hiyamizu's blog

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東野圭吾『むかし僕が死んだ家』を読む

2021年02月01日 | 読書2

 

東野圭吾著『むかし僕が死んだ家』(講談社文庫ひ17-16、1997年5月15日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

「あたしは幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは……。超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。

 

2012年2月発売された『東野圭吾公式ガイド』には東野さん自身の自作解説コメントがあり、本作品『むかし僕が死んだ家』を「これは隠れた自信作です」と語っている。

 

登場人物

私:大学の物理学科研究助手。30歳前後。高2から大学4年まで沙也加の恋人。

沙也加:旧姓倉橋、現中野。3歳の娘・美晴がいる。夫は海外勤務。

御厨啓一郎:灰色の洋館の主人。妻は藤子。

御厨佑介(みくりや・ゆうすけ):当時小学生。灰色の洋館の住人。日記の書き手。

あいつ(御厨雅和):日記に登場。

おたいさん(御厨民子):灰色の洋館の家政婦。さやかの母。

 

本作品は1994年5月双葉社より単行本刊行。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき)(最大は五つ星)

 

沙也加が幼い時に何が起こったのか、恐ろしいことが起こったから記憶を失ったのだろうか。読み始めると、先へ先への読み進めてしまう。場所はほぼ謎の洋館内だけで、しかも主な登場人物は数人と少なくて年寄でも続けて読める。皆目見通しが付かない中で、沙也加のどんな過去が飛び出してくるのか、ついつい引き込まれて読んでしまう。
終盤に次々と伏線が回収されていき、驚きが続く。とくに洋館の秘密にはびっくり。
最後に沙也加の心がどうなったのかが不明のままなのが残念。

 

黒川博行の解説から

……この作品の伏線の張り方は尋常なものではない。全編が伏線また伏線の連続といってもいいほどの純粋本格推理である。
……とりわけ、わたしが感心したのは、この作品が〝一幕劇〟ということだった。舞台の大半は〝灰色の家〟、登場人物は私と沙也加のふたりだけ。こんなきつい制約の中でドラマを広げ、サスペンスを盛り上げて読者を引っ張るのは並大抵の芸ではない。

 

東野圭吾の略歴と既読本リスト

 

コメント
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