hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

11月の花

2017年11月30日 | リタイヤ生活

11月12日の花

11月25日

 3日後

 

昨年の11月13日

 


 

 

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三浦しをん『光』を読む

2017年11月28日 | 読書2

 

 三浦しをん著『光』(集英社文庫み48-1、2013年10月25日発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

島で暮らす中学生の信之は、同級生の実花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と実花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は実花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、実花を再び守ろうとするが――。渾身の長編小説。

 

 映画『光』として、監督・脚本・大森立嗣、井浦新、瑛太、長谷川京子で2017年11月25日から公開。

 伊豆七島の椿が美しい小さな美浜島を津波が襲い、生き残ったのは僅かに6人だけだった。中学生の黒川信之、同級生で美人の中井美花と、父親から虐待を受けている輔(たすく)、そして輔の父・洋一、灯台守のじいさん、バンガローの客でカメラマンの中山だ。
 

 その夜、信之は美花が山中に乱暴されているのを見つける。美花の口が「殺して」と言うのを見て、信之は山中を絞め殺す。20年後、輔は、父の暴力から逃れるため、妻と娘のいる信之の山中殺害をネタに脅す。

 

初出:「小説すばる」2006年11月号~2007年7月号、2007年9月号~12月号

単行本:2008年11月集英社より刊

(連載時と単行本でラストが全く違うという。)

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 全編暗いトーンで、ユーモアもなく、私の好みではない。巻末・解説の吉田篤弘氏も「素晴らしく容赦がないなぁ」と、そして読書会で三浦しをんさんが「本当におそろしいものは、私たちの中にあるのではないでしょうか」と言ったというが、こんな小説を読みたい人はいるのだろうか。

 

 美人の実花が冷たい心なのはいかにもありなんだが、信之に感情がないように見えるのはピントこない。

 

 2006年~2007年に書かれているのだが、どうしても凄まじい2011年の東日本大震災での津波を思い出してしまい、小さな島がほぼ全島全滅のシーンには気分が滅入る。

 

 三人称で書かれていて、ちょっと突き放した感じで書きたいときには良いというのだが。

 

三浦しをんの略歴と既読本リスト

 

 

 

登場人物

黒川信之:美浜島の生き残り。のちに川崎市役所勤務。南海子と結婚。

中井美花:美浜島の生き残り。信之の同級生、美人。後の女優・篠浦未喜。

黒川輔(たすく)美浜島の生き残り。父親から虐待されていた。金属加工工場勤務。

結子:金属加工工場の事務員。輔と同棲。

黒川洋一:美浜島の生き残り。輔の父。大酒のみ。

灯台守のじいさん:美浜島の生き残り。

中山:バンガローの客。津波を生き残ったが、実花を襲って殺された。

 

南海子(なみこ)信之の妻、娘は椿

山内:南海子の隣人

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イルキャンティでランチ

2017年11月26日 | 食べ物

 

 末広通りを入ってすぐ右側のイタリア食堂イルキャンティ iL CHIANTI 吉祥寺店でランチした。

 店内の雰囲気は、若い人達が夜にコストパフォーマンス良いワインを楽しく飲む場所といったところ。イタリアの大衆食堂といったところだ(行ったことないでど)。


 私が選んだのは「本日のスペシャルパスタランチ」750円
本日のパスタ、サラダ、カップスープ、バケット、ドリンクだ。

まず、スープ

サラダ

パスタ

相方は、スープとサラダと
日替わりランチ(ワンプレートで、鶏肉)750円

私はデザートを150円で追加した。
名前は違ったが要するにババロアなのだが、写真撮り忘れ。


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富士山+α

2017年11月24日 | リタイヤ生活

 

 4月には真白だった富士山が、

 11月になって再び我が家のベランダからも雪化粧して見えるようになった。

 ここで、まったく関係ないが、ピラカンサの写真を。

 横須賀に居た時、庭のピラカンサの実をヒヨドリがほとんど食べてしまっていた。2羽で来て、一羽が警戒していて、もう一羽がつまむのに専念するのだ。

 近所の道路際にあるピラカンサはたわわに実っていた。車が頻繁に通るので、鳥も食べないのだろう。

 生垣もピラカンサで一杯。

 民家の庭の覆いかぶさるピラカンサ。ここにはヒヨドリはいないのか?

 さらにまったく関係ないが花の写真を。これがダリアだというのだが。


 

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ロマネスコを食べる

2017年11月22日 | 食べ物

 

 変わったものが食べてみたい私は、値段も気にせずに何かを見つけてこっそりと籠にいれて、レジで相方にいつも嫌な顔をされる。

 最近、スーパーなどでときどき見かける野菜があり、頼まれた買物の御駄賃として、解き放たれた私は、ロマネスコなる野菜を買ってしまった。200いくらかだったはず。

 

 

「ロマネスコ」という名前は、ローマのブロッコリーの意味だそうだ。ブロッコリーとカリフラワーの中間種らしい。

 

 葉を落とすと、こんなになり、

 

 

 別の所では、「サンゴ カリフラワー」と名付けられていた。

 

 炒め物、サラダ、シチュー、フライ、天ぷら、何でもござれと宣伝されていた。

 茹でて食べたが、食感(かたさ)はカリフラワーに近い。味はブロッコリーに近いというのだが??

 食べ納めになるのかな?

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ヴィッラ・マニョーリアでランチ

2017年11月20日 | グルメ

 

 先日、丸井裏とドン・キホーテ裏の間あたり、井の頭通りの一本南側の通りにあるブーランジェリー・ビストロ・エペ/Boulangerie Bistro EPEEに行ったが、 満員だった。

 そこで、同じ建物の隣りにある階段を登り、イタリアの郷土料理の店、ヴィッラ・マニョーリアでランチした。

 祝日で満員だったが、たまたま席が空いてもぐり込めた。土日祝日はランチでも予約が必要だそうだ。

 

 マニョーリアとは、コブシの木のことで、そういえば井之頭公園にも何本かあり、武蔵野市の市木になっている。
 店内は、新し気なロフト風?で、ゆったりとテーブルが並べられている。

 

頼んだのはAランチコース(税込2,160円)。

 

 まずは、いろいろ複雑なとろりとしたスープ。

 

 

次が前菜盛合せで、私は黒い石の皿

 

 

相方はガラスの皿

 

 

中味の説明は・・・・・・忘れた。 イタリアの○○地方の△△とか語ってた。

 

パン(自家製フォカッチャ)に続き、

私のパスタはカキのクリームソース“スパゲッティー”。大きなカキがいっぱい入っていて、TVでのタレントなら目玉を向いておいしい!!と叫ぶだろう。

 

 

 相方のパスタはマッシュルームのラグーソース“ウンブリチェッリ”。すごく美味とのこと。見ている私は、芋虫みたい(失礼)と思ったのだが。

 

 

デザートに、

 

 

 エスプレッソと紅茶で美味しくいただきました。

 

 母親が話に夢中で退屈してテーブルの周りをチョロチョロしていた女の子が隣にいたので、席に座ったままでイナイイナイバー遊びをして楽しんだ。でも、「おじょうちゃん! 知らないおじさんと遊んではいけませんよ」

 

 若い人向きの店のような気がするが、こだわりのありそうな良い店だ。

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カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』を読む

2017年11月18日 | 読書2

 

 カルロ・ロヴェッリ著、竹内薫監修、栗原俊英訳『すごい物理学講義』(2017年5月20日河出書房新社発行)を読んだ。

 

 原題の日本語訳は「現実は目に映る姿とは異なる」(この題名もひどい)で、2014年にイタリアで刊行された。

 

 

 以下、雰囲気だけ。

 

 「超ひも理論」が描く世界が「連続的」であるのに対し、「ループ理論」が描く世界は「離散的(粒状)」である。

 

 相互作用を与え合っていないとき、電子はどこにも存在しない。事物が存在するのは、ある相互作用から別の相互作用へ跳躍するときだけである。量子論は、ある物理的な系でなにが起きているかではなく、ある物理的な系が別の物理的な系にどのような影響を与えているかのみを描写する。(p138)

 

 ループ量子重力理論は、一般相対性理論と量子力学を、細心の注意を払いつつ結びつけようとする試みである。

 

 物理的空間も、場である以上は、量子からできている。量子重力場(つまり空間)もまた、ほかの量子場を特徴づけているのと同じ粒状構造によって特徴づけられる。「空間の量子」が存在するという予測を立てることができる。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 この本は、超ひも理論と並んで本命視されている「ループ量子重力理論」を解説する貴重な本と聞いて読んでみたのだが、ギリシャ哲学の話、物理の歴史などそれ以外の話が多く、私には冗長だった。また、数式をほとんど使わない説明はかえって難しかった。

 

 ループ理論では物質も空間も、時間さえもが「粒」であると考えるからと言って、すべては「粒」からできていると言ったデモクリトスの話を延々とする必要があるのか。アインシュタインの「三次元球面」がダンテ「神曲」の描く宇宙像に一致している(第3章)は、私には両者ともチンプンカンプンで、読み飛ばす以外なかった。

 

 

カルロ・ロヴェッリ Carlo Rovelli
1956年、イタリアのヴェローナ生まれ。ボローニャ大学で物理学を専攻、パドヴァ大学の大学院に進む。その後、ローマ大学や米国のイェール大学、イタリアのトレント大学などを経て、米国のピッツバーグ大学で教鞭をとる。現在は、フランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いている。

専門は《ループ量子重力理論》で、この分野の第一人者。理論物理学の最先端を行くと同時に、科学史や哲学にも詳しく、複雑な理論をわかりやすく解説するセンスには定評がある。本書は「メルク・セローノ文学賞」「ガリレオ文学賞」を受賞して一躍脚光を浴び、その1年後に『世の中ががらりと変わって見える物理の本』(小社)を一般向けに刊行してベストセラーとなった。

 

竹内薫 (たけうち・かおる)

1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科、マギル大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。長年、サイエンス作家として科学の面白さを伝え続ける。NHK「サイエンスZERO」の司会など。

栗原俊秀 (くりはら・としひで)

1983年生まれ。翻訳家。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科を経て、カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒業。アバーテ『偉大なる時のモザイク』で第2回須賀敦子翻訳賞を受賞。

 

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『改正著作権法がよくわかる本』を読む

2017年11月16日 | 読書2

 

 監修加藤晋介、編著コンデックス情報研究所『改正著作権法がよくわかる本』(2017年9月20日成美堂出版発行)を読んだ。

 

 著作権の概要は承知しているが、その復習と、TPP関連での改正点(このまま決まるとは思えないのだが)を知るために読んだ。

 

 

第1章     著作権法って何だろう?

 著作権:著作財産権と著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)がある。

 共同著作物:各人の寄与を分離して個別的に利用することができない著作物。利用許諾、著作権譲渡には共有者全員の合意が必要

 

第2章 著作者にはどんな権利があるの?

 

第3章 著作権はいつ発生していつ消滅するの?

 著作権保護期間は従来の著者死亡後50年から70年に延期された。(TPP協定締結による)

 期間の計算:死亡・公表・創作した日が属する年の翌年の1月1日から起算する。

 

第4章 無断で著作物を利用できることもある?
写真等の撮影、録画、録音の際に写り込んだり収録されたりした「付随対象著作物」は、「分離困難性」、「軽微性」、「著作権者の利益を害しない」場合に限り、利用することを認めている。

 

第5章 著作物を世に広める人にも権利が与えられる?
出版契約で定めなかった場合は、出版権は最初の出版から3年経過した日に消滅する。

 

第6章 著作権が侵害されたら?
著作権侵害の基準は、依拠性、類似性、無権原である。

依拠性は、新たな著作物が既存の著作物を「拠り所にした」、「参考にした」と言える場合に限る。

類似性は、本質的特徴を直接感得できることをいう。

無権原とは、利用者に正当な権原(けんげん、法律上の原因)がない場合に限る。

 

 アクセスコントロールを権原なく回避する行為(例えばコピープロテクトを外す)を、著作権等を侵害する行為とみなすこととした。(TPP協定締結による)

 

 配信音源(インターネット配信)の二次使用にも報酬請求権が発生するようになった。(TPP協定締結による)

 

 著作権侵害は、従来は親告罪(告訴がなければ起訴できない)であったが、条件を満たす場合は非親告罪となり、摘発できることとなった。(TPP協定締結による)

 

巻末資料 著作権法条文集

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 図が多く、分かりやすいことは分かりやすいのだが、肝心のTPP関連が締結できるかどうかが不明だ。著作権関連は米国のごりおし項目なので、米国を除いた国々で凍結項目になった(と思う)ので、今後、国内法でどうなるのだろうか。

 

 

加藤/晋介
1979年司法試験合格、1980年東京大学法学部卒業。1982年弁護士登録。

1984年辰已法律事務所開設。専修大学エクステンションセンター非常勤講師

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須田桃子『捏造の科学者』を読む

2017年11月14日 | 読書2

 

 須田桃子著『捏造の科学者 STAP細胞事件』(2014年12月30日文藝春秋発行)を読んだ。

 

 表紙裏にはこうある。

このままの幕引きは科学ジャーナリズムの敗北だ

「須田さんの場合は絶対に来るべきです」
はじまりは、生命科学の権威、笹井氏からの一通のメールだった。
ノーベル賞を受賞したiPS細胞を超える発見と喧伝する
理研の記者会見に登壇したのは、若き女性科学者、小保方晴子。
発見の興奮とフィーバーに酔っていた取材班に、疑問がひとつまたひとつ増えていく。
「科学史に残るスキャンダルになる」
STAP細胞報道をリードし続けた毎日新聞科学環境部。
その中心となった女性科学記者が、書き下ろす。

 

 第46回大宅壮一ノンフィクション賞(書籍部門)を受賞。

 

 ノーベル賞級とも言われるSTAP細胞発見が小保方氏による華やかな記者会見で発表され、マスコミのフィーバーが起こり,すぐに論文のボロが次々と指摘され、やがてSTAP細胞はできていなかったとされた。

 本書は、この経過をマスコミの中で先頭を切った毎日新聞の須田桃子記者が、取材や研究当事者とのメールなどで綴ったマスコミの視点から記録で、STAP細胞は小保方氏をはじめとする研究者達の悪意ある捏造だと決めつけている。

  

 誰が、どこで不正をしたのかという不正追及より、本当にSTAP細胞は無いのかという検証を優先する理研の進め方に須田さんは異議を唱える。

・・・科学は長年、論文と言う形式で成果を発表し合い、検証し合うことで発展してきた。・・・研究機関自らが、社会の関心のみに配慮して論文自体の不正の調査を軽視し、先送りにした事は、科学の営みのあり方を否定する行為ともいえよう。理研の対応は、科学者コミュニティを心底失望させ、結果的に問題の長期化も招いた。・・・

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

 著者・須田記者は、多くのマスコミと同様に、真実の追求よりも、他社に先駆けてスクープを得ることを優先する。ネットニュース華やかな現在でも一日一回発行の新聞が、正確さ、ち密さよりも早さを競ってどうするのか。

 

 すでに、小保方さんのいい加減な実験・論文は明らかになり、STAP細胞はおおよそ否定されているのに、重箱の隅をつつく細かな矛盾、間違いに固執し、負け戦の研究者に執拗にメールして迫る。追い込まれた相手の立場は無視し、真実の追及、正義の味方とばかり容赦はしない。

 笹井氏の遺書には「マスコミ等からの不当なバッシングに疲れ切ってしまった」とい書かれていたが、須田氏は軽くパスして、理研本部の責任を追及する(p. 348)。

 小保方氏も、マスコミからひどいバッシングを受けたと「あの日」に書いているが、この本では、自己弁護もなく、この件にまったく触れていない。言い訳くらいして欲しかった。

 

 

 私は理研はマスコミとの窓口を広報に一本化すべきだったと思う。個々の研究者がマスコミ対応で振り回されるなんておかしい。笹井氏から須田記者へのメールは約40通にも上ったという。他社も入れると一体毎日何通のメール送受があったのだろうか。その多くは詰問調だろうから、こんなことやっていたら、研究・管理ができないし、おかしくもなろう。

 故人となった笹井氏のメール公表の許可を得ているのだろうか?

 

 あとがきで著者は、

関係者への「オフレコ」取材については、その時点での約束は必ず守ってきたものの、その後の本人の公の発言や各機関の調査報告書などで公知の事実となった内容も多い。すでに伏せておく理由がなくなり、かつ問題の全体像や本質に迫るうえで重要だと考えられる内容については、慎重に吟味した上で本書に盛り込んだことを記しておく。

 オフレコの約束を破るのは、慎重に(??)吟味して、自分の判断だけで行ったと公言している。内容がたとえ公知であっても、そのタイミングで、その人が言ったということは、本人に了解を得なければオフレコにすべきだ。

 

 

 12月の理研調査委の結論が出る前になぜ本書が出版されたのか、なぜあと1カ月程待てなかったのか。大宅賞受賞のぎりぎりのタイミングで、年末出版したのだろう。発売元も毎日新聞でなく、大宅賞運営の文藝春秋で、出来レースくさい。

  

須田桃子(すだ・ももこ)

1975年千葉県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了(物理学専攻)。

2001年毎日新聞社入社。

2006年、東京本社科学環境部、2011~13年、大阪本社科学環境部。

2013年から再び東京本社科学環境部。生命科学、再生医療、生殖補助医療、ノーベル賞などを担当。特にiPS細胞(人工多能性幹細胞)については06年の開発発表当初から12年の山中伸弥・京都大学教授のノーベル賞受賞を経て現在まで継続的に取材してきた。

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瀬戸内寂聴『美は乱調にあり』を読む

2017年11月12日 | 読書2

 

瀬戸内寂聴著『美は乱調にあり』(2010年5月15日角川学芸出版発行)を読んだ。

 

 ダダイスト辻潤に続き、アナーキスト大杉栄という怪物二人と暮らし、子供を7人も産み、嫉妬に狂った神近市子が大杉を刺した日蔭茶屋事件を引き起こし、大杉と共に28歳で甘粕大尉に虐殺された伊藤野枝の突き抜けた生涯を描いた評伝。

 瀬戸内寂聴の代表作で、世に伊藤野枝を再び知らしめた伝記小説の傑作。


「青鞜」を興し、「若い燕」奥村博史との恋を公開した平塚らいてう、らいてうに同性愛を抱く尾竹一枝(紅吉べによし)、堅実な保持研子(やすもち・よしこ)、小林清親の娘・小林哥津(かつ)、岩野泡明の妻・岩野清子など多士済々な当時の新しい女たち、そのまっすぐな愛、闘い、熱き直球人生が、伊藤野枝の周辺を飾り立てる。

 

 元々は瀬戸内寂聴(当時は晴美)が43歳のときに文藝春秋に連載した作品だ。88歳で書いたこの本のあとがきによれば、当時は伊藤野枝の名は一般にはすっかり忘れ去られていたという。瀬戸内さんがエロ作家として葬り去られようとしたこのとき、女性初の職業作家で、毀誉褒貶がある田村俊子の評伝を書いた。そして、「青鞜」を、さらに伊藤野枝を知った。この作品は瀬戸内さんがもっとも好きな作品の一つだと言い、実際代表作の一つになっている。

 

 タイトルは、大杉栄の言葉「美はただ乱調にある。諧調は偽りである。」から。15年後に続編 『諧調は偽りなり』 を書いている。 書・装丁は藤原新也。

 

 初出は「文藝春秋」1965年4月号~12月号連載。1969年の角川文庫を新装版で復刊。あとがきは書下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 評伝と銘打っているように、詳細に調べた事実に基づいて書かれたドキュメンタリーだが、登場人物の感情などの記述も多く、その表現の多くは、作家の創作だろう。

 

 田舎者丸出しで、エネルギッシュな野枝と貴族的な平塚らいてうが対極的でありながら、互いを認め合い、やがて距離を置くようになる姿が面白い。

 それにしても、ルールを破ろうとする革命家の恋愛は、移ろいやすく、裏切りに満ち、破滅的で、品の悪いマスコミの絶好の餌だ。

 

 

瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)

1922(大正11)年徳島生まれ。東京女子大学卒。

1973年平泉中尊寺で得度。

1998年『源氏物語』(全10巻)の現代語訳を完訳。

2006年文化勲章を受章。

著書に『美は乱調にあり』『青鞜』『諧調は偽りなり』『手毬』『釈迦』『秘花』『奇縁まんだら』など多数。

受賞歴は、新潮同人雑誌賞、田村俊子賞、女流文学賞、谷崎潤一郎賞、野間文学賞、泉鏡花文学賞など。

 

 

以下、目を引いた記述

 

 とにかく、字を読むことが、何より好きな子どもだったんです。もうその頃から、きらいなことは一切しようとしない子で、自分のことしか考えちゃあいませんでしたよ。

 

 大杉があの大きな躰をおりまげて、井戸端で赤ん坊のおしめを洗っていた姿を、今でも覚えておりますよ。大杉が来ると、そういうことは小まめにやって、姉の下のものでも何でも洗ってやっておりました。

 

 姉はそんなお巡りさんをしまいにはみんな手なづけてしまって、使い走りをさせたり、子供のお守りをさせたりするんです。荷物なんか、いつでも駅から尾行に持たせてやってきましたよ。(長女魔子の話)

 

 当時の津田英語塾は青鞜講演会に生徒がいったということを聞いた女教師が、いきなり教壇にひざまづき、「おおお、神さま、哀れな彼女を悪魔のいざないから救わせ給え」と祈るような雰囲気だった。

 

 明子が博史に覚悟を促した手紙。これを青鞜に公開した。

一. 今後ふたりの愛の上にどれほどの困難や面倒なことが起ころうとも、あなたは私と一緒によく堪えるか。・・・

二. もし私があなたに結婚を要求するものと仮定したら、あなたはこれに何と答えるか。

三. もし私が最後まで結婚を望まず、みしろ結婚による男女関係(ことに今日の制度としての)を憎むものとすれば、あなたはこれに対してどういう態度をとられるか。

四. もし私があなたに対して結婚はしないが同棲生活を望むものとすればあなたはどうされるか。

五. もし私が結婚も同棲も望まず、最後まで別居してふたりで適当の昼と夜をもつことを望むとすればあなたはどうされるか

六. ~八. 略

 

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小林雅一『AIの衝撃』を読む

2017年11月10日 | 読書2

 

 小林雅一著『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』(講談社現代新書2307、2015年3月20日講談社発行)を読んだ。

 

 デープラーニング(深層学習)を中心とする最近のAIの技術・応用解説がメインで、簡単なAIの歴史、将来課題などが加わる。

 

第1章 最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧――機械学習の光と陰

 ディープラーニング、ビックデータ、自動運転など最近のAI関連の話題と、AI脅威論の紹介


第2章 脳科学とコンピュータの融合から何が生まれるのか――AIの技術と歴史

 人工知能のブームが終わり、確率論的アプローチ、コンピュータ能力の増大、脳科学の発展により、ニューラルネットを見直して、現在のディープラーニング・ブームへ至る。


第3章 日本の全産業がグーグルに支配される日――2045年「日本衰退」の危機
 DARPAによる災害救助ロボットなど新しいロボットの紹介と、家庭用サービスロボットによる家庭内情報の吸い上げの危機。

 

第4章 人間の存在価値が問われる時代――将棋電王戦と「インダストリー4.0」

 将棋電王戦のでのコンピュータの勝利、インダストリー4.0で変わる技術。人工知能は人間を超えていくか?それで良いのか、危機ではないのか?

 

 

 1940~50年代に研究が始まったニューラルネットは、実際には「脳科学」より「数学の産物」だった。2006年、脳科学の研究成果がAI開発に本格的に応用され、「ディープラーニング」開発が進み、音声や画像のパターン認識能力が飛躍的に進んだ。今、自然言語処理、ロボット工学への応用が期待されている。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 将棋ソフトなどで話題のデープラーニング(深層学習)が今までのAIと、おおよそ何が違うのかを要領よく知りたい、あるいは知った気になりたい人にはお勧めだ。しかし、それだけなら、もっともっと簡単に書けるはずで、その他、AIの歴史、新しいロボットの動向、将来のAIは危険か、などにも力を入れているため、たびたび同じ説明が各所で繰り返すことになってしまっている。

 

 

 

小林雅一(こばやし・まさかず)
1963年、群馬県生まれ。KDDI総研リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。

東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。

著書に『グローバル・メディア産業の未来図』(光文社新書)、『クラウドからAIへ』『ウェブ進化 最終形』(いずれも朝日新書)、『日本企業復活へのHTML5戦略』(光文社)ほか多数。

 

 

以下メモ。

 

 

 ディープマインド社は、ディープラーニング(深層学習)技術技術を使って、コンピュータが初歩的ビデオ・ゲームのコンピュータ画面に表示される「ポイント」を知ることで、ゲームのルールや遊び方を自分で学習し、最強になる「強化学習」AIプログラムを開発した。上手くできたら褒め、失敗したら叱ることでコンピュータが進化する。

 

 機械学習:コンピュータが、実社会やウエブ上に存在する大量のデータを解析し、そこからビジネスに役立つ何らかのパターンを抽出する技術。

 線形回帰分析等による機械学習では、モデルと現実世界のデータとのズレを表現するコスト関数を最小の値に収束させる。

 

 ベイズ確率とは、最初は適当に事前確率を決めて、そこに実験や測定の結果を反映させて、事後確率を求め、繰り返して徐々に確率を改良していく方法だ。これを利用して「ベイズ理論」と総称される統計・確率的AIの理論体系が確立された。

 ベイズ定理とは、音声認識に使われる「隠れマルコフ・モデル」あるいは自動運転の基本原理「カルマン・フィルター」

 

 自動運転は、GPS、ミリ波レーダー、ビデオカメラ、レーザー・レンジ・ファインダーなどのセンサーからの情報をAI情報処理する。AIは、現在地の確認は「モンテカルロ・ローカライザーション」で、周囲の移動体の把握は「カルマン・フィルタ」で行う。

 周囲の移動体のデータを正規分布曲線で推定し、再度計測した結果を使ってベイズ定理で計算し、それを繰り返し、精度の高い確率に改良する。これがカルマン・フィルタ。

 

 SVM(サポート・ベクター・マシン)は、集合Aと集合Bを分離する直線(境界線)と各々の集合との距離(マージン)を最大化することによってデータを誤って分類することを避ける技法。また、「カーネル化」と呼ばれる座標変換のテクニックによって、集合Aと集合Bの分離境界線として、直線だけでなくくねくねと折れ曲がった曲線も使えるようになった。

 

 たった一つの学習理論(One Learning Theory)脳の研究により、視覚野、聴覚野、体性感覚野など脳の各領域は、個別の認知機構ではなく、統一的なメカニズムに従って動作しているとわかった。

 

  ディープラーニングの最大の長所は、「特徴量(特徴ベクトル)」と呼ばれる変数を人間から教わることなく、システム自身が自力で発見する能力(スパース・コーディング)にある。

 

 グーグル、アップル、アマゾンなど主力IT企業は、クラウド型AIの次世代ロボットを使ってビッグデータの収集が目的だ。

 

 カナダ在住の化学者・保木邦仁(ほき・くにひと)氏は将棋ソフトのボナンザに「機械学習」が採用した。将棋ソフトには、次の手を探索する「ゲームの木探索能力」と棋士の大局観にあたる「局面評価関数」が必要。ボナンザは将棋ソフト自身が、プロ棋士の6万局もの棋譜データを教材とする機械学習により評価関数を作っていく方法をとった。

 

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池田利道『23区大逆転』を読む

2017年11月08日 | 読書2

 

 池田利道著『23区大逆転』(NHK出版新書528、2017年9月10日NHK出版発行)を読んだ。

 

 表紙裏にはこうある。

都心の圧勝はいつまで続くのか。コスパの良さが評価され始めた台東区・江東区や、伸び代の大きさを武器に巻き返しを狙う足立区・北区など、ここにきてこれまでの「序列」が大きく変わりつつある。ベストセラー『23区格差』の著者が、最新のデータから格差逆転の予兆を鮮やかに読み解いた力作。

 

  23区における家族構成は、ひとり暮らしが51%、夫婦2人暮らしが16%、夫婦と子ども1人が11%。

 

 20世紀の終わりごろ、住む視点からの評価は「西部山の手>副都心>東部>下町>都心」だった。現在、「都心居住」が進展し、トレンディエリアは都心から下町へ広がり始めた。

 

  23区には10代後半から20代のごく一部が転入するが、ファミリー層に移行した時点で区外に転出してしまう。未婚のひとり暮らしの割合は34%に上る(全国平均は18%)。

 

 都心3区(千代田、中央、港)は、1995年にはドーナツの芯で高齢化率が高かったが、現在では幼児が増加し、若いファミリー層が「都心居住」へ動いた。

 

 2012年の所得水準は、一番高い港区が904万円、一番低い足立区が323万円。2015年は港区1023万円、足立区335万円と拡大した。23区平均は452万円。ただし、所得税の8割は2割の高額納税者が担っている(ニッパチの法則))。しかし、足立区も大阪市326万円、札幌市304万円より大きい。

 

 江東区の湾岸エリア・豊洲地区は2000年~2015年、各5年で2万人づつ増えて、約11万人いる。内陸部の高齢化率が平均を上回る23%に対し、湾岸エリアは14%で23区最低の中央区16%を下回る。

 

 23区でスターバックスがないのは荒川区だけ。

 

 「練馬区は板橋区にはなんとなく勝てそうなきがする!でも港区には勝てる気がしない!」

 

 杉並区は住宅地が多く、稼ぐ力が不足している。区の面積に対する住宅地の割合が55%と23区最大。

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

 調査データが多彩に出て来て、「〇〇と言われている。しかし、実際は●●である。」という論調が多く、ややこしい。確かに統計データを綿密に分析すると、巷で言われていることは違っていたり、俗説だったりするだろうが、話の筋は分かりやすくして欲しい。

 

 その割に、0メートル地帯での災害の心配がほとんど考慮されていない。「東部3区の人口が東日本大震災直後に減った」と記されているが、地域で助け合う共助の仕組みが発達している下町・東部地区は災害リスクを「減災」の仕組みで軽減できると楽観視している。少なくとも私は、東部3区には住む気がしないのだが。

 

 

池田利道(いけだ・としみち)

1952年生まれ。一般社団法人東京23区研究所所長。

東京大学大学院都市工学科修士課程修了後、東京都政調査会研究員などを経て、リダンプランニングを設立。23区を中心とするマーケットデータの収集・加工・分析を手がける。

著書23区格差(中公新書ラクレ)。

 

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柚木麻子『BUTTER』を読む

2017年11月06日 | 読書2

 

 柚木麻子著『BUTTER』(2017年4月20日新潮社発行)を読んだ。

 

 新潮社の宣伝文句は以下。

男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。「木嶋佳苗事件の闇について、柚木さんでなければ描けなかった。この本を読んで、女性と話をするのが怖くなった。」(佐藤優氏)

 

 里佳は、梶井との独占インタビューをものにするため、グルメの梶井に面会申込みの手紙を出し、末尾にあのメニューを教えてくださいと書いた。面会がOKされ、「私たち、友達になれるんじゃないでしょうか」「あなとの代わりに私が食べて、感じて、見ます。あなたの身体の一部になって世界と交わります。私がここに来る限り、あなたは少なくとも魂だけは自由です」と言って、ご機嫌をとる。

 

 梶井の偏った意見にコンプレックスを持つ里佳は強く影響されて、ほぼ飲み込まれてしまう。里佳は梶井のレシピに従いバターたっぷりの料理を食べ歩き、自分でも作って、10kgも太る。危惧した親友の伶子と共に梶井の出身地の新潟県・阿賀野に行って、梶井のルーツを探る。

 

 

 

木嶋佳苗の拘置所日記」で、木嶋本人はこう言っている。

この本の主人公は、木嶋佳苗ではありません。私は、柚木を知りませんが、柚木も私を知りません。・・・

拘置所の面会室でレシピの話をする女がいると思ってるのか?柚木。

 

 

初出:「小説新潮」2015年5月号~2016年8月号

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 悪女の自己欺瞞とバターたっぷりの料理レシピが織りなす460ページの大作。

 

 なんとか独占インタービューをものにしようと機嫌をとる里佳が、面会を繰り返すごとに梶井のバターまみれの料理と考えに翻弄され、押されて、感化され追従していく中盤までは、しつっこいがなかなかの迫力で引っ張っていく。ただ、私がまったく興味のない料理する話とあまり興味のないグルメ話にはうんざり。

 

 ツキが落ちてから、冷静に梶井を見られるようになり、仲間と共同生活するあたりから、女性としての自分の生き方がメインテーマとなり、話は平凡になってしまう。

 最後は梶井の逆襲だが、ネタバレなので略。

 

 

柚木麻子の略歴と既読本リスト

 

登場人物

梶井真奈子:婚活サイトを介して男たちから金を奪い3人を殺した罪で被告。1980年生れ35歳、新潟県育ち。通称カジマナ。ブログを書いている。

小路杏菜(しょうじ・あんな):旧姓梶井。真奈子の妹。28歳。

 

町田里佳:週刊秀明のただ一人の女性記者。身長166cm、33歳。愛称マッチー。

藤村誠:里佳と同期で恋人。文芸部所属。女子中学生のスクリームというグループのファン。

町田美咲:里佳の母、店を経営。離婚した夫(里佳の父)は孤独死。

北村:里佳の会社の後輩。仕事熱心ではなく、クール。

内村有羽(ゆう):週刊秀明のアルバイト。来年入社予定。

水島依子:かって「週刊秀明」の名物記者だったが、子育てのため文芸営業部へ異動。

 

狭山伶子:大手映画会社の敏腕広報を辞めて専業主婦に。里佳の大学からの親友。小柄、33歳。

亮介:伶子の夫。中堅菓子メーカの営業。体格良い好人物。

 

篠井芳典:大手通信社の名物編集委員。48歳。離婚して娘・神山咲耶(さや)がいる。

横田史郎:真奈子逮捕時に同居していた男。53歳。

笹塚美由子:料理教室経営。愛称マダム。

山村鳩子:被害者の姉

 

 

 

 風貌ではなく彼女を取り巻く、自分をきちんと慈しんでいる安定した空気

 

 どうして世の中の男の人って誰にも見られていないと、どこまでも生活がずさんになっていくのをやめられないんでしょうか、そして、それが自己管理の甘さではなく、哀れで切ないこととして世間に優しくゆるされるんでしょうか

 

 最近、ちょっとだけ料理するようになって。ロックだよね、掃除とか料理ってさ。愛情や優しさじゃなくて、一番必要なのは、パワーっていうかさ・・・。なまくらな日常にのみこまれないような、闘志っていうかさ・・・

 

 ラマダーンとは、そもそもは恵まれない人たちの気持ちを理解するためのもので、断食を免除される人は旅行者、病人、妊婦、子供、生理中の女性、意志が続かなかった人、そして、誤って断食を破ってしまった人(トルコのパンフレット)

 

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10月の花

2017年11月04日 | リタイヤ生活

10月13日に届いた花は、



10月27日に届いた花の写真を、ようやく11月2日に撮った。しおれている。


昨年の10月14日の花

昨年の10月28日の花

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小保方晴子『あの日』を読む

2017年11月02日 | 読書2

 

 小保方晴子『あの日』(2016年1月28日講談社発行)を読んだ。

 

 2014年1月28日に行われたSTAP細胞の会見から、ちょうど2年後、ヒステリックな嵐は一応静まり、小保方さんも反撃できる体調になってからの出版である。

 

 第一章「研究者への夢」での早稲田での修士課程、第二章「ボストンのポプラ並木」、第三章「スフェア細胞」でのハーバード大学での研究の様子は、夢多き若き研究者が進歩していく、どこにでもいる姿で、今となっては若き日の自慢話ではあるが、読んでいて楽しい。

 

 第四章「アニマル カルス」は理研の若山さん(後に山梨大学)の卓越したクローン技術に驚嘆する話だが、後の言い訳への布石として、この技術には小保方さんは実質的に係わっていないとの主張でもある。

 

 第五章「思いとかけ離れていく研究」では、若き研究者が、大御所先生から思うように操られて、自分の意志で研究を進められなくなるという話。これはよくある通常の研究の進め方なのだが、後の言い訳につながっていく。

 第六章「論文著者間の衝突」では、偉大な成果への期待から、理研、山梨大学、ハーバード大学間の功名争いも顕在化する。

 

 以下、第七章「想像をはるかに超える反響」「第八章「ハシゴは外された」で一気に落ち込み、以下、外部、内部からの激しい不正だとの攻撃、支援してくれていた先生方の離散などが語られる。

 第九章「私の心は正しくなかったのか」、第十章「メディアスクラム」、第十一章「論文撤回」、第十二章「仕組まれたES細胞混入ストーリー」、第十三章「業火」、第十四章「戦えなかった。戦う術もなかった」、そして、最後に、第十五章「閉ざされた研究者の道」で終わる。

 

 

小保方晴子(おぼかた・はるこ)

早稲田大学、東京女子医科大学、ハーバード大学医学大学院、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)で研究に従事。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 STAP細胞の実験の具体的手法にも触れていて、詳細はわからないなりに、面倒で、テクニックの上達が必要な実験だとの雰囲気は感じ取れ、面白くもあった。

 

 小保方さんの一方的な主張のこの本を読んでも、素人ながら私にはSTAP細胞はできたのではないとしか思えないし、実験の進め方はずさんだったとも思う。

 たとえ小さな研究でも基本的にだれもやったことのないことをはじめてやるのが研究だ。したがって、研究結果というものは、いい加減なことを言おうとすれば言えてしまう。そのことを自覚して、研究手法は追試できるように厳密に進めることが前提となる。だから、意地悪なほど実験結果を示す論文には厳しく批判し、検証するのだ。けして、研究者が陰険で嫉妬深いだけなのではない。

 

 山梨大学の若山教授について、梯子を外されたとか、途中から変質して積極的に逃げを計ったとか書いてあり、不正は若山教授が行ったと暗示している(?)が、このことの事実関係が分からないので、コメントしない。

 

 しかし、マスコミの異常な個人攻撃は、ヒステリックな大人のいじめだったと思う。小保方さんが、とくにひどい人の実名を挙げて反撃しているのは結構なことだと思う。反撃する手段があってよかったと思う。

 

 特に毎日新聞の須田桃子記者からの取材攻勢は殺意すら感じさせるものがあった。脅迫のようなメールが取材名目でやってくる。メールの質問事項の中にリーク情報や不正確な情報をあえて盛り込み、「こんな情報も持っているのですよ、返事をしなければこのまま報じますよ」と、・・・。(p183)

 マスコミのこの手の質問はTVの記者会見でもよく見かける。記者は、「●●●という話がありますが、どうなんですか?」と質問する。記者自身がどう思っているかには触れず、伝聞情報としていい加減な話を切り出す。卑怯な手だ。

笹井先生からは「・・・日々、須田記者の対応に追われてノイローゼがひどく他の仕事ができなくなってきた」と連絡を受けた。(p183)

 その後、須田桃子氏は「捏造の科学者」を文芸春秋社から出版し、同主催の大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。

 

「NHKの藤原淳登記者から私の携帯電話に電話やメッセージが直接来るようになった。NHKの記者がどのように携帯電話の番号まで個人情報を入手しているのかを考えると生活のすべてを包囲されているような恐怖で、もう生きていくことができないと考える時間が長くなった」(p184)

 

 「NHKスペシャル」は、後に放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会により、小保方晴子に対して名誉毀損の人権侵害が認められるし、報道姿勢としても「放送倫理上の問題があった」として勧告された。

 NHKぐらいは、STAP騒動が加熱中は冷静なニュースとして報道するにとどめ、深層をえぐる番組は事態が鎮静化してから落ち着いて番組を作り、放送して欲しかった。

 

 

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