hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

2月の散歩花

2022年02月27日 | 散歩

 

このところ寒さもあって散歩もさぼりがち。

歩数計で計算してみる。

1月は72,417歩で一日平均2,336歩、

2月は19日現在、一日平均2,614歩。

昨年9月~12月は一日平均2,921歩だったのに比べて、明らかに散歩不足だ。4000歩が目標だ。

冬ということで花が少ない上に、散歩不足で写真、話題が少ない。

 

 

マーガレット? アルペン・アスター?

画像検索に頼らず、このくらいの花は一目で名前が分かるようになりたい。

 

同上?

 

小さなチューリップ。これでも十分大人なのだろう。何か健気で、愛おしくてじっと見てしまう。

 

下の画像をGoogle画像検索してみたら、「fence」と出て来た。確かに「柵」なのだが、「君! 真面目過ぎるよ」。

ちなみに、花だけ切り取って検索すると、誰でもわかる「garden rose」園芸バラと正解。

 

溢れるような柑橘類

 

大きな木に一杯に実る柑橘類?

 

ミモザの木。待ち遠しいが、我がデータベースからみて、3月中頃にはモアモアの黄色い花が咲くのだ。

 

定点観測地点のこのお宅のミモザ、2018年3月26日にはほぼ満開だった。

 

2019年3月11日はほぼ満開。

このミモザは、我がデータによれば、3月中旬には満開になるのだ。

 

しかし、2021年2月17日には既に満開になっていた。常に例外はある。去年は暖冬だったっけ??

 

 

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町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』を読む

2022年02月25日 | 読書2

 

町田そのこ著『52ヘルツのクジラたち』(2020年4月25日中央公論新社発行)を読んだ。


自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚(きこ)は東京から逃げるように移り住んだ大分県の海辺の町で、同じように母親から虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年と出会う。貴瑚は52と名付けた少年を助けようと奮闘し、友人、町の人々などと少しずつ触れ合い、助けられる中で、孤独で、裏切られてきた二人ともが新しい物語を作っていくことになる。

 

「52ヘルツのクジラ」は、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴くので、たくさんの仲間がいても他のクジラには何も声が届かない孤独なクジラ。

2021年本屋大賞受賞。

 

 

三島貴瑚(きこ):キナコ。母は弟の真樹しか愛さず、虐待される。5年前、21歳だった貴瑚は義父の介護に明け暮れていた。事件が起こり祖母の家だった大分県の海辺の家に移り住み、静に暮らそうとする。

愛(いとし):貴瑚が52と名付けた。母・琴美からムシと呼ばれ虐待されていた。

村中眞帆(まほろ):修繕業者。貴瑚の友人だが、実は……。

牧岡美晴:貴瑚の高校の同級生。

品城(しなぎ):老人会会長。元中学校長。琴美の祖父。

岡田安吾:アンさん。美晴の勤務する学習塾の講師。キコの52ヘルツの声を受け止めてくれた人。

新名主税(にいな・ちから):貴瑚が勤めていた会社の専務。

 

この作品は書き下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

貴瑚が移り住んだ大分の海辺の町での出来事、何人かとの出会い、謎の52と名付けた少年を必死に助けようと奮闘し、その中で貴瑚のあまりにも辛い過去が徐々に明らかになるという前半は感動の場面もあり、引き込まれてしまい、「五つ星」だ。なんといっても孤独な「52ヘルツのクジラ」という発想が良い。

 

しかし、主税の登場で、アンさんとの関係がおかしくなるあたりから、冗長となり、最後の部分はまた持ち直してくるのだが、全体として後半はまあまあの「四つ星」。

 

 

町田そのこ(まちだ・そのこ)

1980年、福岡県生れ。福岡県在住。理容師専門学校を卒業後、理容師や和菓子店員、葬儀関係などの職を転々とした。結婚、出産後の28歳から作家活動を始め、離婚、再婚を経て、現在は3児の母。当時、2歳の子を左手に抱いたまま、右手でガラケイに入力して携帯小説を書いていたという。

2016年「カメルーンの青い魚」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞
2017年、同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー
2021年、初の長編小説『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞受賞

その他、『ぎょらん』『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店』『うつくしが丘の不幸の家』

中央公論新社の特設ページのNewsで、町田さんへのインタビューがいくつか読める。

 

メモ

「死ぬくらい追い詰めてくるものはもう『恩』とは呼べないんだよ。それは『呪い』というんだ」(p86)

雨の紗幕(しゃまく):紗のような幕

孫が誑(たぶら)かされて

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お酒はなくとも、チョコレートがいっぱい

2022年02月23日 | 食べ物

 

病でも中毒が理由でもないし、宗教上の理由でもないのだが、ここ数年、私はアルコールを一切飲まないことにしている。人生の大切な楽しみを何故と問われても、お酒が好きでもないのだから仕方がない。夏のコップ一杯の冷えたビールは正直うまいと感じるが、2杯目からは惰性で飲むだけだ。

 

このところ控えている楽しい歓談も、私は酒なしで充分だし、普段と違い陽気になって、自分自身を十分コントロールできない状態になるのは私の流儀ではない。

 

脱線だが、40年前までタバコを吸っていた。といってもときどき禁煙してみて、禁煙できることを確かめてからまた喫煙していた。当時は禁煙が趣味だと言っていた。要するに自分をコントロールできないのが嫌なのだ。子どもが生まれてから禁煙し、以後まったくタバコは吸っていない。

 

ということで、私は甘党だが、歳と共に“甘さ控えめが良し”となってきた。3時に食べるケーキは相方と半分ずつだし、コーヒーにも砂糖は入れない。もはや特に甘党と呼べるほどではないが、チョコレートは好きだ。といっても普段は「チョコレート効果 CACAO72%」をたまに1,2粒ほど口にするだけなのだが。

 

まえがきが長くなったが、今回は、知人からいただいたチョコレートのご紹介。

PIERRE MARCOLINI ピエール・マルコリーニは上質なカカオを求めて毎年30か国ほど訪れるという(VOYAGES & PASSION)。

 

なんとも美しいチョコレート。

 

もうひとついただいたのは岡山県総社市の「パティスリー シエルブルー」のマカロンとビスタ―シュ。

 

左のビスタ―シュは、見た目濃厚なチョコレート菓子だが、ボリューム感ある淡白な味で、イケる。

 

マカロンは5種。

マカロンって、美味しいのだが、なぜこんなに高いのだろう。作るのにそんなに手間がかかるのだろうか?

 

 

 

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伊坂幸太郎『ペッパーズ・ゴースト』を読む

2022年02月21日 | 読書2

 

伊坂幸太郎著『ペッパーズ・ゴースト』(2021年10月30日朝日新聞出版発行)を読んだ。

 

朝日新聞出版の宣伝文句

中学の国語教師・檀は、猫を愛する奇妙な二人組「ネコジゴハンター」が暴れる小説原稿を、生徒から渡される。さらに檀先生は他人の未来が少し観える不思議な力を持つことから、サークルと呼ばれるグループに関わり始め……。
最新刊『逆ソクラテス』より1年半ぶり、最新長編『クジラアタマの王様』より2年3ヶ月ぶりとなる、著者最新刊。作家生活20周年超の集大成となるような、一大エンターテインメント長編です。この伊坂作品を待っていた!

 

猫の虐待者(ネコジゴ)を捕まえて制裁を加えるネコジゴハンターの2人「ロシアンブル」と「アメショー」が富豪の罪村に制裁を加えるところから始まる。ただし、この2人が登場する場面は鞠子が創作している小説の中の話であり、ページ上部に横棒が引かれていて、本文とは区別される、途中までは。

 

が受持生徒の里見大地が乗る新幹線が事故にあう<先行上映>を見る。居もしない占い師を持ち出して大地に伝え、予定を変えて、事なきを得た。檀は大地の父・里見八賢と話し合い、やがて行方不明となった八賢の件でサークルのメンバーに巻き込まれていく。

 

以下、檀先生、猫虐待者を制裁する二人組、そして被害者の会の成美彪子の3者からの視点で交代して話が進む。

 

ペッパーズ・ゴーストとは、

…劇場や映像の技術のひとつで、ペッパーさんなる人が関係していたはずだが、照明とガラスを使い、別の場所に存在する物を観客の前に映し出す手法だ。…

 小説の中の二人組が、スポットライトを当てられ、私の前に出現したと言われれば、そうかもしれないと思いたくなった。(p216)

 

この作品は書下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

伊坂ファンの私にとっては、特別ではないが、いつもの面白さだ。

 

制裁者の悲観的なロシアンブルと楽観的なアメショーの凸凹コンビのやりとりが、伊坂節で、ユーモラスで面白い。

小説の中の二人の出来事が実世界と並行して語られ、突然二つの世界が融合する構成も、混乱するが面白い。

 

 

被害者の会のメンバーが善なのか悪なのか、よく解らない不可思議なまま話が進んでいく。私はそんな読み方もできるので、許せるのだが、人によっては、はっきりしないまま不安定な状態で読む続けるのは不快かもしれない。

 

底に流れるテーマ(テロの良し悪し、ニーチェの解釈など)は不消化で、傑作とは言えないと思う。しかし、表層の面白さを味わうのが伊坂作品と思っている人は合格点だろう。

 

 

伊坂幸太郎の履歴&既読本リスト

 

 

千郷(だん・ちさと):中学校の国語教師。35歳。飛沫を掛けられた相手の明日の一シーンを見ることができる<先行上映>能力が備わっている。サークルには段田を名のる。

吉村先生:檀先生の同僚。数学教師。女性。

布藤鞠子(ふとう・まりこ):檀先生の受持ち生徒。小説を執筆中。

里見大地:檀先生の受持ち生徒。父、祖母と三人暮らし。

友沢笑里(えみり):中学生。布藤鞠子の友人。

里見八賢(はっけん):大地の父親。公務員。行方不明となる。

 

ロシアンブル:ネコジゴハンターの一人。通称シアン。悲観的な性格。

アメショー:ネコジゴハンターの一人。楽観的な性格。

罰森罰太郎:ネコジゴの一人。動画配信や仮想通貨で富を築いた富豪。

 

サークル(カフェ・ダイヤモンド事件の被害者の会)のメンバー

庭野:30代男性。庭師。サークルのまとめ役。

野口勇人:20代男性。姉が庭野と婚約していた。

羽田野:60代男性。元小学校校長。

成海彪子(なるみ・ひょうこ):20代女性。カンフー映画を好む。

庸雄・康江:60代。医師と看護師の夫婦。

哲夫:50代男性。元工場勤務。

沙央莉:20代女性。

将五:20代男性。

 

マイク育馬:TV番組の司会者

天童:東京ジャイアンツの4番打者。

 

 

メモ

後ろの私が閊(つか)えていることに気づき(p331)

 

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2月(1)の花

2022年02月19日 | リタイヤ生活

 

2月7日に届いた花

 

スイートピーが、淡いピンク2本、ピンク、白2本、黄色2本、紫2本。

紫のアネモネ2本、リューココリーネ2本と、サンデリーホワイト1本。

 

左下の紫のアネモネは、このあと茎が折れて、花は蕾のままドライフラワーに。

紫のリューココリーネは元気。

 

ピンクのスイートピーが美しい。松田聖子が歌ったときは、まだ「赤いスイートピー」は無かったと聞いたが?

 

右上と左下のまだら紫のスイートピーはじっと見ると何か不気味。

 

 

翌日には早くも最盛期。

今月はちょっと寂しい。

 

 

生き残ったアネモネも5日後には、滅びの前の美しさに。

 

 

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東野圭吾『透明な螺旋』を読む

2022年02月17日 | 読書2

 

東野圭吾著『透明な螺旋』(2021年9月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

文藝春秋BOOKSの作品紹介は以下。

シリーズ第十弾。最新長編。
今、明かされる「ガリレオの真実」。

房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。

「愛する人を守ることは罪なのか」
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。

 

秋田から東京に出て来た女性がバーテンをしていた矢野弘司と知り合い妊娠した。しかし結婚前に矢野は突然病死し、女性は生まれた女の子を児童養護施設前に籠に入れ、上に乗せた人形の背中に名前を書いて、置いた。

 

島内園香は上野の生花店での仕事を終えて、母・千鶴子が待つアパートへ帰宅したが、まだ50前の母は倒れていて死亡した。園香が唯一頼れるのは母の二回り以上年上のナエと呼ぶ絵本作家・松永奈江だけだった。

 

園香は生花店で知り合った映像関係に仕事をする上辻と交際し同棲する。上辻は行方不明となり、園香は届を出す。園香が旅行中に上辻は背後から銃撃されて殺された。旅行から帰った園香は、アリバイがあるのに行方をくらます。

 

湯川学:通称ガリレオ先生。帝都大学物理学教授。父・晋一郎は認知症の母と横須賀に住む。松永奈江とメールのやり取りしていた。

草薙:警視庁刑事。係長。湯川と大学で友人。

内海薫:刑事。草薙の部下。女性。

岸谷:草薙の後輩刑事。主任。

根岸秀美:「銀座 VOWM」の経営者兼ママ。

 

本書は書下ろし

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

四つ星ばかりになりがちなので、あえて付けた五つ星。

 

話が見えてきて締めに入ったところで、再度「えっ!」がやってくる。

湯川の父母、過去が明らかになるのも、ガリレオファンとしては興味深々。しかも、湯川が謎解きだけでなく、自分自身のプライバシイが事件と絡み合っている。湯川が母親を介護したり、高校時代に恋人がいたり、母親に本当の気持告白したりする、このあたりは、神が凡人化した感もあり、是々非々だ。

 

いつもの物理学を応用した推理がなく、ガリレオ先生らしくないので、シリーズの異端児になっている。

何人か本当の名前が明らかにされないまま話が進められ、ゴチャゴチャになりやすく、ズルい。

 

80冊近く読んだ東野本には中立な評価は難しい。(東野圭吾の略歴&既読本リスト

 

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朝倉かすみの略歴と既読本リスト

2022年02月16日 | 読書2

朝倉かすみ(あさくら・かすみ)

1960年北海道生まれ。
2003年「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞を受賞。
2004年「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞を受賞し作家デビュー。
2009年『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞。
2017年『満潮』が山本周五郎賞候補
2019年『平場の月』で山本周五郎賞受賞、直木賞候補。

他に、『ロコモーション』、『てらさふ』、『ぼくは朝日』、『声出していこう』、『夏目家順路』、『恋に焦がれて吉田の上京』、『静かにしなさい、でないと』、『にぎやかな落日』など。

 

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朝倉かすみ『にぎやかな落日』を読む

2022年02月15日 | 読書2

 

朝倉かすみ著『にぎやかな落日』(2021年4月30日光文社発行)を読んだ。

 

光文社の紹介文

誰もがいつかこんなふうに感じる。
北海道で独り暮らしをするおもちさん、83歳。夫は施設に入り、娘は東京から日に二度電話をくれる。実は持病が悪化して、家族がおもちさんの生活のすべてを決めていくことに。
不安と苛立ちと寂しさと、懐かしさと後悔とほんのちょっとの幸せと、揺れては消える老境の心情が、静かに切々と迫ってくる。
ベストセラー『平場の月』の著者が、ひとりの老女の内面に寄り添う、新たな代表作。

 

おもちさん:主人公。島谷(しまや)もち子。夫の勇さんは特養に入り、82歳から一人暮らし。

本当はまち子だったが届ける時に、「ま」と「も」を間違えて(まともでなく)、「もち子」なった。

時々記憶が飛ぶまだらぼけ状態。糖尿病で食事管理が必要だが、ついお菓子など食べてしまい、看護師などに追及され、なんとか誤魔化そうとする。

社交的、ほがらか、おしゃれ。主張は曲げず、いろいろ言い募って抵抗するが、結局、娘や医者に丸め込まれてしまう。

ちひろ:おもちさんの娘。東京に住んでいて、日に2回電話をくれ、たまに帰省する。おもちさんの施設入りに苦労する。

トモちゃん:おもちさんの息子・隆弘の嫁。近くに住んでいて、優しいので良く面倒を見てくれる。40代。

 

 

初出は、「小説現代」2018年5月号、「小説宝石」2019年10月号~2020年12月号。「コスモス、虎の子、仲よしさん」は書下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

年取って一人暮らしができなくなるという辛い話だが、おもちさんの明るく、負けん気の性格が楽しい話にしている。まさに「にぎやかな落日」である。

そろそろな年齢の私は自分事として読んだが、若い人も、ああだこうだと抵抗するこんなおばあさんの話は面白いのでは?

 

おもちさんは、自由気ままで、友達も多い一人暮らしを楽しんでいた。しかし、病気で無理な状況になり、そのことを認めたくないのだが、なんとなくは自覚していて、娘に抵抗しつつ、諦めさせられる。一方で、明るく前向き、おしゃれでどこでも人気者になる性格で、よかげな施設でも楽しく暮らせそうでもある。

 

私だって、子供の世話になると、ありがたい気持ちが8割、なんだか逆転してしまったなとの懐かしさ1割、いたわられている無念の気持ち1割なのだ。

 

 

朝倉かすみの略歴と既読本リスト(2月16日掲載)

 

この小説に関するインタビューによれば、モデルは著者の母親だそうだ。

 

 

第1章(?)の最後には、おもちさんは何の変哲もない大学ノートを手に取る。これが日課になっている

表紙にはおもちさんの字で「たんす、おべんと、クリスマス」と書いてある。意味が分からない。なにを書こうとしていたのかも覚えていない。じっと見ていると……なぜか心がフワリと軽くなる。同時に猛烈に怖くなる。……。(p35~36)

第3章(?)にも、「……もういつ死んでもいいよネ、って言い合ってるんだよネェ」…「でも、今じゃないよ」と急いで足した。どこかで聞いている神様に「今のナシ」と言っておくようだった。……自宅の居間のセンターテーブルの下にしまっておいた帳面が頭に浮かんだ。表紙に「たんす、おべんと、クリスマス」と書いてある。(p94)

 

答えは、最後の第7章にある。このノートは娘が何でも書きとめるおもちさんにくれたもので、一万年以上永久保存が利くという。そして葬式の話になり、棺桶は桐、檜(ヒノキ)、樅(モミ)から選べるという。桐、檜、樅だから、たんす、おべんと、クリスマスだと笑った。(p237~238)

 

おもちさんが

「やっぱり人には美しいものが必要なのサァ。…」と一席ぶとうとしたのだが、娘は「あーでも」と躊躇なく遮った。トモちゃんのほうが他人のぶんだけ優しい、と思った。娘みたいにアッサリ話題を変えようとしない。

 

病院で、イヤホーンつけてTVを見ていたら、寝入ってしまった。娘が肩を叩き、パクパク口を動かしているのが、見えるが聞こえない。耳に入ってくるのは知らない人と自分の声だけ。「アレッ、どうしたの? チョットあたし、どうしたのサ」と手足をばたつかせていたら、娘がイヤホンを外してくれた。…おもちさんは「エーイこんなもの」とイヤホーンをテレビに投げつけた。」(p108)

 

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柚月裕子『ミカエルの鼓動』を読む

2022年02月13日 | 読書2

 

柚月裕子著『ミカエルの鼓動』(2021年10月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

文藝春秋BOOKSの作品紹介

この者は、神か、悪魔か――。
気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。

大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。

 

プロローグは、誰かが北海道・旭岳で遭難し、雪に倒れ、以下の独白で終る。

死ねない。まだ死ねない。やつが見つけたものを探し出すまで、死ぬわけにはいかない。歯をくいしばり、腕に力を込めた。

エピローグにこの場面は続く。

 

 

西條泰己(さいじょう・やすみ):北海道中央(北中)大学病院の循環器第二外科科長で病院長補佐。手術支援ロボット「ミカエル」での手術の第一人者で、その普及を使命と考えている。手術助手は医師3年目の星野。妻は美咲、義母は寛子

真木(まき):11年前に突然ドイツへ渡り、従来の開胸手術での優れた技術を示し、天才外科医と評される。曽我部に招かれて北中大病院の循環器第一外科科長に就任。

曾我部(そがべ):北中大病院の病院長。63歳。後継者として西條を盛り立ててロボット支援下手術を推進。コンサルタントに雨宮を招き、北中大病院を全国屈指の医療機関にしようとする。秘書役は関口

雨宮香澄(あめみや・かすみ):引き抜かれて北中大病院の経営戦略担当病院長補佐に。

白石航(しらいし・わたる):先天性の房室中隔欠損症の再手術のために北中大病院に転院。12歳の少年。

黒沢(くろさわ):ミカエルの黒い噂を追うフリーライター。

布施:広総大の心臓外科医で西條の弟子とも言える。38歳で自死。手術ミスが原因と噂される。

ミカエル像:病院中庭の温室に設置されている天使像。1mほどの高さで背中に羽が生え、右手に剣、左手に天秤を持つ。

 

初出:「週刊文春」2020年1月2日・9日号~2021年1月28日号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

西條は第一人者として自負があるミカエル主体での病院拡大を信じ、妨げとなる真木に対抗しようとする。その時に、ミカエル不具合の噂と患者第一の医の倫理が彼を悩ませる。
天才的外科医だが、完全無欠の善人でもなく、何が何でもライバルを打ち倒す問答無用の男でもないという設定が良い。柚月裕子さんの小説にも良く登場する上司やルール無視の乱暴男ほどの魅力はないが、なんとか道を見つけてバランスをとっていく西條と一緒に読者も悩める。

 

心臓外科という最先端手術の詳細な描写が丁寧に描かれる。少年の手術シーンは20頁も続く。人によっては飛ばし読みするだろうが、臨場感があり私には面白かった。巻末の謝辞には6名もの医者の名前が続く。さすが、力作家の柚月裕子が初めて挑んだ医療小説だ、力こぶが見える。

 

細かいことだが、ひっかかる点もある。不具合の噂があったら、自他ともに第一人者なら普段からいろいろ注文を付けているミカエルのメーカーに問いただすのではないだろうか。また、私なら試験的にミカエルをいろいろな条件下で動かしてみて、自分でも何か起きないか、試行してみる。まあこれは矮小な研究者根性の者だけかもしれないが。

 

 

柚月裕子 経歴&既読本リスト

 

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大宮八幡宮で初詣

2022年02月11日 | 日記

 

節分の日になって初詣。不要不急でない3回目のワクチン接種で出かけたあと、足を延ばしたのです。

なお、早い方が良いのでワクチンは1,2回目に続いてモデルナを選択しました。量は1,2回目の半分でした。相方は、注射あとが腫れて、熱も出て、おとなしくしていてようやく3日目に通常に戻りました。私は腫れもせず、熱もなく、まったく何もなく、憎らしそうな目でにらまれました。

 

大宮八幡宮は、奥州の乱(前九年の役)を鎮圧した鎮守府将軍・源頼義公が、行きに誓った通り康平6年(1063)、京都の石清水八幡宮より御分霊をいただいて、ここに神社を建てた。これが当宮の創建。主祭神は応神天皇。

この地の大宮という地名は、当宮の神域が広大であったことから名づけられたという。現在でも境内が15000坪あるという大きな八幡宮だ。

 

南参道から入り、結婚式場・清涼殿を過ぎて、神門へ。

 

神門を入ると、本殿があり、ここでお賽銭を投入。

向田邦子のお母さんは、お父さんが間違えて千円?を入れてしまったので、社務所へ行っておつりをもらってきたという。

 

拝殿の前に大勢の善男善女が。

 

当日は3月3日の節分の日。着いたのは11時だったので、10時から行われていた節分祭は終っていて、宮司による鳴弦の儀が行なわれていた。

 

矢は持たず、弦を鳴らすだけ。

 

今HPを調べてみると、この後、豆まきが行われたようだ。どうりで多くの人が並んでいた。我々は知らなかったので、いや知っていても、忙しいので(?)立ち去ったのだ。

 

 

神門前の笹の輪くぐり。呪文?を唱えながら、左、右、左と3回くぐってから神門へ入る。

 

約250mの表参道を逆に歩き、二つの鳥居を抜けて、大宮八幡宮を後にし、永福町へ向かった。

 

 

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永福町の「鮨 三河屋」でランチ

2022年02月09日 | 食べ物

 

始めての永福町駅前。ランチ処を探してウロチョロ。

12時23分、ラーメン店「永福町 大勝軒」には長い行列。行列嫌いな私は当然パス。

隣の昔の我家のような板壁の店は? 道路を渡ってみると、「鮨 三河屋」とある。ちょっと怪しげな雰囲気で、不安だったが、メニューに1050円とあったので、町のお寿司屋さんだろうと、入ってみた。

 

店内は7名ほどのカウンターの他に席が2,3テーブル、小さな店だ。

カウンターの前のメニュー。

 

「特上」「極上」は何故かパスし、「特選」なのに安いのが気に入って、私は「特選ちらし」。

久しぶりの味噌汁が極上。いや、もちろんちらしも、ネタも美味しかったです。値段の割に。

 

 

相方は、「特選にぎり」。

少食の相方から、2貫回って来て、お腹一杯。

 

店員さんも気さくで、店の外観はともかく、手軽な店だ。

我々の後から、3,4組次々と入って来たが、女性ひとりの客もいた。

 

駅から井の頭通りを渡ったすぐのところで便利だし、安くて満足できる味で、お勧めの店だ。

もう来ることもないだろうが。冷たい言い方!

 

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野澤幸司『妄想国語辞典』を読む

2022年02月07日 | 読書2

 

野澤幸司著『妄想国語辞典』(2019年6月9日扶桑社発行)を読んだ。

 

扶桑社による内容紹介

世の中にないけれど、これから生まれてくるかもしれない日本語の辞典

コトバを職業とする著者が、世の中にないコトバを勝手につくり出し、勝手に広めていく企画をコツコツ続けてきました。
現在、ヴィレッジバンガードのフリーペーパーで連載中の「22世紀の言葉」から、えりすぐりのコトバを集め、さらに新しいコトバを追加したものが1冊の本に!
本書のイメージキャラクターとして、『カメラを止めるな! 』の主人公・日暮隆之を演じた濱津隆之さんの撮りおろしクラビアも多数掲載。

《コトバの例》
●伸びしろ採用
【意味】一か八かの選択
【例文】敵のディフェンダーも必死に向かってくる。無難に行っても無意味だ、伸びしろ採用してかないと。
●ペティナイフでマグロ解体
【意味】弱者が強者に立ち向かう様
【例文】あの大横綱と新人力士の取り組み。それはまさにペティナイフでマグロ解体だが、結果はどうなるかわからないぞ。
●病み上がりの生牡蠣
【意味】賭けに出ること
【例文】男には病み上がりの生牡蠣を覚悟する瞬間がやってくる。その時に、その男の真価が問われる。
●自分を小生という男
【意味】自分に酔ってしまう様
【例文】自分を小生という男になってしまった時点で創作は限界を迎える。常に他者の視点を持つことを忘れてはならない。

第二巻も発売されている。

 

なにしろ辞典だ、内容紹介はそのまま例を挙げるしかない。勝手に本の内容を書き出すのは問題なので、扶桑社のニュースレターに出ているものを以下に紹介する。

    • なるほどですね
      【意味】何の関心もないこと
      【例文】最初の頃は期待していた。でも3回目のデートで確信したんだ。彼女は俺になるほどですねだと。
    • 健診前の炭水化物抜き
      【意味】根本的な解決でないこと
      【例文】たとえ政権が変わったとしても、結局のところそれは健診前の炭水化物抜きに過ぎない。
    • 渋谷がつらい
      【意味】老いを実感すること
      【例文】渋谷がつらい瞬間は、ある日突然やってくる。代表的なのが子どもの運動会である。
    • 阿部さんのあだ名はアベちゃん
      【意味】自然な流れのこと
      【例文】たちえどんなに厳しい冬でも、いつか必ず春は来る。それが阿部さんのあだ名はアベちゃんだ。
    • 行けたら行きます
      【意味】絶対に果たされない約束
    • ここだけの話
      【意味】みんな知っていること
    • トビラ開けたら和式トイレ
      【意味】げんなりする・期待はずれ
    • パスポートどこだっけ
      【意味】悲劇の前触れ
    • ビニール傘の取り違え
      【意味】人知れず起きている悲劇

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

ナンセンス物が好きな人におすすめ。「あるよなあ」とニヤリとするだけの本。

 

私が面白かったものと、上に挙げた扶桑社の例にずれが見られる。人によって笑いのツボがずれているのだ。

 

2つだけ引用させてもらう。

  • イケメンの寝ぐせ
    【意味】短所が長所になること。

昔のいい男は無精ひげなど生やしていなかったが、最近はわざと生やしている男優が多い。コロナ禍でも金持ちはますます金持ちになるという嫌な世の中。

 

  • 冷蔵庫閉め忘れて海外旅行
    【意味】恐ろしい結末が待っていること。

海外旅行出発前の点検をしている相方に、「電源を切っただけじゃだめだよ、コンセントを抜かないと。微小な電流が流れるんだから」と注意した。10日後、帰宅するとトイレの灯りがついていた。私が最後に入ったのだった。「微小な電流ね!」とおっしゃった。

 

 

野澤幸司(のざわ・こうじ)

茨城県牛久市生まれ。竜ケ崎第一高等学校、青山学院大学法学部卒業。ハガキ職人を経てコピーライターに。 普段はいろいろな広告のコピーやCMを考える仕事をしている

 

 

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「Cafe野田」でランチ

2022年02月05日 | 食べ物

 

井の頭線の三鷹台駅前でランチ処を探す。

南口すぐの「SubLime」は、井の頭公園内の店や、五日市街道沿い北町の店に入ったことがあるが、学生などが多い気楽な店だ。ラーメン屋「田祭木」の手前を小田急OXの方へ歩いてみるが、土曜日の昼前なのに閉まっている店が多い。唯一開いていた蕎麦屋「美たけ庵」はいかにも昔ながらの町のお蕎麦屋さん風でパス。

 

駅前通りの坂を南へ登ってみる。登り切ったところの「Kitchen 放蕩」は前から隠れた名店風で気になっていたのだが、放蕩が過ぎたか、ますますさびれた風で(失礼)、パス。

 

結局、何もなくて駅前に戻り、井の頭線の南側の道を久我山方面へ歩く。すぐの小道を右に曲がり、登りかけたところに「ごはんとお酒」とある「さんまる食堂」を見つけた。

見たことがない店(昨年4月開店)だと、張り切って入ったら、満員だった。残念。

 

 

5分位久我山方面へ歩き、木の階段を登って入る「Café野田」しかないことが分かった。

 

階段の下にメニューが置いてある。

 

ここは数年前、散歩の途中で数回に訪れたことがあるが、ご無沙汰だ。いかにも定年後趣味のコーヒーを入れています風の堂々としたご主人だったが、すっかり頭が白くなった。

 

それ以外は基本的に変わっておらず、店内もきれいにしていて趣味良く整っている。

カウンターの後ろの壁には、ずらりと素敵なコーヒーカップが並び、その前にご主人が控え、サーブしているのは多分奥様だろう。

壁の飾り物も「いいじゃない!」

 

徐々に人が入って来て、我々の他に3組。それでも広いのでゆったり。

 

私は「沖縄タンメン」。太めの曲がった麺が美味しい。コールスローサラダも良し。

 

相方は「ポークしょうが焼」。野菜たっぷりで、ご飯は半分と注文。

 

本来は御主人こだわりの美味しいコーヒーも頂くのだが、家にケーキがあり、コーヒータイムが近いのでパス。

 

コメント (2)
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中山七里『境界線』を読む

2022年02月03日 | 読書2

 

中山七里著『境界線』(2020年12月15日NHK出版発行)を読んだ。

 

NHK出版の商品紹介は以下。

「誰にでも境界線がある。
越えるか、踏みとどまるか」
中山七里

2018年刊行の『護られなかった者たちへ』と同じく宮城県警捜査一課を舞台に、東日本大震災による行方不明者と個人情報ビジネスという復興の闇を照らし出していく。震災によって引かれてしまった“境界線”に翻弄される人々の行く末は、果たして。「どんでん返しの帝王」・中山七里が挑む、慟哭必至の骨太の社会派ヒューマンミステリー小説。

《あらすじ》
2018年5月某日、気仙沼市南町の海岸で、女性の変死体が発見された。女性の遺留品の身分証から、遺体は宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎の妻だったことがわかる。笘篠の妻は7年前の東日本大震災で津波によって流され、行方不明のままだった。遺体の様子から、妻と思われる女性はその前夜まで生きていたという。なぜ妻は自分のもとへ戻ってこなかったのか――笘篠はさまざまな疑問を胸に身元確認のため現場へ急行するが、そこで目にしたのはまったくの別人の遺体だった。
妻の身元が騙られ、身元が誰かの手によって流出していた……やり場のない怒りを抱えながら捜査を続ける笘篠。その経緯をたどり続けるもなかなか進展がない。そのような中、宮城県警に新たな他殺体発見の一報が入る。果たしてこのふたつの事件の関連性はあるのか? そして、笘篠の妻の身元はなぜ騙られたのか――。

 

県警本部

笘篠(とましの)誠一郎:刑事。気仙沼で妻・奈津美(現存していれば38歳)と幼児・健一と暮らしていたが、震災で二人とも行方不明に。

蓮田(はすだ):笘篠の同僚。

石動(いするぎ):笘篠の上司の課長

東雲:管理官。捜査会議を指揮。

唐沢:検視官

 

一ノ瀬:気仙沼署の刑事。気仙沼署時代の笘篠の同僚

佐古:気仙沼の理容店店主

<貴婦人クラブ>のナミ:笘篠奈津美名の免許証を持ち、死体で発見された。鬼河内珠美

枝野基衝:ナミに最後に逢った男。

天野明彦:死後に顎と指先を破損された死体で発見。氷室冷蔵社員。妻は志保

真希竜弥:コンビニ強盗で逮捕され2015年刑務所出所後、消息不明。

五代良則:闇ルートの名簿屋。詐欺の前科。高校2年で犯罪5人組のリーダー

鵠沼(くげぬま)駿:東日本大震災被災者キズナ会を主催。五代と高校の同級生。

 

初出:「NHK出版 本がひらく」2019年8月~2020年8月

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

東日本大震災の行方不明者と、犯罪者等の成り代わりを絡めて、話はよくできている。

東日本大震災の行方不明者の生存を諦めて失踪宣告すると戸籍がなくなる。失踪宣告しないと、犯罪者や差別を逃れたい者が、住民票などを偽造してなりすます余地を残す。

 

前半は大震災の被害者で刑事の笘篠が主人公で、中ほどから時刻をさかのぼって犯人・五代が主人公で、距離のある親友・鵠沼との高校時代からの話になる。犯人は中ほどで想像できるようになるのだが、この構成も面白い。

 

ミステリーの犯罪動機には完全に納得できない場合が多いが、震災が家族を奪ったとともに、虚しさから倫理観も奪われたとの記述に、ありうるなと思ってしまった。

 

登場する人名が読みにくい。「笘篠」(とましの)って、読めないし、「鵠沼」(くげぬま)って、東京の人以外は読めないんじゃない。振り仮名もないし(たぶん)、辞書にも読み方は出てこない。

 

中山七里(なかやま・しちり)

1961年生まれ、岐阜県出身。

『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞受賞し、2010年に作家デビュー。

著書に、『護られなかった者たちへ』『総理にされた男』『連続殺人鬼カエル男』『贖罪の奏鳴曲』『騒がしい楽園』『帝都地下迷宮』『夜がどれほど暗くても』『合唱 岬洋介の帰還』『カインの傲慢』『ヒポクラテスの試練』『毒島刑事最後の事件』『テロリストの家』『隣はシリアルキラー』『銀鈴探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『復讐の協奏曲』ほか多数。

 

 

 

以下、メモ

 

ある種の瞬間接着剤を指に塗ると、半日程度は指紋が付かない。

 

騙られ:かたられ。騙(だま)す

霙:みぞれ

却って安心:かえって

瘡蓋(かさぶた)

嬲り殺す:なぶりころす

捗々(はかばか)しい

罅(ひび)が入り

知悉(ちしつ):知り尽くすこと

鵠(くぐい):白鳥の古名

効果覿面(こうかてきめん)

泥濘(ぬかるみ)

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吉祥寺で蕎麦屋を求めて

2022年02月01日 | 食べ物

 

吉祥寺にはお蕎麦屋が少ない。

 

(1)東急吉祥寺9階の「神田まつや 吉祥寺店」は神田須田町の老舗の唯一の支店で、毎朝、店内で打つ手打ちそばは美味しいのだが、混むのが難点だ。

(2)吉祥寺駅南口出てすぐの井の頭ビルのB1F「手打ちそば ほさか」は評判が良い店だが、狭くて、このご時世では入る気がしない。

(3)コピス吉祥寺A館B1Fの「そば処 善左衛門」はまあまあ。

(4)「きそば 中清(なかせい)」は五日市街道に西五条通りがぶつかるところにあって、評判は良いが、駅から遠すぎる。

(5) サンロードアーケードのシュープラザビルB1Fにある「吉祥寺 砂場」は、よかげな店で、今度行ってみよう。

(6) アトレ東館1F「武吉志(たけよし)」は安くて手軽だが、目指して入る店でもない。

(7) 井の頭通り、丸井前の「つけ麺専門店 三田製麺所」は年寄向きではない。

 

その他、私のブログに登場したが、つぶれてしまった蕎麦屋が3軒ほどある。現実は厳しいのだ。

 

入ったことないのだが、

中道通りプラタタカハシB1Fの「吉祥寺越後屋

弁天通りの普通のお蕎麦屋風の「やぶ浅

吉祥寺駅南口JR添いの細い道にある(吉祥寺南町1-1-4 三河屋ビル B1F)「はなまるうどん 吉祥寺南口店」などがある。

 

丸亀製麺はハワイで知って、安くて美味しかったのだが、ハワイや武蔵境にはあるのに吉祥寺にない。「いぶきうどん」は丸亀製麺系列のようだが、吉祥寺通りJR高架下の立ち食いそばで年寄には厳しい。

 

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