hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

海堂尊『ケルベロスの肖像』を読む

2013年08月30日 | 読書2
海堂尊著『ケルベロスの肖像』(2012年7月宝島社発行)を読んだ。

ベストセラー『チーム・バチスタの栄光』の第6作にして田口&白鳥シリーズ最終巻!
「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」――東城大学病院に送られてきた脅迫状。高階病院長は、院内の厄介事を一手に引き受ける愚痴外来の田口医師に、犯人を突き止めるよう依頼した。田口公平と厚生労働省の変人役人白鳥佳輔の凸凹コンビは、Ai(オートプシー・イメージング/死亡時画像診断)センターを守れるか。

ケルベロスとは、地獄の番犬、冥界の犬で、三つの頭を持つ。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

登場人物が誰もかれも性格が極端でわざとらしい。シリーズの最初から読んでいれば、おなじみとなって、のれるかもしれないが、いきなりとんでもない言葉を聞かされたり、行動をとったりされても、しらけてしまう。
なにかというと、シリーズ前回の話を持ち出すのは、止めてほしかった。
犯人はすぐバレバレだ。

アリジゴクはカゲロウの幼虫で、大人になるとウスバ・カゲロウになる(ウスバカ・ゲロウではない)。



海堂 尊(かいどう たける)
1961年千葉県生まれ。千葉大学医学部卒業、同大学院医学博士号取得。
外科医を経て病理専門医。
2009年より独立行政法人・放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター・Ai 情報研究推進室室長。剣道3段。
2006年『チーム・バチスタの栄光』で、「このミステリーがすごい!」大賞受賞。
その他、『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの伝説』『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』『トリセツ・カラダ』『死因不明社会』『ジーン・ワルツ



登場人物
田口公平 主人公、東城大学医学部付属病院不定愁訴外来責任者。
白鳥圭輔 厚生労働省の技官、兼医療過誤死関連の準備室室長。「ロジカルモンスター」「火喰い鳥」、公平の師でもある。
高階権太 東城大学医学部付属病院病院長。50代半ば。稀代の策士。
藤原真琴 不定愁訴外来専任看護師。美味しいコーヒーを入れてくれる。
黒崎誠一郎 臓器統御外科ユニット教授・リスクマネジメント委員会副委員長。重鎮。
兵藤勉  神経内科学教室助手兼医局長。医局長の座を譲った公平に感謝。院内の噂に詳しい「廊下トンビ」。
島津吾郎 放射線科准教授。田口の学生時代の親友で雀友、同期。
三船    東城大学医学部付属病院事務長。
東堂文昭 マサチューセッツ医科大学上席教授。Aiセンターのウルトラ・スーパーバイザー。日本人で最もノーベル医学賞に近い人物。派手なパフォーマンスを好む。顕微鏡レベルの解像度を誇る世界に3台しかない「リヴァイアサン」をAiセンターに寄贈。
姫宮香織 白鳥の部下。ファンキー・ヒロイン。
彦根新吾 房総救命救急センターの病理医。Aiセンター副センター長。田口や島津の2年後輩の麻雀仲間。
桧山シオン ドイツ・ジュネーブ大学准教授。画像診断の名手。
南雲忠義 元極北市監察医務院院長。
西園寺さやか 医療ジャーナリスト。網膜色素変性症で顔をマスクで覆い、声帯ポリープ手術のため、電子音で会話する。



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宮崎駿の映画「風立ちぬ」を見る

2013年08月27日 | 日記
宮崎駿の映画「風立ちぬ」を見た。

公式サイトにはこうある。

零戦の設計者堀越二郎とイタリアの先輩ジャンニ・カプローニとの同じ志を持つ者の時空をこえた友情。いくたびもの挫折をこえて少年の日の夢にむかい力を尽すふたり。・・・
この作品の題名「風立ちぬ」は堀辰雄の同名の小説に由来する。ポール・ヴァレリーの詩の一節を堀辰雄は“風立ちぬ、いざ生きめやも”と訳した。この映画は実在した堀越二郎と同時代に生きた文学者堀辰雄をごちゃまぜにして、ひとりの主人公“二郎”に仕立てている。後に神話と化したゼロ戦の誕生をたて糸に、青年技師二郎と美しい薄幸の少女菜穂子との出会い別れを横糸に、カプローニおじさんが時空を超えた彩どりをそえて、完全なフィクションとして1930年代の青春を描く、異色の作品である。

原作は、宮崎駿が『モデルグラフィックス』誌上にて発表した連載漫画。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

ファンタジーの要素がほとんどなく、宮崎駿の好きな飛行機とタバコがバンバン出てくる。堀越二郎と堀辰雄の妻菜穂子を強引に結びつけた構成にはちょっと無理を感じる。

絵はきれいだし、飛行機好きな私には面白かったのだが、宮崎駿ファンにはどうだろうか? 宮崎さんは映画化するつもりはなかったのだが、宮崎さんのアニメ屋としての衰えを心配した周囲が映画化を強引に勧めたと聞いた。これが、宮崎さんの最後の作品でないことを祈る。

映画館の前をたまたま通り、開演10分前だったので、おもわず入ってしまったが、数年ぶりの映画にしては今一つ。

タバコを吸う場面が多すぎる。確かに当時はなにかというとタバコを吸っていたのだが、現在モクモクと煙があがる喫煙光景、吸い殻が山になった灰皿を見ると、わざとあんな場面をこれほど入れる必要があったのだろうかと思ってしまう。嫌煙家の私には、顔をそむけたくなる場面が多かった。


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香山リカ『新型出生前診断と「命の選択」』を読む

2013年08月26日 | 読書2

香山リカ著『新型出生前診断と「命の選択」』(祥伝社新書324、2013年7月発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。
妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」が、二〇一三年四月から日本でも始まった。また、遺伝子を調べることによって、将来発症しやすい病気や確率も判明するようになっている。このような医療技術の進歩は基本的には望ましい。だが、最新技術が命に関わる領域に踏み込んだことで、患者と家族は大きな選択を迫られるようになった。その結果、自らの判断が正しかったのか悩む人が増えている。それに対して私たちはどう考えればいいのだろうか。医学の進歩に、心のケアや倫理は取り残されていないだろうか。現状と課題を、精神科医の立場から考える。
検査は進歩し、気軽なものになり、選択肢は増えつつあるのに、それがもたらす結果はあまりにも重い。


妊娠し、幸せのさなかの定期検診で、「ちょっと気になることがあるので、検査しますか」と聞かれ、血液検査の結果、「大変な障害の可能性があることが判明しました」「妊娠を継続するか、中絶するか、なるべく早めに決めてください」と言われる。中絶は妊娠22週までと決められている。

「重い障害を背負っても生まれてきてほしい、というのは命の尊重というより親のエゴ」と考え「いつ胎内で死亡するかを気にし、出産後の重い障害への対応を考えながら出産まで待つのは耐えられない」と中絶した。しかし、取り返しのつかない過ちを犯したとの思いは消えなかった。この場合もグリーフ(死別の悲嘆)・ケアが必要なのだ。この女性も、生まれてから障害があるとわかった場合はと聞かれて、「そのときはそのとき。全力で育てようとしたと思う」と語った。

遺伝子による将来の病気の可能性がわかると、保険加入が拒否されたり、就職や結婚などで差別が生じたりするだろう。アンジェリーナの実子のうちの2人は娘である。彼女たちが年頃になったら遺伝子解析を受けさせて、陽性であった場合は?

人の染色体は、性別を決定する1対2本の「性染色体」と、遺伝情報を伝える22対44本の「常染色体」で構成されている。21番目の常染色体がトリソミー(2本が3本になる)になってしまうとダウン症候群になる。出生児1000人に1人の頻度で発生する。
しかし、陽性と判定された35歳の妊婦100人のうち20人の子どもは実際にはダウン症ではないという。

精神医学的には、恐ろしいことの対象がはっきりしている場合を「恐怖」と呼び、それがはっきりしない場合を「不安」と呼ぶ・・・。




私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

遺伝子検査と命の選択について、いろいろな知識は与えてくれる。しかし、当然、正しい判断はこうだと示されるものではない。この問題に関心が深い人には勧められるが、かなりこの問題に特化しているので、一般的にはどうだろうか、ということで三つ星。

「新型出生前診断」が強調されているが、時流にさとい香山さんのこと、アンジェリーナで話題の「がんリスクの遺伝子解析にもとづく臓器の予防的切除」も取り込んでいる。


関係者にはとてもそうか考えられないだろうが、障害もその人の個性ではある。もし人類が、現在の環境に対しピンポイントに最適に遺伝子を配置していたら、環境が変わったときには生存が危なくなる。遺伝子は適当に変異させてばらつかせ、誰かが生き残るような戦略をとるだろうし、実際そうなっているから、これまで生き残ってきたのだ。正しい遺伝子配列はないのだ。障害は現実にハンディで、時にはまったく厳しいハンディではあるが、けして害ではない。



香山リカは、1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。学生時代から雑誌などに寄稿。その後も、臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍。本名中塚尚子で、パートナーはプロレスジャーナリストの斎藤文彦らしい。
おとなの男の心理学』『<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』『雅子さまと新型うつ』『女はみんな『うつ』になる』『精神科医ですがわりと人間が苦手です』『親子という病』『弱い自分を好きになる本』『いまどきの常識』『しがみつかない生き方』『だましだまし生きるのも悪くない』『人生の法則』『できることを少しずつ』『若者のホンネ



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玉岡かおる『蒼のなかに』を読む

2013年08月23日 | 読書2

玉岡かおる著『蒼(あお)のなかに』(2004年5月角川書店発行)を読んだ。

播磨の旧家に生まれ育った漆原紗知。祖母の瀬織はお嬢様育ち、神社の娘で巫女。母の英子は大陸で終戦となり子供たちを連れて日本帰り、素麺「揖保の糸」を作る工場で働く忍耐強い女性。そんな母に反発し飛び立った紗知は、結婚に破れた後、小さいながらも編集事務所を設立、必死の思いで人生を自分で切り拓いてきたつもりだった。

「私はこの人生で、まだ、何もしていない」と人生の転機にさしかかった46歳。子宮がん、会社の危機、さまざまな困難が紗知を襲い、エクス・ハズバンドの佳門、取引先の不倫相手世良、年下のカメラマン永吉嶺(たかね)と3人の男が絡む。

マザー・ウッド(母親なるもの)と白鳥が何回か登場する。

マザー・ウッド。地面に倒れた母なる樹木の朽ちた幹から、弱々しく芽を吹き枝をもたげた若木を思った。母から受け継いだ肉と血と精神を元に、こうして自分の肉体が生きようとしている事実。

「高坂さんは母親なんでしょ? 生きてあげなくちゃだめじゃない」・・・
「こどものいないあなたなんか、わからないわよ」
「わかるわよ、私だってこどもだったんだから」


白鳥は、あいかわらず、涼しい顔して(水面下では)じたばた足掻くのみ。そう覚悟を決めた。


私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

主人公は、辛抱強く我慢し続ける母への反発もあって、都会で独立すべく離婚後結婚もせずに数人の会社を戦闘的に運営し頑張り続ける。会社運営の話、幼いときの巫女の祖母の話、3人の男性との話、子宮がんの話などが巧みにまじりあい、興味をつなげ、370頁を一気に読ませる。

しかし、全体として古い形の小説であり、平凡で深みはない。TVドラマ(韓流?偏見?)の脚本を読んでいる感じだ。具体的に1つだけ挙げると、ここぞというときに必ず現れ良いとこ取りする嶺がかっこ良過ぎ。



玉岡かおる(たまおか・かおる)
1956年兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。中学校で2年間教職。
1987年『夢喰い魚のブルーグッドバイ』神戸文学賞を受賞し文壇デビュー
1997年『をんな紋―まろびだす川』が山本周五郎賞候補作
2008年、『お家さん』で織田作之助賞受賞。
夫は歯科医で、子供2人。ブロードキャスターなどテレビのコメンテーターとしても活動。




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酒井順子『泡沫日記』を読む

2013年08月21日 | 読書2


酒井順子著『泡沫日記』(2013年4月集英社発行)を読んだ。

「私、初めてなんですぅ」と可愛く声をあげた20代をはるかに過ぎて、40代女子にも初めてのことが次々と訪れる。花粉症発症、近親者や友人の死、介護などのから、自分自身の老化など大人の初体験はほろ苦い。多くの本を出している酒井さんだが、初めての日記エッセイだという。

たとえば、老化現象。三十代時代もなんとなく感じた老化の足音ですが、四十代になると、その音ははっきりと耳元で聞こえるように。身体のあちこちに、それまで感じたことのなかった変化を発見して、ショックと言うよりは「へえー、こんな風になるの!」という新鮮な驚きが続きます。

気が付けば最年長だったり、友人の葬儀で初弔辞を読んだり。初スマートフォンに馴染めるだろうかとクラス替え直後のような不安を覚えたり、カブトムシを飼育したり、お祖母さんが101歳で亡くなったりした。
初白髪染めを買うときに懐かしい恥ずかしさを感じたり、初ディナーショー(清水ミチコ)に行ったり、ラオスの里子に会いに行ったり、4歳の姪を初めて預かったり、忙しいことで。

取材などで地方に出かけることも多い酒井さん、鉄女でもあるので、ローカル線での話も多い。

題名は、以下から。
初体験とは、手に入れた途端にパチンと消えてしまう、泡のようなものです。いくらきれいであっても、その泡をずっととっておくことはできないし、本当の「初めて」は、ただ一度だけ。

初出:集英社WEB文芸「レンザブロー」2011年2月~2013年2月



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

「40代で老化? ふふん、まだまだじゃよ」文字通り年寄りの私は余裕をもってわが娘のような酒井さんを愛でる。まあ、今後あっというまに押し寄せる老化の波を楽しんでください。

何気ない日常も含めて25日分の日記を、40代の初体験の視点でまとめてしまう力量はさすが。でも、この類の本(非難ではなく、楽しいが残らないという意味)を読んで、残り少ない人生を過ごして良いのだろうかとも思ってしまう。まあ、残り、とくに何があるわけでもなく、気楽に楽しめれば良いか!



酒井順子の略歴と既読本リスト




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藤野可織『爪と目』を読む

2013年08月19日 | 読書2

藤野可織著『爪と目』(2013年7月新潮社発行)を読んだ。

芥川賞受賞作の「爪と目」と、「しょう子さんが忘れていること」、「ちびっこ広場」、3編の短編集。

「爪と目」
はじめてあなたと関係を持った日、帰り際になって父は「きみとは結婚できない」と言った。あなたは驚いて「はあ」と返した、
こう始まるのだが、「あなた」と「きみ」は父の不倫相手であり、「あなた」と呼んでいるのは、父の3歳になる娘で、「わたし」として小説の語り手になっている。
「わたし」は母親をベランダに締め出して死亡させたことが匂わせてある。父は半年の試行期間ということで女と同棲する。「わたし」は女と同居することになっても、彼女を「あなた」と突き放して呼ぶ。一方、亡くなった実母を「父の死んだ妻」と言ったり、語り手が3歳の幼女とは思えない、意図的にわかりにくい記述にしている。

「あなた」はあらゆることに無関心で、3歳の娘に対してもハムスター程度にも関心を持たない。極度の近視の彼女は、コンタクトレンズで、よく眼球を傷つけてしまう。一方、「わたし」は3歳にも関わらず、義母を明晰に見透かしながら、表面はおとなしく言うことを聞き、それでいて無言で爪を噛む。

「しょう子さんが忘れていること」
軽い脳梗塞を起こしリハビリ病院に入院しているしょう子さんと、世話をする長女、37歳の座っているだけの孫娘、親切な20代の患者の川端くんとの何ということない日々。

「ちびっこ広場」
小学生の息子大樹は学校帰りに必ず「ちびっこ広場」で遊ぶ。母親は友人の結婚パーティーに出かけなければいけないのに、いつになく大樹は怯えていて、「お父さんが帰ってきたら、行ってもいい」という。

初出は、「爪と目」:「新潮」2013年4月号、「しょう子さんが忘れていること」:「ユリイカ」2013年7月号、「ちびっこ広場」:「群像」2009年5月号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

芥川賞受賞作品は、変わっているだけで、面白いものはないという定説どおり。
「あなた」は、亡くなった「わたし」の母親の書いていたブログに導かれ、また父親と暮らしながら浮気する。そして、3歳の幼女は冷たくこれらを見つめる。その場にいないのに、「あなた」の浮気現場を語るのは腑に落ちない。そんなことにこだわらないほど跳んだ小説なのだろうか。
二人称など表現方法に工夫がみられ、ホラーじみた雰囲気を醸し出すなどもちろん良かげな小説ではあるが、面白くはない。

「しょう子さんが忘れていること」と「ちびっこ広場」は、「え!それだけ」という内容。



藤野可織(ふじの・かおり)
1980年京都市生まれ。同志社大学大学院美学および芸術学専攻博士課程前期修了。編集プロダクションで商品写真を撮っていたが、小説を書くため半年で退社。出版社でアルバイト。2012年大学の同級生と結婚。
2006年「いやしい鳥」で文學界新人賞
2009年「いけにえ」で芥川賞候補
2012年「パトロネ」で野間文芸新人賞候補、『パトロネ』
2008年『いやしい鳥』
2013年本作品「爪と目」で芥川賞受賞、本書『爪と目』




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鎌倉を巡る

2013年08月17日 | 趣味
鎌倉を巡る

もう60年は鎌倉通いを続けているだろう。子供のころは海水浴、成人してからはお寺や花巡り。そして、年とって腰が曲がって、下を眺めて歩く今は、マンホール巡り?

前回、前々回のマンホールの蓋の本には写真を載せられなかったので、今回は私の秘蔵の写真集から、鎌倉のマンホールの蓋の写真をご紹介。

まず、鎌倉らしい洒落た汚水蓋。道路の模様ときちんと方向を合わせてあるのは珍しい。



鎌倉市の市章は、村上源氏一門の家紋でもあった「ささりんどう」が中心にある蓋、2枚。





中心に「鎌」とある表面がコンクリートの古そうな汚水蓋



「鎌」の字が小さく、「汚水」の字が大きい蓋



逆に、「鎌」の字が大きく、「汚水」の字が小さい蓋



「県水道」とある「消火栓」



上と同様な模様。外周に「県水道」、右下に「仕切弁」「水のマーク」とあり、ユリ、波、イチョウなどをあしらったなかなか凝ったデザイン



水色鮮やかな「仕切弁」。「水マーク」も抜かりなく。



人が入れない仕切弁は厳密にはマンホールではないのだが、そこは「まあまあ」
こちらも、なかなか。「水マーク」がある。



「県営水道」「水マーク」があり、中心はユリの花らしき「空気弁」



最後に、なんだかわからないものを2つ。



斜めの線が気になる。



以上、お粗末でした。



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林丈二「マンホールの蓋(ヨーロッパ篇)」を読む

2013年08月15日 | 読書2

林丈二写真・文「マンホールの蓋(ヨーロッパ篇)」(1986年6月サイエンティスト社発行)を読んだ。

日本篇に続くヨーロッパ篇だ。177日滞在し、フィルムカメラで2200枚以上の写真を撮った。それにしても、良く約60都市をマンホールの蓋だけを(?)求めて巡ったものだ。

古い蓋が多かった日本篇に比べ、ヨーロッパ篇はデザインの美しい蓋を楽しめる。冒頭のロンドン・セントポール大聖堂の真鍮製の蓋は踏むことができないほど美しいし、ヴァチカン国サン・ピエトロ寺院の深く複雑に浮彫された蓋は芸術品だ。

暖房用石炭の地下貯蔵庫の蓋など日本にはない珍しいものもある。花のパリには犬の糞が多いが、アントワープのコンクリート蓋に描かれた犬のマークは、「するならここで」という印らしい。車道の側溝用の「犬のトイレマーク」の写真もある。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

私自身の評価としては、★★★★(四つ星)なのだが、マニアック過ぎて、決して「お勧め」ではないので、「二つ星」とした。
ただただ写真が並ぶ日本篇とは雲泥の差で、蓋の写真も、全体も垢抜けた本で、パラパラ見るだけでも楽しい(装幀、レイアウトは奥田時宏氏)。

イタリア・ミラノのドゥオーモとギャレリア周辺はとくに美しいのでつい上を見てしまうが、建物や街並みが美しいところほど、ちゃんと路上も手抜きしてないので、下も見て歩く必要があるという。
著者は、ウィーンのオペラ座というと、どうしてもまず教会のバラ窓を思わせる蓋を思い出してしまうという。
病気だ!



林丈二(はやし・じょうじ)
1947年東京都練馬区生まれ。イラストレーター、エッセイスト。
武蔵野美術大学産業デザイン科卒業後、サンリオ勤務。退社後フリー。
調査マニアで、穴開きブロックのパターン調べ、都内各駅切符のパンチ屑収集など、とくにマンホールの蓋研究が話題を呼んだ。路上観察学会の一員。
1984年マンホールのふた(日本篇)
1986年、本書『マンホールの蓋(ヨーロッパ篇)』、発起人の一人として路上観察学会創立
その他、『目玉の散歩ノート』、『街を転がる目 玉のように』、『路上探偵事務所』、『イタリア歩けば』、『がらくた道楽』、『猫はどこ?』、『型録・ちょっと昔の生活雑貨』、『西洋アンティーク 絵葉書』など



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林丈二「マンホールのふた(日本篇)」を読む

2013年08月14日 | 読書2

林丈二写真・文「マンホールのふた(日本篇)」(1984年3月サイエンティスト社発行)を読んだ。

ただひたすら全国のマンホールの蓋の写真を集めた本だ。「ええ、何、それだけ」と思う方もいるだろうが、マンホール愛好家にとっては伝説の本だ。
かくゆう私めもその一人で、ブログネタに困ったときに3回ほどお世話になった。


東京篇は、上水道、下水道、電信電話、電力、ガスなど事業者別で、全国篇は各県主要都市別にマンホールの蓋の写真が並ぶ。
著者の関心は、古い物にあるようで、東京府、東京市の時代の蓋を探し歩いている。大正から昭和にかけて、東京市郊外、といっても目黒、渋谷、江戸川など、の水道が町営や会社経営であった時代のマンホールまで探し出して写真を撮っている。何度も挙動不審として職務質問を受けたのも納得だ。

蓋さがしの6種の道具
カメラ(すぐ結果が確認できるデジカメはまだなかったので著者の苦労がしのばれる)、地図、歩いた道は二度と歩かないように地図に線を引く黄色いサインペン、貴重な蓋の位置を印す赤いサインペン、寸法を測る巻尺、蓋の上の小石やゴミをとる小さな刷毛。

付録篇
「マンホール蓋の歴史」
映画「ローマの休日」でオードリ・ヘップバーンがこわごわと手をいれる「真実の口」もローマ時代の貴族の館の庭にあった雨水排除のためのマンホールの蓋を壁にはめ込んだものだそうだ。

「古いカタログ」
現在でも蓋は数千円で売っている。私もコレクションしたいのだが、とても許可は下りそうもない。

「マンホール周辺の出来事」
昭和30年のある日、道端のマンホールから百円札が一枚顔を出していた。拾ってみると、「助けてくれ。この中に二人いる」と書いてあった。助け出された二人によると、検査でマンホールに入っていたのに、仲間が勘違いして重さ20貫(75kg)の蓋を閉めてしまったという。

「マンホールの登場する小説」「マンホールの登場する映画」「マンガに登場するマンホールと蓋」「用語解説」「図面」「参考文献」



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

私自身の評価としては、★★★★(四つ星)なのだが、マニアック過ぎて、決して「お勧め」ではないので、「二つ星」とした。

時代・地域が広範で、膨大な写真には圧倒される。戯れに、気まぐれに写真を撮るだけの私とはレベルが違いすぎる。脱帽だ。

良く見かける東京都下水道局の蓋の中心部は、下という字と、水のパターン化になっていると教えられた。まだまだ勉強不足と諭された。ちなみに、横浜市には下水道局はない。環境創造局というのだ。これってどうなの?

冒頭に、美空ひばりのヒット曲「東京キッド」の「もぐりたくなりゃ マンホール」歌詞がある。今こそマンホールは目立たず、ただ人に踏みつけられるだけの存在だが、この歌の昭和25年には歌に歌われるほどの晴れやかな表の存在(?)だったのだ。



林丈二(はやし・じょうじ)
1947年東京都練馬区生まれ。イラストレーター、エッセイスト。
武蔵野美術大学産業デザイン科卒業後、サンリオ勤務。退社後フリー。
調査マニアで、穴開きブロックのパターン調べ、都内各駅切符のパンチ屑収集など、とくにマンホールの蓋研究が話題を呼んだ。路上観察学会の一員。
1984年、本書『マンホールのふた(日本篇)』
1986年『マンホールの蓋(ヨーロッパ篇)』、発起人の一人として路上観察学会創立
その他、『目玉の散歩ノート』、『街を転がる目 玉のように』、『路上探偵事務所』、『イタリア歩けば』、『がらくた道楽』、『猫はどこ?』、『型録・ちょっと昔の生活雑貨』、『西洋アンティーク 絵葉書』など


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綺麗な訪問者

2013年08月12日 | 日記
ふとベランダを見ると何かが



近くで見ると、美しい。でも蝶ではなく、蛾だろう。



ちょっと目を離したら、もうどこかに飛んで行ってしまっていた。
付かぬ間の美しい訪問者。

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『京のおもしろウオッチング』を読む

2013年08月11日 | 読書2
京都新聞出版センター編『京のおもしろウオッチング』(2008年2月京都新聞出版センター発行)を読んだ。

見慣れた風景の中から、ある日突然、あぶり出しのように浮かび上がってくる不思議なモノたち。理屈抜きで、ただ「ほぉー!?」と、感嘆の吐息をもらす。「ほぉー!?」の宝庫の京都を、デジカメ片手に探検。
社寺、叫ぶ木霊、街、町家、看板、建物、番外の湖国と7つのジャンルに分けて、文章と写真で紹介。

写真なしに、つたない文で内容を紹介しても致し方ないが、一応。

鳥居の下の道路に小さな鳥居が置いてある。車止めだ(上賀茂神社の写真)。
犬のトイレ防止のため、鳥居の中に「神」と描いた絵を張り付けている(街路樹の根元の写真)。
長く続く塀に10個以上の小さい鳥居を張り付けている(老舗旅館の塀の写真)。
(調べてみると、江戸時代から「犬の外此所小便無用」と書いた紙や、「鳥居の印」を付けたりしていたという。)

じゅずは普通は「数珠」と書くが、京都では「珠数」が一般的で地名、看板にも「珠数」が使われている。

「桃山町永井久太郎」という町名がある。

京都新聞朝刊の折込み情報紙「週刊テレビ京都」に連載の「ほぉー!?」を再編集、追加取材した。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

「ほぉー!?」と思う写真も散見し、確かに歴史ある京都には数奇なものが多いと思う。赤瀬川原平などの「路上観察学会」のトマソン物件とほぼ同様なものが並ぶ。個人的には興味あるのだが、写真主体で143頁。一度眺めて、もう一度パラパラ見れば、それで終わりだ。


狛犬百面百相が16頁で長すぎると思うが、これもわざわざ狛犬のホームページなど作っている人には面白いのだろう。仁丹による町名表示板も6頁必要とは思えないが、世の中には好きな人もいるだろう。マンホールの蓋も11頁あるが、これも物好きがいるかもしれない。所詮、一般向けではなく、マニアックな本だ。


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吉田研作『外国人とわかりあう英語』を読む

2013年08月08日 | 読書2

吉田研作著『外国人とわかりあう英語 異文化の壁をこえて』(ちくま新書038、1995年7月筑摩書房発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。
英語がいくら流暢に話せても、外国人との間で勘違いや誤解、行き違いはなくならない! 別の社会で暮らし、異なる文化をもつ人どうしが本当に理解しあうためには、学校で教わる外国語の文法や知識だけでは歯が立たない。異文化コミュニケーションとはどのようなものか、どうすればその調整能力をみにつけることができるのかを、応用言語学のエキスパートが体系的に紹介する。


英語が喋れても、文化、習慣の違いが判らなければ、頓珍漢(古っ!)なことになってしまうという例がいつくか挙げられる。

話し手と聞き手のスキーマ(普遍的価値観&文化的価値観&個人的要因)の違いが、異文化間コミュニケーションを妨げるというスキーマ理論なるものが、解説される。

レストランで食事をする時の手順、ホテル予約手順などステレオタイプ化されたその国の社会的スクリプトがあり、ある程度、学習することができる。
このスクリプトなどの状況を正しく理解しているが、使うべき言語表現を間違えた場合を「言語語用論的誤り」といい、状況事態を理解できず、深層の誤解に基づく誤りを「社会語用論的誤り」という。

「モノリンガル・レベル」とは、日本的レベルでアメリカ人の言動のすべてを考えたり、西洋的スキーマで日本人を判断したりするレベル。
「インターカルチュラル・レベル」とは、文化と文化の関係について客観的に知識として知っているレベル。
「超文化的レベル」とは、個々の文化の中にとどまらず、それを超えた普遍的スキーマを活性化して、異文化コミュニケーションを調整するレベル。

異文化理解とは相互的なものであり、「異文化間調整能力」が必要で、文化の違いを超えて、「普遍的スキーマ」(例えば思いやり)を活性化させることが必要。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

何か、もっとなるほどと思うことを言い出すのかと思うと、最後まで常識的な話で終始する。
わざわざスキーマ理論なるものを持ち出さなくても、分かることをあまり意味のない図を書いて説明している。



アメリカ人はトイレのドアが閉まっていれば誰かが入っているというスキーマがあるという。アメリカの一般家庭では、誰も使っていないトイレのドアは開けておくのが常識だそうだ。私は、ドアというものは閉めておくのが通常状態だと家中のドアを(それ程ないが)閉めて歩いていたのだが。そもそもトイレのドアを開けておくのには抵抗がある。そう言えば、欧米のトイレの下側は空いているし、女の子など座りながら隣と話すこともあるらしい。



吉田研作(よしだ・けんさく)
1948年京都生まれ。上智大学修士課程修了。ミシガン大学博士課程修了。
上智大学外国語学部教授、上智大学国際言語情報研究所所長。
専門は、応用言語学。NHKTV「英会話Ⅰ」の監修、講師など。文部科学省の「英語が使える日本人」の育成プロジェクトに関与。
著書は「外国人と分かり合う英語--異文化の壁を越えて」(筑摩書房)など。



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「コンサート・自由な風の歌」を聴く

2013年08月05日 | 趣味
このコンサートは、卒業式などで国家斉唱のとき起立しなかったり、ピアノの伴奏をしなかったため処分された教職員の裁判を支援するために行われている。一部は、東日本大震災で被災した子ども達への支援にも使われる。
このコンサートは毎年開かれていて、私は2009年から連続5回参加だ。


チェロの深い音は心を静かにさせるし、激しいピアノの音はわずかに残る情熱を呼び起こし、軽やかなヴァイオリンは身体を震わせる、震える?。
懐かしのフォークも、ビートルズも良いが、たまにはクラシックも聴かなければと思った。

純粋に音だけを聴くならジャズも良い。来週は、猛烈にスイングするという二見勇気の渡米直前ライブ(13日(火)Tokyo Tuc)を聴きに行こう。そういえば、私が最初に買ったレコードはオスカー・ピーターソンだった。



そうそう、今回のコンサートで、バラの花言葉、愛だの情熱だのが紹介されたが「小輪の黄色バラ」の花言葉は、なんと、「笑って別れましょう」だそうだ。バラの花束をもらったら、良く確かめないと。もらうことないか。



プログラム
第1部
1. アヴェ・マリア?J.S.バッハ/C.グノー  チェロ・三宅進、ピアノ・崔善愛(チェ・ソンエ)
2. 無伴奏チェロ組曲-G.カサド  チェロ・三宅進
3. 歌4曲  バリトン・飯村孝夫、ピアノ・崔善愛
4. ピアノ五重奏曲より第1楽章-J.ブラームス ピアノ・崔善愛、ヴァイオリン・竹原奈津・戸島さや野、ビオラ・大島享、チェロ・三宅進

休憩

5. ラッキードラゴン・クインテット-林光 ヴァイオリン・戸島さや野・竹原奈津、ビオラ・大島享、チェロ・三宅進、ピアノ・崔善愛
6. ピアノ協奏曲第1番より第2楽章-F.ショパン/B.コミネーク編曲 ピアノ・崔善愛、ヴァイオリン・竹原奈津・戸島さや野、ビオラ・大島享、チェロ・三宅進
7. 歌5曲 自由な風の歌合唱団 指揮・飯村孝夫、ピアノ・崔善愛、チェロ・三宅進

ラッキードラゴン・クインテットは、1954年ビキニ環礁でアメリカの水爆実験により被爆した第五福竜丸をテーマに林光さんが作曲した。新藤兼人監督の映画「第五福竜丸」の音楽が第1部で、約50年後に廃船となって東京へ曳航される第2部「曳航」を創り、3年後「調和の海へ」を創った。

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香山リカ『できることを少しずつ』を読む

2013年08月02日 | 読書2

香山リカ著『できることを少しずつ 香山リカの目』(2013年3月毎日新聞社発行)を読んだ。

毎日新聞連載のコラム「ココロの万華鏡」などから集めたエッセイ集。各章は、「震災後のこの国を生きる」「苅部直との対談」「あなただけじゃない」「診察室から眺めてみれば」「『いま』に向き合う」「本からみる 本から学ぶ」「問題の根は深い」

心が折れそうになるなど、悲嘆にある人のケアであるグリーフ・ケアの第一歩は、
「元気出してね」もいいけれど、ときには「元気じゃなくてもいいよ」と言ってみる。自分でも「今日は元気じゃないんだよね」と素直に言える。

抗うつ剤など出しながら、「この人にとって必要なのは、十分な時間をかけてゆっくり悲しむことなのではないか」とも思ってしまうのだ。

親子問題をいつまでも引きずる人が目立つ。
診察室でも、「80代の親への不満、怒りを訴える60代」に会う機会はめずらしくない。・・・あるとき、気づいた。「この人は、親を責めたいのではなくて、親に甘えたいのではないだろうか・・・」


ナチ政権下では、ユダヤ人だけではなく、T4作戦と称し、
精神障害者、知的障害者は・・・ガス室で命を奪われた。その数7万人。さらに・・・食料制限などほかの手段で結果的には犠牲となった精神障害者は20万人とも27万人とも言われる。

これに、多くの精神科医が協力した。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

香山さんの次々と出る本の中では、共感できる部分が多かった。新聞連載物中心の編集だからだろう、今話題の特定テーマについて次々論じるわけでなく、心の痛みについて、柔らかに触れる話が多い。

安倍氏自身(晋三)がフェイスブックに書き込んだ。
「NHKのコメンテーターレベルお粗末すぎ。M氏といいF氏(実際は実名)といい今まで言ってきた事もう一度検証したら恥ずかしくて人前にでれないでしょう。この前フジテレビで完全論破しましたが、恥を知れといいたいですね。香山リカしは論外」

私には、ことに正否、是非は分からないのですが、安倍さん、品がないですね。らぬき言葉を使うのもそうですが、「完全論破しましたが」って、得意がるところも、レベルが低すぎます。もっと根本的問題としては、実名を出すなら、直接本人に反論すればよいものを、ネットでさらしにかけるなんて、卑怯者のすることです。こんな人が日本の首相とは、情けない。その人を選ぶ国民も情けない。

それにしても、精神科医はコメンテーターに適している。たとえどんな問題が起こっても、人の精神に係わらない事柄はないのだから。もちろん才能があるからではありますが、著書を量産できるわけですね。半分ばかにしながら、読むほうも読む方ですが。



香山リカは、1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。学生時代から雑誌などに寄稿。その後も、臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍。本名中塚尚子で、パートナーはプロレスジャーナリスト(現在ほとんど主夫?)の斎藤文彦らしい。
おとなの男の心理学』『<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』『雅子さまと新型うつ』『女はみんな『うつ』になる』『精神科医ですがわりと人間が苦手です』『親子という病』『弱い自分を好きになる本』『いまどきの常識』『しがみつかない生き方』『だましだまし生きるのも悪くない』『人生の法則』『若者のホンネ




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