hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

イアン・マキューアン「最初の恋、最後の儀式」を読む

2008年05月31日 | 読書2
イアン・マキューアン著、宮脇孝雄訳「最初の恋、最後の儀式」1999年6月早川書房発行を読んだ。

8編の短編集で、発表された1970年代にはまさに衝撃的な近親相姦、小児性愛、服装倒錯、幼児退行者などが扱われている。

表紙の裏には、
―――
・・・少年と少女のひと夏の恋を、エロティシズムと恐怖と交えて綴った表題作をはじめ、大人の仲間入りを果たすために10歳の妹を誘惑する14歳の兄の姿を描いた出世作「自家調達」など、英国文壇の旗手が、時には残酷に、時には優雅に紡ぎだした八編を収録。・・・
―――
とある。


束縛するものが明確でない現代は、タブーに挑戦とばかり、この種の禁断のテーマを扱う小説が多い。その多くはあざとさが目立ち、私の好むところではない。しかし、この小説の文体は冷静でいやらしさはなく、本格的で完成度が高い。


8編のうち、6編が一人称で書かれていて、中でも子どもの視点で書かれているものが面白い。感受性の鋭い子どもの感性が見事に描かれている一方、いかにも子どもらしい幼い考え方がそのまま出ていたりして、主人公の子どもの視点の後ろに、第三者の作者の上からの視点が感じられて重層的な厚みのある構成になっている。


私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

いやらしさはあまり感じないとはいえ、延々と続く異常でゆがんだ世界をなぜ描かなくてはいけないのか、平凡人の私にはついていけないところがある。それでも、一気に読ませる筆力はさすが、ブッカー賞受賞者だ。



「訳者あとがき」にあるイースト・アングリア大学(UEA)の創作コース創立経緯が面白い。
文学部教授に迎えられたブラッドベリは、アメリカにある創作コースを是非ともイギリスにも作りたいと努力する。ようやく設立にこぎつけたが、募集した学生が一人も集まらず、時間切れになりかけたときに、入学希望者からの電話があった。それが、イアン・マキューアン(Ian McEwan、1948年生まれ)だった。

彼をただ一人の1回生とする創作コースはその後、カズオ・シシグロなどUEAマフィアと呼ばれる数々の新進作家を生み出すことになる。

この修士コースは、論文の代わりに小説を提出しても良いのだが、彼の修士論文として書かれた短篇がこの短篇集「最初の恋、最後の儀式」First Love, Last Rites (1975)に収録され、サマセット・モーム賞を受賞した。
その後、長編「アムステルダム」Amsterdam (1998)は、98年度のブッカー賞を受賞。







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自転車でお出かけ

2008年05月29日 | リタイヤ生活

このところ毎日、家でゴロゴロしているので、奥様も息苦しかろうと、自転車で30分ほどの図書館へ出かけた。

途中、街道沿いにうっそうとした木々が茂っていた神社が駐車場になって、あらかたの大木が切り倒されていた。そういえば、車で通るときに見たはずだが、自転車に乗ってあらためてゆっくり見ると、すっかり間が抜けてしまっている。



街道に覆いかぶさる木だけは残されていて、かすかに面影がある。真ん中を駐車場にして、周辺のわずかな木々だけ残したようだ。日本では、何百年も木々を残せるのは、(相続税のない)神社やお寺だけになっているので、いろいろな事情があるのだろが頑張って欲しかったのだが。

途中の家の庭にボトルブラシ Bottlebrush を見つけた。オーストラリアにしかない木だと思っていて、日本で見たのははじめてだった。しかし、図書館に着くと、そこにも、ボトルブラシが! さらに、自宅の近所にもあった。けっこうどこにでもあったのに、気がつかなかっただけらしい。植木屋か、個人かが、オーストラリアから持ち込んだものなのだろう。




ボトルブラシはオーストラリア の代表的な木で、おしべが円柱状に密集した花がビンを洗うブラシ(Bottlebrush)のような形であることから名が付けられた(と思う)。



オーストラリアのパースでは春(9月頃、日本の秋)になるとどこにでもいやになるほど見られる。下はパースでの満開の写真だ。



調べると、ボトルブラシにもいくつか種類があり、さらに種類は違うが、似たような花もあるようだ。


図書館からの帰り道、街道を外れて、細道を行くと、麦畑があった。
子供のころは、ということは50年以上前だが、都内でもところどころに麦畑があった。口の中で噛んでいると、チューンガムのようになると言われて、学校帰りによく失礼したのを思い出した。懐かしくて思わず手が出そうになったが、写真だけにした。











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中川恵一「がんのひみつ」を読む

2008年05月27日 | 読書2
中川恵一著「がんのひみつ-がんも、そんなに、わるくない-」2007年12月朝日出版社発行を読んだ。

がんに関して一般の人に多くの誤解があり、日本のがん医療も多くの問題を抱えている。放射線によるがんの緩和医療の専門家である中川東大准教授ががんの常識を69にまとめて解説している。13 cm * 12 cmのコンパクトな本だ。

「命と向き合う-老いと日本人とがんの壁-」 を読む」と一部ダブルが最初の方だけご紹介。
 

●日本人の2人に1人が、がんになる。日本人の3人に1人が、がんで死ぬ。10年後には2人に1人ががんで死ぬ。
●日本は、世界一の長寿国、つまり、世界一のがん大国
●普通の細胞は必要な分だけ増えると分裂を止めて、寿命がくると死滅する。DNAが傷ついてがん細胞ができ、増えるだけで死滅しなくなり、栄養を奪い取る。
●がん細胞は健康な人でも一日5千個も発生するが、通常は免疫細胞(リンパ球)に殺される。
●年をとり免疫力が落ち、生き残ったがん細胞は分裂を繰り返し、10年―20年で100万個に増殖し、検査で発見できるくらいの1mmの大きさになる。

以下、●がんの種類によって、行なう検査も違ってくる、●放射線治療の専門医も技術者も、日本では少なすぎる、●日本人の医療用麻薬はアメリカ人の20分の1、●がんの痛みはとった方が長生きする など。


最後の方に、「●日本は医療にお金をかけない国だ」との指摘がある。総医療費のGDPに占める割合は8.0 % 、OECD諸国30カ国中22番目で、アメリカの約半分だそうだ。また、「●医療の現場は疲れ切っている」とくにがん治療を行う病院の勤務医がひどい。部下の人は、勤務医を辞め、開業医になったら勤務時間は数分の1に、収入は2倍になったそうだ。徹夜明けのパイロットが事故を起こせば操縦させた航空会社が問題になるが、徹夜明けの医者がリスクある医療行為に失敗したら、起訴された。



私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)  がんに身近な、つまり年寄りだけでなく、若い人にも読んでおいてもらいたい本だ。2人に1人が、がんになる時代には、正しい知識を持ちたいものだ。



この本にあったがん情報サイトを以下、ご紹介

国立がんセンターの「がん情報サービス」 :各種がんのイラスト入り解説
  
癌研有明病院の「がん・医療サポートに関するご相談」 :がんになって最初に読む入門篇

日本対がん協会 :がんと、がん検診の啓発

がん情報サイト :米国国立がん研究所配信の最新がん情報(日本語)など
 












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レベッカ・ブラウン「家庭の医学」を読む

2008年05月24日 | 読書2
レベッカ・ブラウン著、柴田元幸訳「家庭の医学」朝日新聞社2002年10月発行を読んだ。

翻訳本は、私もそうだが、訳者あとがきから読み始める人が多いらしい。ここでも、あとがきの引用から始める。
――――
この本の原題は Excerpts from Family Medical Dictionary である。直訳すれば、「家庭医学事典からの抜粋」。それぞれの章の題にも、貧血、薄暮睡眠、転移・・・と、まさに家庭医学事典の項目になっていそうな用語がつけられ、さらには各章の冒頭にそれらの用語の事典的定義まで掲げられている。母親が癌に冒されていることが判明し、その治療や手術に立会い、やがて亡くなった母を見送るまでを綴ったノンフィクションのタイトル・構成としてはいささか風変わりという気もする。
――――

著者、Rebecca Brownレベッカ・ブラウン、1956年、アメリカ生れ。シアトル在住。「体の贈り物」でラムダ文学賞、ボストン書評家賞、太平洋岸北西地区書店連合賞を受賞。
訳者は、村上春樹の翻訳の盟友である柴田元幸さん。私の好きな訳者の一人だ。



好きでたまらない元気な母親が、徐々に弱っていき、癌で入院、手術、苦しい闘病を経て看取りに至る。悲劇を、娘としての感情を抑えて、冷静に、事実だけを淡々と描き重ねていく。その描写によりかえって著者の深い悲しみが伝わってくる。



レベッカ・ブラウンの「体の贈り物」は一度読んだはずだが、もう一度読んでみたい。


私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)



――――
意識がすっかりなくなった、本人にはどのみちわからなくなった時点で、点滴という選択肢を私たちは話しあったが、どのみちあと数日ですよと看護婦たちに言われた。それに、私たちはみな、何か自分にできる作業を必要としていたのだと思う。・・・そうやってあたかも、私たちにできることが何かの役に立つかのように。
・・・
・・・
ある朝、母ははっと目をさました。ベッドの上でまっすぐ体を起こし、「支度できた?」と言った。・・・「うん」と兄が言った。「支度できたよ、母さん」・・・「そうよ、母さん。何もかもちゃんとやってあるから。何も心配要らないからね」・・・
―――

人は年取って意識が不確かになると、人生でもっとも輝いていた時期に戻るという。この母親も幼い子供たちを連れて映画や公園、兄がでる野球の試合へ出かけるときに戻っていたのだろう。



私がボケたら、いつ頃にもどるのだろう。
仕事関連でのピークはいつだろう。管理業務だけでなく実際自分で作業に携っていた頃がもっとも充実した時期だったのだろう。当時、技術開発を終えると、資料を事業部へ送付することになっていた。送付時期になり、伺い文書に印をもらう段階になって、「実際に資料なんて出来てないのに形式だけ進めるんだ」という噂が聞こえてきた。「こうなったら、何が何でも、資料をまとめようぜ」とチームにハッパをかけ、ほとんど徹夜で頑張って資料を書き上げた。紙袋に厚いファイル3冊の資料を下げて、伺い文書を持って、お偉いさんを回り、持ちまわりで印をもらって歩いた。二日で全部の印をもらったのは新記録だと感心された(あきれられた)。
ボケたらあのときに戻る? どうも違和感がある。

やはり、プライベートで、子どもが3、4歳の可愛い盛りのころだろうか。
子どもの両手を奥さんと持ち、水溜りを飛び越えさせた。本人は自分で飛んだつもりで、ケラケラと笑いながら、私の顔を見た。あの時だろうか。
それとも、横岳の坪庭で、先をトコトコ走っていった子どもが、また駆け戻ってきて、本当に楽しそうに笑いながら「早くしないと、行っちゃうよ!」と叫んだとき、あのときが我生涯最高の瞬間で、ボケたら、「ホイホイ、よーし、競争だ!」とでも応えるのだろうか。






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老後のライフプラン 4

2008年05月22日 | 老後
ライフプランとは理想の将来像を実現するための将来必要となる資金、リスクを推測し、長期的な資金計画を立てる生活設計プランのことだ。

今回はシリーズの最後で、「いかに死ぬか」がテーマだ。

1. 孤独死

孤独死した死者数(東京都)を世代別に見ると、下図になる。
東京都監察医務院



男性が多いのは想像できるとしても、50代、60代の男性が多いは意外だ。70,80歳の高齢な人は周辺が注意してくれるが、50代,60代の一人暮らしの人は、近隣、知人のネットワークを持ち、頻繁に連絡しあう必要があるのだろう。

死後日数が経ってから発見されると、現場は悲惨だ。2007.11.21のこのブログ 「遺品整理屋は見た!」 に概要を書いた。また、遺品整理・清掃の専門会社キーパーズの社長を見て欲しい吉田太一さんは 「現実ブログ!!「現実にある出来事の紹介」  を覗いてみて欲しい。ただし、食事の前後は避けた方がよい。



2. 死への準備

エンディングノートというものがある。自分が死んだり、ぼけてしまったり、病気や怪我で意識を無くしてしまったりした時、お葬式や介護・延命治療について、どのようにして欲しいかを書いておくもので、書店でいろいろなものを売っている。家族も知らない子ども時代のこと、家族に対する思い、そしてこれからやりたいことなど、自分自身のことも書くものもある。

遺産については、公正証書遺言を書いておくのが一番だ。
遺言書は是非、書いておきましょう! 


身体が不自由になり金融機関に行けなくなったときのために、第三者に財産管理を依頼する「財産管理等の委任契約書」が必要だし、認知症になったときに備えて、「任意後見契約書」が必要だ。また、尊厳死を望む人は、親戚などの横槍が入らないように「尊厳死の宣言書」を用意しておく方がよい。
特に女性は、遺影用に気に入っている写真を用意しておくと良い。

東京近郊の参列者100人の標準的な葬儀の費用は、葬儀費用が175万円、飲食費66万円、寺への謝礼64万円ほどだ。








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平成19年版高齢社会白書

2008年05月20日 | 老後
高齢社会白書は、毎年政府が国会に提出している年次報告書で、H19年度版は昨年6月に閣議決定された。高齢化の状況や高齢社会対策の実施の状況、また、今度の施策を述べたものだ。

「平成18年度 ・・」では、第1章で統計資料により高齢化状況を報告し、第2章では、H18年度の高齢社会対策実施状況を報告している。 さらに、H19年度高齢社会対策と、H18、H19年度の高齢社会対策関係予算表が付いている。


政府刊行物サービス・センター購入できるが、PDF版、HTMLが内閣府の下記URLからダウンロードできる。ただし、節毎など細切れだ。
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html 



前半の図表による高齢化状況には、あらたな知見はないが、統計などが利用可能だ。しかし、後半の実施状況や、施策は役人の作文に過ぎず、見るだけ無駄だ。

例えば、「孤立死防止対策」という言葉があったので、内容を見ると、以下のように、わずかながらでも予算を付けていただいたことを感謝するのみだ。

―――――
孤立死防止対策の創設
 都市部を中心に、地域から孤立した高齢者などの死亡が社会問題となっている状況を踏まえ、このような孤立死を防止する観点から、平成19年度予算に「孤立死防止推進事業」として1.7億円を計上し、国及び地方自治体が主体となって総合的な取組を推進していくこととしている。
―――――



前半の統計からいくつか拾い出してみる。

――――
2005年には高齢者1人に生産年齢人口1.3人だが、2055年には1人の高齢者を1.3人の現役が支えることになる。

WHO推計によれば、自立して健康に生活できる健康寿命は、男性72.3歳、女性77.7歳だ。(私はあと7年しかない。焦らねば)

団塊世代が将来地方へ回帰するのではないかと言われているが、地方回帰希望は他世代の約20%に比べ、約30%と若干高い程度である。

60歳以上の高齢者は、現同居将来同居31%、現別居将来同居9.9%、現別居将来別居20%、現同居将来別居4.1% であり、4年前に比べて将来同居が5.6%減で、将来別居が6.2%増となっている。
別居している子との接触頻度は、諸外国では週1回以上が約40%と一番多くなっているのに対し、日本では月1-2回が35%と多い。子どもや孫との付き合い方も、いつも一緒より、ときどき会う方が良いが多くなってきた。
――――










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老後のライフプラン 3

2008年05月18日 | 老後
ライフプランとは理想の将来像を実現するための将来必要となる資金、リスクを推測し、長期的な資金計画を立てる生活設計プランのことだ。

前回の、1.平均寿命、2.就業、3.定年後に必要な金額は? の続きだ。



4.公的年金で足りるか?
年金には、1階部分の「国民年金」、2階部分の「厚生年金」or「共済年金」、3階部分の「企業年金」or「職域加算」がある。そのほか、個人年金保険や変額個人年金保険に入っている人もいる。

公的年金で生活がまかなえるか?と言う質問に、60代の人の68%が思わないと答え、26%だけがまかなえると思うと答えている。

ゆとりある老後を過ごすためには月額37.9万円が必要との調査結果もあり、公的年金との差額は平均で10万円以上ある。


5.収支の現状は?
世帯主が60歳以上、二人以上の無職世帯の実収入は、月平均22.6万円で、その9割は年金や恩給だ。
実収入から税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は19.8万円で、消費支出は25万円なので、5.2万円の赤字になっている。赤字分は貯蓄を取り崩していることになる。
これが、平均的高齢者の実情だ。


6.単身高齢者の収支は?
60歳以上の単身、無職世帯の実収入は月平均12.3万円で、その9割が年金、恩給などだ。可処分所得は11.3万円、消費支出は14.7万円で3.4万円の赤字だ。


7.貯蓄額は?
退職後の貯蓄は最低でも3000万円以上(自営業者は5000万円以上)必要と言われている。
一方、60歳以上の世帯の平均貯蓄高は2459万円と、全世帯平均、1728万円の約1.4倍で、多いと言えば多いのだが、平均貯蓄額では貯金を切り崩して生活するには十分でない。
60歳以上の世帯の貯蓄額分布は、高額の方に広がりを持っていて、3000万円から4000万円の世帯は9.2%、4000万円以上の世帯は19%ある。お金持ちが比較的多いらしい。


8.個人年金とは?
個人年金は、契約日から払込期間まで保険料を支払うか、契約時に一時金で支払う。そして、契約時に定めた年齢から年金を受取る。その期間でいくつかの種類がある。

確定年金:生死に関係なく、契約時に定めた一定期間、年金を受取る。被保険者が死亡したときは、残り期間に対応する年金、または一時金が受取れる。

保証期間付き終身年金:年金受取り開始から保証期間中は生死に関係なく年金が受取れ、その後は被保険者が生存している限り終身年金が受取れる。保障期間中に死亡した場合は、残り期間に対応する年金、または一時金が受取れる。

保証期間付き有期年金:年金受取り開始から保証期間中は生死に関係なく年金が受取れ、その後は契約時に定めた年金受取り期間中、被保険者が生存している限り年金が受取れる。保障期間中に死亡した場合は、残り期間に対応する年金、または一時金が受取れる。

夫婦年金:夫婦いずれかが生存している限り年金が受取れる。


変額個人年金は、契約日から払込期間まで保険料を支払い(一時金で支払うこともある)、保険会社が運用する。積立金は払込金より少なくなることもある。(私の場合だ。トホト)
年金額が、年金受取り開始後、一定のタイプと、受取り開始後も、運用実績により増減するタイプがある。


9.誰を介護し、誰に介護されるか?
要介護者の発生率は、65-69歳では3.5%だが、80-84歳では22.5%、85歳以上では44.5%と増大する。
要介護状態となった場合、公的介護保険の範囲外の費用は平均675万円必要だ。100万円未満が28%あるが、2000万円以上も10%いて、介護期間が長いほど必要金額も大きくなる。(生命保険文化センター)


ここまで読んできて、「これなら安心」と思った人は少ないだろう。こんなブログを読むような(暇な)人は、私と同じく、「まあ、なんとかなるさ」と思った人が多いのではないだろうか。
もっとも、リタイヤ前後になって、あわてるようではもう選択の幅は少ないのだが、せめて夫婦で一度将来計画をじっくり話し合ってみることをお勧めする。あっと驚くような話が奥様から飛び出すかも!













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老後のライフプラン 2

2008年05月16日 | 老後

ライフプランとは理想の将来像を実現するための将来必要となる資金、リスクを推測し、長期的な資金計画を立てる生活設計プランのことだ。今回はその2

具体的老後プラン立案のための参考資料として、以下のように順次整理してみたい。


1. 平均寿命 いつまで生きるか?
2006年に生まれた男子の余命(寿命)は79歳、女子の余命は85.8歳で、簡単には、現在の年齢を引けば、余命は計算できる。「夫は一人では生きられない」に書いたように、それぞれの年齢別平均余命は、平成18年の簡易生命表(厚生労働省)で求められるように、上記値より、わずかに長くなる。もちろんこれも、あくまで平均である。

   

2. 就業 いつまで働くか?
 いつまで働くかは、その人がもう十分と考えればそこで終わるし、まだまだと考えたり、働かざるをえなければ、希望する職があるかという話になる。ここでは、高齢者で働いている人の率を示すにとどめる。
2000年の65歳以上の労働力人口(就業者と完全失業者)は493万人で、65歳以上の人の22.6 %(男性34.1 %、女性14.4 %)だ。この値は、アメリカ12.8 %、カナダ6.2 %、イタリア3.6 %、ドイツ2.7 %、フランス1.5 %と欧米に比べ大きい。怠け者の私に言わせれば、日本人はまだまだ働き者だ。

なお、男性の65-69歳は51.1 %、70歳以上は24.3 %で、女性の65-69歳は25.4 %、70歳以上は9.8 % だ。

また、公的年金の支給開始年齢が原則65歳に引上げられている。そこで、60歳以上で働くと年金はどうなるか?
在職老齢年金制度という仕組みがあり、年金と給与の合計額が28万円を超えると減額される。65歳以上はこの額が48万円になる。
また、65歳までは高年齢雇用継続基本給付金制度があり、60歳以降の給与が75% 未満であるなど複数の条件を満たせば、補填される。

働くと、給与によっては年金は減額されることになるが、おおよそ、60歳以上も働いたほうが金銭面では有利なようだ。

 
3. 定年後に必要な金額は?

税金:所得税と住民税で数千-20万円。ただし、退職の翌年には住民税は前年の所得に対する額が課税されるので注意が必要。

社会保険料:健康保険と介護保険の支払いは一生つづく。今、問題の後期高齢者医療制度により75歳以上は全員保険料を支払う。

住まい:住み続けても、リフォーム代が数10万円-1000万円かかる。住み替えるなら、田舎、郊外、都心、外国などあらかじめ想定しておきたい。参考「老後の住まい

子どもへの援助:結婚式やマイホーム頭金の援助には200万円程度はかかる。生前贈与の基礎控除は110万円だから、例えば毎年3人に10年間贈与すると、贈与税0円で3300万円の相続財産を減らすことができる(??)。3500万円まで無税の住宅取得の特例は2007年末で廃止されたようだ。
なお、結婚20年以上の配偶者へは居住用不動産取得用贈与として2000万円まで控除できる。もっとも、相続税自体に基礎控除(5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数))などがあるので、私なぞは、生前贈与が節税にならないばかりでなく、高齢になって金不足になるので、縁のない話だ。

車などの耐久財:自家用車は5年に1回で200-300万円。使用頻度が低いのなら税金、メンテ費用を考えると、レンタカー、タクシーの方が得な場合が多いと思う。

医療費:高齢になると医療費が増加するが、高額療養費制度により、一般所得者はたいていの場合、1ヶ月約10万円以内には収まる。

介護費用:65歳以上なら介護保険の要介護認定を申請でき、利用限度内なら自己負担は1割になる。

趣味や旅行:どの程度お金をかけるのか、事前に夫婦での話し合いが必要。



支出の見直しは、まず、住宅ローンと生命保険。住宅ローン金利を上回る運用は素人では困難なので繰上げ返済を検討する。生命保険も高齢になるほど必要性は低くなるのに支払額は変わらない場合が多い。

おおよその目安は、毎月必要となる支出は年金でまかなえる金額まで引き下げ、年に数回必要となる金は退職金や貯蓄を取り崩す。ゆとりある老後を過ごすためには月額37.9万円が必要との調査結果もあるようだ。



今回は、週刊ダイヤモンド4/12特大号「後悔しない「老後」」を参考にさせていただいた。

次回以降、年金、収支、貯蓄額などに触れる。












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「60代からの住み替えを考える本」を読む

2008年05月15日 | 読書2
長岡美代「60代からの住み替えを考える本」実務教育出版2008年4月発行 を読んだ。

定年後に都心の分譲マンションに住み替えたり、元気なうちに有料老人ホームに入居したり、シニアの住まいへのニーズは多様化している。自分にあった住宅を見つけるには十分な調査が必要だ。介護・医療ジャーナリストの著者が、実際に住み替えた人や施設経営者らへ取材し、住宅の選び方や契約時の注意点など具体的にアドバイスしている。



Part1 自宅に住み続けるか、住み替えを考えるか?
自宅に住み続けたい38%、自宅を改造して25%、ケア付き施設などに住み替えたい37%と依然自宅希望が多いが、介護を考えると難しい状況になってきている。
希望住み替え先は、首都圏が59%、首都圏からリゾートへ41%。
要介護でもっとも多い年齢が80-85歳、次が85-89歳であり、住み替え時期のひとつの目安。

Part2 どのようなタイプの住宅・施設があるのか?
5月3日のこのブログ「老後の住まい」でどんな選択肢があるか簡単に触れたので省略。

Part3 後悔しない住宅・施設選びのポイントとは?
チェックポイントなど

Part4 契約から引っ越しまでをスムーズに進めるには?
契約形態の違いを把握(賃貸借契約、終身建物賃貸借契約、所有権契約、利用権契約)

Part5 医療や介護について心得ておきたいことは?




最後に情報元を。

移住・住みかえ支援機構:http://www.jt-i.jp/
(財)高齢者住宅財団:住み替えに関わるファイナンシャルプランが試算できる。
http://www.koujuuzai.or.jp/financialplan/q00.html
高齢者住宅情報センター:http://www.kurashi-sumai.com/
(社)全国有料老人ホーム協会:http://www.yurokyo.or.jp/
住まいの情報発信局(住宅情報提供協議会):http://www.sumai-info.jp/index.html
介護サービス情報公表支援センター:http://www.espa-shiencenter.org/
ワムネット(独立行政法人福祉医療機構):http://www.wam.go.jp/



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
具体的に定年後の住み替えを考えている人は是非一読をお勧めする。その他の人には、多様な施設の説明や、選び方のポイントは念仏に聞こえ、パラパラ読みしかできないだろう。

前半の施設の説明は、各種住宅、施設の特徴、入居条件、提供されるサービスの違いなどを具体的に比較しているが、金額や具体的施設名が記述されているわけではないので一般的な範囲に留まる。実際に調べる人は、インターネットかパンフレットで調べる必要がある。後半のノウハウの部分は参考になる。








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老後のライフプラン 1

2008年05月12日 | リタイヤ生活
ライフプランとは理想の将来像を実現するための将来必要となる資金、リスクを推測し、長期的な資金計画を立てる生活設計プランのことだ。

例えば、40歳までに独立し会社を作りたい、子供は3人欲しい、50歳までに一戸建てを買いたい、65歳で退職するなどいくつかの目標と時期を設定する。そして、必要な独立開業資金、学費、住宅購入資金、車の買換え、老後の生活費などを想定する。さらに、給与、退職金、年金などの収入と、貯蓄、不動産などの資産の変化を求める。

もちろん、将来の社会情勢、個人の事情は不確定である。しかし、若い人が大きな目標を達成するための金銭面での計画を立てることは有効だろうし、それなりの年をとった人も、将来の一応の収支を計算しておけば、当面どの程度の節約が必要か、あるいはどの程度プチ贅沢ができるか目安が得られる。



私が15年ほど前に受けた講習での用紙を下に示す。この用紙は途中をくくりながら2025年以上まで(死ぬまで)書けるようになっている。



このとき、実際に書いた用紙は、1994年の51歳から2013年70歳までで、予定行事には、子供の入学、卒業、就職、結婚と、私の退職、再就職、リタイアなどを書き込んだ。51歳ともなると人生の振れ幅も少ないのか、現在まで、実際の行事とは2,3年の誤差で大きな違いはなかった。このときも、少なくとも老年になっても健康でいるうちは、金銭面での心配はあまりなさそうだと分かって、一安心した。同時に、生命・傷害保険料が高額で将来の資産へ大きなマイナスであると気づき、大幅減額し、フィットネスに通う(健康に投資)ことにするきっかけとなった。

また、若い人も場合、シミュレーションにより、多くの人が子供の教育費や、住宅購入費によって、数年間赤字の年が続き、資産が目減りする時期があることも教えられた。
一般的に、現在、老後、夫婦二人で必要なお金は月最低23万円で、ゆとりある生活のためには38万円程度と言われている。これらが確保できるかどうか、シュミレーションできるのが、ライフプランだ。



ライフプランの良い点は、条件をいろいろ変えられることで、贅沢して毎月70万円使うようにしたり、家を早めに購入したり、車の買い替えを早くしたり、海外旅行に何回も行ったりすると資産がどのどん減っていくぐあいが分かるし、収入が年金だけになると、資産の減り方が眼に見えて、心配になる。
また、金融資産の利回りをわずかに大きなものにしただけで、資産がずいぶん変わることがわかる。例えば、2000万円の貯蓄を年間100万円ずつ使っていく場合、運用利回りが 0 % なら20年で無くなるが、年 3 % で回すことができれば、30年もたせることができる。
今後、デフレからインフレへ変わっていくと思われ、高齢者といえどもある程度の資産運用は必要になる。



家族、収入、生活費、貯蓄、退職予定年齢などを入力すると、今後の年毎の収入と支出などが計算される無料サイトがいくつかある。

読売新聞ライフプラン・シミュレーション 
gooライフプラン・シミュレーション 
生活経済ジャーナリスト和泉昭子   

実際に、個々人に合わせて計算してみることをお勧めする。

次回以降、もう少し具体的に考えてみたい。













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嵐山光三郎「妻との修復」を読む

2008年05月10日 | 読書2
嵐山光三郎「妻との修復」講談社現代新書2008年3月発行を読んだ。


著者が妻との関係をいかにして修復した話なのかと思って読んだが、まったく違っていた。
内容は、著者の友人たちや、文豪など有名人の夫婦関係の修復、というより破綻の実例を述べ、修復のための50ヵ条を挙げている。
読むほどに、妻や愛人がいかに恐ろしいか、すさまじい修羅場が紹介され、修復50ヵ条がいかに絶望的なものであるかが身にしみる。


著者は、1942年生まれ。一時期TVに良く出ていて、いかにも楽しげで、ユーモアがあるオヤジだと思っていたが、私と同い年だったとは。月刊「太陽」などの編集長で、作家・エッセイスト。


一つだけ内容を紹介する。
―――――
おしどり夫婦と言われ、一見仲の良い夫婦がさっさと別れて「ずっと昔から仮面夫婦でした」などと言ったり、あるいは破綻した夫婦が、根が深いところで深くつながっていて、憎しみながらも仲が良かったりする。・・・せんじつめれば、殆どの夫婦が首の薄皮一枚でつながっており、ここに夫婦の妙がある。
――――



また、あとがきに著者夫婦のことが書いてあり、これが本当の修復術だろう。
―――
食事中、TVのニュースについて、ごく当たり前の感想を言い、互いに意見が一致し安心する。サッカーの日韓戦を見て、日本を応援し、夫婦の心は一体化する(ような気がする)。お天気の良い日に散歩し、花をめで、ソバ屋に入り、「こんな味じゃすぐつぶれますよ」などと夫婦共通の敵を見つける。
そうこうしながら、モヤモヤをうめて、なんとなく修復していく。
―――



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)。

挙げられている実例が、どれも泥沼のひどい夫婦関係であり、凡人の私は開いた口がふさがらない。それもそのはず、「できる男ほど妻とアブない」とあるように、名を成した人の話であって、私には縁遠い話なのだ。
夏目漱石、坪内逍遥、森鴎外、森有礼、伊藤博文、岡倉天心、黒田清隆、武者小路実篤、野口英世、新渡戸稲造、太宰治、芥川龍之介、窪川鶴次郎、幸田露伴、岡本一平、岩野泡鳴、永井荷風、谷崎潤一郎、北原白秋、坂田三吉、獅子文六、織田作之助、堀辰雄、開高健といった有名人がいかに乱れた結婚生活だったかに興味を持つ覗き見趣味の人にはお勧めだ。
夫婦関係に危機を感じるたいていの人も、これ程ひどくはないと一応安心しできるだろう。






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「彼女があのテレビを買ったワケ」を読む

2008年05月06日 | 読書
木田理恵「彼女があのテレビを買ったワケ-男がわからなかった女が商品を選ぶ本当の理由-」2008年3月 エクスナレッジ発行 を読んだ。

奥様から「あなたもこの本を読んで、少しは女性心理を勉強したら?」とお勧め、実質ご下命により、読む機会を与えていただいた本だ。

定量分析や競合分析など通常のマーケティング手法では得られない買物における女性の本音、女ゴコロをつかむ法則について述べた本である。著者は、女性市場マーケティング会社に勤務し、女性マーケッター養成講座で講師を勤めている。




著者の言うポイントは以下にまとめられる。(こういった簡単に要約するまとめかたが、男性の単純さと言われそうだが)

「男性は一般的に商品を買った結果、得られる成果にこだわる。女性はというと、その買い方、プロセスにこだわる人が多い。」

「女性は、欲しい商品を手に入れるという行為に快感を覚えているのではなく、この買物のプロセス、好きなものが揃っているお気に入りの空間で自分が主役になり、人と共感しあえる時間を楽しんでいるからではないかと思う。」




以下、いくつか買物における女性心理らしきものを抜粋する。

「女性の幸せは、人との関係であることが多い。」

「女性はちょこっとした幸せな感じを与えてくれるものに弱い。」

「頑張っている私にご褒美を」




私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば) 

女性の買物に何度か付き合ったことのある男性なら、この本に書いてある一般的女性の買物心理はほぼ分かっていることだ。現象としては分かっているが、何でそうなのかが、たいていの男性は理解できず、イラついたり、逆にあきらめたりしているのではないだろうか。

まさに、
「男と女の間には  深くて暗い川がある  誰も渡れぬ川なれど
エンヤコラ 今夜も 舟を出す ・・・」(「黒の舟唄」能吉利人作詞・桜井順作曲)
である。

かけがえなく、いとしい人なら、理解する努力を続けなくてはならないのだろう。相方に我慢をさせるだけでなく、その笑顔が見たいなら、その喜びが当方の喜びなら、ともかく、「エンヤコラ 今夜も 舟を」出さねばならない。






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老後の住まい

2008年05月03日 | 老後

定年後、あるいは健康に自信がなくなった老後に、どこに住むのか考えてありますか?
まだ先の話なので、予期せぬ事情で思わぬことになる可能性はありますが、50代、60代から将来を想定しておくことは不確実な時代だからこそ必要なのではないでしょうか。

ここでは、老後に住まいにどのようなものがあるか、週刊ダイヤモンド「後悔しない「老後」」4/12特大号をもとにご紹介します。

まず、現在も、当面も健康であろう場合には、海外移住、田舎暮らし、自宅が考えられる。



田舎暮らし
候補地としては、夫婦どちらかの生まれ故郷、温暖な土地、物価の安い土地、趣味に好都合な土地、移住者受け入れに積極的な土地などが考えられる。この点は人さまざまなので、目的をはっきりする必要があるとだけ述べ、これ以上触れない。

どんな人が適しているかについては、「 「田舎暮らしができる人 できない人」を読む」 を見てください。玉村豊男著の集英社新書だ。


いずれにしても、現在地に根を張っているだろう奥さんの説得が前提となる。

海外移住
実際住んでみないと分からないことも多いので、1週間程度現地を旅行し、気に入ったら1ヶ月から3ヶ月ロングステイしてみることをお勧めする。日本の住居を整理して海外移住する場合はとくに慎重さが必要だし、移住のためのリタイアメント・ビザ取得条件はかなり頻繁に変更されるし、複雑なので、しっかりした調査が必要だ。


健康に不安がある場合
健康に不安がある場合は、自宅、民間型施設と、公共型施設になる。民間型施設はさまざまなサービスレベル、支払金額のものがあり、長期的経営安定度なども含めた調査が大切だ。公共型施設は条件が厳しかったり、競争率が高かったりして、すぐ入れるというものではない。



自宅以外で、現在健康で将来介護が必要になったときに備えて入居できる施設は、自立型の介護付き有料老人ホームと、高専賃しかない。他は既に要介護状態でないと入居できない。



有料老人ホーム
民間運営の有料老人ホームには、「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類があり、更に「介護付有料老人ホーム」は介護サービスの提供方法によって、『一般型』『外部サービス利用型』の2種類に分けられる。

「介護付有料老人ホーム」は、介護や食事等のサービスが付いた有料老人ホーム。要介護者3人に対して、ホームの介護スタッフが1人以上の割合で配置されています。介護サービスは委託先の介護サービス事業者が提供する外部サービス利用型もあります。

「住宅型有料老人ホーム」は、自立者および要支援・要介護者を対象とする施設で、介護が必要になったときには、施設外の介護サービスを受けます。

「健康型有料老人ホーム」は、介護が必要になったときには、併設または提携先の介護付有料ホーム等の施設に移る場合もありますが、一般的には契約を解除して退去しなければなりません。

自立型の介護付有料老人ホーム
入居時には自分で生活できる人が対象で、介護が必要になればサービスが受けられ、死ぬまで面倒を見てくれる。しかし、まだまだ少ないようだ。

高専賃(高齢者専用賃貸住宅)
高専賃は、比較的元気なうちに自宅から住み替える場所として想定されており、介護が必要になれば、外部の介護サービスを利用する高齢者向け賃貸住宅。
終身利用権方式の多い有料老人ホームと違って、入居の際に賃貸借契約を結ぶため、借家人の権利が法律で保護されており、事業者の倒産などの事態にも住み続ける権利を主張することができる。
あたらしい制度に基づくものなので、現状では、部屋の広さ、賃料、サービスの内容が千差万別で、入居の際には個別の物件をよく調べることが必要。

グループホーム
グループホーム(group home)は、病気や障害などで生活に困難を抱える人たちが専門スタッフ等の援助を受けながら小人数で一般の住宅で生活する集団生活型介護の形。

特養(特別養護老人ホーム、介護保険上の名称は介護福祉施設)
「老人ホーム」という名のとおり、生活サービスを中心とする「住まい」の提供に力点がある施設。「要介護5」の寝たきりや、認知症の老人以外は極めて入るのが困難である。
入所期間は特に定められていないのが一般的で、死亡するまで入所する人が約7割弱という。

新型特養
全室個室で、10人程度のグループごとに食堂兼居間を設け、専属の職員が介護するなど、生活環境が家庭に近い特別養護老人ホーム。

介護療養型医療施設
介護保険施設の一つで、介護保険証を持ち「要介護1」(もっとも軽いレベル)以上の人が入れる。
大部分の介護療養型医療施設は、もともとの一般病院から介護療養型医療施設に転換したもので、外見上は病院のままだったりします。
また、療養型には介護保険以外にも医療保険適用のものがあり、一つの病院内に介護保険適用のベッドと医療保険適用の療養型ベッドを併せ持つところもある。

老健(介護老人保健施設)
介護保険証を持ち「要介護1」(もっとも軽いレベル)以上の人を対象とする施設で、障害の程度に応じたリハビリや食事、入浴などの生活サービスを提供し、介護老人の在宅復帰を目指す介護施設。また、デイケア(通所リハビリ)やショートステイ(短期入所)などの在宅介護支援も行う。




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夫は一人では生きられない

2008年05月01日 | 世の動向
平成18年の簡易生命表(厚生労働省)によれば、現在の寿命に影響する環境、医術などの因子が変わらなければ、2006年に生まれた男子の余命(寿命)は79歳、女子の余命は85.8歳だ。
年齢別に余命をプロットすると、下図になる。



この簡易生命表(図)から、夫の死後の妻の余命を求めたのが下図(夫死後の妻の平均余命)だ。
簡易生命表から、一例として、夫が65歳なら夫の余命は18.45年で、5歳年下(下図の青線)の妻の余命は27.92歳だから、あくまで平均としてだが、夫死後の妻の余命は9.47年となり、再婚しなければ妻は10年近く一人で暮らすことになる。年齢差なしでも5年の一人暮らしだ。



しかし、これらは互いの平均での計算で、妻が先に死ぬ場合もあり、また夫婦の相関(互いの影響)を無視した話になっている。

H17年厚生労働白書(第2部第2章)によると、今後、ますます一人暮らしの高齢者は、2005年386万人、2015年566万人、2025年680万人と増加する。
私の余命は平均上2026年だが、2030年のデータ(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計)があったので以下に示す。出来れば、75歳以上で複数人世帯の黄色の部分に入りたいものだ。



1998年には、65歳以上のうち、一人暮らしの者は13.2%で、そのうち8割が女性なので、男性は2.6%いることになる。夫婦のみは32.3%、子供夫婦と同居31.2%、未婚の子供と同居19.1%。(H12厚生白書)
いずれ長生きすれば、夫婦どちらか一人暮らしになることは覚悟しなければならないが、離別は避けたい。60歳以上での離婚率は、男0.81%、女0.57%と率としては非常に少ないのだが。



しかし、高齢での妻との別れは辛い。
実際は、良く知られているように、妻に先立たれた夫は短命となる。夫に先立たれた妻は1年くらいは(普通の場合)落ち込むが、それ以降は、桎梏(しっこく)から解き放たれてのびのびと暮す場合が多いという。
50歳からの平均余命は、妻のいる男性で約30年、妻のいない男性は約21年という。このデータが見つからなかったので、国立社会保障・人口問題研究所の「配偶者有無での40歳時に平均余命」を下図に示す。



夫は妻に死別すると5年、離別するとさらに酷く、10年寿命が短くなる。それでも、妻も5年程度短くなるのが、せめてものなぐさめだ。
60歳以上の自殺による死亡者数は、離婚した男性が、妻のいる男性に比べ46倍も多い。(厚生労働省)



多くの男性は、妻の気持ちが冷め切っていることに気づかないで、突然の離婚宣言に動転する。
これだけ脅かせば、たいていの夫は心配になるだろう。週刊ダイヤモンド4/12特大号から、「妻の「離婚宣言」直前のサインはこれ!」を以下に引用する。

―――――
1. なんだかんだと文句ばかり言っていたのに、突然、なにも言わなくなった
2. いつも決まった場所にしまってあった預金通帳や株券などがない
3. 外出が多くなり、夜になっても帰ってこない
4. 離婚経験のある友人と盛んに付き合っているようだ
5. 離婚に関する本が持ち物から出てきた。またはインターネットの履歴に離婚情報サイトのURLがある
―――――

こんなサインに気づく前に、改心しましょう!












コメント (1)
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