hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

恩田陸『蜜蜂と遠雷』を読む

2017年08月29日 | 読書2

 

恩田陸著『蜜蜂と遠雷』(2016年9月20日幻冬舎発行)を読んだ。

 

幻冬舎の宣伝は以下。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

 

 本書は、国際ピアノコンクールの最初から最後までを語る話で、目次に従い、エントリー、第一次予選、第二次予選、第三次予選、本選と進んでいき、各演奏のありさまと、神に愛された若者たちが成長していくさまを描く。

 

 本作品は直木賞を受賞後、さらに本屋大賞も受賞。

 

 

初出:「星星峡」2009年4月号~2013年11月号、「ポンツーン」2014年1月号~2016年5月号の連載を大幅加筆・修正

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 507ページのほとんどをクラシック音楽の演奏を文字で表現し、成功しているのは驚異的だ。作者・恩田さんの筆力には驚かされる。もちろん、聞いている人の反応、感想などの間接的表現で補っているのだが。

 

 幻冬舎の特設サイトに「構想から12年、取材11年、執筆7年」とあった。また、ウィキペディアによれば、3年に1回、開催される浜松国際ピアノコンクールへ4回共、毎日、会場の座席で午前9時から夕方までピアノ演奏を聴き続けたという。ご苦労さまです。

 

 

 

 クラシック好きな人なら、色々な曲が登場するたびに、「そうそう!」とか、より楽しく読めるのだろう。クラシックに馴染みのない私でも、曲のしつこい説明はないし、話の筋とは直接的には関連はしないので、スイスイ読める。しかし、微妙な演奏法の違いなどの説明があるのに、洋服の外から女性のナイスボディを想像しているような感は否めない。

 

 

恩田陸の略歴と既読本リスト

 

 

 

登場人物

芳ヶ江(よしがえ):日本の地名。芳ヶ江国際ピアノコンクールは、90人が演奏し、二次には24人、3次には12人が進む。審査員は13名。コンクール出場者はコンテスタントという。

 

嵯峨三枝子:芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員。8歳年下の作曲家と暮らす。ナサニエルは元夫。

アラン・シモン:芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員。

セルゲイ・スミノフ:芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員。

オリガ・スルツカヤ:審査委員長。名ピアニストで教師。70歳近い。赤毛のロシア美女。

菱沼忠明:作曲家。大文豪と大政治家が祖父。

 

風間塵(じん):ホフマンが推薦状を遺した。16歳。父が養蜂家で「蜜蜂王子」とあだ名される。音楽の神様の愛されていると称される。

ユウジ・フォン・ホフマン:伝説的巨匠ピアニスト。今年2月に亡くなる。

 

栄伝亜夜(えいでん・あや):天才少女ピアニストだったが、13歳で母を亡くし、引退。20歳。

浜崎:有名私立音大の学長

浜崎奏(かなで):次女。亜夜と同じ大学の先輩。ヴァイオリン。長女は晴歌(はるか)

 

高島明石:楽器店店員。28歳。最高年齢の出場者。雅美の取材対象。妻は満智子で息子が明人。

仁科雅美:TV記者。高島明石を取材。

 

マサル・カルロス・アナトール:出場者。ジュリアードの王子様。ペルーの日系三世。188cm

ナサニエル・シルヴァーバーグ:ジュリアード音楽院教授。三枝子の元夫。数少ないホフマンの弟子の一人。

 

アレクセイ・ザカ―エフ:出場者

ジェニファ・チャン:出場者。女ラン・ランと呼ばれている。

田久保寛:ステージマネージャー

浅野耕太郎:調律師

 

 

以下、蛇足。

 

 

 演奏法に関して、一部、手垢のついた(?)表現があった。

例えば、日本人の美意識として、(p235)

説明はしない――感じさせる。

至って単純なことなのだが、それを表す言葉として見つけたのが「余白」だったのだ。

 

P239

いったいどうしてそんなに早く造ることができるのかってね。そうしたら彼は別に造っているわけじゃない、と答えたそうだ。ただ、木の中に埋まっている仏様を掘り出しているだけだ、と。

これは、夏目漱石の「夢十夜」に出てくる運慶の話だが、ミケランジェロも大理石の中に埋まっている像を取り出しているだけという話がある。これらはかなり知られている話なのではないだろうか。

 

ミケランジェロについて脱線すると、作った像がまったくモデル当人に似ていないとの批判に彼は、

「1000年もたてば、彼らの顔がどうだったかなど、誰も気にしなくなる」と答えたといわれる。

 

 

文芸業界とクラシックピアノの世界は似ている。

コンクールの乱立と新人賞の乱立。食べていけるのは一握り。読ませたい人・演奏をきかせたい人はうじゃうじゃなのに、どちらも斜陽産業で、読む人・聴く人の数はジリ貧。普段は地味にこもって何時間もキーを叩く。元手のかかり方はえらく違う。

 

「練習を一日休むと本人に分かり、二日休みと批評家に分かり、三日休むと客に分かる」という言葉がある。

 

「最近のハリウッド映画はエンターテインメントではなく、アトラクションである」と言った映画監督がいる。

 

 

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東野圭吾『夢幻花』を読む

2017年08月27日 | 読書2

 

 東野圭吾著『夢幻花』(PHP文芸文庫2016年4月18日PHP研究所発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた…。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく“東野ミステリの真骨頂”。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。

 

PHP研究所の紹介サイト

 

 

 この作品は2013年5月PHP研究所から刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 面白いが、抜群ではない。しみじみとすることも、深く感動することもなく、驚愕の事実もない。しかし、ついつい、すいすい読み進めてしまう。とくに引っかかるところがないし、引っ張られるように読み進めてしまう。東野圭吾の本は読みやすい。この本はその典型だ。

 

 この本は、残忍なMM事件の描写で始まったが、その後、とくに厳しい場面もなく、楽しく読める。

 若者たちが挫折し、それでもなんとか過ごしているうちに、再生に向けて歩き出そうとして行く姿が微笑ましい。

 

  

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

蒲生真嗣:江東区木場在。元警察官。

蒲生志摩子:真嗣の妻

蒲生要介:37歳。警視庁犯罪抑止対策室の室長。真嗣の長男

蒲生蒼太:東大阪市の大学院の物理エネルギー工学第二科の博士課程。真嗣の次男

矢口綾子:真嗣の妹。日本橋の老舗の料亭に嫁ぐ。

 

秋山周治:正隆の父、梨乃の祖父。西荻独居老人宅強盗殺人事件の被害者。72歳。自然界に存在しない植物を作り出す仕事をしていたが、引退し花を育てていた。

秋山正隆:周治の息子。梨乃の父

秋山素子:正隆の妻、梨乃の母

秋山梨乃:正隆の娘。大学生。高円寺在。オリンピック候補・水泳選手を挫折。周治の花のブログをアップ。

 

鳥井佳枝:尚人の母。秋山正隆の妹。

鳥井尚人:大学を中退しバンドでプロを目指していたが、22歳で自殺。梨乃の従兄。

鳥井知基(ともき):次男。大学1年。梨乃の従弟。

 

大杉雅哉:尚人のバンド仲間。

伊庭孝美:中二で蒼太と出会う。代々医者の家系で、母は薬剤師。

白石景子:バンドの新メンバー。実際の名前は・・・。

工藤アキラ:アマチュアバンド用の店の店長。かっては有名なミュージシャン。

 

早瀬亮介:西荻窪署の刑事、巡査部長。捜査本部の所轄メンバー。妻とは4年前から別居。

早瀬裕太:亨介の長男でが別居。中学生。秋山周治に万引きの疑いを晴らしてもらった。

石野:西荻窪署の刑事、捜査本部の所轄メンバー。

 

柳川:警視庁捜査一課刑事。秋山周治殺人事件の捜査本部のメンバー。

 

福沢民郎:久遠食品研究開発センター 室長。6年前まで秋山周治が勤めていた。

日野和郎:久遠食品研究開発センター 副室長。秋山周治と共同で研究していた。

 

小関(こせき):梨乃のスイミングスクールのコーチ

 

日下部真一:捜査一課長・蒲生意嗣が指揮をとってMM事件の被害者。建設会社勤務

日下部和子:MM事件で刺殺される。真一の妻。1歳の長女・志摩子は無事だった。

田中和道:MM事件の犯人。

 

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そば処善左衛門でランチ

2017年08月25日 | 食べ物

吉祥寺コピスB1にあるそば処善左衛門でランチした。

東急9階の「神田まつや」が20名くらいの行列で、恐れをなしてスマホの現在地を設定して、「吉祥寺 蕎麦」で検索すると、2番目に「そば処善右衛門」が出てきた。

空いててすぐ入れるし、それほど高くない。

私は、「桜えびのなんとか」


奥様は、「おろしせいろ」

今日、といっても15日だが、もう一人、こぶ付きがいて、




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東野圭吾『真夏の方程式』を読む

2017年08月23日 | 読書2

 

 東野圭吾著『真夏の方程式』(文春文庫、ひ13-10、2013年5月10日、文藝春秋発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは――。

 

 累計1320万部突破というガリレオシリーズ第6弾で、シリーズ3作目の長編。福山雅治主演の映画もヒット。

 

 小学5年生の柄崎恭平は、夏休みを伯母夫婦が経営する旅館・緑岩荘(ろくがんそう)で過ごすため玻璃ヶ浦(はりがうら)へ向かう。電車の中で、海底鉱物資源開発の説明会に出席する湯川に出会う。

 湯川も宿泊した緑岩荘に宿泊していた塚原正次が海辺で変死体となって発見され、堤防から誤って転落した事故死であろうとされた。

 同じころ、草薙は多々良管理官から直々に特命の捜査を依頼される。玻璃ヶ浦の事件の被害者の塚原は、多々良が教えを受けた元警視庁捜査一課所属の刑事であり、同じ旅館に泊まっている湯川と連絡をとって、草薙に警視庁の独自の捜査を命じた。草薙は内海とともに、湯川にヒントをもらいながら捜査を進めるうち、塚原は殺害後に、海岸に遺棄されたと判断した。


 塚原は、何のために玻璃ヶ浦に来たのか。16年前に塚原が担当した元ホステス殺人事件が鍵になっていて、裏には緑岩荘を営む川畑家の秘密があった。静観したかった湯川は「ある人物の人生が捻じ曲げられる」ことを防ぐために、真相に迫らざるを得なかった。

 

初出: 20101年3月講談社より単行本として刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 16年前の事件が最初から最後まで底流にあり、不気味さの上の、一見のどかで、さびれゆく小さな海辺の町が良く書けている。湯川と、父母と離れて暮らす少年の夏休みをやさしく描いている。

 

 誰が犯人でもおかしくない状況で、それでも意外性ある犯人とするテクニックは見事。優等生的考え方だが、罪を清算しないで過ごすことに少し引っ掛かりがある。

 

 

 

以下、メモ

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

湯川学:帝都大学物理学准教授。

草薙俊平:警視庁捜査一課刑事・警部補。湯川とは大学の同期。

 

柄崎 恭平:小学5年生。夏休み、玻璃ヶ浦の伯母の旅館で過ごす。。

柄崎 敬一:恭平の父。ブティック経営。45歳。

柄崎 由里:恭平の母。敬一とブティックを経営。

 

川畑重治:玻璃ヶ浦の旅館「緑岩荘」(ろくがんそう)を経営。成実の父。太り過ぎで膝が悪く、杖を突く。

川畑成実:かたくななまでの環境活動家。重治の娘。

川畑節子:成実の母。柄崎敬一の9歳年上の異母姉。

 

塚原正次(まさつぐ):被害者。「名刑事」と呼ばれた元警視庁捜査一課刑事で昨年定年退職。

塚原早苗:正次の妻。

沢村元也:フリーライターで環境保護活動家。玻璃ヶ浦出身。

三宅伸子:元ホステス。16年前の殺人事件の被害者。当時40歳。源氏名はリエコ。

仙波英俊:元ホステス殺人事件の容疑者。塚原が身柄を確保し、取り調べ、懲役8年の実刑。

仙波悦子:英俊の妻。旧姓日野。東玻璃の出身。

室井雅夫:仙波英俊と三宅伸子が酒を飲んだ「カルバン」の店長

 

 

桑野:デスメックの広報課

 

内海薫:警視庁捜査一課刑事・草薙の後輩。女性。

多々良(たたら):警視庁捜査一課管理官・警視

間宮:係長

 

西口剛:玻璃警察署刑事課巡査。成実の高校時代の同級生。

橋上(はしがみ):玻璃警察署刑事課。西口の5歳上。

元山:玻璃警察署の刑事課の係長。

岡本:玻璃警察署の刑事課の課長。

富田:玻璃警察署の署長

 

磯部:県警本部捜査一課 警部

穂積:県警本部捜査一課 課長

野々垣:県警本部捜査一課 巡査部長

 

小関(おぜき)玲子:川畑成美の中学の軟式テニス部で一緒。

 

 

 

なぜ乗り物酔いするか。(p94)

「・・・身体が遠心力で外側に振られるだろ? その時、視線も一緒に振られると、三半規管の情報と視覚情報が一致しなくなり、脳が混乱する。その結果、乗り物酔いになる。視線を乗り物の進行方向に固定しておけば、その症状は出にくい。乗り物酔いしやすい人でも自分で運転している時には大丈夫なのは、運転中は常に前方をみているからだ」

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本谷有希子『嵐のピクニック』を読む

2017年08月20日 | 読書2

 

 

 本谷有希子著『嵐のピクニック』(講談社文庫も48-4、2015年5月15日講談社発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づく――。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他。キュートでブラック、奇想天外。初の短篇集にして大江健三郎受賞作。

 

 187ページで13篇、平均14ページの掌編集。

 

 

「アウトサイド」

 中学生の頃、幼稚園の時から習っていたピアノ、まったくやる気がないので、引受けてくれるピアノ教室がなくなった。どんな子にも根気よく優しく教えてくれるという評判のピアノの先生の家に通い始めた。だんだんと大胆に弾けないことをアピールする私に、先生の顔は少しずつ曇るようになった。そして、先生は筆箱から一本の鉛筆を取り出し、「あっちゃんは鍵盤を触るとき、手首がどうしても下がってしまうからね」と言って・・・。

 

「私は名前で呼んでる」

カーテンが膨らんでいるのがどうしても気になって、会議の間中、そわそわしていた。・・・
点が三つ集まるとそれが二つの目と口にしか思えなくなって、なんでも人の顔に見えてしまう【シミュラクラ現象】の起る率が人よりずっと高いのだ。

 

「パプリカ次郎」

 パプリカ次郎が10歳のとき、おじいちゃんの手伝いで、屋台の売り子をしていた。突然、屋台を次々と壊しながら奴らがやってきて、人々が逃げ惑う。おじいちゃんは「あいつらはいつも、ああやってわざと追われてるんだ」と言って動こうとしなかった。

「人間袋とじ」

「しもやけを利用して足をくっつけてみようと思うの」
朝ご飯を食べたあと、彼女が言い出した。

 お互いの足の小指と薬指に彫ったそれぞれのイニシャルをくっつけようとしている。

「哀しみのウェイトトレーニー」

 新しい自分を見つけようとジムに通い、ボディビルダーになるためのトレーニングを始める主婦。

「マゴッチギャオの夜、いつも通り」

 動物園の猿のマゴッチギャオの所へ、人間に育てられていたチンパンジーのゴードンがやってきた。夜になると花火を投げ込む奴らがいるのだが、ゴードンは怯えて、逃げられない。

「亡霊病」

「タイフーン」

「Q&A」

「彼女たち」

 一緒に暮らしている恋人から決闘すると言われ、どうしてもというので河原に向かう。土手には同じように泣きべそをかいた男の人が彼女に連れられてあるいてきた。そして何組もの男女が。彼女たちはよだれを垂らし、唇からルージュが湧き出していた。

 

「How to burden the girl

 19人の悪の手下たちの頭を吹き飛ばしたばかりの彼女の目からは、血の涙が流れている。

 

「ダウンズ&アップス」

「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」

 お客が試着室に入ったきり、出て来なくなってしまい、閉店時間を過ぎた。


「『奇妙な味』は文学たりうるか――本谷有希子の冒険」大江健三郎

大江健三郎による「大江健三郎賞選評」がさいごに追加されている。

この一冊には、「奇妙な味」の短編が発想と形式の見本帳というほどにも、繰り出されるが、それを愉快に楽しんで、――ああ、面白かった、ではすまない。もひとつの深い層をさぐる心で、むしろ自分の永年の小説観(エンターテインメントと「純文学」を区分けするやり方)を洗い直すつもりで、書き抜きもしながら読み直そう。こう思い立ったわけなのです。

(相変わらず、何を言っているのかわかりにくい。昔、放送大学での講義を聞いたことがあるが、話は明快だった。なぜ書く時だけわかりにくくなるのだろう?)

 

 

2012年6月講談社より単行本として刊行。

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

 さまざまな奇妙な味の話が並ぶ。そこに優れた作家の芽が垣間見えると大江健三郎は言うのだが、私はそんな“芽”を読みたいとも思わないし、ましてや読む義務もない。文章は分かりやすくて、おそらく上手いのだろうが、ただ、ただ、変な話を並べるだけでは、人を読む気にさせることはできない。

 

 しかし、この本で大江健三郎賞、『自分を好きになる方法』で三島由紀夫賞と純文学の2大賞?を受賞し、続けざまに『異類婚姻譚』で芥川賞を受賞したのだから、健さんの目は確かだったのだろう。

 

 でも、負け惜しみで言うと、「おもろい芥川賞受賞作品ってないの?」

 

 

本谷有希子(もとや・ゆきこ)

1979(昭和54)年、石川県白山市生れ。2000(平成12)年「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。

2002年より小説家としても活動を開始。

2006年『生きてるだけで、愛。』が芥川賞候補。

2007年『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。

2009年『幸せ最高ありがとうマジで!』で岸田國士戯曲賞を受賞。

2011年『ぬるい毒』で野間文芸新人賞

2013年本書『嵐のピクニック』で大江健三郎賞受賞、シンガーソングライターで映画監督の御徒町凧と入籍。

2014年『自分を好きになる方法』で三島由紀夫賞受賞

異類婚姻譚で芥川賞受賞

他の作品に、『江利子と絶対』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『生きてるだけで、愛。』『あの子の考えることは変』『自分を好きになる方法』などがある。

 

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本谷有希子『異類婚姻譚』を読む

2017年08月17日 | 読書2

 

 本谷有希子著『異類婚姻譚』(2016年1月20日、講談社発行)を読んだ。

 

 表題作は芥川賞受賞作。他に3短編。

 

「異類婚姻譚」

ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。

と始まる。

 安逸な専業主婦生活を送る私・サンちゃんは、30歳くらい年上だが近所友達のキタヱさんに、

「気を付けたほうがいいよ。サンちゃんみたいな、なんでもかんでもうけいれちゃうような子は、あっという間に・・・・・かれちゃうんだから。」

と言われる。

 いろいろと格好をつけて疲れてしまいバツイチになった夫は「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言し、テレビのバラエティ番組を飽きもせずに眺めている。

 とくに何事もなく流れていく夫婦の日常。夫が突如大量の揚げものづくりに熱中したり、元妻が変なメールを送ってくるようになったり、キタヱさんの家の猫のサンショが所嫌わず粗相するようになって、山に捨てるのを手伝う話が持ち上がる。

 

 ある日、夫の顔が崩れているのに気がつき、コインを集めるだけのiPadの単純なゲームの世界にはまった夫の顔の崩れはいよいよ酷くなって、なにか異形のものと感じられるようになってくる。

 やがて、サンちゃんも、

朝起きて、鏡を見ると、顔がついに私を忘れ始めていた。

 恐らくその日、私の目鼻は油断していたのだろう。鏡をひょいと覗き込むと、エッ、ウソ、と慌てたように集合し、どうにか元の場所に収まろうとしたが正確には思い出せず、結果、なんとなくぼやけた感じになっていた。

 

 サンちゃんは自分の身体をいつも旦那に飲み込ませていて、お互いを尻尾から食い合って最後は姿を消してしまう二匹の蛇の寓話、蛇ボールになった気がする。もうお互いに人間ではない異形なのだ。異類の婚姻なのだ。

 

 

 “異類婚姻譚”とは、「鶴の恩返し」のように、人間が人間以外のものと婚姻し、何かが起こるという日本古典の説話。

 

 

他、3短編。

「(犬たち)」:人里離れた山小屋で犬たちと暮らす女

「トモ子のバウムクーヘン」:トモ子はキッチンでバウムクーヘンを作る。愛猫ウーライを突如怖いと思い、穏やかな生活に緊張が走る。

「藁の夫」:運動不足の私をジョギングに連れ出してくれた夫は、藁(わら)で出来ていた。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 単純理工系の私でも、日常の中で信じられない不可思議なことが起る話でもなんとか受け入れて、けして拒否ベースではない。しかし、カフカの「変身」や、川上弘美のいくつかの作品のように、主人公が不可思議現象を大きな混乱なく受け入れて、全体として穏やかなユーモアに包まれていることが前提だ。

 

 本谷有希子の作品を初めて読んだが、けっこう面白く読めた。話は日常の何気ない描写の中、不思議なことも淡々とけだるく進んでいく。この不思議さに敢えて抵抗せずに、そんなことがあったとしてもよかろうと、一応受け入れた形にできる人だけが楽しめる。まあ、芥川賞受賞という実績も拒否しにくい点ではあるが。

 

 

本谷有希子(もとや・ゆきこ)

1979(昭和54)年、石川県白山市生れ。2000(平成12)年「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。

2002年より小説家としても活動を開始。

2006年『生きてるだけで、愛。』が芥川賞候補。

2007年『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。

2009年『幸せ最高ありがとうマジで!』で岸田國士戯曲賞を受賞。

2011年『ぬるい毒』で野間文芸新人賞

2013年『嵐のピクニック』で大江健三郎賞受賞、シンガーソングライターで映画監督の御徒町凧と入籍。

2014年『自分を好きになる方法』で三島由紀夫賞受賞

2016年本書『異類婚姻譚』で芥川賞受賞

他の作品に、『江利子と絶対』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『生きてるだけで、愛。』『あの子の考えることは変』『自分を好きになる方法』などがある。

 

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カフェ・ミミを通り過ぎる

2017年08月15日 | 食べ物

吉祥寺・末広通りのカフェ・ミミ。「フランス語教えます」と書いてあって、一緒にやっている奥様は鼻が高いから、多分、フランス人。

4年前に入ったことがある

 


毎年、豪快な夏休みを取る。今年も、


やはり、日本人は働き過ぎ?

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東野圭吾『麒麟の翼』を読む

2017年08月14日 | 読書2

 

 東野圭吾著『麒麟の翼』(講談社文庫、ひ17-31、2014年2月14日講談社発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。

 加賀恭一郎シリーズ第9作目。『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』として阿部寛主演で映画化。

 

 日本橋の中央の麒麟の像には、「ここから羽ばたく」という意味を込め大きな翼が付けられている。

 

 日本橋の欄干にもたれかかる男・青柳武明の胸にはナイフが刺さっていた。なぜ青柳は瀕死の状態のままここまで歩いて来たのか。加賀、松宮らによる事件捜査が始まる。附近の公園で職務質問された八島冬樹が逃走し、トラックにはねられ、昏睡状態になった。彼の持ち物からは被害者の財布、免許証などが発見され、警察は八島を犯人として捜査を進める。

 一方、青柳が本部長を務める会社で「労災隠し」があり、八島はその被害者であることが分かってきた。

 果たして、八島は犯人なのか。青柳はなぜ瀕死の状態で日本橋まで歩いてきたのか。加賀と松宮はその真相に挑む。

 

 

初出: 20101年3月講談社より単行本として刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 加賀の透徹した推理と地道な情報集めが徐々に秘密のベールをはがしていく。物語の展開は見事で、スイスイ読める。

 

 加賀、松宮など主な登場人物の内面が十分に描かれるわけではないので、物足りない読者もいると思うが、シリーズの多くを読んでいれば、言葉や行動の背景が分かり、シリーズ愛好家だけが微笑むという仕組みになっている。

 

 最後の謎解きは、ピッタリ腑に落ちるわけでもなく、多少強引な理屈付けに思える。しかし、父と息子の不器用な思い合いは良く書けている。勝手なこと言わせてもらうと、東野さんのお父さんは時計屋さんで、頑固な職人気質と想像され、いろいろな思いがあるのでは??

 

 登場人物が約24名で、他の作品に比べればましだが、多い。一気読みしないと、「忘れる力」が強い私にはキツイ。いつものように、新たな登場人物名をパソコンに打ち込みながら読んだ。

 

 

 

以下、メモ

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

加賀恭一郎:日本橋署の刑事(警部補)。剣道の元日本チャンピオン。かって警視庁捜査一課にいた。短期間だが中学で教えていたこともある。

加賀隆正:恭一郎の父、2年前に死亡

松宮脩平:警視庁捜査一課の刑事、恭一郎の従弟。シングルマザーの母親に育てられる。

小林:警視庁捜査一課の主任

石垣:警視庁捜査一課の係長

坂上、長瀬:警視庁捜査一課

 

安田:日本橋署の交番の巡査、被害者発見

藤江:日本橋署の刑事課係長

 

金森登紀子:2年前に加賀隆正が亡くなったときに看取った看護師

 

青柳武明:日本橋の事件での被害者。55歳。建築部品メーカー「カネセキ金属」製造本部長。

青柳史子:被害者の妻で悠人と遥香の母親。

青柳悠人:武明の息子。修文館中学では水泳部。高校の担当教師は真田。

青柳遥香:被害者の娘で悠人の妹。父親の死に対する周りの態度に悩まされている。

 

八島冬樹:日本橋の事件の容疑者。26歳。派遣されていた「カネセキ金属」で、事故で契約を切られた。

中原香織:八島の恋人で同棲中。福島県出身で八島と一緒に養護施設で育った。

 

小竹芳信:「カネセキ金属」工場長。青柳武明の直属の部下。

山岡:「カネセキ金属」の製造二課長

小野田:「カネセキ金属」の製造二課の班長

横田:八島の同僚の派遣社員

 

糸川:悠人たちの修文館中学水泳部顧問。

杉野達也:悠人の友人。修文館中学水泳部仲間でもあり、高校も一緒である。

黒沢翔太:悠人の友人。修文館中学水泳部仲間。

吉永友之:修文館中学水泳部の後輩。練習中の事故により今も意識を戻していない。

吉永美重子:知之の母

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葡萄屋でランチ

2017年08月12日 | 食べ物

2020年7月、残念ながら、「葡萄屋」は閉店しました。

 

吉祥寺(東急大)通りから東急デパートの北を曲がり、大正通りへ入り、10mほど進んだ北側に葡萄屋はある。

クラシカルというより、時代において行かれたような建物だ。

1階が西洋骨董と珈琲の「ぶどわ~る」、2階が炭焼きステーキ・ハウス「葡萄屋」、

3階が焼肉「BUDO-YA」、B1がバーラウンジ「WAGONS LITS」で、


今回、入ったのは、B2のしゃぶしゃぶと創作料理「ぶどうや」で和食の店だ。

店内は、クラッシック。

 

昼のメニュー

夜は5千円以上になる。


私は「ステーキ御膳」(ステーキ丼で、丼の白いネギの下にたっぷりステーキが隠れている)


相方は「お魚御膳」(スズキ)

私のデザートはブリュレ+コーヒー

相方は、桃のババロア?

店内はゆったりとして、最近の店によくあるように隣の話し声が気になることはない。

デザート、コーヒー付きで約 2千円なら味も含めてご機嫌。

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本谷有希子『生きてるだけで、愛。』を読む

2017年08月10日 | 読書2

 

 本谷有希子著『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫、も35-1、2009年3月1日新潮社発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが……。誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛"の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編「あの明け方の」を収録。

 

 出だしはこうだ。

女子高生の頃、なんとなく学校生活がかったるいという理由で体中に生えてるあらゆる毛を剃ってみたことがある。髪の毛、眉毛、脇毛、陰毛。まつげと鼻毛はさすがに無理だった。

 

 今、25歳の寧子(やすこ)は、32歳の津奈木景(つなき・けい)の家に転がり込み、メンヘル(メンタルヘルスでうつ病)で過眠症となり、ひきこもり中だ。常に寝過ぎてしまい、あげくに津奈木に無理難題をぶつけるが、彼は言われたことを受け入れたふりをして、体裁だけなのが見え見えだ。寧子はますますいらだつ。

 荒れる一方の寧子と、スルーする津奈木のどうしようもない生活の中、津奈木の元カノ・安堂が登場し、寧子に自立を強要し、強引にヤンキー夫婦経営のアットホームなイタリアンレストランに就職させる。

 

 前日譚の「あの明け方の」は、寧子と津奈木が喧嘩にならない喧嘩をして、寧子が家出する19ページほどの小品。一緒に見ていた録画TVを、彼が勝手に早送りしたことが原因だ。寧子は「あたしが松岡修造のことおもしろいと思って注目しているの、あんた知ってるでしょ?」「・・・あんたに松岡修造の何が分かんの?」と決めつける。

(こんなところで、実在の名前を出して良いの?)

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

 

 いつも四つ星どまりなので、だいぶ無理して五つ星にした。「前日譚含めても135ページなのが良い」って何なの!その言い方。

 

 いらだつ「味の濃い」寧子と、柳に風の「淡泊な」津奈木のやり取りが面白い。

「あたし、楽されると苛つくんだよ。あたしがこんだけあんたに感情ぶつけてるのに楽されるとね、元取れないなあって思っちゃうんだよね。あんたの選んでる言葉って結局あんたの気持ちじゃなくて、あたしを納得させるための言葉でしょ?」

・・・

「ごめん」・・・

「だからなんのごめんなの、それ。津奈木はさ、すごい誤解してると思うんだけど、あたしを怒らせない一番の方法はね、とりあえず頷いてやり過ごすことじゃないから。・・・同じくらい振り回されろってことなんだよね」

 

「あんたが別れたかったら別れてもいいけど、あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生」・・・

あたしはこんな自分に誰よりも疲れていることを津奈木に知ってもらいたくて、・・・最後の最後まで津奈木に一緒に疲れてほしいと願っている自分に嫌気がさしたけど、どうしてもそうせずにいられなかった。・・・津奈木は・・・。

 

  フリー編集者の仲俣暁生氏の解説にはこうある。

 これまでの恋愛小説は、当事者同士が「二者完結」した状態にあり、それ以外の世の中に対して「閉じて」いる。だが、現在は自己完結した人間が増大し、この小説でも、恋愛抜きで世界に対して「閉じる」ことができている。読者はこれって恋愛なんだろうかと疑問を持ちながら読み進めることになる。

  閉じた者同士の恋愛があり得るのか? 題名の「生きてるだけで、愛。」とはこのことなのだろうか?

 

 

本谷有希子(もとや・ゆきこ)

1979(昭和54)年、石川県白山市生れ。2000(平成12)年「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。

2002年より小説家としても活動を開始。

2006年本作『生きてるだけで、愛。』が芥川賞候補。

2007年『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。

2009年『幸せ最高ありがとうマジで!』で岸田國士戯曲賞を受賞。

2011年『ぬるい毒』で野間文芸新人賞

2013年『嵐のピクニック』で大江健三郎賞受賞、シンガーソングライターで映画監督の御徒町凧と入籍。

2014年『自分を好きになる方法』で三島由紀夫賞受賞

2016年『異類婚姻譚』で芥川賞受賞

他の作品に、『江利子と絶対』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『生きてるだけで、愛。』『あの子の考えることは変』『自分を好きになる方法』などがある。

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金魚でランチ

2017年08月08日 | 散歩

 

井の頭通り沿い、杉並区に入って5分ほど進んだ八木二番館ビルの一階、「KINGYO」という店でランチした。

LEARNING CAFEBAR 金魚」とあり、レンタルスペースでもあるようだ。
そういえば、ときどき貸し切りになっている。

入ると、アンティークの時計や外国の本が並ぶ本棚があり、独特に雰囲気。

客は居ず、カウンター内に若い女性が一人、さらに若い若い女性が、意味が分からないことをしゃべり続けている。
聞けば、まだ半年ほどの赤ちゃんだ。

頼んだのは、豚角煮丼。ご飯少なめにお願いした。

美味しい。
コーヒーもたっぷりで、ゆったりと楽しめた。どうやら赤ちゃんは抱っこされて眠ったようだ。


次回はもう一つのメニュー(定番?)カレーにしよう。

 

 

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7月の花

2017年08月06日 | リタイヤ生活

7月の一回目に届けられた花


7月の2回目


去年の7月の一回目

 

去年の7月の2回目

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7月の散歩

2017年08月04日 | 散歩

 


ツバキの実が豊作だ。


葉が同じ形なので、白が赤みを帯びた「柏葉アジサイ」だろう。
 (「5月の散歩」)

可愛く、すっきりした花だ。外に出して皆に見せたくなる気持ちもわかる。

サルスベリ(百日紅)が見事

と思ったら、もっと豪快な木が。

サルスベリ(猿滑)は、幹の成長に伴って古い樹皮が剥がれ落ち、いつもすべすべした樹皮になることから名づけられた。
実際には猿は滑ることなく簡単に上ってしまう。

Wikipedia)より


帰宅したら、ベランダの網戸にセミ。

昔はアブラゼミがうるさいほど鳴いて、暑苦しさを倍加させていたのだが。


パソコンの中を探したら3年前の7月の写真があった。見事なユリだ。

ついでに、一昨年の7月のベランダからの空。

啄木の「不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて空に吸われし十五の心 」という歌があるが、

あれから、60年!
 
私が「しみじみと」言っているのに、「綾小路きみまろ」みたいに思われちゃうのが哀しい。

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今年も「コンサート・自由な風の歌」を聴く

2017年08月02日 | 趣味

 

2017年7月23日、セシオン杉並で開かれた「コンサート・自由な風の歌」を聴いた。

このコンサートは、卒業式などでの国家斉唱のとき起立しなかったり、ピアノの伴奏をしなかったため処分された教職員の裁判を支援するために始まり(*1)、今年12回目になるが、現在、収益の一部は、東日本大震災で被災した子ども達への支援などにも使われている。

私は 2009年から連続 8回参加で、このブログでも、2009年2010年2013年と既に 3回報告している。
    


今回のプログラム

1.チェロ 三宅進  (「裸の島」の主題によるパラフレーズ」林光)
 
  チェロの音は、静かで、考え深そうで心に沁みる。曲は新藤兼人監督「裸の島」のための曲。


2.ピアノ崔善愛/クラリネット ダヴィト・ヤジンスキー/チェロ 三宅進(ピアノ三重奏曲 第4番「街の歌」変ロ長調 作品11 ベートーヴェン)

  クラリネットとピアノ、チェロ、街の雑踏のようにそれぞれ別に主張しているように聞こえた。


3.ピアノ 崔善愛(バラード第一番 ト短調 作品23 ショパン)

  情熱的で激しい演奏。シューマンは「ショパンの音楽は花々の中に隠された大砲のようだ」と評したという(パンフレットより)。


4.クラリネット ダヴィト・ヤジンスキー(鳥たちの深淵 メシアン)

  現代音楽はどうしてもなじめない。この曲、鳥類学者でもあるメシアンがドイツ軍の収容所内で作曲したという。「私たちは戦争し、鳥たちは歌う」


5.画 壷井明/ピアノ 崔善愛(絵画「連作祭壇画 無生物」から、ピアノ・ソナタ バルトーク)
  
  スクリーンの映し出される福島原発事故の傷の諸相を描いた作品群とピアノ演奏。こんな組合せもありかな。


6.自由な風の歌12合唱団 合唱指揮&バリトン 飯村孝夫

  原爆の歌や日本国憲法の歌は、音楽として楽しむには少々無理があると感じた。毎回演奏される「鳥の歌」(カタルーニャ民謡 カザルス編曲 北川フラム訳詞/林光編曲)はなじんだせいか、イメージが湧き上がる。

 

心を静めるチェロ、私にわずかに残る情熱を呼び起こす激しいピアノの音。やはり、もう一つ身体を震わせるヴァイオリンが欲しい。


崔善愛さんが、こんなことを話した。
オーケストラの演奏が始まる前に、オーボエがラの音を鳴らし、それに各楽器が合わせるのが伝統的方法だ。なぜオーボエなのかというと、オーボエは音程が不安定で、簡単にその場でチューニングできないからだという。
不安定なオーボエに、オーケストラ全体が合わせる、なんとなくいい話に思えると崔善愛さんは語った。

 


*1:私は、かったるい君が代も、血の色に思える日の丸も好きでないが、国歌と決められているので、いろいろあっても、歌われるときには起立すればいいじゃないかと思う。しかし、どうしても起立したくない人に、強制し、処分までするのは、そういう人を排除したいからで、そのための踏み絵として神聖な国歌を利用しているのだ。


崔善愛(チェ ソンエ)は、愛知県立芸術大学&大学院修士課程修了後に米国インディアナ大学大学院留学。ピアニストとしての演奏活動のかたわら、「平和と人権」をテーマに講演をおこなっている。今回の企画・構成も担当。
著書に「自分の国を問いつづけて―ある指紋押捺拒否の波紋」

三宅進は、桐朋学園、インディアナ大学で学ぶ。群馬交響楽団首席チェロ奏者を経て、ながくフリーで活躍したが、現在、仙台フィルのチェロ首席奏者。

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