hiyamizu's blog

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篠田節子『となりのセレブたち』を読む

2020年04月08日 | 読書2

 

篠田節子著『となりのセレブたち』(2015年9月20日新潮社発行)を読んだ。

 

5編の短編を収録。

 

「トマトマジック」

調理したドライトマトがセレブの女性たちの欲望をあからさまに噴出させる。
美千子:主婦の仕事を第一と考える手芸作家が自宅で料理教室を開く。

沙哉子:美千子の一人娘。30歳過ぎたキャリアウーマン。

ケイ・ミズマ:国際的染色アーテイスト。

よしみ:3本組の豪華な指輪をする40代主婦、豊子:太めの50代主婦、志摩子:大学教授の妻。


「蒼猫のいる家」

エリカは楽器販売会社で海外を飛び回る。来年中学生の娘・真理子の世話を義母にまかせ、自分はこの家に居場所はなく、客だと感じる。娘に甘い夫が許可して買ってきてしまった猫のツヨシ。猫は家の者には懐かず、暴れ、エリカにだけ近づくのだった。結局、大嫌いだった猫だけが彼女の孤独を理解してくれていた。

 

「ヒーラー」

邦夫の友人・雄平はリストラの心配で不眠症に悩む。40代の邦夫の妻・香織と、雄平の妻・佐知子はエステを楽しみ、粘液状の湯に入り、不思議に肌が馴染んだ。その後、魚に吸い付き中味を吸いだす「吹き流し」を知る。その体内からにじみ出る粘液は美容にいいとして主婦の間で流行した。どんどんグロになる記述が続く。

 

「人格再編」

20年以上の寝たきり老人を二人以上抱える世帯が増えた社会では、介護の負担を軽減させることを第一優先にし、暴言を吐くなど面倒な老人の人格再編手術が開発された。若い脳外科医堀純子医師は老女の頭に内視鏡でチップを固定する。人格者へ再編させるチップにより老女はバングラデシュへ向かう。

「クラウディア」

カメラマン・岡本孝純は35歳で独立し、膨大な借金を抱え、スタイリストの直美の許に転がり込んだ。車を追突させて金を強請るのに失敗した孝純はその筋の男たちに拉致されるが、直美の飼っていたアフガンファウンド犬のクラウディアが現れ、助けられる。ともに山小屋に隠れ時を過ごすが、犬は逞しかった。やがて、謎の女が現れる。

 

 

初出:「小説新潮」1995年6月~2011年1月号

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

「トマトマジック」:セレブの女性たちの欲望が通俗的過ぎてオモロない。

「蒼猫のいる家」:家に居場所はないならさっさと家を出ればいいのに。猫が何故エリカを選んだのか不明。

「ヒーラー」:あまりにもグロテスクな話がどんどんエスカレート。

「人格再編」:今後の社会の変化を偉そうに語るな!

「クラウディア」:変な女など登場させずに、犬に支配される生活を書き込んだ方が面白かったのに。

 

 

篠田節子(しのだ・せつこ)の略歴と既読本リスト

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