hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

エレモア・レナード『オンブレ』を読む

2018年06月09日 | 読書2

 

エレモア・レナード著、村上春樹訳『オンブレ』(新潮文庫 レ11-1、2018年2月1日新潮社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

アリゾナの荒野を行く七人を乗せた駅馬車――御者メンデスとその部下アレン、十七歳の娘マクラレン、インディアン管理官フェイヴァー夫妻、無頼漢のブレイデン、そして「男(オンブレ)」の異名を持つジョン・ラッセル。浅黒い顔に淡いブルーの瞳、幼少期をアパッチに育てられた伝説の男と悪党たちが灼熱の荒野で息詰まる死闘を繰り広げる。レナードの初期傑作二作品を、村上春樹が痛快無比に翻訳!

 

「オンブレ」Hombre

ラッセル:「オンブレ」(男という意味のスペイン語)と呼ばれる。アパッチと共に暮らしていた。

メンデス:駅馬車の地区支配人、臨時に御者となる

アレン:メンデスの部下、語り手

マクラレン:17歳の娘。アパッチに一か月以上さらわれていた。

ドクター・フェイヴァ―:不正でためた大金を持つインデアン管理官、45歳ほど

ミセス・フェイヴァ―:美人、30歳前後

ブレイデン:度胸ある悪漢

1884年、以上の7名が駅馬車でスウィートメアリを出発した。そして、途中で大金目的の悪漢たちに待ち伏せされる。悪漢たちは、ブレイデンの仲間で、メキシコ人、ラマール・ディーン、アーリーの4人。

銃撃戦と逃走劇が展開され、降伏と戦いの両論が激突。

ポール・ニューマン主演で「太陽の中の対決」として映画化

 

 

「三時十分発ユマ行き」 Three-Ten to Yuma(短編)

ユマ刑務所行きの汽車に囚人ジム・キッドを乗せようとする保安官補スキャレンの物語。チャーリー・プリンスをはじめとする6人を悪漢がキッドを取り返そうと待ち受ける。キッドは、「女房と子供がいるのに月給150ドルのために打ち殺されてもいいと思う人間にはおめにかかったことがない」とスキャレンに逃げるように勧める。

グレン・フォード主演の「決断の3時10分」と、ラッセル・クロウ主演の「3時10分、決断のとき」として映画化。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

子どもの頃、映画でインディアンがバッタバッタと倒れる西部劇をよく見たが、小説で読んだ記憶はない。西部劇を小説で読むのも、自分で自由に作り出せる光景の中で活躍する登場人物を目に浮かべることができるので、けっこう良いものだ。インディアンに育てられ、荒れ地でのサバイバルに巧みな男、さらわれむごい仕打ちを受けたが正義感の強い娘、インディアンを汚いものとする夫婦など、多少通俗的だが、話を面白くしている。

 

ただ、最後の方の打ち合いは当然映像に比べて物足りないし、90ページほど続く、荒れ地での逃走劇は少々退屈ではある。

 

追加の短編は、西部劇によくでてくる意地っ張りの(矜持のある)男が、いまやステレオタイプで、突き放しながらも、それなりに面白く読める。

 

 

エレモア・レナード Lenard Elmore(1925-2013)

アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのミステリー作家、脚本家。
1984年『ラブラバ』でエドガー賞最優秀長篇賞
1991年 “Maximum Bob” で第一回ハメット賞を受賞
 1992年にはアメリカ探偵作家クラブ巨匠賞を受賞。

 

 

村上春樹(むらかみ・はるき)
1949年京都市生まれ、まもなく西宮市へ。
1968年早稲田大学第一文学部入学、1971年高橋陽子と学生結婚
1974年在学中に喫茶で夜はバーの「ピーター・キャット」を国分寺駅南口のビルの地下に開店。
1977年(?)千駄ヶ谷に店を移す。
1979年 「風の歌を聴け」で群像新人文学賞
1982年「羊をめぐる冒険」で野間文芸新人賞
1985年「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で谷崎潤一郎賞
1986年約3年間ヨーロッパ滞在
1991年米国のプリンストン大学客員研究員、客員講師
1993年タフツ大学
1994年「ねじまき鳥クロニクル」で読売文学賞
1999年「約束された場所で―underground 2」で桑原武夫学芸賞
2000年「神の子どもたちはみな踊る」
2002年「海辺のカフカ」
2004年「アフターダーク」
2006年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、世界幻想文学大賞
2007年朝日賞、早稲田大学坪内逍遥大賞受賞
2008年プリンストン大学より名誉博士号(文学)、カリフォルニア大学バークレー校よりバークレー日本賞
2009年『1Q84』で毎日出版文化賞受賞、エルサレム賞受賞。スペイン芸術文学勲章受勲。
2011年カタルーニャ国際賞受賞
2016年アンデルセン文学賞受賞 

、 

その他、『蛍・納屋を焼く・その他の短編』、『若い読者のための短編小説案内』、『めくらやなぎと眠る女』、『走ることについて語るときに僕の語ること』『村上春樹全作品集1979~1989 5 短編集Ⅱ』、


翻訳、『さよなら愛しい人』、『必要になったら電話をかけて』、『リトル・シスター』、『恋しくて』、『オンブレ

 エッセイ他、『走ることについて語るときに僕の語ること』、『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2009』、『日出る国の工場』、『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』『村上さんのところ

雑文集』 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする