おそらく、向かいの棟に住む3人の同僚の誰かが、密会の現場を目撃したと思われる。
一方、桂島刑事は、学生時代の友人・薬師丸から、同じ社宅に住む3人の人間のもとに、身に覚えのない、2万円分の旅行券が送られてきたという奇妙な相談を受けた。

 

「探偵は誰?」

新作のネタが思い浮かばなかった吉祥院は、自らが学生時代に解決したモデルクラブ社長殺人事件の登場人物の名前を変えて小説を書いた。桂島刑事は、登場する男性モデル4人、栗本、松沢、梅田、柿生のうち誰が吉祥院なのかを当てる賭けをする。

 

「名探偵は誰?」

先輩が交通事故で足を複雑骨折し、入院してしまった。加害者への怒りを抑えきれない先輩だったが、相手が、若くて美人の茅部であることを知ると、態度を豹変させる。それから、その女性はちょくちょく見舞いに訪れるようになるのだが、どうやら見舞い以外に、病院を訪れる目的があるらしく……。

 

 

本書は2003年5月に講談社ノベルスより刊行。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

軽く読めて、誰が被害者か、目撃者か、探偵かを探るミステリーという構成は面白い。

 

しかし、あまりにもお手軽ミステリーだ。吉祥院先輩と桂島刑事のキャラが軽く、二人の会話が安っぽいコメディで薄っぺら。ところどころに挿入される挿絵がまるで素人絵で、いやます感を増す。

 

 

貫井徳郎(ぬくい・とくろう )の略歴と既読本リスト

 

 

お勉強

彼我(ひが)の生活環境の違い:他人と自分

天網恢恢疎にして漏らさず:天網は目があらいようだが、悪人を漏らさず捕える。

綸言(りんげん)汗の如し:出た汗が再び体内に戻り入ることがないように、君主の言は一度発せられたら取り消しがたいこと。

フーダニット:Who done it? 「やったのは誰か」 犯罪小説、映画で、最後まで犯人がわからないようにしてあるもの。

 

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夏川草介の略歴と既読本リスト

2021年06月16日 | 読書2

夏川草介(なつかわ・そうすけ)の略歴と既読本リスト


1978年大阪府生れ。信州大学医学部卒。長野県の病院にて地域医療に従事。
2009年、『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞受賞しデビュー、本屋大賞第二位。

他に『神様のカルテ2』、『神様のカルテ3』、『神様のカルテ0』、『新章 神様のカルテ』、世界数十か国で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』、『始まりの木』、コロナ禍最前線の経験によるドキュメント小説『臨床の砦』、『レッドゾーン』、『スピノザの診察室』『本を守ろうとする猫の話

ペンネームは、好きな作家の名を並べたもの。夏は夏目漱石、川は川端康成、草は漱石の「草枕」から、介は芥川龍之介。神様のカルテの主人公・栗原一止(いちと)は「夏目漱石」のファンで、「草枕」が愛読書。

 

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夏川草介『臨床の砦』を読む

2021年06月15日 | 読書2

 

夏川草介著『臨床の砦』(2021年4月28日小学館発行)を読んだ。

 

小学館のサイトの「書籍の内容」は以下。

緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作
「この戦、負けますね」
 敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い患者が数多く出てきている。医療従事者たちは、この一年、誰もまともに休みを取れていない。世間では「医療崩壊」寸前と言われているが、現場の印象は「医療壊滅」だ。ベッド数の満床が続き、一般患者の診療にも支障を来すなか、病院は、異様な雰囲気に包まれていた。
「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より

 

「神様のカルテシリーズ」で知られる夏川草介氏は、消化器内科医として最前線で新型コロナウイルス感染患者の治療に1年以上あたってきた。孤立無援の中のあまりにも過酷な体験をもとにした記録小説。

 

信濃山病院の感染症治療チーム

敷島寛治: 18年目の消化器専門の内科医。42歳。妻は実希、子供は小学生の桐子、空汰。

三笠:リーダー。内科部長で腎臓内科の医師。

千歳:50歳を超えるベテラン外科医。龍田の上司。

龍田:外科医。

日進:肝臓内科。48歳。

音羽:糖尿病内科医。女性。

四藤:感染担当看護師

赤坂:感染症病棟看護師

コロナウイルス患者:平岡大吾(62)、根津九蔵(70)、森山(82)、他

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

あなたにはこの本を読む義務がある。

 

夏川草介(なつかわ・そうすけ)の略歴と既読本リスト

 

多くの患者の症状(p10)

軽い風邪の症状で始まり、多くの患者は数日から一週間程度の経過で改善する。しかし、中には急激に呼吸状態が悪化してくる患者がいる。断続的に発熱が続き、ふいに酸素濃度が下がってくる。大きな変化もなく4,5日が経過し、突然変化することがある。…恐ろしいのは、酸素状態の悪化している患者の多くが、しばしば症状が目立たないことだ。

 

感染者の遺体(p139)

遺体も感染源になりうるので、専用の巨大なゴミ袋のような黒い袋に詰められ、外側からテープで賢首に目張りされ、白いシーツに包まれてから排出される。霊安室で葬儀業者の柩に移されたあと、柩の外側からさらにテープで頑丈に目張りされる。そのまま業者の手で直接焼き場に運ばれて骨となる。死者の顔を見ることはないし、家族の付き添いも迎えもない。(家族は遺骨を受取るだけだ)

 

感染第三波の予感(p19)

去年の感染一波、二波のときに、うまくいきすぎたんだよ。…わずかな患者の増加だけで拡大を止めることができた。その成功体験が残念ながら裏目に出ているんだと思う。あの時とは比較にならない大きな波の気配があるのに、役所の対応は鈍重で、周辺の医療機関も無警戒。一般人の態度も明らかに緩んで見える。

 

アイソレーター:救急車に収容された患者からの周囲の人への飛沫感染を防ぎ、袋越しに手袋を介して患者に措置ができる装置。頭側のダクトから外気を取り込んでそのまま救急車の外に排気できる特殊な袋。患者の吐き出した空気は車内にでることなく、フィルターを介して直接車外へ放出される。

 

 

参考

「相模原論文」(p196)

感染症学雑誌2020 Vol.94 No.4  ONLINE JOURNAL 「市中病院で経験した,人工呼吸器装着が必要であった重症COVID-19肺炎の感染対策,治療について」(全文はPDF

m3.com(医療従事者専用サイト)ニュース・医療維新 「第1波の混乱の中、「相模原論文」に勇気づけられた-医師、小説家の夏川草介氏に聞く

 

 

坩堝(るつぼ)

 

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6月(1)の花

2021年06月14日 | リタイヤ生活

 

6月7日に届いた花

ピンクと白とオレンジのそれぞれ2本のバラ、薄ピンクバラ1本。

オレンジ6輪と黄色5輪のスプレーバラ

赤い玉の3本のセンニチコウと

カスミソウとレザーファン

 

 

やっぱりバラは華やかな女王様。

 

2日経ってもう最盛期か?

 

ピンクのバラ

 

気品ある淡いピンク

 

1本の茎から4輪のスプレーバラ

 

オレンジのスプレーバラはもはや盛りを過ぎた。

 

小さな千日紅。百日紅より寿命が10倍長いはずだが??

 

写真が霞んでしまったカスミソウ

 

3日後にはもはや滅びる寸前の哀れさただよう美しさ。夏の花の宿命。

 

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宇佐見りん『推し、燃ゆ』を読む

2021年06月13日 | 読書2

 

宇佐見りん著『推(お)し、燃(も)ゆ』(2020年9月30日河出書房新社発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。

 

著者は、デビュー作『かか』で第33回三島賞を受賞し、第二作の本書で第164回芥川賞を受賞した21歳。

2021年上半期を代表するベストセラー小説となっている。

 

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」で本書は始まる。アイドルグループ「まざま座」の上野真幸(まさき)というメンバーを「推す」ことに全てを捧げる高校生の“あかり”の物語。


真幸のおっかけに専念するあかりは、学校生活もバイトもうまくゆかず、母や姉との関係もおかしくなって、心身の不調を抱える。唯一の支えが「推し」(真幸)の存在であり、推しを推し続けることで、なんとか生きながらえている。

推しのグッズを集め、CDやDVDを保存用、鑑賞用、貸出用に3部買い、「推し」の声で起こしてくれる目覚まし時計を購入し、金がかかるライブに足を運ぶために叱られながらバイトする。推しの作品と人となりを解釈するブログを出し続けて、ブログファンもようやくできてきた。推しに打ち込むあいだだけ、「余計なものが削ぎ落とされて、背骨だけになって」「重さから逃れられる」。

 

そのさなか、「推し」がファンを殴ったという噂が広まり、「推し」は叩かれ、燃えた(炎上した)。「推し」の芸能生活に危機が迫り、あかりの生活の背骨が揺らぐ。

 

「推すことはあたしの生きる手立てだった。業だった。最後のライブは今あたしが持つすべてをささげようと決めた」

 

 

初出:「文藝」2020年秋季号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

新し気なテーマの選定に不満はないし、文章はうまいし、構成も巧みだ。文才があることは間違いない。唯一の心配は、その後の活躍には不満がある、あの綿矢りさの登場を思わせる点だけだ。

 

「推し」という行動、その背景が、年寄にもなんとなく理解できた点はグー。

 

推しという行為に追い込まれていく孫のような少女を、小説なのに、ついつい心配してしまう。何にでも、例えば勉強でも、結局、逃避に過ぎないといえば言えるのだろうが、将来が引きこもりにしか見えないので、孫が(??)心配だ。

 

“推し”という言葉がまだぴんと来ない。ようやく“おっかけ”が馴染んできたのに、もう“推し”とは、トホホ!!推しは対象を指す言葉にも使えるし、行動としても推しの方が積極的な感じがする?

 

 

 

宇佐見りん(うさみ・りん)

1999年静岡県沼津市生まれ、神奈川県育ち。現在大学生、21歳。

2019年、『かか』で第56回文藝賞(遠野遥と同時受賞)、史上最年少で第33回三島由紀夫賞を受賞。

2021年、『推し、燃ゆ』で第164回芥川賞を受賞。

 

 

お勉強の時間

居竦(いすく)まる

非難囂囂(ひなんごうごう) こんなの漢字で書く必要あるの?

「(携帯の画面を覗いていて)、その気の抜けた顔がかわいくてスクショした。」 スクリーンショットでしょ? おじいさんだって知ってたもん!

 

 

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コロナでコロナが休業

2021年06月12日 | 散歩

 

喫茶店の休業案内が張り出されていた。

 

店の名前は「コロナ」。

 

おふざけに使ってしまって申し訳ないが、あと数か月耐えて、またクラシカルな憩いの場を提供して欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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首藤瓜於『脳男』を読む

2021年06月11日 | 読書2

首藤瓜於(しゅどう・うりお)著『脳男』(講談社文庫し12-1、2003年9月15日発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処(ありか)を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが……。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。

 

中部地方の愛宕(おたぎ)市で、連続爆破事件が発生する。警察が、ワイヤの切り口から使用された爆弾製造の弓ノコをたどって容疑者・緑川のアジトに踏み込むと、鈴木一郎が緑川と格闘していた。
逮捕された鈴木は、次に爆弾が仕掛けられている場所を供述したために共犯と見なされた。また、過去について一切供述せず、不審な人物として精神鑑定を受ける。鑑定医の医師・鷲谷真梨子は様々なテストが行うが、異常な点は一切なくて、異様なほどすべてが全く偏りなく平均だった。しかし、一度見たものは、全て完全に記憶でき、忘れないし、多数の言語も使える男だった。

 

鈴木一郎:戸籍上では29歳。偽名。常に丁寧であるが、感情がないのではと推測される。

鷲谷真梨子:ハーバード卒業し犯罪者精神鑑定施設勤務して、帰国直後苫米地に鈴木一郎の精神鑑定を委嘱される。32歳。

苫米地(とまべち):真梨子の上司の精神科部長。司法鑑定の第一人者。鈴木一郎の鑑定を真梨子に任せた。

空身(うつみ):CT室責任者。世界的学者だが、院内のゴシップ通。

茶屋:警察官。身長190cm、体重120kgの巨漢。

黒田雄高:県警のベテラン鑑識課員。茶屋が信頼を置く。

緑川:連続爆弾犯。33歳の真面目な会社員。

金城理詞子(きんじょう・りすこ):タレントで、開催した怪しげなパーティーで爆発が起こる。

灰谷六郎:大物の国会議員転院しようとした救急車が爆発し死亡。

緋紋家耕三:目が見えないのに一代で財産を築き上げた、愛宕市の有名人。鈴木一郎の供述で爆弾を免れた。

入陶倫行(いりす・のりゆき):愛宕市に住んでいた入陶財閥の当主。交通事故で娘夫婦を亡くし、橡木(とちのき)クリニックに預けていた孫の大威(たけきみ)を引き取り暮らしていたが、11年前に火災で死亡。

 

本書は2000年9月講談社より単行本として刊行。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

破格なミステリーと期待したが、それほどのものではなかった。感情のない男との設定は面白いが、周囲の真梨子や茶屋のキャラが立っていなくて、鈴木の引き立て役ばかりで活躍の場がない。連続爆弾犯の緑川の描写がほとんどなくて、こちらも引き立て役か?

 

無駄な描写が多い。サバン症候群や自閉症もほとんど言葉だけ。例えば、ワイヤを潜り抜ける描写が3頁に渡り延々。

 

地名、人名が特殊で、読み方が覚えにくい。もっと普通の名前にして欲しい。年寄にはキツイ。愛宕市(おたぎし)、愛和会(めいわかい)、曲輪(くるわ)などズラズラ。

 

 

首藤瓜於(しゅどう・うりお)

1956年栃木県宇都宮市出身。上智大学法学部卒。会社勤務を経て、
2000年、本書『脳男』で第46回江戸川乱歩賞受賞しデビュー。

他に、『事故係 生稲昇太の多感』、『刑事の墓場』、『指し手の顔 脳男II』、『刑事のはらわた』、『大幽霊烏賊 名探偵 面鏡真澄』、『ブックキーパー脳男

 

 

 

お勉強

鞴(ふいご)

末梢神経が顫(ふる)え。顫動(せんどう):小刻みにふるえ動くこと。

陋劣(ろうれつ):いやしく劣っていること(さま)。下劣。

 

真梨子の言葉(p354)

「わたしたちという存在は無数の雑多な感覚の集積にほかならないけれど、聴覚、視覚、触覚など五感からの情報は信じがたい速度で移り変わり流れ去っていくわ。それをひとつにまとめあげ、意味のあるものにしているのが自我というものよ。……文化や生活習慣や長じては主義や思想を学ぶことによって、感覚の雑多な集積でしかない人間は少しずつまとまりをもった存在になっていく。つまり、単にうつろいやすい感覚の集合体ではなく、確固として持続的な個人になるという訳ね。でも、あなたの場合は違っていた」

<主要文献> 『マルクス・アウレリウス「自省録」』

 

 

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中山祐次郎の略歴と既読本リスト

2021年06月10日 | 読書2

中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)の略歴と既読本リスト

 

1980年神奈川県生。聖光学院高等学校卒業後2浪を経て、鹿児島大学医学部卒。
都立駒込病院で研修後、同院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。2017年2月-3月にから福島県高野病院院長を務め、その後、福島県郡山市の総合南東北病院外科医長として勤務。

モットーは「いつ死んでも後悔するように生きる」。

著書「幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと〜若き外科医が見つめた『いのち』の現場三百六十五日〜」(幻冬舎)、 『医者の本音』、『泣くな研修医』、『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』『走れ外科医 泣くな研修医3』。

 

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中山祐次郎『走れ外科医』を読む

2021年06月09日 | 読書2

 

中山祐次郎著『走れ外科医 泣くな研修医3』(幻冬舎文庫な46-3、2021年3月10日幻冬舎発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

若手外科医・雨野隆治のもとに急患で運ばれてきた二十一歳の向日葵(むかい あおい)。彼女はステージⅣの癌患者だった。自分の病状を知りながらも明るく人懐っこい葵は、雨野に「人生でやっておきたいこと第一位」を打ち明ける。医者として止めるべきか? 友達として叶えてあげるべきか? 現役外科医が生と死の現場を圧倒的リアリティで描く、シリーズ第三弾。

 

シリーズ第一弾は『泣くな研修医』、第二弾は『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』。

 

雨野隆治:東京下町の総合病院「牛之町病院」で外科医になって5年目。真面目で不器用だが、患者にはついつい迎合的になり、辛い事を言えない。恋人はるかにはめったに会えない。

佐藤玲:美人で冷静な外科医。雨野の直接上司。33歳。恋人は天文学者の渋谷。鷹子は友人の医者。

岩井:雨野の指導医で優秀な外科医。

川村:雨野と同期の要領の良い耳鼻科医。

西桜寺(さいおうじ)凛子:外科医を目指す優秀な研修医。父は世田谷区長。華やかで型破り。勉強熱心。

吉川佳代:愛想のよい看護師。態度の大きい看護師は佐久間

向日葵(むかいあおい):21歳。ステージⅣの胃癌。肺へ転移あり。海外旅行と富士登山希望。

柏原:憩室炎で食事禁止の患者。区議会議員。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

とくに引っ掛かる所もなくあっという間に読める。わかりやすい文章で、展開は予想通りで、安心して楽しめる。

 

冷徹、強気、美人の佐藤玲と、物おじせず誰とでもコミュニケーションとれる凛子のキャラは相変わらずa魅力的。

 

雨野の医療技術が上がってほぼ一人前になったので、ハラハラする場面がなくなって、面白味が少なくなった。まあ、小説だから仕方ないが、患者第一で、医者としての立場を無視して突っ走ってばかりなのには、付いて行くのが大変。

 

さいごがウンチで終るのも、どうなの? ユーモアのつもり?

 

中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)の略歴と既読本リスト

 

 

松任谷由美の「ひこうき雲」の歌詞が1番だけ引用されている(p348)。しかし、最初の一行が違っている。
「白い坂道が夜まで続いていた」ではなくて、「白い坂道が空まで続いていた」だ。「三人とも歌詞はあんまりわからない。」とあり、夜空を見ながら歌っているのだが、勝手に歌詞を変えてはいかんぞ。巻末にJASRACの許可番号?があるが、チェックもしないで許可するな!

 

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