hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

満開の京都(2) 知恩院、円山公園

2023年03月31日 | 行楽

 

清水寺から、法然が開山した浄土宗総本山の知恩院へ行った。

まず驚かされるのは強大な三門。

 

三門前のサクラ

 

近づいても蕾がほとんど見えない満開状態。

 

御影堂などが居並ぶ高いところに登るのは、三門正面の急階段を登る男坂と、右にあるなだらかな女坂がある(男女差別?)。私は当然、意地でも男坂。

 

男坂を上からパチリ。一段の高さが私の長い脚でもようやっとで、半端じゃない。

 

御影堂、阿弥陀堂、方丈庭園、大鐘楼などが並ぶ大寺だ。

 

9年に及ぶ修理を2020年に終えた国宝、巨大な御影堂。

 

軒下から見上げると、大きく張り出した庇(ひさし)を支える多段構成の木組みが芸術品だ。

 

なぜか女坂を下ってきて、三門へ戻った。

どもこかしこもサクラ、サクラ、サクラと、サクラでなければ花でない状態。

 

 

おっと三門横に、ツバキがあった、もちろんサクラも。

 

知恩院から歩いてすぐの、「祇園さん」と親しまれている八坂神社へ。主祭神は素戔嗚尊(すさのをのみこと)だ。

国宝の本殿と手前に舞殿。

 

舞殿の向こうに南楼門。

 

八坂神社に隣接する桜の名所で知られる円山公園。ひょうたん池の向こうに穏やかな東山(多分)を望む。

 

シンボルツリーの通称「祇園の夜桜」。正式名は「一重白彼岸枝垂桜(ひとえしろひがんしだれざくら)」。
初代の種子から育てた二代目だが、樹齢200年余に当たる。

 

ずらりと屋台が並び多くの人出。

 

次回は、「満開の京都(3) 金閣寺」、  前回は、「満開の京都(1) 近江神宮、清水寺

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

満開の京都(1) 近江神宮、清水寺

2023年03月30日 | 行楽

 

26日(土)朝早く家を出て、京都へ。京都から湖西線で大津京駅へ。駅前は意外とにぎやか。ここで息子一家と待ち合わせて、近江神宮へ。

 

天智天皇は大化の改新の理想実現のために、人心を一新しようと近江大津京を作った。近江神宮はこの天智天皇を祭る神社。

朱塗りの楼門をくぐり、外拝殿へ。写真右端の枝垂れサクラも見事だが、その左のサクラの

 

花がモコモコとしてカワイイじゃない。

 

外拝殿を通り抜けると内拝殿がある。

 

アセビ(馬酔木)の巨木。どんな馬でも酔っぱらいそう。

 

天智聖徳文教財団による「近江勧学館」へ。孫娘が目下熱中の百人一首の殿堂らしい。

途中、天智天皇御製碑があり、百人一首1番の歌「秋の田の刈穂の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ」と刻んであった。

 

「近江勧学館」は、競技かるた題材の少女漫画、末次由紀作「ちはやふる」一色で、グッズに少女たちが群がる。漫画「ちはやふる」がはやる前は、競技かるたおたくだけが集まる場所で、閑古鳥が鳴いていただろうと思わせる。

 

畳が敷いてあって、百人一首が並べられているので、競技でも始まるのかと思っていたら、「なりきり写真撮影場所」とあった。なりきって写真を撮る場所らしい。振りだけとはさすが漫画ファン。

 

この後は、京都のホテルで一泊し、翌日清水寺へ。

両側に清水焼の茶碗などお土産屋が並ぶ「ちゃわん坂」を登る。

 

急坂の上の階段。これで最後だと自らを励ましながら仁王門への階段を登る。

 

さらに西門とその向こうに三重塔が見える。やれやれ。

 

三重塔

 

鐘楼

 

桜に癒される。満開だ!

 

本堂の舞台を横から見ると、前にかなり傾いている。後ろに人も景色が見やすいような配慮だろう。

 

本堂の舞台は、166枚の桧板が貼られ、床面積は約200平方メートル、崖下の礎石からの高さは約13メートル。下の写真のように大勢の人が集まっても当然びくともしない。

写真に写っている顔を塗りつぶす作業をしながら、あまりに多いので2度と前向きの姿は撮るまいと思う。ざっと見て、アジア系以外の外人客は2割弱だろうか。

 

左に阿弥陀堂と奥の院が見える。

 

 

谷の向かい側には子安観音(千手観音)を内部にお祀りする檜皮葺の三重塔(子安塔)

 

奥の院の真下に音羽の瀧。清水寺の開創の起源となった清めの水で、3筋に分かれて落ちる清水を柄杓に汲んで祈願しようと行列ができている。

 

舞台を横から見る。

 

眼下に京都の町が見下ろせるおなじみの光景。

 

ぐるっと回りこんで、下から舞台を見る。

床下に建てられた18本の柱は、樹齢400年余の欅(けやき)。釘は使っていない。

 

江戸時代、願掛けで舞台から飛び降りた人は234人、そのうち亡くなったのは34人という。意外と無事な人が多い印象だが、当時は舞台の下に木々が多く茂り、地面も柔らかかったためだという。

満開の桜に見送られて、清水寺をあとにする。

 

次回は、「満開の京都(2) 知恩院、円山公園」

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角田光代『タラント』を読む

2023年03月29日 | 読書2

 

角田光代著『タラント』(2022年2月25日中央公論新社発行)を読んだ。

 

中央公論新社の特設ページにはこうある。

片足の祖父、不登校に陥る甥、〝正義感〟で過ちを犯したみのり。心に深傷を負い、あきらめた人生に使命―タラント―が宿る。著者五年ぶり、慟哭の長篇小説

 

周囲の人々が意義ある仕事に邁進する中、心に深傷を負い、無気力な中年になったみのり。

実家に届く不審な手紙、不登校になった甥の手で祖父の過去がひもとかれるとき、

みのりの心は、予想外の道へと走りはじめるー

あきらめた人生のその先へ

小さな手にも使命(タラント)が灯る慟哭の長編小説

 

みのりの話(東京のケーキ屋「山下亭」で働き、「麦の会」でボランティアし、実家に戻り等)の合間に、祖父・清美の軍隊時代の話が少しだけ挟まりながら進展する。

 

多田(山辺)みのり:主人公。実家は香川のうどん屋。東京の大学へ進学し、女子学生会館からアパート住まいへ。卒業後、小さな出版社へ勤務し、退職して実家を手伝い、また東京へ戻る。

山辺寿士(ひさし):みのりの夫。映画配給会社の宣伝部勤務。7年前に結婚。

 

「ほうらい屋」:香川のうどん屋。克宏が厨房、嘉樹が補佐役、容子と珠美がサブメニュー作り。

多田珠美:みのりの母。

多田清美:みのりの祖父。90歳過ぎ。左足がない。妻(祖母)は笛子

多田啓輔:みのりの兄。妻は由利。息子は中二で不登校の

多田克宏:みのりの伯父。妻は容子。長男は嘉樹。次男は大晴

持丸涼花:清美と手紙のやりとりをする東京に住む謎の女性。1992年生。パラスポーツ選手。

 

「麦の会」:複数大学から集まる学生ボランティア団体。

宮下玲:ジャーナリスト志望。

遠藤翔太:みのりと同い年。報道カメラマン志望。

ムーミン:甲斐睦美。みのりの1歳下の女子大生。天然。

澤和彦:会の代表

真鍋市子:みのりの2歳年上。海外で2年過ごして食品会社勤務後、フェアートレード会社を立ち上げ。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

前半部は、進行が遅く、謎の解明も進まず、すっきりしないままゆっくり進む。

みのりが世界の貧しい地域にボランティアツアーで行った話が主であるが、現地の本当の実生活を見ることができているのか、心良き善人と思われていないか、などぐじゃぐじゃ悩み、正直に言ってだれている。みのりが考えすぎで、消極的で、内面の心理描写ばかりで、エンタメ的な面白い展開がない。

祖父・清美の過去の謎も、太平洋戦争で片足を失う話が少々でてくるだけで、謎解明は少ししか進展しない。

 

後半部は、とくに終わりに近づくほどダイナミックに展開する。みのりも自分なりの形で前に進んでいくようになる。最終章で、老人が高く飛ぶシーンは、夢のようで、感動的だ。

 

巻末の13冊の参考資料の内、8冊がパラリンピック関連資料だった。小説書くのも大変だ。

私は、パラリンピックの歴史についてはまったく知らず、多くのページを使っていないが、興味深く読んだ。そもそもの始まりが戦争で傷ついた兵士のためのものだったのだ。そういえばピラティスもそうだった。

 

 

角田光代の略歴と既読本リスト

 

 

以下、私のメモ

 

みのりは、「私の“ふつう”の日々と、私とはぜんぜん違うだれかの“ふつう”の日々を通じ合わせる方法を見つけたい」と思っているが、具体的に何をすればいいのかはやっぱりわからない。

 

この子たちは困難な立場にいるというだけで、私と隔たった異世界にいるのではない。かっこもつけたいし、写真にはきれいに写りたい。学校にいきたのは勉強したいからではなくてサッカーをしたいからだし、…。顔も知らずに嫁いだ結婚相手はキモいし、すてきな人となら恋愛をしてみたい。「起きるのもいやんなる」と、という男の子の言葉に、「わかるよ」とみのりは応えそうになった。

 

迷う玲はムーミンに言われた気がした。「玲さん、そんなことより、「自称」ってのを、まずなんとかしてくださいよ、自称って言われないくらいいっぱしになれば……、まずそうなってから堂々と迷ってくださいよ」

 

かって、ぼくらは神さまにすべてを返さなくてはならないのだと教わった。そう信じていた。……だけどこうして返さずにここまできてしまって、今、思うんだ。もし、神さまがいるとするなら、その神さまに返すためにぼくらは生きているんじゃない。ぼくらが生きるために神さまはいるんだ。少しでも遠く、少しでも高く、ぼくらをいかせるために神さまはいるんだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

須賀敦子『須賀敦子の手紙』を読む

2023年03月27日 | 読書2

 

須賀敦子著『須賀敦子の手紙 1975―1997年 友人への55通』(2016年5月28日株式会社つるとはな発行)を読んだ。

 

須賀敦子の最初の著作が出版されたのは61歳の時、8年後に他界、生前の書はわずか5冊。しかし、没後に書簡、日記などを含む全集8巻が刊行された。

 

最期を看取った妹さんも知らなかった心を許した親友がいた。イタリアで最愛の夫ペッピーノを亡くしてのち、帰国後に知り合ったスマ・コーン(大橋須磨子)、ジョエル・コーンの二人だ。須賀敦子が1957年から亡くなる前年1997年まで二人に書いた55通の書簡を二人は長く保管していて、2014年に妹さんに送られてきた。

 

本書には、その書簡すべての他に、須賀敦子の全集未収録のエッセイ「おすまさんのこと」、須賀敦子の妹・北村良子、コーン夫妻へのインタビュー、作家、批評家の松山巖のエッセイも収録されている。
書簡のほか封筒の表書きなども撮影、掲載し、小さくなるものは別に活字化してある。須賀さんが絵葉書の図柄や書く紙を選ぶのに工夫を凝らしているのもわかる。

 

 

帰国後の須賀は、学問の道から長く離れていたのに大学に戻って論文作成に苦労し、恋に破れ、廃品回収活動にも注力し、多忙だったが、恵まれた立場にはいなかった。

それにしても、私は、他の人が30そこそこぐらいで(おそくとも)経験することを50近くなってやっているのでつくづく「おく手」だなぁと思いますが、これも私は私の歩き方しかできないのだから、仕方がないのだなぁとあきらめの一手。いつか書くようになったほうが、全然書かないよりは、ましでしょう。(p42)

 

須賀がニューヨークへ行ったとき、ジョエルの伯母の家に泊めてもらったが、礼状を出さないままの3年後の詫び状があり(p157)、「手遅れでなければいいのですが」と書いているのが笑える。用事を手早く処理するタイプではなかったのだろうか?

 

須賀さんは信念を持ったかたくなな人だと思っていたが、そう単純ではなさそう。

スマ:なつくんですね。はじめてのところに行ったり、人に会ったときに、すっと受け入れれば、なつく人なんです。

ジョエル:85年夏に、フィレンツェに滞在していた須賀さんを訪ねたら、「もうミラノの時代は終わった。フィレンツェがいい」って言うんです。(p233)

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

須賀敦子のエッセイは、しみじみとした懐かしさ、哀しみ、気品が香る名文で綴られている。だが、本書では、ちょっと怒って見せたり、すなおに気持ちが乗った文章で、わがままを言いながら、相手の気持ちを推し量ったり、気楽に書いた文章でも、息遣いさえ聞こえるような文で、やはり名文家だと思った。
きれいで読みやすい書体そのものを写真で眺められるのもありがたい。
妹さんも「姉があんなにのびのびと書いている手紙は読んだことがありませんでした。構えないで書いていて、しかも姉らしさが全体にあふれていて」と書いている。(p247)

 

 

須賀敦子の略歴と既読本リスト

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井の頭公園に春の訪れ

2023年03月25日 | 散歩

 

七井橋を渡ったボート乗り場の前の高い木の上の方に鳥の巣(緑の矢印)と、止まる鳥(赤い矢印)がいて、木も、その下も白い糞だらけだ。下には糞よけのテントが張ってある。

 

裏から見上げる。赤印が鳥、茶色が巣。

 

七井橋から弁財天へ向かう途中のコブシが満開。青空をバックに無数の白い花が映える。

 

弁財天から南へ出る階段の両脇は、無数のツバキの花に囲まれている。

 

御殿山へ登る道は植物園のよう。いまや珍しいかたくりの花があった。話しかけてきた女性が「例年より早いですね」と教えてくれた。

 

女性に「マムシグサ」と教えていただいた。コブラの鎌首のような花が不気味。

 

「ヒトリシズカ(一人静)」との看板があった。「二人静」ならお菓子も花も知っているのだが。

 

可憐なニリンソウ(二輪草)

 

公園事務所の前にアセビ(馬酔木)が何株も並ぶ。

 

御殿山遺跡の看板

「御殿山遺跡は、1962年9月武蔵野市の発掘で発見された。直径5mの竪穴式住居跡の他多くの遺物が発見され、約3,4千年以前に集落があった。」

 

たまには、公園の西側をぶらぶらしてみようと思った。西園にも足を延ばさねば。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京王井の頭線・吉祥寺駅のスタバで紅茶

2023年03月23日 | 食べ物

 

京王線井の頭線の終点・吉祥寺駅、改札を出て左にベンチが並ぶ待ち合せスペースがある。さらに左の奥にはキラリナの1F~9Fへのエレベータがあり、その手前に、

 

スターバックスのキラリナ京王吉祥寺店がある。このスタバは、コーヒーもあるが、ティーに特化した店だ。

 

席の後ろの壁の装飾。模様替えが簡単だ。

 

注文したのは、私が右の「マジェスティック・チャイ・ウーロン」で、相方が左の「」さくら・アリュール」。

 

 

 

このカード、表がきれい。

ここ駅に密接したスタバも、一時の憩いを求める我々のような客の他、パソコンを持ち込んで長尻でねばる客、3,4人で喋り捲る客など他店の客層と変わらないようだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井の頭公園花便り・3月20日

2023年03月21日 | 散歩

 

3月20日10時前、三鷹台駅から神田川沿いをさかのぼって井の頭公園へ。

小さな桜の木が並んでお出迎え。

 

井の頭線が通っても、小鳥はびくともせず。

 

ユキヤナギの大株、けっこう派手じゃない。

 

三角広場のこちら側、コブシが満開。

 

公園に入り、定点のひょうたん橋のたもとのサクラは満開。

 

公園は、ほぼ満開のサクラと、7,8分咲のサクラが点在。

 

このサクラはどう見ても満開だ。

 

池の対岸も満開に近い。

 

七井橋の手前の定点観測地点のサクラは遅く、まだ開花していないと言えそう。

 

しかし、スマホを左に振ると、7分咲き?

 

七井橋から東を見ると、全体として満開とは言い難い。

 

日曜日と休日に挟まれた3月20日、けっこう人出が多い。10時となるとボートが次々と出ていく。

 

公園のサクラは全体として8分咲きと言ったところだったが、今後雨が降り、冷え込むと、満開はどうなるのか?

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辻堂ゆめの略歴と既読本リスト

2023年03月20日 | 読書2

 

辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)

1992年生まれ。神奈川県藤沢市辻堂出身。東京大学法学部卒業。

大学在学中に書いた『いなくなった私へ』(『夢のトビラは泉の中に』に改題)で第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、2015年デビュー。

2021年『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補

2022年『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞

他に、『僕と彼女の左手』『卒業タイムリミット』『あの日の交換日記』『十の輪をくぐる』『君といた日の続き』『コーイチは、高く飛んだ』『あなたのいない記憶』『今、死ぬ夢を見ましたか』(宝島社文庫)、『悪女の品格』(創元推理文庫、ミステリ・フロンティア)、『片想い探偵 追掛日菜子』(幻冬舎文庫)、『お騒がせロボット営業部!』(文春文庫)、『二重らせんのスイッチ』、『答えは市役所3階に』『サクラサク、サクラチル

藤石波矢との共著『昨夜は殺(や)れたかも』

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辻堂ゆめ『悪女の品格』を読む

2023年03月19日 | 読書2

 

辻堂ゆめ著『悪女の品格』(創元推理文庫、Mつ7-1、2020年8月21日東京創元社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

どうして私がこんな目に? めぐみはここ一週間、連続して危険な目に遭っていた。まずは監禁事件。次は薬品混入事件。犯人は、めぐみが三股をかけた上に貢がせている男性たちの誰かなのか。さらに彼女自身の過去の罪を仄めかす手紙まで届き、危機感を募らせためぐみは、パーティーで知り合った大学准教授とともに犯人を捜し始める。「悪女」による探偵劇の顛末を描く長編ミステリ。

 

光岡めぐみ:生命保険会社営業29歳。大女優・蓮見沙和子と社長の一人娘だが親とは連絡をとっていない。小学校の時、金内、秋庭、玉村、樋口と、有希子、香織を従えて、真木良輔をいじめていた。現在、美しく強欲なめぐみは大病院院長の息子・秋庭、不動産王御曹司・玉村、IT会社社長の樋口を操り、貢がせている。

ここ一週間、監禁事件(帰宅の途中、男にバッグを奪われ、マンションの物置に一晩閉じ込められた)、薬品混入事件(秋庭が渡されたボディミストの試供品をもらったが、塩酸入り容器で手に火傷を負った)、ハンドクリーム事件(玉村からのプレゼントのハンドクリームで皮膚に炎症)と3つの事件が重なった。

彼等から離れようと藤沢駅に行き、降りた所で財布が盗まれたのに気がついた。家に帰る金を都合付けるためにたまたま誘われた婚活パーティーに参加し、大学准教授29歳の山本正志と知り合った

 

犯人は、めぐみが三股をかけ、貢がせている男性なのか。めぐみは大学准教授・山本とともに犯人を捜し始める。

 

 

本書は2017年刊行作品の文庫化

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

子供の頃はいじめの主犯で、現在は三股かけた男に貢がせることしか考えていない悪女の話は真剣に読む気がしない。著者はあとがきで、読者が感情移入できない中途半端な悪女をあえて書いてみたと書いている。

 

主人公で語り手が光岡めぐみなので、いじめられる者の哀しみなどが描かれず、その部分は読んで不愉快な気持ちが残る。
大人になってからのめぐみの三股など悪行は、こんな女性も居るだろうし、騙される方も悪いと突き放して読める。

 

著者は新婚で幼子を抱え、仕事を持ちながらでも小説が書けるらしい。読むのは早くないが書くのは早いと言っている。才能ありそうなのだから、合格作を量産するより少数でも傑作を残して欲しい。(参考:作家の読書道

 

 

辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)の略歴と既読本リスト(3月20日UP)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千早茜『しろがねの葉』を読む

2023年03月18日 | 読書2

 

千早茜著『しろがねの葉』(2022年9月30日新潮社発行)を読んだ。

 

新潮社による内容紹介

男たちは命を賭して穴を穿つ。山に、私の躰の中に――。第168回直木賞受賞作。

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!

 

第168回直木賞受賞作。著者初の時代小説で、単行本でp314と大部ではない。

 

10年以上前、著者は旅行で訪れた石見銀山で、過酷な採掘現場で働く男は短命だという言葉「銀山の女は三人の夫を持つ」を聞いた。時を経て、シルバーラッシュで勢いづく戦国末期から江戸初期の石見銀山を舞台に、運命に抗いながら3人の男を愛し、見送っていく女ウメの物語が立ち上がってきた。

 

「しろがねの葉」とは、銀の眠る場所に生えるといわれるシダの葉のこと。

 

貧しさに耐えかねた一家が夜逃げするが、追っ手に見つかる。幼い少女・ウメだけが夜目が効くこと、山を良く知っていたことから石見国、仙ノ山と呼ばれる銀山の間歩(まぶ、坑道)に逃れた。
ウメは銀の気配がわかるとして人を集めている山師の喜兵衛に拾われ、銀鉱脈の在処、山で生きる知恵を得て、喜兵衛の組の手子(雑用係)となる。
間歩の中でも目が見え、誰にも負けないように頑張ったが、本来、男が命がけで働く銀掘の場は女性禁制で、月のものが始まったウメは間歩には入れなくなる。成長すると男たちから卑猥な目で見られ、さらに乱暴もされる。

 

「女は男の庇護の許にしか無事でいられないのか。笑いがもれた。莫迦莫迦しい、好きになど生きられないではないか」。仲間の隼人のことは好きでも、守ってもらって生きたいわけではない。

 

肺を病み若死にすることがわかっていても山に向かう男たち。激しい労働だけに男には女が必要だった。その女たちは、ただ弱っていく夫を看取るしかない。そして、夫に先立たれた女は生活のため、将来の働き手となる子を産むため、他の男に嫁ぐ。
負けん気で独り立ちしようと懸命に働くウメもまた、その女性の運命の中でもがき続ける。

 

 

初出:「小説新潮」2022年4~7月号/9~12月号、2021年1~11月号

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

幼くして両親もなく、荒っぽい銀鉱山にただ一人となったウメの成長譚に引き入れられる。
ウメは、豪放でやさしい喜兵衛に助けられ、どこまでも学んで付いていこうとしてならず、負けずに対等であろうとする手子仲間の隼人は庇護しようとする。年下の龍はただウメを崇拝する。

 

暗く湿っぽい奥深い山奥の鉱山の光景が目の前に広がる。荒っぽく命がけで働く男たちに対して、突っ張って負けん気のウメが、結局因習の中に踏み付けられてしまうが……。

 

 

千早茜の略歴と既読本リスト

 

間歩:銀山の坑道、鏈(くさり):銀気(かなけ)を含む石、鉉(つる):鏈が集まっているところ

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井の頭公園の花便り・3月16日

2023年03月17日 | 散歩

3月16日の井の頭公園の花便り

 

水門通りを南へ行って、井の頭線の踏切を越える。

 

私だけの定点観測点、ひょうたん橋のたもとでパチリ。7分咲きくらいだろうか、桜がけっこう咲いているのでびっくり。そういえば確か、例年この桜は早く咲くのではなかったか?

 

公園からの花見の注意書き。コロナ関連では、「短時間、少人数でのお花見をお願いします」のみで、その他は、宴会は22時まで、火気使用禁止など例年通りの注意。

 

「お! サクラが満開か?」と思ったら、

 

コブシの花だった。

 

ほとんどのサクラはまだ一輪も花が咲いていない。咲いている方で、この写真。

 

七井橋の北側の定点観測地点からパチリ。

 

花は一輪も咲いていないが、蕾はほどけて来ていて、今にも弾けてほころびそう。

 

七井橋からも桜色は見えない。

 

帰り際、ひょうたん橋付近で空師?が高いところの木を伐採中。切った枝をローブで下ろしていた。

 

思い出ベンチに「孫が育ち行くほどに全ての地に平和が訪れる――そうであれかし――  祖父母  2003.12」とすばらしい言葉があった。せめて孫の時代にはと私も思うのだが、現実は哀しい。

 

シャガの花

 

公園の東、三角広場へ行く道は、ぶつかりそうで思わず頭を下げてしまう井の頭線のガードをくぐる(見えはりました)。

 

ユキヤナギの大株

 

ヒイラギナンテンの黄色い花が咲いていた。

 

神田川をヨロヨロしながら渡り、三角広場へ。

 

登りたくなる木があった、70歳若ければ。「木にのぼらないでください」の札が二つ。最近の子供はかわいそう。

 

10組ほどの母子が集まっていた。

 

「なんじゃこれは」と近づいていったら、「それ皆で作ったんです」とのことでした。ちょっと変わってていいじゃない。

 

ということで、井の頭公園の大半の桜はまだ開花していませんでした。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月(1)の花

2023年03月16日 | リタイヤ生活

 

3月6日に届いた花

 

翌日、花が少し開き始めてからパチリ。

 

3日後、ラナンキュラスはかなり大きく開いたが、この写真では引き立て役のタマシダが目立つ。

 

薄紙のような繊細な花びらが重なりあうラナンキュラスが4輪と、

巨大化した白一輪。

 

スカビオサ。松虫が鳴くころに咲くので和名はマツムシソウ。

 

スカビオサの蕾たち。細い茎から、高原で風に揺れる花々がイメージできる。

 

5日後、紫のラナンキュロスは花びらがバラバラ落ちて散り、白はだらしなく広がって、もはや末裔と言った様子の花々。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月(1)の散歩

2023年03月15日 | 散歩

 

クリスマスローズというと濃い紫のイメージだが、淡い桃色もまた良い。

 

草むらに隠れるようにキンギョソウ(リナリア?)が可憐。

 

赤いジンチョウゲ(沈丁花)。

 

地味だけど、白もあるで~。

 

満艦飾のツバキ。

 

松庵梅林公園には梅が満開。

 

空に広がる梅の大木。

 

かなりご高齢の梅。

 

こちらにも梅。

 

道路に覆いかぶさる木。

 

鈴なりのミモザ。

 

拡大すると房に鈴なり。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月(2)の散歩

2023年03月13日 | 散歩

 

何回かこのブログに登場した見事なミモザの大木。

 

Google Lensによるとエリカ属とのおつげ。

 

幹をみても梅、紅梅だ。

 

紅白が混じる梅。

 

一斉に沸き立つような白梅。

 

葉が小さいが、大きな花はツバキに見える。

 

よく道際に植えられている「オタフク南天」。日が充分当たらないところでは黒ずんだ色になる。

 

「キンカン塗ってまた塗って」じゃない方のキンカン。甘く煮ると美味しいのに!

 

 

井の頭線吉祥寺駅改札出口に「実証実験中」の看板を立てて5,6人の人が退屈そうにしていた。

「10分間サポーター 外出支援サービス ドコケア 」とあり、

「階段の上り下り/荷物の持ち運び/お手洗いのご案内

 その他何でもお手伝いします お気軽にお声をかけてください」

と書いてあった。

私はベンチで約40分人待ちをしていたのだが、依頼してくる人は誰もおらず、係りの人が通りがかりの人を捕まえて話しかけても、そっけなく断られるばかりだった。ただひとり、人待ち顔のおばあさんが関係ない話を長々としていただけだった。成功したサービスは話し相手サービスのみか?

 

傘貸し器と、携帯充電器?

 

最近、不特定多数用のトイレのトイレットペーパー・ロールを持ち去る人が多くて困るというTVニュースをみたが、吉祥寺図書館のトイレに入ったら、壁に「トイレットペーパーを持ち帰らないでください」の掲示が。

 

良く見ると、トイレットペーパーの横ずらに「武蔵野市立吉祥寺図書館」の印が押してあった。

そこまで対策するほど困ってるの!

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「Whole吉祥寺」で一休み

2023年03月11日 | 食べ物

 

部屋の真ん中に木が生えている喫茶店「Whole吉祥寺」ができたというニュースを読んで行ってみた。

 

場所は、東急やユニクロ前の吉祥寺通りを南へ、井の頭通りとの交差点を過ぎて最初の信号、横断歩道の西側にある。住所は武蔵野市御殿山1-5-5 島崎ビル 1F。写真の「営業中」の膜の所だ。

 

「Whole」の立看板のところを入る。

 

入って突き当りのカウンターでまず注文と会計を済ます。入口を振り返ってパチリ。左の壁は草一杯。

 

地下へ降りるというより潜る感じの急階段。70歳以上の方は手すり利用をお勧めする。

 

中央にいくつかのランタン?をぶら下げた大きなシンボルツリー。

 

足元にはウッドチップが敷き詰められている。

 

壁にはたくさんの草花が吊り下げられている。

さすが、オーナーが木造建築会社。

 

 

突き当りにも部屋があって、

 

十数人が座れるスペースがあった。

 

 

椅子の後ろにも枝葉がぶら下がっていたが、

 

上の部分はプラスチックだった。

 

足元の荷物入れには「1年12月、一日24時間、一週間7日」。なんで、12,07,24の順番でないのと暇な人。

 

出されたコーヒーカップは紙。

 

左右の口から飲む。

 

蓋を2つ順番に開くと、

 

コーヒーが見える。

 

相方はラテで、砂糖を入れて、開いてかきまぜた。

それぞれ、700円、800円と高め。我々は11時半だったので遠慮したが、おいしそうなケーキもあった。

話のタネにお出かけしてはいかが。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする