hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』を読む

2015年12月26日 | 読書2

 

伊坂幸太郎著『アイネクライネナハトムジーク』(2014年9月25日幻冬舎発行)を読んだ。

 

6つの連作短編集。題名の『アイネクライネナハトムジーク』はモーツァルトの楽曲で「小夜曲」。

 

「アイネクライネ」  

マーケットリサーチ会社の藤間が妻に逃げられ、ショック状態の藤間は、佐藤と作業中に事故を起こし、データが消失する。藤間は会社を休み、佐藤は罰として街頭アンケートでデータを集める。次の日曜日に佐藤は大学の友人織田夫婦(一真と由美)を訪ねる。

 

佐藤に、妻との出会いを聞かれた藤間が答える。

「で、かみさんが財布を落としてさ、俺が拾ってあげたのが、最初だ」・・・

「その時、そこで財布を落としたのが、奥さんで良かったなあ、って思います?」・・・

「他の人じゃなくて彼女で良かったよ。ついてたな、俺は」

・・・

「彼女が言ったんだ。あの時、財布、わざと落としたんだってさ」・・・

「今度もし、偶然、奥さんとすれ違ったら、財布落とします?藤間さん」

「落とすよ」藤間さんは即答だった、

「奥さん拾ってくれますかね」

「たぶん、持っていかれるよ」

 

 

「ライトヘビー」
美容師の美奈子が、客の板橋香澄から事務職だという弟を紹介され、電話で話すようになる。

路上のテーブルの上の箱に100円を入れて「今、こんな気分です」などと言うと、パソコンから曲の一部がながれ、客は愉快になる。曲は斉藤なにがしというミュージシャンの作品であることから、このサービスをする人を斉藤さんと呼ぶようになった。

時あたかも、ヘビー級ボクサーのウィンストン小野が世界戦に挑戦する。

斉藤和義の過去の曲からいくつか歌詞が引用される。

 

「ドクメンタ」

10年前、自動車運転免許の更新のギリギリの日に藤間はある女性に視力検査のところで眼鏡を貸した。5年後、またその無精な女性に会い、ちっとも記帳しない妻と大喧嘩した夫が家を出たことを聞かされる。さらに5年後に会った女性は、記帳したら、百円だけ入金がいくつかあって、その振込元は・・・。

 

 

「ルックスライク」
ファミレスでアルバイトの笹塚朱美がしつこく苦情を言い続ける高齢の客に謝っていると、傍らにいた男が「あの、こちらの方がどなたの娘さんかご存知の上で、そういう風に言ってらっしゃるんですか?」「いえ、あの人の娘さんにそんな風に強く言うなんて、命しらずだな、と思いまして」と言った。

20年近く経って、明美はあのセリフを使うチャンスを得た。

 

 

「メイクアップ」
結衣を高校時代にいじめていた小久保亜季に、イニシアチブを握る立場で再会する。昔の彼女だと気づかない彼女に結衣は・・・。

 

 

「ナハトムジーク」
いじめられたいた中学生を佐藤が助ける。中学生はボクシングヘビー級の元チャンピオンのウィンストン小野のラウンドボーイをして、やがて世界で活躍するモデルになる。

 

 

初出

アイネクライネ:「パピルス」2007年4月号、シンガーソングライター斉藤和義から『出会い』にあたる曲の作詞を頼まれた。恋愛物には興味がなかったがファンの斎藤からの依頼なので、「詞は書けないけど、小説なら」とこの短編を書いた。斉藤はその短編を原案にして「ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜」を作曲した。

ライトヘビー:前掲の曲の斉藤和義シングル「君は僕のなにを好きになったんだろう」初回限定版の付録用の書き下ろし。

ドクメンタ:「GENERAL.」2011年春号

ルックスライク:「パピルス」2013年2月号

メイクアップ:「パピルス」2014年2月号

ナハトムジーク:書下ろし

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

殺し屋、犯罪者、とんでもない人物が登場しない伊坂作品も珍しい。伊坂さんの、残念ながら恋愛物ではないが、“出会い物“とは珍しい。伊坂ファンには見逃せない作品だ。

 

ミュージシャン・斉藤和義との、コラボ?に近い形も面白い。

 

内容は、時代が前に行ったり、後になったりし、人物も絡み合うので、ややこしい。まあ、過去との関係が分からなくても、おもろいのだが。

 

 

 

登場人物(相関図は「伊坂幸太郎さんの本を読む」が詳しい)

 

佐藤:27歳。マーケットリサーチの会社で働く。一真、由美とは大学の同級生。

織田一真(かずま):佐藤の大学の同級生で、由美の夫。すべてに適当で、変な人。

織田由美:一真の妻。美人。美奈子と高校の同級生。

織田美緒:一真と由美の娘。美人。和人と亜美子は高校の同級生。

美奈子:美容師。香澄は常連客。香澄の弟の学と付き合い・・・。

小野学:美奈子の夫。リングネームは「ウィンストン小野」。

板橋香澄:美奈子の勤める美容院の常連。学の姉。

 

 

伊坂幸太郎&既読本リスト


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水谷竹秀『脱出老人』を読む

2015年12月22日 | 読書2

 

 

水谷竹秀著『脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち』(2015年9月20日小学館発行)を読んだ。

 

 2010年、一人暮らしの単独世帯が1678万世帯、夫婦と子供の世帯より多くなった。65歳の高齢者は2012年に4人に1人、2035年には3人に1人になる。

 

フィリピン人女性を追いかけて金を使い果たし、捨てられて無一文でフィリピンで暮らす「困窮邦人」の失意の日々を取材、執筆した『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で開高健ノンフィクション賞を受賞した。

 

近年は、日本からの移住者、とくに高齢者たちが年々増え、その取材から日本の高齢化社会の問題が浮かび上がってきた。3年間かけて取材した人数は100人超え、そこには波乱万丈の人生があった。

 

登場する高齢者たちの事情は様々だが、「寂しさ」「貧困」「人間関係の閉塞感」「寒さ」「介護疲れ」「ゴミ屋敷」など日本での苦しい状況から「日本脱出」というアクションを起こしている。その結果は、世間的には失敗という人のほうが多いが、それでも一瞬は南国の幸せを味わっている。

 

 

 

中澤さんはタクシー運転手だった2000年頃、フィリピンクラブの女性から「田舎の女の子を紹介してあげようか」と持ちかけられ、50歳目前でシキホール島まで足を延ばし、18歳の子を紹介される。結婚を決意し、日本へ戻り、半年後に彼女を日本に迎える。65歳までの中島さんの年金は月額12万円なので、生まれた子どもと3人でフィリピンで暮らすため、妻と息子をセブ島に送り、自宅建設のため送金を始めた。妻は他人の子供を産んでいたため、離婚したが、つぎ込んだ金額は500万円になっていた。

中島さんはセブ島で若いフィリピン女性のナンパを始めた。200人もデートして現在の妻25歳と結婚した。彼女は「本当は年寄りとは結婚したくなかったけど、今では良かったと思っている」と語る。中島さんは「私のような貧乏人は途上国の方がええんとちゃいますか。いざとなったら帰国する人もおるが、私は帰らない。私の人生はここで終わり。」

 

厚生労働省人口動態統計で、2013年は、

夫「日本」:妻「フィリピン」の婚姻件数 3118件、離婚件数 3547件

夫「日本」:妻「中国」の   婚姻件数 6253件、離婚件数 4573件

夫「日本」:妻「韓国・朝鮮」の婚姻件数 2734件、離婚件数 1724件

 

 

初出:月刊『本の窓』2013年3,4月合併号~2015年3,4月合併号の連載「マジメに考える日本脱出計画」を改題、加筆。

 

 

水谷竹秀(みずたに・たけひで)
1975年三重県桑名市生まれ。上智大学外国語学部卒業。ウェディング専門のカメラマンや新聞記者を経て、フィリピンを拠点にノンフィクションライターとして活動中。

フィリピン在住11年で、「日刊マニラ 新聞」の記者として、日本人観光客が窃盗に遭う事件や、殺人事件、国際逃亡犯逮捕などの邦人事件の取材をしていた。

2011年『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で開高健ノンフィクション賞受賞。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

フィリピン人妻の親戚からは金の無心をされることが多いが、断るだけでは上手くいかない。フィリピン人は人懐っこいのでその輪に入っていかなくては孤立してしまう。最低限の英語かタガログ語が話せるようにならなくてはならない。

幸せに暮らしている老人もいるが、以上を守ってもフィリピンへの脱出生活は一瞬の幸せに終わることも多い。

 

著者はフィリピン在住で、取材後のフォローをきちんとしており、フィリピン人女性からもかなり本音を引き出している。

 

フィリピンでの一番の心配事は医療だ。

「極端な例を話します。・・・救急車で運ばれると『いくらまで補償される保険に入っていますか?』と聞かれます。支払い能力が十分でなければ初期治療のみです。保険に加入していても対応限度分の治療までしか施されないのがフィリピンの現状です」

 

 

 

エピローグ
第1章 寂しさからの脱出
第2章 借金からの脱出
第3章 閉塞感からの脱出
第4章 北国からの脱出
第5章 ゴミ屋敷からの脱出
第6章 介護疲れからの脱出
第7章 美しい島へ
エピローグ

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柚月裕子『孤狼の血』を読む

2015年12月20日 | 読書2

 

柚月裕子著『孤狼(ころう)の血』(2015年8月27日株式会社KADOKAWA発行)を読んだ。

 

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。
正義とは何か、信じられるのは誰か。日岡は本当の試練に立ち向かっていく―—。

(角川書店の特設サイトより)http://www.kadokawa.co.jp/sp/korou/

 

日岡秀一は、広島大学卒でキャリア、準キャリアへの試験を受けず一般警察官採用試験で警察官になった。交番勤務1年、機動隊2年を経て、昭和63年6月広島県呉原東署捜査二課に配属された。 

上司の大上章吾、通称ガミさんは44歳。丸暴刑事として有名で、受賞歴とともに訓戒処分もトップで暴力団との癒着が噂されていた。

 

違法行為を繰り返し、やくざからの金を受け取る。警察組織から爪弾きされ、落とし込められそうになるが、実績をあげるので誰も辞めさせられない。そんな孤高のマル暴刑事・大上に鍛えられながら、新米刑事・日岡は、対立するやくざ組織に挑む。

 

各章は、日岡の日誌で始まるが、何行も削除されている。削除の理由は最後の最後に明らかにされる。

 

 

初出:「小説 野生時代」2014年3月号~2015年2月号

 

 

柚月裕子(ゆづき・ゆうこ)

1968年、岩手県生まれ。山形県在住。

2008年、『臨床真理』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビュー。

2013年、『検事の本懐』で大藪春彦賞を受賞。

他の著書に『最後の証人』『検事の死命』『蟻の菜園―アントガーデン―』『パレートの誤算』『朽ちないサクラ』『ウツボカズラの甘い息』がある。

「私は21歳で結婚して40歳でデビューするまで、子育て中心の生活をしてきました。弁護士や検事、警察官という特殊な仕事について何も知らないし、知り合いもいません。」とインタビューで語っている。(YOMIURI ONLINE「大手小町」 2015年9月1日)

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

何といっても筋をたがえたやくざを手段を択ばずに追い詰めていく大上刑事の非道な捜査が小気味よい。やくざから金を巻き上げ捜査費に使い、警察幹部の汚点を握って手を出させず、真のやくざとは気脈と情報を共有して、共同戦線を張る。日岡の正体を知りながら後継者に見込んで鍛え上げていく。そして、山場では・・・。

 

 

 

呉原(くれはら)東署

 捜査二課 課長 斎宮

  暴力団係 係長 友竹

       班長 大上章吾

        日岡秀一

       班長 土井秀雄

 

「小料理や 志乃」晶子 45歳

 

明石組

 尾谷組 50名

     組長 尾谷憲次

   若頭 一之瀬守孝

 

仁正会 600名

 五十子(いらこ)会 100名

    会長 五十子正平

 

 加古村組 40名

    組長 加古村 猛

   若頭 野崎康介

瀧井組 80名

   組長 瀧井銀次

  

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鈴木大介『最貧困女子』を読む

2015年12月15日 | 読書2

 

鈴木大介著『最貧困女子』(幻冬舎新書360、2014年9月30日発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10~20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、さらに」目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度)という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。可視化されにくい彼女らの抱えた苦しみや痛みを、最底辺フィールドワーカーが活写、問題をえぐり出す!

 

貧乏と貧困は別

貧乏はたんに低所得であることで、低所得でも家族や地域との関係性がよくて、助け合いがあるならけっして不幸とは言えず、孤立しがちな貧困までの状態にはならない。

 

マイルドヤンキー

強い地縁や血縁をベースとした生活で満足している低所得の若者層のこと。「お金がなくても、地元の仲間とつるんで楽しくやっていりゃいいじゃん」と語る郊外や地方の若者たち。

「地方週一デリヘル嬢」というカテゴリーの風俗嬢たちは、まさに週1回、バイトのように収入の余裕をもたせるために風俗に入ってくる。彼女たちはいつまでも「素人」のように「みずみずしく」(これはぼくの表現)、いわゆる「美人」も多い。そして技術も高い。

 

最貧困層

知的な障害をかかえていたり、やむにやまれず体を売っているような最貧困女子のような、プロ意識に欠けた、そしてまさにただ肉を売っているだけのずさんな女性(とみなされている人たち)は、性産業の中心部からも排除され、だれも相手にしないような性産業の底辺へと押し込められていく。

「性技テクも磨かない、生活も工夫しない、自堕落な女」として性産業の別階層からもいっそう激しい「自己責任」論をつきつけられ、不可視化されていく。

「家族の縁」が切れて、友達、遠い親戚など「地元の縁」も切れていて、その上「制度の無縁」で社会保障の網から漏れているのが最貧困層。セックスワークや裏稼業でギリギリ生活できていて、身も心もボロボロの人たちで、差別の対象であっても、支援の対象にはなりにくい。彼女らの貧困、苦しみや痛みは「可視化されていない」。

 

最貧困女子は親の虐待を受けて、家出した知的障害ぎみの少女が多い。義務教育も受けられず、親からまともな教育を受けていないので、公共サービスの申し込みもできない。

これら家出少女をすくい取るのが歓楽街のスカウトやホストで、多くが元家出人で、親身になって宿泊や病気に対応してくれる。公共機関ではとても対応できないだろう。

 

 

悩んでも解決策を見いだせない著者は、小学校時代に救いの手を出すことしかないのではと書いている。彼女らが路上に飛び出す前に、地元の不良グループや性産業が用意する危険なセーフティネットに取込まれる前に手を伸べる以外に手はない。そのためには、貧困の淵にいる子どもたちに堅苦しくない居心地のいい場所をつくることが必要だという。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

あまりにも悲惨な状況に読むのがいやになる。しかし、こういう現実も社会の陰にはあるのだ。本人が悪い、自己責任という面は大いにあるが、個々の話を読むと、それでは済ませられない環境、事情がある。そして、最悪な環境にある知的障害者が底辺に落ちていく仕組みが現に存在するのだ。

 

 ただ、彼女らに救いの手を差し伸べようとする人たちも、キリスト者が多いのだが、いることは知って欲しい。例えば、ざる法と呼ばれる売春防止法だが、これに基づく婦人保護施設は全国に48ある。ただ一つの長期婦人保護施設が館山市にある「かにた婦人の村」で、現在も70名が暮らしていて、内34名が40年以上在所という。

 

 

 虐待や社会からの爪弾きでボロボロになった彼女が運よく愛する人を見つけても、「試し行動」から破綻を招く場合も多い。「この人は本当に自分を救える人なのか、偽物じゃないのか、どこまで私のわがままに耐えられるのか」と、裏切り続けてきた人生の中で相手を振り回してしまい、DVを招きがちだという。

 ともかく、気が変わりやすく、乱暴で身勝手、

 

 最後に、心を閉ざした女性達から、考えただけで憂鬱になるような話を丹念に取材している著者に敬意を表したい。本としては十分なまとめになっていないが、インタビュー結果報告としてでもインパクトがある。

 

 

鈴木大介

1973年、千葉県生まれ。ルポライター

「犯罪現場の貧困問題」をテーマに裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心に取材活動を続ける。

著書に『家のない少女たち』、『出会い系のシングルマザーたち』。

「取材相手の迷惑になるといけないから」とメディアでの顔出しをいっさいしていない。

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築地玉寿司 吉祥寺店

2015年12月11日 | 食べ物

ヨドバシカメラの裏に昨年できた10階建てのブランシュに、。
今年3月に銀座アスターが開店、10月22日に築地玉寿司吉祥寺店が
1階に開店した。 吉祥寺に銀座と築地が進出だ。

カウンター10席、 テーブル36席があるが、昼は待たされることも多い。


かに茶碗蒸しと生のり椀つきの小町にぎり 1900円がお得だ


まず出てくるのが、かに茶碗蒸し。
これが、12月に入ると、開店記念特別メニューのカニが消えてしまう。


生のり椀も。


そして、小町にぎりにある「うに」600円が嫌いな私は、これを「炙りたらば」に変えてもらう。


金目鯛が今が旬とあり、追加注文。

 

同じく「うに」嫌いな奥様は好きな甘えびに変えて、2つ。


次の週には、私は「うに」をアワビに変えた。

さっぱりとして美味しく、11月に3回通ってしまった。

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銀座アスター 吉祥寺店

2015年12月09日 | 食べ物

ヨドバシカメラの裏側、吉祥寺本町1丁目に昨年6月にできた10階建てのブランシュ(KS-23 Building Blanche)が気になっていた。


5階以上は事務所だが、1,2階には店が入りそうだと、しばらくそのままだと眺めていたら、
今年3月末に地下と2階に銀座アスターが開店し、10月22日に築地玉寿司吉祥寺店が1階に開店した。

銀座アスターは地下が受付とメインの店で、2階はバンケットルーム(宴会場)だ。

ランチメニューは、1,500円、2,300円、3,000円、3,700円とあるが、我々は当然「李花」1,500円。

まず、サラダ。量もまあまああり、味良し。甘いクルミが変化をつけている。

次は肉団子。


野菜とキノコのスープ。とろみがついていて熱いが、美味。付け合わせのザーサイは相方の分までいただく。

私のメインは料理長おすすめ(名前は忘れた)で、ご飯。


相方のメインは酢豚で少々塩辛かった。おかゆは美味しい。いずれもお流れ頂戴した。


最後は、コラーゲン入りやわらか杏仁豆腐。美味しかったので、お流れはなし。


お土産に肉まん360円*2 をご購入。お腹いっぱいで、これが夕飯となる。

 

 

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お待ちしていました

2015年12月07日 | 趣味

いつ頃、購入申し込みしたのか覚えていないほど時間が経って、やっと送られてきました東京駅100周年記念スイカ。

101年記念になってしまいました。

東京駅年表のパンフレットが一緒でした。


かなりな数のカードコレクションがあったが、ほとんど寄付に回してしまったので、このスイカもとって置かずに使うことにした。

スイカ導入の最初から(2001年?)使っていて、ボロボロになっている古いスイカと交換しようと、最寄りの私鉄駅で聞いたら、「JRの駅で」と当然のことを言われれた。

JRの駅へ行ったら、古いスイカの金額を新しいスイカに移すことはできず、古いスイカを使い切って、デポジットの500円を受け取ることになると言われた。

ちょうど0円まで電車代で使うのは難しいのでコンビニなどで使い切らねば!

スイカで管理している交通費と物品代の金勘定がゴチャゴチャになるではないか! (私はそんなことしていないけど)


 

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高田郁『晴れときどき涙雨』を読む

2015年12月05日 | 読書2

 

 高田郁(かおる)著『晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで』(幻冬舎文庫2014年12月5日発行)を読んだ。

 

『みをつくし料理帖』の作者・高田郁、初のエッセイ集。漫画原作者・川富士立夏時代に漫画雑誌「オフィスユー」に執筆したエッセイと書き下ろし長編エッセイで構成。

 

法曹界を志し挫折、交通事故にあい後遺症に苦しんだ日々、阪神淡路大震災の経験、時代小説の世界へ行きたいと思い続ける。弱者に寄り添う姿勢を感じる優しさにあふれたエッセイ。

 

 

「あかんたれ」

 司法試験の論文式の合格発表の日、危篤状態の父に合格の知らせを届けたくて電話で問い合わせた。ダメだった。・・・

 子どもの頃から、自分さえ何とかすれば今ある状況を変えられる、という局面でそうできた例(ためし)がない。トイレの手洗いで顔をバシャバシャと洗いながら、あかんたれ、あかんたれ、と胸のうちで繰り返した。・・・病室に戻ると、父が目を開けて私の帰りを待っていた。・・・

「まだ死なれへんなァ」

マスクの下で、父は短くそう言った。

 翌年も、その次の年も、さらにその次の年も、私は受かることができず、その度に父は死の淵から生還を果たした。思えば何とあかんたれな娘と、心配性の父親なのだろう。

 

「パンと牛乳」

小さな個人経営の学習塾講師の職を得ていたが、やがて

給与の支払いが滞り、他の講師は引き揚げて、教室と生徒だけが残った。中学三年生は受験を控えていた、『とにかく受験が終わるまでは』とそこに踏み止まったのは、私自身、生き方に甘いところがあったが故である。・・・熟が正式に倒産したのは、全員の進級・進学が定まった四月一日。

 

「幸せになろう」

「このクラスで一番気にくわんのはお前や」

 女性の体育教師から名指しでそう言われた頃から、いじめの試練は始まり、二学期の始業式、男子生徒によって暴力を振るわれた。肋骨骨折に内臓損傷で緊急入院し・・・。

後にその教師が不祥事で捕まった新聞記事が出て、「こんな人間のために今まで・・・」と思った。

理不尽ないじめに遭っている子どもたち、どうか死を選ぶ前に、あなたを苦しめた相手を見返す道を歩いて欲しい。・・・苦しんだ分、とびきり幸せになろうね。

 

「明日は味方」

両眼の網膜に立て続けに孔が開いた。もし今、筆を折るとしたら一番の後悔は何だろう、と。「まだ時代小説を書いていない」――それが大きな心残りだった。

 時代小説のみを対象とする文学賞に応募し、最終選考に残り、奨励賞に選ばれた。授賞式で憧れの山本一力からサインをもらった。「俺が一番好きな言葉なんだ」と言って返された本には「明日は味方」とあった。

 

 

「スローモーション」「姫の日々」

 青信号の横断歩道で車に跳ね飛ばされて頭からアスファルトに落ちた。中心性脊髄損傷になった。

右手の握力4kg。お箸より重たいものが持てないのである。・・・根気よくリハビリを続けるうちに、「お箸しか持てない姫君」から「小皿も持てる姫君」、「パン皿も大丈夫な姫君」へと、・・・

 

 

初出:2012年7月集英社クリエイティブより刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

『みをつくし料理帖』の愛読者としては、なぞが多い高田郁の生まれるまでが分かり、大満足。

 

 10年間司法試験と格闘して挫折、交通事故の後遺症で苦しみ、阪神淡路大震災を経験し、漫画原作者から時代小説作家への転身に失敗する。

 それでも書きたいことにこだわって、ついに『みをつくし料理帖』で大成功。それでも確実にできることだけにこだわり、友人から「非効率な人」と呼ばれるほど丁寧な仕事をする。

 そんな彼女をつい応援してしまう。まるで周囲の者を皆味方にしてしまう、『みをつくし料理帖』の澪(みよ)のようではないか。

 

 

高田郁(たかだ・かおる)

1959年、兵庫県宝塚市生れ。中央大学法学部卒。
1993年、川富士立夏の名前で漫画原作者としてデビュー。高田郁は本名。
2006年、短編「志乃の桜」
2007年、短編「出世花」

2009年~2010年、『みをつくし料理帖』シリーズ『第1弾「八朔の雪」、第2弾「花散らしの雨」、第3弾「想い雲」

2010年『 第4弾「今朝の春」

2011年『 第5弾「小夜しぐれ」

『 第6弾「心星ひとつ」』

2012年『 第7弾「夏天の虹

みをつくし献立帖

2013年『 第8弾「残月」』

2014年『第9弾「美雪晴れ』『第10弾「天の梯」

 

その他、『 ふるさと銀河線 軌道春秋』『銀二貫』『あい 永遠に在り

エッセイ、本書『晴れときどき涙雨』

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藤沢周平『春秋の檻』を読む

2015年12月03日 | 読書2

 

藤沢周平著『春秋の檻 獄医 立花登控え1』(講談社文庫、1982年5月発行)を読んだ。

 

 江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師・立花登は、居候先の叔父・小牧玄庵の家で口うるさい叔母と驕慢な娘おちえ16歳にこき使われている。登は、島送りの船を待つ囚人からの頼みに耳を貸したことから思わぬ危機に陥った。また、無実を訴える男の正体や、御家人毒殺未遂の真相を探ったり、恋人を刺した女囚の愛憎に直面する。起倒流柔術の妙技と推理で、獄舎に持ちこまれるさまざまな事件を解く。時代連作集のその1。

 

 登の事件解決を助けるのは、柔術仲間の新谷弥助、牢医師の矢作幸伯と引き継いだ土橋桂順、牢屋同心の平塚、さらに八名川町の岡っ引藤吉とその手下・直蔵。

 

 獄医立花登手控えのシリーズ1で、4まで続く。1982年に登が中井貴一、ちえは宮崎美子でNHKでドラマ化された。

 

 

 立花登は、羽後亀田藩の微禄の下士の次男。母の弟で江戸で開業している小牧玄庵にあこがれ、地元の医学舘で勉強後、叔父を頼って上京。しかし、江戸で彼が目にしたのは、叔母の尻に敷かれるふがいない叔父、登を下男同様に扱う気の強い叔母、驕慢な従妹のおちえ。叔父の代わりに獄医として働くようになり、さまざまな人のさまざまな人生を見る。

「雨上がり」

 腹が痛いという勝蔵を獄中で診察すると、勝蔵はこっそりと登に、伊四郎から分け前の10両をもらっておみつに渡して欲しいと頼む。勝蔵はおみつに手を出した男を殺して島流しになるのだ。登はもめた末に、分け前を預かり、金を渡しに行くとおみつは・・・。

 

 

「善人長屋」

 目が見えない娘・おみよがいる吉兵衛が人を殺したと捕まり、牢内で無実だと登に訴える。善人長屋で吉兵衛と仲が良かった与五郎と源六が今はおみよの面倒をみている。調べるうちに12年前に4人組で700両を奪った事件との関連が見えてくる。


「女牢」

 女牢を見回った時知った女がいた。怪我の手当てに時次郎の家に行ったときの女房のおしのだった。おしのは理由を言わないまま夫殺しで死罪となった。彼女は昔、心魅かれた登に、死ぬ前に抱かれたいと願い、牢名主のおたつの力を借り、登を牢の中にひっぱり込む。

 

「返り花」

 牢に妻が差し入れた餅菓子を食べた御家人の小沼庄五郎が死にかけた。登は妻の登和を調べるが、餅菓子は小沼の上役の松波佐十郎から渡されたものだった。登和は昔馴染みの井崎勝之進に松波に会って確かめるよう頼むが、井崎は松波を強請って・・・。

 

 

「風の道」

 二人組で押し込み強盗を働いた鶴吉は石抱きの拷問にあっても口を割らなかった。登は、鶴吉に女房に逃げろと伝えてくれと頼む。牢内には監視している泥棒仲間がいるらしい。そして・・・

「落ち葉降る」

 酔った男が落とした財布を拾った平助が捕まった。娘のおしんのために盗みぐせを治そうとしているのに、はめられたと登に訴える。清吉との祝言を控えたおしんが夜道で襲われた。清吉は・・・。

 

「牢破り」

 登は叔母に頼まれ、最近夜も遅く帰ってくるおちえの遊び相手の芳次郎と会うが、彼女は最近、新助と遊び歩いているという。登は近づいてきた男から牢破りの道具を牢内の金蔵に渡すように脅される。男はおちえを預かっているという。凶悪な押し込み強盗団からおちえを救出するために登の味方達が総動員される。

 

 

著者自筆の年譜(昭和60年9月時点)が付いている。

 

初出:「小説現代」昭和54年(1979)新年号~昭和55年新年号

藤沢周平の立花登ものは『風雪の檻』、『愛憎の檻』、『人間の檻』と続く。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 主人公の登は良心的医師で囚人たちから信頼され、腕も立ち、見事に事件を解決するが、寄宿先では口うるさい叔母に下男なみにこき使われ、驕慢な16歳のおちえからは呼び捨てにされており、ありがちなパターンではあるが、親近感がもてる。

 

 藤沢作品の中でもよりエンターテインメント性の高いシリーズで、面白いのはもちろんだが、そこは藤沢作品、江戸時代の牢関連の事情、市井の人の生活、人情も良く描けている。

 

 

藤沢周平の略歴と既読本リスト

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藤沢周平『隠し剣孤影抄』を読む

2015年12月01日 | 読書2

 

藤沢周平著『隠し剣孤影抄(こえいしょう)』(文春文庫1983年11月25日文藝春秋発行)を読んだ。

 

日頃は冴えない下級武士でありながら、その実、オドロオドロした超絶的な秘剣を習得している。秘剣の隠れた伝承者がお家の一大事にやむを得ず一瞬の隠し剣を使う。

じっと耐え続ける目立たない下積みの下級武士と一度離縁されて不幸な運命にある一途な女性。切なさと清涼感漂う藤沢周平の “ 隠し剣 ” シリーズ8篇。

藤沢周平のこのシリーズに『隠し剣秋風抄』がある。

 

「邪剣竜尾返し」

檜山絃之助は、赤倉不動のお籠もりで美貌の女から誘惑され床を共にする。彼女は絃之助との立ち会いを断られていた赤沢弥伝次の妻だった。絃之助は赤沢にこのことで脅迫され、立ち会いをすることになる。絃之助は、かって藩の指南役だった父が工夫した秘剣を教えてもらおうとするが、中風の父がしゃべることは理解できなかった。

 

「臆病剣松風」

藩主の叔父吉富兵庫は、世継ぎである和泉守を廃して、我が子を世継ぎにすることを画策していた。藩内は世子擁護派と兵庫派が陰湿に争うようになり、和泉守の毒味役が倒れたことで、いよいよ危機感を煽られた筆頭家老の柘植益之助は、父親が剣の名手であった宮嶋彦四郎に、和泉守の警護役を推薦するよう願う。ところが、彦四郎が推薦したのは、妻にも軽んじられるほどの臆病者だが、守りの剣・松風を伝えているという瓜生新兵衛であった。柘植の命令に、瓜生は「ひらにご容赦を」と震えていたが、最終的に引き受けざるを得なかった。

 

「暗殺剣虎ノ眼」

組頭・牧与市右ェ衛門が、城からの帰り道に何者かに襲われて絶命した。嫡男である達之助は、当初執政会議で父と対立していた中老の戸田織部を疑う。しかし、戸田は執政会議でわざと対立したのだと、からくりを達之助に説明した。市右ェ衛門に遊興を批判された藩主・右京太夫が、虎ノ眼という秘剣を使う刺客によって、市右ェ衛門を“お闇討ち”にしたのではないかと戸田は語った。藩主以外には知らぬ暗殺者の家系を繋ぐものがいるらしい。達之介の妹・志野は、父の死んだときに許婚だった清宮太四郎と茶屋で会っていたことから、縁談を断り、以後どこにも嫁入りしようとしなかったが、・・・。

 

「必死剣鳥刺し」

藩政に口を挟んで混乱を生じさせていた藩主の愛妾・連子を刺殺した兼見三左ェ門に与えられた処分は、驚くほど寛大なものであった。その上、謹慎の後、三左ェ門は近習頭取に取り立てられ、藩主のそば近くに仕えることになる。しかし、これは陰謀であった。ある日、中老の津田民武から三左ェ門に密命が下る。それは、藩主家の別家当主であり家老であり、剣の名手・帯屋隼人正が、藩主を殺しに来るのを防げというものであった。

三左ェ門は26歳で亡妻の姪の里尾と暮らしていたが、里尾は離縁され、実家にも座る場所をもたなかった。

 

「隠し剣鬼ノ爪」

小姓頭を斬って重傷を負わせ郷入りとなっていた狭間弥市郎が、牢を破り近隣の民家に人質を取って立てこもった。狭間と剣術道場の同門で、勝利したことがある片桐宗蔵が討手に指名された。狭間は秘剣鬼ノ爪が宗蔵に授けられたことを不満に思い、討手に宗蔵を指名した。その夜、狭間の妻が宗蔵の元を訪ねてきて、狭間を逃がすよう懇願した。断られた妻女これからは上司の堀奉行に頼みに行くという。

『時雨のあと』の「雪明り」を一部取り入れて、山田洋次監督、永瀬正敏主演で映画化。

 

「女人剣さざ波」

浅見俊之助は、美人の姉とはほど遠い妻の邦江になじまず、茶屋でおもんと憂さ晴らししていた。家老・筒井兵左衛門は、最近本堂派が茶屋で盛んに集まっているので、俊之助に動向を探れと命ずる。俊之助はおもんを使って探らせ、本堂と豪商境屋の密会をつかみ、本堂派は一斉に捕まった。しかし、本堂派だった遠山左門がおもんを斬殺し、俊之助に果たし合いを申し込んできた。剣の腕に自信の無い俊之助は邦江にせめてひと太刀との決死の覚悟を伝えた。さざ波の秘剣を伝えられた剣の遣い手・邦江は、夫の腕では遠山にひと太刀も届くことはないと考え・・・。

 

「悲運剣芦刈り」

曾根次郎の兄が突然病死した。親族会議により、兄の妻・卯女(うめ)は実家に帰り、次郎が跡を継ぎ、許嫁の奈津を妻に迎えることになった。しかし、忍び込んで来た卯女と次郎は結ばれ、情事を重ねるようになった。噂を聞いた奈津の兄・石栗麻之助と次郎は果し合いとなり、・・・。

 

「宿命剣鬼走り」

大目付を辞して隠居した小関十太夫の長男・鶴之丞が、伊部帯刀の倅・伝七郎との果たし合いで死んだ。しかし、伝七郎が生きており、取り巻き2名の葬式が行なわれていた。さらに口論相手を斬り、脱藩した光村榛次郎(しんじろう)と心を通わせる18歳の長女・小関美根が立てこもり、10人以上の討手に討たれた。次男・千満太が伊部伝七郎と出会い・・・。

 

 

初出:オール読物、1976(昭和51)年~1978(昭和53)年、1981(昭和56)年1月単行本刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

武蔵次郎の解説には「五味康祐が開拓した剣豪小説が昭和20年代末から30年代にかけて隆盛し、20年後に藤沢周平により復活した」とある。藤沢の剣豪小説では、剣技のバラエティが豊富で、複雑な技の説明が巧みだ。立合いに至る背景の説明、導入も見事で、切ない女性を自然にからませ、読者を小説に巻き込む技はまさに伝統芸。

藤沢周平は「私は、時代小説を普通思われているように型にはまった狭いものとは考えたことがなく、・・・テーマを現代にとったり、手法の上でも現代小説に近い試みをやってみたりする。」(『周平独言』)
確かに、読んでいるうちに現代の話のような感覚にとらわれることがある。このあたりも、時代物なのに読者が物語の中に入りこんでしまう原因のひとつだろう。

 

藤沢周平の略歴と既読本リスト

 

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