hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

スティーグ・ラーソン『ミレニアム3上下』を読む

2013年01月31日 | 読書2

著者:スティーグ・ラーソン、訳者:ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利 『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』 上 (2009年7月早川書房発行)、下 (ハヤカワ・ミステリー文庫HM381-6、2011年12月早川書房発行)を読んだ。

全世界で6千万部の大ベストセラー「第Ⅰ部ドラゴン・タトゥーの女」「第Ⅱ部火と戯れる女」「第Ⅲ部眠れる女と狂卓の騎士」三部作の第Ⅲ部だ。

第Ⅱ部の最後で、リスベットはザラチェンコと対決し、双方瀕死の重傷となり、駆けつけたミカエルにより、二人は病院に送られ、金髪の巨人は逃走してしまう。

第Ⅲ部では、ソ連のスパイだったザラチェンコをかくまってきた公安警察内の秘密組織・特別分析班が事件揉み消しと、関係者の抹殺に組織的に乗り出してくる。

リスベットは裁判にかけられることになり、ミカエルは、病院に監禁されているリスベットと巧みに連絡を取り、妹で弁護士のアニカなどと協力し、情報を集め、法廷で戦う。特別分析班の実態を暴くべく捜査を開始した公安警察も動き出し、巨悪との対決となる。
そして、長大なミステリ三部作はついに完結(してしまう)。

初出:原著は2007年発行



私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

ともかく面白い。密室ミステリー、警察小説、政治小説、小柄なヒロインの型破りの戦い、などなどいろいろな要素が次々と提示されて飽きさせることがない。そして、なんといってもヒロインのリスベット・サランデルが魅力的だ。

登場する女性は皆、戦闘的で男性に負けていないのは気持ち良い。しかし、主人公の色男ミカエルには皆すぐメロメロになってしまうのは、非モテ男としては、少々気分が悪い。

ともかく、スウェーデンの長たらしく発音しにくい名前以外、この小説に欠点は見当たらない。
サランデルの妹がまだ登場していないので、急逝した著者のパソコンに残っていた第四部の原稿200頁ほどに期待したい。



スティーグ・ラーソン Stieg Larsson
1954年スウェーデン北部に生まれる。スウェーデン通信でグラフィック・デザイナーとして20年間働き、英国の反ファシズムの雑誌『サーチライト』に長く寄稿する。1995年、人道主義的な政治雑誌『EXPO』を創刊し、やがて編集長を務めた。日に60本もタバコを吸うヘビースモーカーで、仕事中毒でもあった。パートナーである女性の協力を得て2002年から「ミレニアム・シリーズ」の執筆に取りかかり、2004年に三冊の出版契約を結ぶ

訳者あとがきより
著者は、第三部を書き上げ、第四部の執筆を開始したところで、第一部の発売を待つことなく心筋梗塞で死去した。

ヘレンハルメ美穂
国際基督教大学卒、パリ第三大学修士課程修了、スウェーデン語、フランス語翻訳家

山田美明
東京外国語大学英米語学科中退。訳書『ルワンダ大虐殺』




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スティーグ・ラーソン『ミレニアム2上下』を読む

2013年01月30日 | 読書2

スティーグ・ラーソン著、ヘレンハルメ美穂共訳、岩澤雅利共訳 『ミレニアム2 火と戯れる女 上下』(ハヤカワ・ミステリー文庫HM381-3、-4、2011年11月早川書房発行)を読んだ。

全世界で6千万部の大ベストセラー「第Ⅰ部ドラゴン・タトゥーの女」「第Ⅱ部火と戯れる女」「第Ⅲ部眠れる女と狂卓の騎士」三部作の第Ⅱ部だ。
第Ⅲ部の訳者あとがきで、ラッセ・ベリストレムの言を引用している。
第Ⅰ部はオーソドックスな密室もののミステリー、第Ⅱ部は警察小説・サスペンス、第Ⅲ部はポリティカル・サスペンスだと言えるだろう。


第Ⅰ部は、原題が「女を憎む男たち」であるように、女性に対する差別、暴力が描かれたが、第Ⅱ部「火と戯れる女」では、女性たちはけっして屈せず反撃する。そして、第Ⅱ部ではドラゴンのタトゥーの女リスベット・サランデルの悲惨な過去が次第に明かされ、彼女の権力への徹底した不信、攻撃されたときのすさまじい反撃の理由が明らかになっていく。
プロローグは、リスベット・サランデルがベッドに縛り付けられたまま43日経過したという13歳の誕生日の場面で始まる。

大金を手にしたリスベットは、ミカエルに対する想いに苛立ち、世界を巡る旅に出る。帰国して豪華な新居を購入し、普通に生活しようとする。

雑誌『ミレニアム』には、フリー・ジャーナリストのダグ・スヴェンソンが、人身売買と強制売春に関する記事を売り込みに来る。ダグとパートナーのミアは、警察官、検事、弁護士、ジャーナリストなど買春顧客を実名で告発したいと申し出る。権力者達の反撃は必須だ。背後のザラという人物が不気味だ。

一方、リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマン弁護士は、復讐のため、彼女を憎む人物に連絡し、彼女を拉致する計画が動き始めた。凄惨な連続殺人事件が起こり、彼女は犯人として警察に追われる。

初出:原著は2006年発行、日本では2009年4月に単行本として刊行された。



私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星))

型破りのヒロイン、リスベット・サランデル中心の第Ⅱ部はこのシリーズで一番おもしろい。ついに彼女の謎に包まれていた過去が明かされる。
髪極端に短く、鼻と眉にピアス、多くのタツゥー、やせて身長150cmほどの小娘。権威をまったく信用せず、一見で複雑な情報を理解し覚えてしまう、優れたハッカー、難解な数学論文を読む。

彼女に12歳の時に起きた“最悪な出来事”とは何か。殺人犯として警察に追われ、巨悪に襲われながら、『ミレニアム』の発行責任者のミカエル・ブルムクヴィストの応援を得て、彼女の反撃、が始まるが、敵はあまりにも強かった。



スティーグ・ラーソン Stieg Larsson
1954年スウェーデン北部に生まれる。スウェーデン通信でグラフィック・デザイナーとして20年間働き、英国の反ファシズムの雑誌『サーチライト』に長く寄稿する。1995年、人道主義的な政治雑誌『EXPO』を創刊し、やがて編集長を務めた。日に60本もタバコを吸うヘビースモーカーで、仕事中毒でもあった。パートナーである女性の協力を得て2002年から「ミレニアム・シリーズ」の執筆に取りかかり、2004年に三冊の出版契約を結ぶ

訳者あとがきより
著者は、第三部を書き上げ、第四部の執筆を開始したところで、第一部の発売を待つことなく心筋梗塞で死去した。パソコンには第四部の原稿が200頁ほど残っていたという。

ヘレンハルメ美穂
国際基督教大学卒、パリ第三大学修士課程修了、スウェーデン語、フランス語翻訳家

山田美明
東京外国語大学英米語学科中退。訳書『ルワンダ大虐殺』




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辻村深月『ツナグ』を読む

2013年01月28日 | 読書2

辻村深月著『ツナグ』(2010年10月新潮社発行)を読んだ。

宣伝文句はこうだ。

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。



アイドルの心得
熱心ではあったが単なるファンだった平瀬愛美は、突然死した元キャパ嬢でマルチタレントの水城サヲリに会いたいと使者に連絡をとる。死者も一度しか生きている者に会えないというのに、サヲリは愛美に会うという。
地味で友達もいない愛美は、昔、過呼吸で倒れた時、助けてくれたアイドルっぽい人は言った。「世の中が不公平なんて当たり前だよ。みんなに平等に不公平。フェアなんてだれにとっても存在しない」

長男の心得
店を継いだ畠田家の長男靖彦は憎まれ口ばかりたたく頑固者。持山の権利書の場所を聞きたいからと死んだ母親に会う。母も20年ほど前に使者に依頼して父親に会ったという。靖彦が母に会いたかった理由は? 母が父親に会った理由は?

親友の心得
嵐美砂は親友の御園奈津に演劇部の主役を取られる。御園は自転車がスリップして車にひかれて・・・。御園が好きといっていた渋谷歩美、アユミくんが使者だった。

待ち人の心得
土谷がプロポーズした翌週、日向キラリは北海道旅行に行き、戻らなかった。7年経って、使者に会う手はずを頼んだ土谷は、怖くなって、直前で迷う。彼女は、会うことで忘れられても土谷に先に進んで欲しいと会うことにする。

使者の心得
歩美は、病院に入った祖母から使者の役を引き継ぐ。これまでの話が、使者の立場から語られる。そして、歩美の父が母を殺して自殺したという両親の死の真相が浮かび上がる。

初出:「yom yom vol.12~16」



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

死者がこの世に思いを残すという話はよくある。この本は、生きている者が悔いている想いを死者にぶつける話だ。いずれの話も、人の深く優しい心を、想い取らせてくれる。
いつものように、付箋をつけながら読み終えて、数日経過後に付箋のところを中心にパラパラ読み返し

 

2020年6月28日のブログ記事一覧-hiyamizu's blog

2020年6月28日のブログ記事一覧です。読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など【hiyamizu's...

2020年6月28日のブログ記事一覧-hiyamizu's blog

 

 

た。評価が下がることなく、静かな感動がまた蘇って来た。いい本だ。

辻村深月(つじむら・みづき)の略歴と既読本リスト



 

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伊坂幸太郎『残り全部バケーション』を読む

2013年01月26日 | 読書2

伊坂幸太郎著『残り全部バケーション』(2012年12月集英社発行)を読んだ。

初出が、第一章(2008年単行本・2010年文庫/実業之日本社『Re-born はじまりの一歩』)、
第二章(「紡(つむぐ)」2010年)、第三章(「小説新潮」2008年7月号)、第四章(「小説すばる」2012年11月号)と、年を経てバラバラに書かれた短編を、若干の加筆訂正はあっても、第五章の書下ろしでまとめたものだ。

最初の登場では名前だけで姓が分からなかったり、節が変わると語り手が突然変わっていたりして登場人物が混乱する。
第一章は、沙希が語り手の「家族」と、岡田が語り手の「若い男」が交互に続く。
第二章は、三人称。第三章は、誘拐されて女性が語り手。
これらについて、「青春と読書」で伊坂さんは語っている。

語り手の人称がバラバラで、映画のカットを積み重ねていくような構造になっています。これ、なんだろう? と思わせて、最後に答えが待っている。今度はこれにトライしてみよう、と思って書いた小説です。





私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

伊坂さんの実験的小説だ。多少読みにくいところはあるが、十分楽しめる。いつものようにキャラの立った人物のとぼけた語り、巧妙に張られた伏線。ここでは、溝口と岡田のコンビのやりとりにクスリと笑わせられる。
伊坂ファンは是非読むべき本だ。


伊坂幸太郎&既読本リスト



以下、メモ。

登場人物
早崎沙希(さき):16歳、
父:沙希の父、浮気して離婚へ
岡田:20代、裏の世界の下請けの子分。メールですぐ友達を作れば、グループから抜けられると溝口に言われる。
溝口(みぞぐち):悪事下請け、ゴルゴ13を完読、直感・勢いで行動する
毒島(ぶすしま):ボス
権藤:浮気中に追突させられ脅かされて岡田に協力
坂本雄大(ゆうだい):虐待を受けている小4
坂本岳夫(たけお):雄大の父、31歳
太田:岡田の後任、太っちょ、ドジ
高田:太田の後任


「残り全部バケーション」
父親は浮気をして離婚、娘の沙希は高校の寮に入るので、今日は家族解散の日。母親が呑気に最後にみんなで秘密の暴露をしようという。父親の浮気も、沙希の外泊もわかってたとして却下。
そんな中、父親にメールが来る。

「適番(適当な番号)でメールしてみました。友達になろうよ。ドライブとか食事とか」
「無視だよ、無視」と私。

「お父さん、友達欲しいんだよな」と父。

「ドライブの車って何人乗りか、訊いてみて」と母。「みんなで行く気かよ!」と父。
この話、伊坂家の実話だという

「タキオン作戦」
出会った坂本雄大は虐待を受けていると、父親から虐待を受けていたという溝口が言う。溝口はどうしたって虐待を止めることはできないから、ほっとけという。岡田はけったいな企みを考え、少年に冒頭で裸の男が突然出現するターミネーターのDVDを渡す。

「検問」
溝口と太田は、盗んだ車にさらってきた女を押しこみ走っていると警察の検問にあう。トランクを開けさせられたが、そのまま検問を通過した。後で、その車のトランクに大金が積まれていることがわかる。なんで?

「小さな兵隊」
クラスメートの岡田君は、「問題児」だと言われていた。幾つものランドセルに印をいたずら書きしたり、門を真っ青に塗ったりする。そして、海外に出張中の父親は、電話で「担任の弓子先生に注意しろ」とおかしなことを言う。

「飛べても8分」
溝口は、請け負った仕事でもないのに、突然後ろの車に追突させると言う。予想外の事態で、溝口は大腿骨を骨折、入院する。その病院には高田らのボスである毒島が入院していた。溝口は、相棒の若い高田が「飛んでも八分、歩いて十分」という文句を知らないのにショックを受ける。

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究極の毛筆

2013年01月24日 | 日記

生まれて一度も毛を切ったことのない赤ん坊の毛で作った毛筆は先端が自然に細くなっていて微妙な筆使いができる優れた毛筆だと聞いた。

私の髪の毛もその多くは床屋さんで切られる前に、はかなく抜け落ちてしまう。このひよひよな抜け毛は生えてから一度も刈られることがなく、役目を終えたのだ。いや、役目を終える前にむなしく抜け落ちたのだ。私の毛は、元の方さえも細いのだから、先端はより細くなっているはずだ。

ならば、私の抜け落ちた毛で作った究極の毛筆はどうだろうか? まっしろで、腰はないがやわらかく、か弱く、はかなげな毛筆は?


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高橋源一郎、山田詠美『顰蹙文学カフェ』を読む

2013年01月23日 | 読書2

高橋源一郎、山田詠美著『顰蹙(ひんしゅく)文学カフェ』(講談社文庫た38、2011年6月発行)を読んだ。

高橋源一郎が、山田詠美に問う。
「もうずっと前から、『文学』なんかどこにもなくて、ないのに、『文学』『文学』とか言ってるとか思われて、『あんた、終わってるよ』っていう視線を浴びてるのに気付いてないのかも、って思わない?」

六本木のコスプレ・カラオで熱唱していたエイミー姐さんは言う。

「何言ってんのよ。誰が何言おうと関係ないわよ。わたしたちが『文学』なのよ!」


文学は顰蹙を買ってこそナンボという山田詠美と高橋源一郎が、現在の若い男性作家にはエネルギーが感じられないとか、作家仲間を言いたい放題、語る。
続いて、「『文学』を見たければ、『文学』がまだあることを信じたければ、この人を見てください」と言うことのできるこれぞ顰蹙者というゲストを迎えて鼎談する。
ゲストは、島田雅彦/中原昌也/車谷長吉/古井由吉/瀬戸内寂聴。

島田雅彦は、芥川賞を取れなかったことを「不幸の栄光」と言う。
中原昌也は、相変わらず「小説を書くのは嫌だ、書きたくない」と言う。
車谷長吉は、9年間世捨て人していたが、セゾンの辻井喬会長に拾われ私小説で直木賞をとり、出家しそこない・・・。
古井由吉は、作品数も減って超権威になり、上がりかけていたのに、カジュアルなものをバンバン書きだし、トホホな感じになった。
瀬戸内寂聴は、昔は5年間も文芸誌に書かせてもらえなかったが、今は顰蹙でなく拝まれるという。

初出:「群像」2005年1,4,8,12月号、2006年7月号、2008年4月号、単行本は2008年6月



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

そもそも「顰蹙買えたら、作家は一人前」って考え方に納得できない人もいるだろう。たとえ、そんなものかと思っても、ただ理由もなく、「これは顰蹙だ!」「これは違う」と決めつけるだけでは納得できない人もいるだろう。
しかし、高橋源一郎や山田詠美の小説を面白いと思う人は、彼等の話に興味を持つだろうし、そうでもない人にとっても、危機に置かれている文学へ屈折した愛情を持つ二人に共感するところも多いだろう。そして、変わり者のゲストとのやりとりに笑わされるだろう。

また、小説好きな人は、各文学賞の選考会の裏話、内輪話や、作家仲間のうわさ話にも興味をひかれるだろう。



高橋源一郎
1951年広島生まれ。小説家、明治学院大学教授。横浜国立大学除籍。1981年『さようなら、ギャングたち』で群像新人長編小説賞優秀賞
1988年『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞
2002年『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞を受賞。
一億三千万人のための小説教室
小説の読み方、書き方、訳し方』(柴田元幸と共著)
訳書に、ジェイ・マキナニーの『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』
5回結婚し、57歳当時、35歳の長女を頭に、1歳と3歳の子供がいた。



山田 詠美
1959年 東京生まれ。明治大学文学部中退。
1985年「ベッドタイムアイズ」(文藝賞受賞)で衝撃的デビュー。
1987年 『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞
1989年 『風葬の教室』で平林たい子賞
1991年 『トラッシュ』で女流文学賞
1996年 『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞
2001年 『A2Z』で読売文学賞
2005年 『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞を受賞
2009年『学問
2010年『タイニーストーリーズ


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三浦しをん『お友だちからお願いします』を読む

2013年01月22日 | 読書2


三浦しをん著『お友だちからお願いします』(2012年8月大和書房発行)を読んだ。

三浦しをんの久しぶりのエッセイ集。
「はじめに」によれば、

私はふだん、「アホ」としか言いようのないエッセイをかいているのだが、本書においてはちがう!(自社比)・・・よそゆき仕様である!(あくまで自社比)
・・・
・・・「全編がゆるーい日常をつづったエッセイです」・・・
一章は、読売新聞に掲載された「マナー」についてのエッセイと、いろいろな雑誌からご依頼いただいた単発、短期連載のエッセイが中心になっている。・・・
二章は、日本経済新聞の「プロムナード」という欄に連載したエッセイだ。
三章は、VISAという会報誌に連載中のエッセイが中心だ。「旅」がテーマ・・・
四章は、いろいろな雑誌からご依頼いただいた単発、短期連載のエッセイ。





私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

冒頭に書いてあるようにこのエッセイはよそゆき仕様(自社比)なため、いつもの脳内爆発による妄想炸裂、抱腹絶倒が控えめで、若干物足りない。
しかし、片付けられない、太ってるなど自虐ネタは健在で、デフォルトされた家族ネタも笑える。よくある話なのだが、重たい母親と反発する娘の対立がちょっとリアル。

三浦しをんの略歴と既読本リスト




以下、メモ

電車の中の会話(「破壊の呪文」)
「◯◯さんって、仕事できるよね」
「うん、いろいろ気配りもしてくれるし、いい人で有能だと思う」
「O脚だけどね」

花見も紅葉狩りもしたことない三浦さんはこれらを誤解していた。
なんで花見は見るだけじゃだめで、紅葉狩りは狩らずに見るだけでオッケーなんだ。

インターネットでピザの他にパスタ、エビの揚げ物もつい注文しちゃった一人暮らしの三浦さん。配達人が来た時、玄関先で同居人がいるかのように、「ピザ来たよ!」と叫ぶ。







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吉田秋生『夢見る頃をすぎても』を読む

2013年01月20日 | 読書2

吉田秋生著の漫画『夢見る頃をすぎても』(小学館文庫よA-8、1995年7月小学館発行)を読んだ。

『海街』が面白かったので、吉田秋生の漫画を読んでみた。
携帯電話もインターネットも無かった1977(昭和52)年~1982(昭和57)にかけて別冊少女コミックとプチフラワーに掲載された全5話の連作。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

前半は高校生男女の恋のあれこれで、女の子の心の中の想いがよく書けているのだが、とくにつまらなくもなく、とくにどうということもなし。
後半は、少女から女への過渡期の行動、心の動きが生々しい。しかし、揺れが大きく、もう少し絞って、じっくり描写して欲しかった。
青春とは程遠い古希のお爺さんには付いて行くのは無理でした。

吹き出しの台詞がどちらの話なのかもよくわからない。目がチカチカする。とかく、漫画は読みにくい。



吉田秋生(よしだ・あきみ)
1956年東京生れ。武蔵野美術大学卒。
1977年『ちょっと不思議な下宿人』でデビュー
1983年『河よりも長くゆるやかに』及び「吉祥天女」で小学館漫画賞受賞
2001年『YASHA-夜叉-』で小学館漫画賞受賞
2007年『海街diary
2008年『すずちゃんの鎌倉散歩


楽園のこちらがわ
猿渡基(さるわたり・もとい)通称「サル」は、受験ノイローゼになり、進学校から三流校へと転入する。編入されたクラスには、中学時代の同級生・筒井恭一と、世話好きのクラス委員・蓮黄菜子(れん・きなこ)、オカマ系の緑川操がいた。
受験戦争に負けた落ち込みと、クラスで一人だけガリ勉状態にイライラが募る。「なんでガリ勉は嫌われるんだろうな」とボヤく基に、恭一は「おまえたちは『現実』を目の前につきつける象徴だかんね」と言う。
基は黄菜子に「恭一を好きなのか」と尋ね、やんわりと肯定され、失恋する。

楽園のまん中で
基、恭一と平井が同じ大学を受けるが、合格したのは基だけだった。別の大学を受験した黄菜子と緑川も合格する。
とりあえず受験のプレッシャーからは解放されて、みんなで飲んで騒いで最後はケンカ騒ぎでボロボロ。

はるかな天使たちの群れ パート1
浪人中の恭一(と平井)は基を講師に見立ててしばしば勉強会を開いており、黄菜子もよく食事を作りに、恭一が一人暮らしを始めたアパートに出入りしていた。
食事の後片付けのために残った黄菜子に、恭一は突然「泊まってけよ」と言い出す。押し切られた感じで一夜をともに過ごす。翌日、楽しそうに話をしながら歩いてくる制服姿の女子高生を見て黄菜子は思う。「そうか……私はもうあの群にはもどれないんだ。」

黄菜子と大学の友人今日子は、男と女の関係について話す。
「男は羽を持って空を飛んでいるのを、女は手元に引き寄せたがっている」「羽を持って飛んでいるのは女の方で、男に恋した時にその羽は失われる」「いろんな手に負えない感情が詰まっている風船のようなものが重くなると、女は飛べなくなる」

はるかな天使たちの群れ パート2
翌年の大学入試試験後の慰労会で仲の良い恭一と黄菜子を見ていられず、基は場を去って、ぶらりと映画館に入る。ついてきていた今日子とポルノ映画を見ることになる。
そのことを偶然知った恭一から「おまえらお似合いだよ、いっそくっついちゃえよ」と言われ、基は「何も言わない、一発だけ殴らせろ」というが、結局、恭一の頬に拳を当てただけで、「彼女を大切にしろよ」と言い捨てて去る。
再び今日子が現れ、雨でずぶぬれの基を自分のアパートに連れて行き、「自分は黄菜子が好きで、黄菜子の幸せを喜んでいたはずなのに、あの二人が仲良く一緒にいるところを見ているのが辛かった」と話す。
恭一は合格し、基は恭一と黄菜子に「これからもよろしくな」と言う。

夢みる頃をすぎても
大学3年の黄菜子、今日子と、男を始終変える空子(うつこ)は、高校生にナンパされて「16歳!」と答える。お茶だけおごらせて別れ、居酒屋へ。
黄菜子が初恋の男子と再会するが、「初恋の彼ともっと話さなくていいの」と尋ねる今日子に、黄菜子は「あの頃は声もかけられなかったのに、今は普通に話せる。もう制服を着てないからかも知れないな」。
今日子は「でもあたし、そういう悩みがちょっとうらやましい。まだ処女だもん」と言う。「なんか相手がビビっちゃうのよ」と説明し、二人は妙に納得する。
空子は、熱しやすく冷めやすい性格のせいで、本気で付き合うところまでいく前にダメにな「実はあたしもまだなの」と告白。
黄菜子が初めて恭一のところに泊まったときのことを話す。「そのあと寝つかれなくて彼の顔を見ていたら、ずっと前から知っていたはずの彼の顔が全然違ったふうに見えてきて、私は今まで彼の何を見ていたんだろう、と泣けてきた」。今日子と空子は「いいなあ」。
と聞き入る。

ジュリエットの海
親に振り回され、早く大人になりたかった幼馴染が病に。

開放の呪文
ナンバーワンのテニスプレーヤーが急速に腕を上げた弟を決勝を戦う。
最後の夏

野球チームの次期エースで主将になるはずの後輩が部を辞めるという。



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いつもの散歩

2013年01月19日 | 日記
1月6日(日)、人はそれほど多くない井の頭公園。
アートマーケッツの出店が並ぶ。



桜も60年を超える老木となると、このところの寒さは厳しい。



散歩(?)中の犬に、周りの女性達が大騒ぎ。これを可愛いと言うのだろうか。おしっこは?



池の畔で、変な鳥を見かけた。顔が見えない。



弁財天では、スタンプを押してもらっている大人がいた。武蔵野には吉祥七福神があるらしい。



やはり正月、お参りする人が多い。



なんと、銭洗弁天があった。何度も来ていて目に入らなかった。



鎌倉まで行くことなかったのに。



弁財天から南へ、公園を出て、階段を登る。



大盛寺の脇に、



顔が人間で首から下が蛇の石像がある。



目立たないところにあるが、本来はここが弁財天への参道なのだ。江戸の人が当時人気だった井の頭弁財天に講中を組んで寄進したのだろう。



でも、これでは蛇に締められているようにしか見えない。

戻って、弁天橋から弁財天を見る。噴水は水の浄化のためのものだ。



池の脇、自然公園側にそびえる大木。



池に手をかざすと、鯉がやってきて、口を開ける。相方に「可哀想でしょ」と言われて止めた。



いつも通り過ぎる公園内の店に入り、コーヒーとドーナツを食べる。



サザンカが咲き始めている。



ひょうたん橋と水門橋の間の水は凍っていた。



さかんに鳩が餌を拾っている。こんなところに何?



木の実がいっぱいだった。



今日は8.7千歩。























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井上純一『中国嫁日記 二』を読む

2013年01月18日 | 読書2

井上純一著の漫画『中国嫁日記 二』(2012年3月エンターブレイン発行)を読んだ。

大人気になった著者による「中国嫁日記」ブログ(2010年の7月の開始)の書籍化だ。

40歳オタク漫画家に中国嫁の月(ユエ)20代が来た。ちょっと変わった中国嫁の珍行動、変な日本語、オタクの日本人夫が笑える。

第一章は、東北大震災。ユエさん大変でした。以下は日常での文化ギャップ。

缶詰を開けるのに包丁を突き立てる。弁当にはご飯とおかず1品。中国(内モンゴル自治区? 瀋陽?)では普通だとか。

第二巻は、ふたりの出会い、結婚への迷い、海南島への旅行、ひどいプロポーズと3年目のプロポーズを描いた約50ページの書下ろし漫画。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

直情、ひたむきで頑固なユエさんの言動が、驚きで、可愛い。でも、漫画への偏見のある私は、すぐにまあまあになり、そして飽きる。



井上純一(いのうえ・じゅんいち)
1970年宮崎県宮崎市出身。ゲームデザイナー、イラストレーター、漫画家。純弌とも書く。
多摩美術大学二部中退。
コンピュータを使用しないロールプレイングゲームであるテーブルトークRPG(TRPG)のゲームデザイナーや、ゲーム雑誌を中心としたイラストレーターとして1990年代から活躍している。




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雪の高橋是清翁記念公園

2013年01月17日 | 日記
14日の大雪(東京としては)、皆さん大事ありませんでしたか?
当日、私は久しぶりの雪を窓から楽しんでいましたが、翌15日は近くを1万歩歩きました。とくに危険なところはありませんでした。
さて、翌々日、赤坂御所には雪が残り、246も脇にはまだ雪が積もっていました。



カナダ大使館を過ぎて、高橋是清翁記念公園を見ると通り道は雪かきしてありました。



奥には雪が残っていますが、サクサク踏みしめて普通に歩けます。



いくつかある石像も雪の中でいつもよりすましているように見えます。



久しぶりのダルマ蔵相、高橋さんへご挨拶。



そう言えば、この高橋是清さんは、世界恐慌によるデフレを脱却するために、今はやりの「リフレーション政策」ととって、見事成功したのでした。しかし、その後、予想されるインフレを抑えるために軍事予算を縮小したので、1936年2月26日、青年将校に、この場所にあった自宅で暗殺されたのでした。



一瞬、よかげに見えるアベノミクスですが、人気を失ってまで、バランスを取れるか、インフレを押さえ込めるか、心配ではあります。時代が違い、国民もおりこうになっているので、きっと、きっと大丈夫でしょう。




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梨木香歩『エストニア紀行』を読む

2013年01月14日 | 読書2
梨木香歩著『エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―』を読んだ。

ロシアに接するバルト3国の一つ、ロシア、ドイツなどにより700年以上支配された歴史を持つ九州ほどの小国エストニア。首都タリンから、古都タルトゥ、オテパー郊外の森、バルト海に囲まれた島々を巡る九日間の旅の記録。

旧市街の地下通路の歴史、民族の1/3に当たる30万人が集り歌った「我が祖国は我が愛」が独立へと動いたという辛く長い被支配の歴史。端正な街並みと緑深い森、素朴でたくましい人々。
重さ500キロの電柱上のコウノトリの巣。キヒヌ島の81歳の歌姫はマウンテンバイクで帰る。森できのこを採り、葦原の運河でのカヌーに乗り、静かな自然と素朴な人に触れる旅。

梨木さんは、自ら「鳥見人」というだけあって、鳥とその環境に関心が高い。また、自然の中でゆったり暮らす人へも共感があり、その懐に飛び込んでゆく。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

エストニア語を禁止され、わけもなく強制連行された被支配の長い歴史を語る建物を巡り、自然と密着してたくましく生きる人々と心を通わせ、様々な鳥達と環境に思いを馳せる旅。興味を持って読むことはできたが、起伏のない大地、沼地、寒い気候、長時間のフライトでは行きたいとは思わない国だ。



梨木香歩(なしき・かほ)
1959年鹿児島県生れ。同志社大学卒。英国留学。
1995年『 西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学書受賞
1995年『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞受賞
『家守綺譚』で本屋大賞3位
2005年『沼地のある森を抜けて』でセンス・オブ・ジェンダー賞、2006年紫式部文学賞受賞
2011年『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門受賞
エッセイ『春になったら苺を摘みに

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藤原美子『夫の悪夢』を読む

2013年01月12日 | 読書2

藤原美子著『夫の悪夢』(文春文庫ふ34-1、2012年10月文藝春秋発行)を読んだ。

著者は、御茶ノ水大学の数学教授で『国家の品格』の著者藤原正彦氏の夫人。暴君のくせに怖がり屋の夫の変人ぶりの暴露話が痛快だ。素直そうな3人の息子の子育て記など愉しくユニークな家庭の話や、義父の新田次郎、義母の藤原ていの思い出も語られる。

解説で川上弘美さんは書いている。

うらやましいなあと、しんから思います。もしもわたしに、こんなに信頼できる夫がいたなら。たとえ、・・・、服を一緒に選んでほしいのに1秒で「あ、それがいい」とせかそうと、・・・、映画出演の見学に来て「その目尻の皺、メイクさんに描いてもらったの?」と大声で言おうと、それはすべて妻への愛ゆえなのであり、・・・、いや、やっぱりわたしには、無理でした。



新婚生活のころ、洗濯物を干していると、「てい」が「幸せな光景だが、いま、戦争が起きたらどうしますか」と問いかける。満州から1年かかって3人の子供を連れて帰った「てい」はこう言った。

美子さん、正彦をどんなことがあっても戦地に送ってはいけないですよ。そのときには私が正彦の左腕をばっさり切り落としますからね。手が不自由になれば、招集されることはありませんよ。右手さえあればなんとか生きていけますから。



初出:雑誌「ミセス」への3年間の連載エッセイ+書き下ろしで、2010年4月、文藝春秋より単行本で刊行された。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

口が悪く変人の夫にちょっとだけ言い返し、エッセイを書いて暴君ぶりを暴露する。でも結局、楽しい家庭であることを自慢している。当方は、読んで面白かったから、まあ良しとしよう。著者本人も変人の仲間のようで、やたらと写真が挿入されていて、美人なので嫌味だが、そんなレベルは超えているようだ。



藤原 美子(ふじわら よしこ)
1955年、米国プリンストン生まれ。カウンセラー、翻訳家。
お茶の水女子大学修士課程修了。ハリウッド大学院大学教授、筑波大学附属視覚特別支援学校講師。専攻は発達心理学。父は化学者の田丸謙二、双子の姉は立教大学教授の大山秀子。
『子育てより面白いものが他にあるだろうか』、『我が家の流儀-藤原家の闘う子育て』、
『家族の流儀-藤原家の褒める子育て』


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渡辺淳一『孤舟』を読む

2013年01月10日 | 読書2
渡辺淳一著『孤舟』(2010年9月集英社発行)を読んだ。

定年退職、バラ色の第二の人生のはずが、威一郎を待っていたのは、家族との深い溝だった。威一郎は、デートクラブに入会し、ある女性に出会うが・・・。
大手広告代理店を定年退職してはじめて分かった孤独。楽しみにしていた第2の人生に待っていたのは、妻との深い溝だった。やることなすこと家族との断絶を招く。娘は独立、妻は家を出ていき・・・。


大谷威一郎は、大手広告代理店の常務執行役員を最後に60歳で退職。二子玉川の4LDKマンションに妻の洋子と長女美佳の3人で住む。長男哲也は別居の4人家族。
ハローワークにもプライドを満足させる仕事はない。デパートをぶらつき、図書館で時間を潰す。碁会所にも顔を出すが、馴染めない。やることは犬の散歩ぐらいだ。お歳暮と年賀状の激減が辛い。
妻は何かというと外出し、つい「どこへ行く? 俺の食事は?」と聞いてしまい、妻は主人在宅ストレス症候群になる。

初出:「マリソル」2008年10月号~2010年1月号を大幅に加筆訂正
マリソル・オンライン」で全文がネット公開されている。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

前半は、どこにでも書いてある定年退職者の辛さを描いているだけ。書き方は自然で上手いのだが、内容は当たり前過ぎる。普通のおじさんは先刻ご承知なことに主人公はいちいち驚き、怒る。後半、デートクラブの女性が登場するが、・・・。
10年前の典型的会社人間の退職後のようで、これほど無知な男は今時いないだろう。



渡辺淳一(わたなべ・じゅんいち)
1933年北海道生れ。札幌医科大学医学部卒後、母校の整形外科講師のかたわら小説執筆。
1970年『光と影』で直木賞
1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学書
その他、『失楽園』『あとの祭り 親友はいますか』『鈍感力』『熟年革命』『老いかたレッスン 』など。




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鎌倉を江ノ電で(5)

2013年01月08日 | 行楽
今回が、引き伸ばしに伸ばして伸びきった鎌倉シリーズの最後。

JR鎌倉駅から銭洗弁天へ歩き、江ノ電鎌倉駅から極楽寺へ、さらに長谷寺から由比ヶ浜でかいひん荘に宿泊した。
1月3日の朝、朝食前に5分ほどの由比ヶ浜へ。



昨日ほど風が強くなく、寒さも厳しくはない。いかし、材木座辺りにはサーフィンをする人が見える。



ズームすると、



ご苦労様です。

目の前にも、立ち漕ぎする人が。最近のはやりのようだ。



宿に戻り、昨日報告済の豪華な朝食を食べて、由比ヶ浜駅から江ノ電で鎌倉駅へ。
混まないうちに鶴ヶ岡八幡宮にお参りするつもりで宿から直行したのに、朝9時半で、すでに小町通りにはいっぱいの人。しかも、八幡宮にすでにお参りした帰りなのだろう、帰りの人の方が多い。

それでも人ごみをよけながら順調に歩いて、八幡宮に着く。若いころ滑りながら登った太鼓橋を横に見て、参道を行く。



静御前が「しづやしづ」と舞ったという舞殿手前に大きなディスプレイが設置されていた。明治神宮のように道が曲がっていて先が見えないところでは有効だが、ここ八幡宮では遠くから大石段の上の本宮も見えて、とくに必要とは思わないのだが。



警備の人が派手な格好で、笑える。



大石段脇の大銀杏は切り取られて、脇にモニュメントとして飾られていた。



本宮の中に入ると、正面(賽銭箱)は人垣で割り込めず、横からお参りし、賽銭を投げる。穴が空いていたような気がしたが。



鎌倉駅前の、はとサブレーの豊島屋でお土産を買った。ここが本店だと思っていたが、段葛沿いに本店があるらしい。2階の喫茶で一休み。コーヒーを頼んだら、ポットできた。



ゆっくり休んで、JR湘南新宿で帰宅。
1月2,3日と計2万歩以上歩いたが、美味しい料理をいただいて、奥様もご満悦。






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