hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

大沢在昌『売れる作家の全技術』を読む

2019年03月31日 | 読書2

 

大沢在昌著『小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない』を読む

 

宣伝文句は以下。

200以上ある文学新人賞から毎日多くの作家が誕生しているが、数年後に残るのはわずか数パーセントにすぎない。30年以上にわたりトップを走り続ける著者が、作家になるために必要な技術と生き方のすべてを惜しげもなく公開する小説講座の決定版。

 

 

第一部は「講義」で、第1回~第9回あり、各回とも生徒との質疑応答がある。

第二部は「受講生作品講評」で、課題A~Dへの7~10名の生徒への講評

 

第一回 作家で食うとはどういうことか
偏差値の高い新人賞(ミステリー系なら「江戸川乱歩賞」「日本ホラー小説大賞」、時代小説なら「松本清張賞」)を狙え

第二回 一人称の書き方を習得する
「ザ・惨め」を書くには、惨めな人の周辺をどんどん黒く塗りつぶしていって浮かび上がらせるほうが、読者には惨めさがより良く伝わるはず。


第三回 強いキャラクターの作り方
・スタニスラフスキー・システム:役のキャラクターを台本に書かれていない部分まで、より具体的に、リアルに、細部まで細かく作り上げていく。例:お茶?コーヒー?砂糖?など。

・キャラクター表を作って、一人一人の登場人物について思いついたことをどんどんメモしていく方法もある。

・その人の視線の先を見てください。その人が何に興味を持っているか、それがわかるのが視線です。


第四回 会話文の秘密
登場人物の会話は、どちらかと言えば保守的であったほうがいい場合が多いのですが、男性は女性を保守的に書きすぎがち。


第五回 プロットの作り方
「謎」というものをどうゆうふうに物語の中に置いていくがが、プロット作りのカギになる。


第六回 小説には「トゲ」が必要だ

もう一ひねり必要と言われたら、物語の後半でひねっては遅い。ひねるには、主人公を残酷な目に遭わせることが必要。


第七回 文章と描写を磨け
第八回 長編に挑む

強いキャラクターを複数つくる/中だるみを防ぐには一つめの謎を解き、新たな謎を作る


第九回 強い感情を描く

第一〇回 デビュー後にどう生き残るか
新人作家の単行本例:1800円で初版4000部、印税10%で72万円。

定価の65%が出版社の取り分で、35%が取次と書店。

 

 

初出:「小説 野性時代」2011年7月号~42012年8月号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

小説を書くための覚悟、根性、力を入れるポイントが、生徒の作品を題材にして教え込まれる。小説を書くつもりが無くても、本を書く人の側の事情が良くわかり、読む立場からも面白い。ただし、大沢さんの話は、当然ミステリーに限られている。

 

それにしても、大沢さんの後輩をそだてようとする労苦にはおそれいる。

 

 

大沢在昌(おおさわ・ありまさ)
1956年名古屋市出身。慶応大学中退。

1979年『感傷の街角』で小説推理新人賞受賞しデビュー

1986年『深夜曲馬団』で日本冒険小説大賞最優秀短編賞、

1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞長編部門、

1994年『無間人形 新宿鮫Ⅳ』で直木賞、

2004年『バンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞を受賞。

2010年日本ミステリー文学大賞

2012年『絆回廊 新宿鮫X』で日本冒険小説協会大賞を受賞。

共著に、林真理子、大沢在昌、山本一力、中園ミホ「売れる小説の書き方。

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佐々木幸綱『覚えておきたい順 万葉集の名歌』を読む

2019年03月30日 | 読書2

 

佐々木幸綱監修『覚えておきたい順 万葉集の名歌』(中経の文庫さ5-1、2007年5月1日中経出版発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

日本人の常識としてぜひ覚えておきたい!

日本人の心情の原型、美意識の原点が『万葉集』にはあります。しかし、実際に読むとなるとなかなか大変です。なにしろ全二十巻、約四千五百首もあるからです。そこで、本書では、ぜひ覚えておきたい歌を百首選びました。最初の五首だけでも、ぜひ覚えてみてください。あなたの心の栄養に、きっとなることでしょう。

 

本書は、ぜひとも覚えておきたい万葉の歌20首(第一章)、できれば覚えておきたい30首(第二章)、なるべく覚えておきたい50首(第三章)、クイズ・問題集(第四章)と100首を選定している。

 

 

1.「東(ひんがしの) 野に炎(かぎろらい) 立つ見えて かへり見すれば 月傾(かたぶ)きぬ」 柿本人麻呂

 漢字表記だと、「東 野炎 立所見而 反見為者 月西渡」

 

2.「春の野に霞たなびき うらがなし この夕かげに うぐひす鳴くも」 大伴家持

 

3.「あをによし 寧楽(なら)の京師(みやこ)は 咲く花の 薫(にお)ふがごとく 今盛りなり」 小野老(おののおゆ)

4.「田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にそ 不尽(ふじ)の高嶺に 雪は降りける」 山部赤人(あかひと)

5.「春過ぎて 夏来たるらし 白たえの 衣乾したり 天の香具山」 持統天皇
 小倉百人一首では「春過ぎて夏来にけらし しろたえの衣ほすてふ天の香具山」

6.「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も 何せむに 勝れる宝 子にしかめやも」 山上憶良

7.「あかねさつ紫野行き 標野(しめの)行き 野守(のもり)は見ずや 君が袖ふる」額田王

56.大海人皇子(後の天武天皇)の返歌「紫草(むらさき)のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも」

 

8.「岩ばしる垂水(たるみ)の上の さ蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも」志貴皇子

 

9.「吉野なる夏実(なつみ)の河の 川淀に 鴨そ鳴くなる 山蔭にして」 湯原王

 

10.「なかなかに人とあらずは 酒壺に なりてしかも 酒に染(し)みなむ」 大伴旅人

 

以下、私の好きな大伴家持の歌を3首

13.「うらうらに 照れる春日(はるひ)に 雲雀あがり 情(こころ)悲しも 独りしおもへば」 

19.「わが屋戸(やど)のいささ群竹(むらたけ) ふく風の 音のかそけき この夕べかも」

18.「春の苑(その)紅(くれない)にほふ 桃の花 下照(したて)る道に 出で立つ乙女」

 

私はよほど万葉集が好きと見えて、このブログでも何回か紹介している。

佐佐木幸綱著『万葉集』(NHK「100分de名著」ブックス)、

池田弥三郎著「ビジュアル版日本の古典に親しむ3 万葉集-美しき“やまとうた”の世界」、

岡野弘彦著「万葉の歌人たち」(NHKライブラリー192)

 

 

 

佐佐木幸綱(ささき・ゆきつな)

1938年東京都生まれ。祖父は佐佐木信綱。俵万智の先生。

1963年早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了。

1966年河出書房新社入社、「文藝」編集長を経て同社を退職。

1984年より早稲田大学政治経済学部助教授、1987年より2009年まで同教授、2009年より同名誉教授。

1974年より歌誌「心の花」編集長、2011年より同主宰。

歌集に『群黎』(現代歌人協会賞)、『瀧の時間』(迢空賞)、『ムーンウォーク』(読売文学賞)など。

著書に『万葉集の〈われ〉』、『柿本人麻呂ノート』など。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

万葉集は、詠み人は民百姓からやんごとなきお方まで幅広く、当然その生活も様々な中で詠まれた当時の日本を代表する歌集だ。その対象も生活、自然に根差した歌が多い。その後の技巧に走り、空虚な歌の並ぶ古今や新古今和歌集は技を楽しむことはできるが、日本人の心のふるさとは、やはり万葉集だろう。

 

昔から文学の勉学には暗唱が強制されてきたが、これが意外と役に立つ。心に染みついたリズムは書く文章に影響するし、頭で考え、覚えただけでなく、暗唱し染みついた文句は、内容も含めて心に刻まれるように思う。

 

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花便り 井の頭公園

2019年03月29日 | 散歩

3月28日(木)、井の頭公園の正面入口の階段を降り、左手の広場には昼間から花見客が広がっていた。

 

  

桜はまだ蕾もちらほら見えるが、満開といってよいのだろう。

 

 

七井橋の上は何人か外国人も混じって撮影者が並んで隙間探しに苦戦。

 

いつもながら池に垂れ下がる桜が趣を増す。

 

 

ひょうたん橋の近くが桜の見どころ。

 

 

枝を池に大きく伸ばした桜

 

 

重なり合う桜の競演

 

 

頑張って三角公園まで足を延ばすと、そこは子供の天国

 

 

帰り道、住宅の塀際でひっそり咲く花、祖父母、父母、子ども達、何か幸せそう!

 

 

空地からはユキヤナギが誘いかける。

 

 

「春はもうそこまで」

 

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松浦理英子『最愛の子ども』を読む

2019年03月28日 | 読書2

 

松浦理英子著『最愛の子ども』(2017年4月25日文藝春秋発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

日夏(ひなつ)と真汐(ましお)と空穂(うつほ)。夫婦同然の仲のふたりに、こどものような空穂が加わった。
私立玉藻(たまも)学園高等部2年4組の中で、仲睦まじい3人は〈わたしたちのファミリー〉だ。

甘い雰囲気で人を受け入れる日夏。 意固地でプライドの高い真汐。 内気で人見知りな空穂。

3人の輪の中で繰り広げられるドラマを、同級生たちがそっと見守る。
ロマンスと、その均衡が崩れるとき。巧みな語りで女子高生3人の姿を描き出した傑作長編。

 

3人の女子高生を中心とする群像劇は、「わたしたち」という三人称で語られる。

 

登場人物

私立玉藻学園高等部2年4組:仲良すぎて、「変態クラス」と呼ばれる

舞原日夏(ひなつ):夫役。人気者で際立って何でもできるが、醒めている。日夏の真汐に対する喋り方や態度は常に優しく、真汐をとてもだいじにしているのがわかる。

今里真汐(ましお): 妻役。日夏とは中等部時代から親友。意固地で可愛げがなく人と衝突する。日夏に対しては比較的素直で信頼をおいているようにみえる。弟は光紀。

薬井空穂(うつほ):子役。大人しく受動的。高等部から入学。最愛の子供? 父親はいなく、母は看護師の伊都子。

 

草森恵文:現代文と古文が得意、木村美織:官能系情報コレクター、田中花奈子:絵が上手、二谷郁子:ピアノが上手、須永素子:ダルビッシュファン、穂苅希和子:美女・蓮東に思いを捧げる、井上亜沙美:テニス部、磯貝典行と幼馴染、佐竹由梨乃冬美

 

蓮東苑子:別クラスの美女。天然で話がずれる。他人のことは何も考えない。

鞠村尋斗:男子クラスのボス。男子が女子を嫌う風潮を作っている。

磯貝典行:井上亜沙美と幼馴染

古見和生:蓮東苑子に交際を申し込む


唐津禄朗:2年4組の担任、英語教師

藤巻英洋:生物教師

 

 

初出:「文学界」2017年2月号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

仲良し女子高生がくっついたり離れたり。本人たちはいっぱしのつもりでエロ話をなんでもないことのように話したりする。共学高だが、女子クラスで、お定まりのレズ手前の好意、行為もある。

こんな話、おじいさんが読むものかと思ったが、多少だれ気味だが、ともかく読み切ってしまった。

 

登場する親が昔かたぎではなく、ヒッピー風(古っ)だったりして、危ない子どもに理解がありすぎてついていけない。出てくる洋楽はほとんど知らず、ショック。

 

 

松浦理英子(まるうら・りえこ)

1958年愛媛県松山市生まれ。青山学院大学文学部卒業。

1978年「葬儀の日」で文學界新人賞受賞しデビュー

1994年『親指Pの修業時代』で女流文学賞

2008年『犬身』で読売文学賞を受賞

他に『セバスチャン』、『ナチュラル・ウーマン』、『裏ヴァージョン』、『奇貨』など

 

 

 

 

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藤井一至『土 地球最後のナゾ』を読む

2019年03月26日 | 読書2

 

藤井一至著『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』(光文社新書962、2018年8月30日光文社発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

土は地味だ。その研究者の扱いも、宇宙飛行士とは雲泥の差がある。空港で土とスコップの機内持ち込みを謝絶されて落ち込んでいる大人を見たことがあるだろうか。業務として土を掘っているのに、通報され、職務質問を受けることすらある。やましいところは一切なく、土を掘るのを仕事にしている。何を好き好んで土なんて掘っているのかと思われるかもしれない。家や道をつくるためでもなければ、徳川埋蔵金を捜すためでも……ない。100億人を養ってくれる肥沃な土を探すためだ。(「まえがき」を一部改変)
世界の土はたった12種類。しかし、毎日の食卓を支え、地球の未来を支えてくれる本当に「肥沃な土」はどこにある? そもそも土とは一体何なのか? 泥にまみれて地球を巡った研究者の汗と涙がにじむ、一綴りの宝の地図。

 

豊富な写真はカラーなので、赤土、黒土などの違いが良くわかる。

文章にはジョークがあふれていて、満腹ぎみになるほど。

 

第1章 月の砂、火星の土、地球の土壌
「土壌」=岩の分解したものと死んだ動植物が混ざったもの。

「腐植」=生物遺体が細かく分解され腐葉土となり、さらに微生物により腐植となり、一部は粘土と結合する。

「粘土」=直径2μm以下の微粒子。水や酸素や生物の働きがないと岩石は粘土にはなれない。

月には粘土がなく、火星には腐植がない。粘土と腐植のある土、それが地球の土。

第2章 12種類の土を探せ!
第3章 地球の土の可能性

第4章 日本の土と宮沢賢治からの宿題

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

教科書的な土の解説ではなく、著者が世界中を調査した流れにそって世界の土を解説している。土一途な突貫小僧的な土研究者の行動力は冒険を生み、話としては面白く読める。

写真や説明図がカラーで、かつ分かりやすい。

 

しかし、学術説明書的に全体を説明してから各論に入る説明でなく、あちらこちらにばらけて、話がジグザグに進むので、繰り返しも多くなりわかりにくくなってしまった面もある。

 

しかし、『バッタを倒しにアフリカへ』の前野ウルド浩太郎氏もそうだが、研究費確保が難しい学術分野のポスドクは、よほど破天荒なバイタリティーで突き進まないと研究継続が難しいという状況にあるのだろう。日本の直接的に社会に役に立つことがない基礎研究の将来が心配だ。

その困難さが、これらの著者の行動力を生み出してはいるのだが、おとなしく地道は研究者は生きていけないのか!

 

 

藤井一至(ふじい・かずみち)
1981年富山県生まれ。土の研究者。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。
京都大学農学研究科博士課程修了。博士(農学)。
京都大学研究員、日本学術振興会特別研究員を経て、現職。

カナダ極北の永久凍土からインドネシアの熱帯雨林までスコップ片手に世界各地、日本の津々浦々を飛び回り、
土の成り立ちと持続的な利用方法を研究している。

第1回日本生態学会奨励賞(鈴木賞)、第33回日本土壌肥料学会奨励賞、第15回日本農学進歩賞受賞。
著書に『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』(山と溪谷社)など。

 

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麻布十番「乃が美」へ

2019年03月25日 | 食べ物

 麻布十番商店街を墓に供える花を求めて探し、結局ダイエーで購入した。

七面坂と、

七面坂(しちめんざか):坂の東側にあった本善寺(戦後五反田に移転)に七面大明神の木像が安置されていたためにできた名称である。

 

大黒坂を登り、

大黒坂(だいこくざか):大国坂とも書く、坂の中腹北側に大黒天(港区七福神のひとつ)をまつる大法寺があったために呼んだ坂名である。

 

お寺の入口の急坂を見上げる。

 

寺の中央の立ち入り禁止区域には、佐賀鍋島藩歴代藩主の墓が並ぶ。

 

駅そばの高級「生」食パン専門店「乃が美」に行ってみると、開店の11時まで40分もあるのに50人ほどの列。

11時半ごろやっと店を出ると、さらに50人以上の列が。あらかじめ予約をと書いてあるが、前日には4月分の予約は締め切ったと言われてしまった。

 

苦心の成果がこれ。

効能書き

注意書き

 

真っ直ぐ帰宅してちぎって食べたが、確かにおいしい。時間をかけて行って、並んで……、う~ん、微妙。

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Cafe Russiaでランチ

2019年03月23日 | 食べ物

 

吉祥寺駅前の平和通りと吉祥寺通りの交差点にあるファミリーマートの地下の「ロシア&ジョージア(旧グルジア)料理」の店「Cafe Russia」でランチした。

交差点そばのファミリーマートの隣りの、

 

階段を降りて地下へ

 

 

店内は広くはないが、十分大人が多く、落ち着いた雰囲気。

 

相方は、ランチのAセット

1ボルシチ、2野菜のピロシキ、3つぼ焼き(きのこのサワークリーム煮にパン生地をかぶせてオーブンで焼いた)4デザート

 

私めはBセット

1ボルシチ、2肉のピロシキ、3サーモンのブリニ包み(サーモンと野菜をサワークリームを塗ったパンケーキ「ブリニ」で包んだ)4デザート

 

まず、ボルシチ。おいしく、量もたっぷり。

 

上が野菜のピロシキで、下が肉のピロシキ

 

 

私は、サーモンのブリニ包み。下に敷かれているのが、パンケーキ「ブリニ」。真ん中にサワークリームが隠れている。

 

 

相方は、きのこのサワークリーム煮のつぼ焼き。

 

 

デザートはスポンジケーキ?

油っぽかったが美味。

以上、各1080円だったが、ロシア料理というと、ロシア紅茶をどうしても飲みたいので追加注文。

 

 

ジャムにはバラの花びらがたっぷりで、紅茶の底はバラ盛り。

450円は高いが、お勧めだ。

 

昼時は予約した方が無難な人気店のようだった。

 

 

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島本理生『リトル・バイ・リトル』を読む

2019年03月20日 | 読書2

 

島本理生著『リトル・バイ・リトル』(角川文庫し36-7、2018年5月25日新潮社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。静かで平穏で、一見何の変哲もない生活だが、そこに時折暗い影を落とすのは、家族の複雑な過去だった。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、2番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、ふみは少しずつ、光の射す外の世界へ踏み出してゆく。第25回野間文芸新人賞受賞作。

 

橘ふみ:主人公。母の酒と虐待でどうしようもなかった最初の夫との子供。しかし、ふみは6年前に待ち合わせに現れなかった実の父に思いを残している。母が二度目の夫と離婚したので、大学へ進まずバイトしている。

ふみの母:整骨院『野崎治療院』で働く。二度目の夫とは、ユウと共に、時にふみとも、ときどき食事などする。

ユウ:母の二度目の夫との子供で、ふみの異父妹。小学2年生。

柳:ふみが1年前から通っている習字教室の先生

市倉周:キックボクシングのなりたてのプロ。ふみと付き合う。背の高いお姉さんがいる。

 

本書は2003年講談社より刊行され、2006年1月講談社文庫となった。

 

「あとがき」で著者は書いている。高校生のとき、

当時は、家族小説を書きたい、と思って書いた小説でした。

だけど復刊にあたって読み返したとき、これは恵まれた境遇とは言いがたい主人公が、他者を通じて、家の中から外の世界へと踏み出していく小説だったのだと気付きました。

解説は、なんとアイドルの松井玲奈が書いている。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

ドラマチックな出来事もなく、淡々と日常が過ぎていく。確かに家庭は複雑だし、母親のキャラも多少変わっているが、びっくりするほどのものではない。高校卒業したばかりの少女がいろいろな経験をしてちょっとおおきくなっていく小説で、芥川賞候補になるほどのものだろうか。

母は夫を、ふみは父を、ユウは飼っていたモルモットを、柳さんは妻を亡くすが、それでも淡々と生きてゆく。

でも、20歳でこんな小説を書く女性って、その後の活躍が証明しているが、すごい。

 

島本理生の略歴と既読本リスト

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井の頭公園の続き

2019年03月18日 | 散歩

 

公園内を散策していて、北へ出る階段の上へ「玉光神社」なる案内を見つけた。

 

登ってみると、一見普通の神社風。

恐る恐る足を踏み入れると、普通のお社が。

 

パンフレットを読むと、玉光(たまみつ)神社はいわゆる新興宗教(かならずしも悪い意味ではない)のようだ。1932年に教祖本山キヌエに降臨し、現在の二代目宮司は大学と大学院で数理科学を学んだという。書いてある教えは、その通りと思えば、その通りだが、吸い込まれそうな怖さも感じる。

 

公園に戻り、ボート乗り場の前の「思い出ベンチ」で一休み。

 

 

 

白いところは個人名が入っている。

 

祖父、祖母が孫に送ったものもある。

 

 

日付が、2001年9月11日でN.Y.とあり、「〇〇さんの思い出に」と外人さんの名前の物もあった。

記念のプレート付きの寄付ベンチを初めて見たのは、バンクーバーのイングリッシュベイだったと思う(このブログを検索したが、見つからなかった)。日本にもあれば良いのにと思って帰国したら、身近な井の頭公園にあったのだ。

 

散歩が長くなったので、ドトールで一服。相方が「ここ前も来たわね。地下のこの下あたりよ」というので、疑い深い私はさっそく地下へ行ってみると、はっきり思い出した。5年以上前だと思うが、まだまだ記憶力は大丈夫(??)。

 

 

 

 

 

 

 

 

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井の頭公園の桜は?

2019年03月17日 | 散歩

 

散歩の足を延ばして井の頭公園へ桜の様子を見に行った。

 

七井橋から見ると、桜の花の「さ」の字も見えない。

 

 

近くの枝を見ると、まだまだ蕾は固い。

 

本当に3月末に開花するのでしょうか??

 

不動尊がすっきり見える。

 

 

満開時に花見客でごった返す広場には、注意書きが。

 

 

七井橋脇のボートを振り返るが、ただ一匹いるはずの眉毛の凛々しい白鳥が見当たらない。

 

 

戻って探すと、あった!

 

 

えっ! わからない?

これならわかるでしょ!

 

 

まつ毛の代わりに眉毛があるのです。

 

 

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平野啓一郎『ある男』を読む

2019年03月15日 | 読書2

 

平野啓一郎著『ある男』(2018年9月30日文藝春秋発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。

宮崎に住んでいる里枝には2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。

悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。

 

第70回読売文学賞受賞作品。

 

武本里枝は、横浜で結婚し、長男・悠人と次男・遼に恵まれたが、次男は2歳で亡くなり離婚し、宮崎の実家へ戻り、谷口大祐と称する男と出会い、再婚。娘・花が生まれ、4人で幸せな生活を送っていたが、谷口が林業の仕事中に事故で亡くなる。谷口は実家とは縁が切れたと言っていたが、連絡し、駆けつけた谷口の兄・恭一は写真の男は弟ではないと言う。

「谷口大祐」は戸籍上存在し、免許証、保険証を持っていて、婚姻届も出した。また、この男(Xとする)が語った過去は、大祐本人の過去とおおよそ一致していた。

城戸章良:弁護士。在日三世で日本国籍。3歳下の妻・香織はOLで、4歳の颯太という息子がいる。

後藤美涼:谷口大祐のかっての恋人。ウエブデザインの仕事をし、夜はバーを手伝う。

 

 

平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)

1975年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒。

1999年在学中に『日蝕』で第120回芥川賞を受賞。

2004年、文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在。

2008年から、三島由紀夫文学賞選考委員。

2009年以降、日本経済新聞の「アートレビュー」欄を担当。

2014年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。

小説は、『葬送』、『滴り落ちる時計たちの波紋』、『決壊』(芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)、『ドーン』(ドゥマゴ文学賞受賞)、『かたちだけの愛』、『空白を満たしなさい』、『透明な迷宮』、『マチネの終わりに』(渡辺淳一文学賞)

エッセイ・対談集『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』等。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

この人生を生きている自分とは、本来の自分なのか、などと考えさせてくれる。極端に違う環境に育っても、戸籍という殻を脱いだら、まったく違う自分になれるのだろうかなど考えさせてくれる。

城戸の在日という出自の問題や、いつまでも赤の他人のために何かしようとする夫が理解できない妻の香織とのずれ、などの問題が絡み合い、著者の筆力もあり考えさせる良い本になっている。

 

しかし、ストーリーは複雑で、Aが戸籍交換でBにさらにCになど、複雑で途中で混乱する。Aが実はBだったというたぐいの話は、楽しく読み進められないのでやめてほしい。

 

城戸が調査中に知り合う美凉が、ためらう城戸をよそに、反ヘイトデモに軽々と参加してしまうなど「いいね!」。

「わたしの人生のモットーは“三勝四敗主義”なんです!」……「わたし、こう見えても、ものすごい悲観主義者なんです。――真の悲観主義者は明るい!っていうのが、わたしの持論なんです。そもそも、良いことを全然期待していないから、ちょっと良いことがあるだけで、すごく嬉しいんですよ。」

 

 

衒気:げんき。自分の才能・学識などを見せびらかし、自慢したがる気持ち。

 

 

 

以下、ネタバレ

 

 

 

 

小見浦(こみうら):戸籍交換を仲介するブローカー。「交換じゃなくて、身元のロンダリングですよ。」

城戸が偶然見た死刑執行されていた小林謙吉の描いた絵が、里恵に見せてもらった「X」の描いた絵によく似ていた。小林謙吉の息子が誠で、小林の離婚後は母の旧姓となり「原誠」となった。原誠こそが「X」だった。原はボクシングで新人王になる直前に華々しい立場に立つことを避けて失踪した。殺人犯の子どもとして過酷な人生を歩み、自分の過去を捨てるために戸籍交換した。

 

原誠(=「X」):曽根崎義彦と戸籍交換し「曽根崎義彦」となり、さらに戸籍交換し「谷口大祐」に。

曽根崎義彦:やくざの子供。原誠と戸籍交換し「原誠」に、さらに田代と戸籍交換して「田代昭蔵」に。

田代昭蔵:知的障害者。曽根崎義彦(=「原誠」)と戸籍交換し、「原誠」となった。

谷口大祐:「曽根崎義彦」(=「X」)と戸籍交換し、「曽根崎義彦」になった。

 

 

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2月の花

2019年03月13日 | リタイヤ生活

2月上旬に届いた花は

3日後、キンセンカが咲いた。

 


2月中旬に届いたのは、

6日後、レースフラワーが開花。




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先崎学『うつ病九段』を読む

2019年03月10日 | 読書2

 

先崎学著『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』(2018年7月15日文藝春秋発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

うつ病の頭には死のイメージが駆け巡るのだ。

うつ病の朝の辛さは筆舌に尽くしがたい。
あなたが考えている最高にどんよりした気分の十倍と思っていいだろう。
まず、ベットから起きあがるのに最短でも十分はかかる。
ひどい時には三十分。その間、体全体が重く、だるく、頭の中は真っ暗である。
仕方がないのでソファに横になるが、もう眠ることはできない。
ただじっと横になっているだけである。
頭の中には、人間が考える最も暗いこと、そう、死のイメージが駆け巡る。
私の場合、高い所から飛び降りるとか、
電車に飛び込むなどのイメージがよく浮かんだ。
つまるところ、うつ病とは死にたがる病気であるという。
まさにその通りであった」(本文より)

 

2014年に九段に昇段し一流棋士となった先崎は、パチスロなどギャンブル好き、酒好きで、週刊誌に連載コラムを持ち著書も多く、うつとは無縁だった。

 

2017年6月24日、突然、頭が重く気分が暗くなった。日がたつにつれますます症状が重くなり、とくに寝起きが苦しくなる一方だった。7月から順位戦が始まったが、まったく集中できなかった。以後一気に転げ落ち、朝が辛く、不安が襲い、決断力が鈍くなった。奥さんからの連絡で、精神科医の兄が駆け付け、病院へ行かされ、「おそらくうつ病だと思います」と言われた。

 

電車に乗ることができない。飛び込むというより、自然に吸い込まれるのだ。結局、2017年7月26日、慶応病院精神神経科へ入院した。

 

退院後、入院前や直後に感じた頭の中に詰まったコールタールは、深い霧に変わり、頭はボーっとしていたが、胸のつかえは消えて、体のだるさも軽くなっていた。

 

兄は「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。」と散歩を強く勧めた。図書館へ行ったが本が全く読めなかった。9月中頃、奨励会の人の将棋を見たが、まったく理解できず、異国のゲームを見ているようだった。

 

うつ病のうつは体の中からだるさや疲れがきて、人としてのパワーががくんと落ちる。それに比べてうつっぽいというのは、表面的に暗いだけなのである。本物のうつ病の症状を当事者としてひと言でいうと無反応だ。

 

兄は吐き出すように続けた。

「うつ病は必ず治る病気なんだ。必ず治る。人間は不思議なことに誰でもうつ病になるけど、不思議なことにそれを治す自然治癒力を誰でも持っている。だから自殺だけはいけない。死んでしまったらすべて終わりなんだ。だいたい残された家族がどんなに辛い思いをするか」……

「うつ病は辛い病気だが死ななければ必ず治るんだ」

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき)(最大は五つ星)

 

うつっぽい人ではなく、うつ病の当事者の本は極めて少ないという。将棋指しでコラムニストでもある著者が重いうつにかかった様子、徐々に回復する過程を描いた詳細な記述は貴重なものだ。

 

暗く苦しいうつ病の話だが、最後は回復することはわかっているので、読み続けられる。著者の兄が優秀な精神科医であったため、初期の段階から適切な治療を行うことができて、幸運だった。冷静に自己を分析することができる著者による記述は具体的でわかりやすい。

ただ怖ろしいものとして遠ざけるがちな「うつ」の実情を知るには最適な本だ。医者の書く本より現実感があって実感しやすい。うつになりそうな気がしたり、身近にうつ病の人がいたら読んでおきたい本だ。将棋のことは知らなくても特に支障はない。

 

先崎学(せんざき・まなぶ)

1970年青森県生まれ。

1981年(小学5年)米長邦雄永世棋聖門下で奨励会入会。

1987年四段、プロデビュー

1990年、1991年棋戦優勝
2014年九段

2017年うつ病発症。日本将棋連盟を通して休場を発表

2018年6月順位戦で復帰

 

以下、メモ。

 

うつ病になりかけはどんな様子なのか、知っておきたいので少し詳しく書く。

2017年6月23日、47歳の誕生日、通いつけた輪島功一ボクシングジムへ行き、家族で楽しくインド料理を食べた。翌日から頭が重く気分が暗くなった。そのうち良くなるだろうと思ったが、一週間ほどますます症状が重くなり、とくに寝起きが苦しくなる一方だった。日本将棋連盟は不正ソフト問題で大揺れし、2月、3月は休みが一日しかなく、4月も続いていた。連盟の広報の仕事も日に数件の取材やイベントがあった。

7月から順位戦が始まり、対局中にまったく集中できないことに気づいた。以後10日間一気に転げ落ちた。朝が辛く、不安が襲い、決断力が鈍くなった。家を出る決断もできなくなっていた。奥さんからの連絡で、精神科医の兄が駆け付け、慶応病院へ行かされ、「おそらくうつ病だと思います」と言われた。

 

なかなか電車に乗ることができなかった。なにしろ毎日何十回も電車に飛び込むイメージが頭の中を駆け巡っているのだ。飛び込むというより、自然に吸い込まれるのだ。死に向かって一歩を踏み出すハードルが極端に低いのだ。家の中を1、2時間ぐるぐると歩きまわった。入院に抵抗したが、結局、2017年7月26日、慶応病院精神神経科へ入院した。

 

以下、残り3/4位は病院生活での回復過程と、退院後のリハビリの話が続く。

 

回復に向かっていたある日、病院でTVを見ていると、派手な原色(の感覚)が身体に飛び込んできた。うつがひどい時はすべてがモノクロの世界だったのだ。

 

ほぼ決まっているようだが、1か月で退院することになった。その前に一時外出を薦められた。久しぶりの外出は楽しいはずなのに前日の夜、かなりの不安に襲われた。当日も物を買うのには途方もなく気力を必要とすること、何を食べるか決断できなかった。退院し、うつ病の極悪期から回復期へ移ろうとしていた。入院前や直後に感じた頭の中に詰まったコールタールは、深い霧に変わり、頭はボーっとしていた。胸のつかえは消えて、体のだるさも軽くなっていた。

 

兄は「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。」と散歩を強く勧めた。図書館へ行ったが本が全く読めなかった。うつの本だけが読めた。

9月中頃、奨励会の人の将棋を見たが、まったく理解できず、異国のゲームを見ているようだった。小学3.4年のころには瞬時にとけた五手詰、七手詰に悪戦苦闘した。

 

ほぼ完全に回復した後のこと、ちょっと邪魔者扱いされて帰宅して怒り狂った。

2,3日はこのことでむしゃくしゃして、ちょっとうつっぽくなった。だが、あまり不安にはならなかった、うつっぽいのとうつ病の症状はまったく違うものだと分かってきたからである。うつ病のうつは体の中からだるさや疲れがきて、人としてのパワーががくんと落ちる。それに比べてうつっぽいというのは、表面的に暗いだけなのである。

 本物のうつ病の症状を当事者としてひと言でいうと無反応だ。

 

兄は吐き出すように続けた。

「うつ病は必ず治る病気なんだ。必ず治る。人間は不思議なことに誰でもうつ病になるけど、不思議なことにそれを治す自然治癒力を誰でも持っている。だから自殺だけはいけない。死んでしまったらすべて終わりなんだ。だいたい残された家族がどんなに辛い思いをするか」……「究極的にいえば、精神科医というのは患者を自殺させないというだけのためにいるんだ」……

「うつ病は辛い病気だが死ななければ必ず治るんだ」

 

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伊坂幸太郎『ホワイトラビット』を読む

2019年03月07日 | 読書2

 

伊坂幸太郎著『ホワイトラビット』(2017年9月20日新潮社発行)を読んだ。

 

新潮社によるHPにはこうある。  

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです!  仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。「白兎事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ!  伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。

 

誘拐ビジネス組織の一員兎田孝則は、先ほど誘拐した女性をワンボックスカーの後部座席乗せていた。その女性をある場所まで運び、次の担当者に引き渡して任務完了の予定だった。

しかし、誘拐ビジネス組織の通称オリオオリオというコンサルタントが組織の金を盗み出していて、近いうちに取引相手にその金を送金しないと大変なことになる。組織は新婚の妻・綿子を人質に取り、兎田にオリオオリオを見つけるよう命じた。これからハチャメチャの展開が始まる。

 

白兎事件:仙台市で起きた一戸建て籠城事件。

 

兎田孝則:誘拐ビジネス組織の仕入れ担当。相棒(部下)は猪田勝。新婚の妻・綿子は誘拐されている。

折尾豊:通称、オリオオリオ。組織のコンサルタント。

黒澤:空き巣を生業とする中村(親分)、今村と、既に死亡している詐欺師の自宅に泥棒に入り、金庫の中味を盗む。この時、今村が間違えて、紙(但し書)を隣家に落としてきたため、取りに佐藤家に侵入して……。

稲葉:誘拐ビジネスの創業者。

 

佐藤勇介:拳銃を持った男が侵入した一軒家の20代の長男。勇介と母は1階、父は2階?

 

夏之目課長:白兎事件現場で指揮をとる宮城県警察本部特殊捜査班SITの課長。立てこもり犯との交渉役。交通事故で妻と娘・愛華を亡くし、内面が空白になった。春日部課長代理と大島は部下。

 

本書は書き下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

筋がこんがらかってしまい、楽しめない。Aが実はBだったとか、時間をさかのぼり後から語られる話が出てきたり、混乱する。

間抜けな人ばかり登場するので、真剣に読まず楽しく流し読みしていると、話がつかめなくなる。おふざけ会話も伊坂さんのいつもの冴えもが感じられない。

 

 

伊坂幸太郎の履歴&既読本リスト

 

 

誘拐ビジネスのリスク軽減方法

身代金の額を相手の出せる範囲に収めるなどあるが、金銭を受け取らなければよいのだ。人質を返すかわりに、結果的に利益がでるように相手に何かしてもらうのが良い。例えば、大量の株を買わせる。法案を通させる。法律に違反させる、または遵守させる。手術さけない、またはさせる。事故を起こさせる。物を盗ませる。芸術家を後押しさける、または失墜させる。

 

 

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桐島洋子『80歳のマザーグース』を読む

2019年03月04日 | 読書2

桐島洋子著『80歳のマザーグース』(2019年1月7日主婦と生活社発行)を読んだ。

(発行日が奥付になく、カバー裏の裏に書いてあった。なぜ?)

 

宣伝文句は以下。

傘寿を迎えた著者が語る人生を大いに楽しむ極意と家族のあり方。桐島かれんとの母娘対談も収録。

 

30編のエッセイ集。過去の桐島さんの大冒険、80代の生き方への思い、三人の子供の活躍、日本各地の温泉地の紹介、世界のセラピー、マッサージの紹介、気功やスピリチュアル体験談などなど。

 

桐島流だなと思ったところ、3か所だけ。

私は、「骨董はお預かりしているだけ」という感覚でいる。

 

子供のレベルまで下りて遊び相手をするのは御免蒙る。子供には友達がたくさん出来る環境を与えておけばいい。なにも自分が遊び相手になる必要はないのだ。

 

(ダイエット)「これからは美味しいものしか食べない」と宣言した。…詰まらないものなんか絶対に口に入れてやらないと決意するだけでも、食べる量はかなり減るはずである。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

さすがの桐島さんもキレがなくなっている。このところの本は過去の大冒険と子供の自慢とスピリチュアルではおもろない。

 

私は桐島さんとバンクーバーの桐島宅を訪問したり、「古希の祝いのパーティ」に参加し(「Capilano Golf Clubでパーティ」)、東京のオトナの寺子屋「森羅塾」にも一度お邪魔した(「桐島洋子の森羅塾へ」)。歳を感じさせない早足と早口には驚かされた。お元気なのは結構なのだが。

 

 

桐島洋子(きりしま・ようこ)
1937年東京生まれ。文筆家、エッセイスト。
1956年都立駒場高校を卒業し文藝春秋入社。1965年退社。
1967年ヴェトナム従軍記者。
1972年『淋しいアメリカ人』 大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
以来独身のまま、かれん(モデル)、ノエル(エッセイスト)、ローランド(カメラマン)の3児を育て上げる。
1982年美術鑑定家勝見洋一と結婚。

子育て終了後は、“林住期”を宣言。

 他の著書、『渚と澪と舵―ふうてんママの手紙』、『マザー・グースと三匹の子豚たち』、『ガールイエスタデイ -わたしはこんな少女だった-』(絶版)、『わたしが家族について語るなら』、『バンクーバーに恋する』、『林住期ノート』、『刻(とき)のしずく 続・林住期ノート』、『林住期を愉しむ 水のように風のように』、『林住期が始まる』、『聡明な女たちへ』、『 50歳からのこだわらない生き方』、『人生はまだ旅の途中』、本書『80歳のマザーグース

 

 

 

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