hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

カルロ・ロヴェッリ『世の中ががらりと変わって見える物理の本』を読む

2017年12月31日 | 読書2

 

 カルロ・ロヴェッリ著、竹内薫監修、関口英子訳『世の中ががらりと変わって見える物理の本』(2015年11月20日河出書房新社発行)を読んだ。

 

 原題の日本語訳は『七つの短い物理の授業』。

 『すごい物理学講義』を一般向けに書き直し、2014年にイタリアで刊行され30万部のベストセラーになった。

 

 世界一わかりやすいと評判の物理学の7つの講義。「相対性理論」「量子力学」「宇宙」「素粒子」「量子重力理論」「ブラックホールをめぐる確率と熱力学」「私たち人間のとらえ方」

 

第1回講義 世界でいちばん美しい理論

 1905年、アインシュタインは、原子の存在証明、量子力学への扉と、特殊相対性理論の3本の論文を発表した。同時に彼は特殊相対性理論が重力と矛盾することに気がつき、10年かけて一般相対性理論を構築した。

 重力場は、空間のなかにひろがっているのではなく、重力場こそが空間そのものなのだとかんがえたのです。

 空間のゆがみは物質の存在するところに生じ、物質のエネルギーに比例するリーマン曲率Rを持つ。

 高度の高い場所では時間が早く進み、地表近くの低い場所では時間がゆっくり進む。

 

第2回講義 量子という信じられない世界

 アインシュタインは「光量子仮説」で光は粒でできていると考え、量子論をスタートさせた。

 ハイゼンベルクは電子は何か別のものと相互に作用し合うときにだけ存在すると考えた。

 

第3回講義 塗りかえられる宇宙の構造

 宇宙観の歴史変遷

 宇宙誕生から約150億年。

 

第4回講義 不安定で落ち着きがない粒子

 素粒子は、電子、クォーク、光子、グルーオン(クォーク同士を結び付ける)、ニュートリノ、ヒッグス粒子等。

 標準モデルは現時点で最良のモデルで、予言はどれも実証されてきた。

 1970年代に「su(5)モデル」という大統一理論が提唱され、実証のため巨大な装置が作られたが、失敗した。美しくシンプルな理論であったが、自然界のありようが反映されたものではなかった。

「超対称性理論」も数十年実証されていない。

結局、優雅ではない「標準モデル」を超える理論は確立されていない。

 

第5回講義 粒でできている宇宙

一般相対性理論と量子力学をを統合する理論を打ちたてようと理論物理学者は努力している。

 その中心的な研究が「ループ量子重力理論」だ。一般相対性理論によって、空間とはなにかしら動的なもので、量子力学によりあらゆる場が細かな粒子状の構造になっている。したがって、物理的空間も量子でできていると考える。

 ループ量子重力理論の方程式には「時間」という変数は含まれない。時間が消えるということは、不変とは逆で、変化が偏在しているということ。ごく小さな空間の量子の単位で見ると、個々の反応は独特のリズムで個別に踊っている。つまり、量子的事象の関係性こそが世界であり、それ自体が時間の源といえる。

 ループ量子重力理論によれば、ビッグバンは過去の宇宙が自らの重みで収縮、押し潰され、反跳したと考えられる。

 

第6回講義 時間の流れを生む熱

 物理学者も哲学者も、「現在」が宇宙全体に共通するという考え方は幻想であるという点で一致している。

 時間と熱は強い関係性があり、熱(確率と結びついている)の移動が介在するときにだけ、過去と未来が異なる。私たち人間は、世界に対してぼんやりとしたイメージしかもっていないために、時間の中に住んでいるような気がする。

 

最終講義 自由と好奇心をもつ人間

 私たち人類は、ヒト属(ホモ属)のなかで唯一生き残った、好奇心旺盛な種だ。ヒト属のほかに12種ほどの、やはり好奇心旺盛な種があったが、すべて絶滅した。ネアンデルタール人は絶滅後、3万年しか経っていない。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 確かに、読みやすく、最先端の物理学の状況を解ったような気にさせてくれる。もちろん、肝心なところは哲学的な表現で雰囲気だけで内容を伝えようとしている。これを物足りないとする人は、より詳しい『すごい物理学講義』を読めばいいのだが、それでもピンとこないところは多い。それ以上は物理学者になるしかない。

「そもそも、私よ! 腐りきった頭で、寝転がってのんびり本を読んで根本まで物事を理解しようというのは無茶苦茶なのだ。わかったか!」「はい、わかりました」と自問自答するしかない。

 

 

 

カルロ・ロヴェッリ Carlo Rovelli
1956年、イタリアのヴェローナ生まれ。ボローニャ大学で物理学を専攻、パドヴァ大学の大学院に進む。その後、ローマ大学や米国のイェール大学、イタリアのトレント大学などを経て、米国のピッツバーグ大学で教鞭をとる。現在は、フランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いている。

専門は《ループ量子重力理論》で、この分野の第一人者。理論物理学の最先端を行くと同時に、科学史や哲学にも詳しく、複雑な理論をわかりやすく解説するセンスには定評がある。

本書は、メルク・セローノ文学賞、ガリレオ文学賞を受賞した『すごい物理学講義』を一般向けに刊行したものだ。

 

竹内薫 (たけうち・かおる)

1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科、マギル大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。長年、サイエンス作家として科学の面白さを伝え続ける。NHK「サイエンスZERO」の司会など。


関口英子(せきぐち・えいこ)

埼玉県生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書、ノンフィクション、映画字幕までイタリア語の翻訳。

主な訳書に『古代ローマ人の24時間』『マルコヴァルドさんの四季』など。『ピランデッロ短篇集』で須賀敦子翻訳賞受賞。

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東野圭吾『宿命』を読む

2017年12月29日 | 読書2

 

 

東野圭吾著『宿命』(講談社文庫ひ17-8、1993年7月15日発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に10年ぶりに現れたのは学生時代のライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。

 

 

 巻末の清原康正氏の「解説」によると、東野氏はこう語っている。

・・・綿密な計算を立て、混乱しないように登場人物一人一人の過去を書き込んだ年表を作りました。執筆機関は二カ月ぐらいでしたが、この年表作りには三カ月ほど費やしましたね。・・・

 

  本書は、1990年6月講談社ノベルスに書き下ろし、刊行。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 東野作品は相変わらず楽しくスイスイ読み進められる。

 

 あいまいな記憶しかない子供時代の何か不思議を感じさせる光景が、話の背後に常にあって、最後にその意味、裏の背景が明らかにされる筋書は物語に奥行きを与えている。

 複数の運命的出会いが起こり、それが実は見えない糸に引かれた出会いであった。最後の方でその糸がはっきりと示される構成は見事だ。

 

 犯人探しは、結局、誰でも良かったにではと思えるので、感心しない。ただ、最後の最後で逆転するのは、ちょっと無理筋に感じるが、説明は成り立っている。

 

 互いに良く知っていた同士が双子だったのだが、誕生日が同じことに気がつかなかったのだろうかという疑問が生じる。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

和倉勇作:島津警察署の巡査部長。瓜生晃彦の同級生。美佐子の元カレ。

和倉興司:勇作の父。サナエの死について調べていた警察官。

織田:県警捜査一課警部補。勇作の先輩で相棒。

西方:県警本部の警部。紺野の下で捜査本部のキャップ。

紺野:県警捜査一課の警視。捜査本部の主任捜査官。

 

瓜生和晃:故人。UR電産株式会社の創業者で社長だった。

瓜生直明:冒頭、病院で死亡。和晃の息子でUR電産株式会社の専務。

瓜生亜耶子:直明の妻。

瓜生晃彦:直正の先妻の息子。統和医科大の研究者。

瓜生美佐子:晃彦の妻。旧姓江島。

瓜生弘昌:直明と亜耶子の息子。

瓜生園子:直明と亜耶子の娘。

尾藤高久:直明に続き須貝正清の秘書。

内田澄江:瓜生家で20年以上働く家政婦。

水本和美:瓜生家の臨時家政婦。

 

須貝正清:UR電産の直明の後の社長。父・忠清は、瓜生和晃の義弟で先々代社長。

須貝行恵:正清の妻。

須貝俊和:正清・行恵の長男。

 

松村顕治:UR電産の常務。故直明の片腕。

中里:UR電産の専務。須貝派。

池本:開発企画室長。須貝派。

 

江島壮介:美佐子の父。電気工事中に事故で頭を打って上野脳神経外科に入院。その後、UR電産施設部勤務。

江島波江:美佐子の母で壮介の妻。

 

日野早苗:サナエとしてレンガ病院の患者。投身自殺。

上原雅成:国立諏訪療養所で脳神経の研究。

山上鴻三:上原雅成をよく知る元医者。

 

片平:古書商

 

 

以下、あらすじ(ネタバレで白字

 

和倉勇作は、レンガ病院の庭を歩いている心を病んだサナエという女性に何か心惹かれる。しかし、彼女は飛び降り自殺してしまう。勇作は小学校で出会った瓜生晃彦とライバルになるが、晃彦には何一つ勝てない。
 勇作が晃彦と同じ統和医科大の受験日に父が脳出血で倒れ、受験できず、高卒のまま父と同じく警察官になった。所轄警察で殺人事件が起き、県警捜査一課のお供で捜査に当たるうちに瓜生家に行き、統和医科大の助手になっていた瓜生晃彦の妻・美佐子に逢う。美佐子はかつて勇作の彼女だった。

晃彦の祖父が創業し、父・直明が社長をつとめていたUR電産と統和医科大を舞台にし、勇作、美佐子、晃彦を過去から結ぶ糸が徐々にほどけてくる。

 UR電産の派閥争いは、社長だった瓜生直明が死に、晃彦は脳神経外科の研究者で、瓜生家に事業の後継者がいないので、新社長には、須貝家の須貝正清がなった。須貝は、過去のおぞましい実験を続けようとしたため、瓜生派に狙わることになる。やがて須貝正清はボーガンに刺されて殺された。勇作が捜査を進めると、晃彦の関わりが疑われた。しかし、犯人は瓜生派で唯一幹部に残った松村顕治が昔からの家政婦の助けを得て行ったのだった。

調べを進めると、UR電産の前身の瓜生工業が人体実験していたことが分かる。脳に手術をして、そとから電気を加えると、感情を操れるという『電脳式心動操作方法』を研究していたが、途中で中断したのだった。

この実験の被験者に一人が美佐子の父で、このため美佐子はUR電産から目立たないように特別待遇されていた。サナエも被験者の一人で、双子の兄弟・勇作と晃彦の母である事が判明する。

 

 

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東野圭吾『変身』を読む

2017年12月28日 | 読書2

 

 

 東野圭吾著『変身』(講談社文庫 ひ17-9、1994年6月15日発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

世界初の脳移植を施され、一命を取り留めた青年、成瀬純一。恋人とのささやかな日常を取り戻した彼に異変が訪れる。凶暴化する性格、変わりゆく才能。変化を止められない純一は、提供者(ドナー)の影響を疑う。画期的な手術に隠された真実とは。他人の脳に支配されたとき、彼女を愛する心も消えてしまうのだろうか。

 

 成瀬純一(24歳)はある不動産屋で少女を助けようとして強盗に撃たれたが、世界初の成人脳片移植手術によって一命をとりとめる。
 しかし、大人しかったはずがキレやすくなり、絵を描くのが好きだったのに音楽が好きになるなど変わってしまい、職場でも嫌われる。
 やがて入れ替えられた右脳の提供者(ドナー)が、事件後自殺した強盗犯であったと知る。死後も意識は脳の中に残っており、徐々に純一の脳を支配していく。 恋人の恵に魅力を感じないようになり、移植手術した堂元教授の助手橘直子に心惹かれるようになり、やがて・・・。

 

 

 本書は1993年6月講談社ノベルスとして刊行。

 2005年に映画化。2014年にWOWOWでTVドラマ化。

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

 脳移植など現実味がないSF調で、移植した脳に支配されるなど、どこかで聞いたような話で、現実味も新鮮味もない。

 荒唐無稽の話も、人物や生活がに厚みがあり、深く描かれていれば、心を打つのだが、初期の東野作品には頭だけで作り上げたものも散見される。この作品が典型的。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

成瀬純一:24歳。産業機器メーカーのサービス工場勤務。職場では、従順な「お利口さん」、恋人の恵にはジュンと呼ばれ、休みの日は絵を描いて過ごす。父も母も他界している。

葉村恵:純一の恋人。画材ショップ「新光堂」の店員。ソバカスがある。

堂元(どうげん):東和大学医学部脳神経外科教授。

橘直子:堂元の助手。化粧気は無いが、美人で、ジェクリーン・ビセット似ている。

若生(わかお):堂元の助手。橘に好意を持っている。

光国(みつくに):心理学教授。堂元の紹介で純一にインタビューしようとする。

 

葛西三郎:成瀬の同僚。

矢部則夫:成瀬の同僚。ひょうきんな男。

酒井:入社が成瀬より2年早い職場の先輩。喧嘩っ早い。

臼井悠紀夫:成瀬の隣の部屋に住む学生。金持ちの息子。

 

関谷時雄:成瀬に移植された脳のドナー。享年22。交通事故で死亡。小学校以来喧嘩はしたことがない。

関谷明夫:時雄の父。小さな喫茶店「赤煉瓦」を経営。

京極瞬介:不動産屋を襲い、成瀬を撃った犯人。去年母親が風邪をこじらせて死亡。心臓手術代を払わなかった内縁の夫で不動産屋社長の番場に復讐しようと犯行に及び、屋上から金をばらまいて自殺。

京極亮子:瞬介の双子の妹。駅前などで似顔絵描きをしている。

番場哲夫:「バンバ不動産」の社長。瞬介の母と籍も入れず、瞬介を認知しなかった。

 

嵯峨典子:不動産屋の事件で純一が助けた少女。

嵯峨道彦:典子の父親。法律事務所を経営。入院費を肩代わりするなど純一の力になろうとする。

 

倉田謙三:捜査一課の刑事。

 

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東野圭吾『ダイイング・アイ』を読む

2017年12月27日 | 読書2

 

 東野圭吾著『ダイイング・アイ』(光文社文庫ひ6-11、2011年1月20日発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

雨村慎介は何者かに襲われ、頭に重傷を負う。犯人の人形職人は、慎介が交通事故で死なせた女性の夫だった。怪我の影響で記憶を失った慎介が事故について調べ始めると、周囲の人間たちは不穏な動きを見せ始める。誰が嘘をつき、誰を陥れようとしているのか。やがて慎介の前に妖しい魅力に満ちた謎の女が現れる。女の正体は、人形職人が甦らせた最愛の妻なのか?

 

 冒頭、グロテスクに、壁と車に挟まれて、肋骨がポキポキ、内臓が圧迫など潰されていく女の一瞬の様子がスローモーションで細かく語られる。

美菜絵の目は、真っ直ぐ前に向けられていた。彼女の身体を押し潰した車を運転している人間の顔に、だった。

許さない、恨み抜いてやる、たとえ肉体が滅びても――。

 グロテスクな記述に東野さんらしくないなと思ったが、これがこのホラーでミステリーの始まりだった。

 

 ダイイングメッセージ(死にゆく者が残すメッセージ)という言葉はあるが、ここでは、死にゆく者の恨みを込めた目ダイイング・アイがタイトルだ。

 

2007年11月光文社刊

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 催眠術と書いてあるが実質ホラーが軸になったミステリーで、ホラー嫌いな私は筋道としては感心しない。

 

 登場人物はすべて良き人とは言えない悪者で、これも東野作品には珍しいのでは。

 東野さんは、シリーズもの以外は、いつも違ったタイプの小説を書く。同じタイプの小説を書いていれば読む方は楽なのに、いつも違った形の小説に挑戦する東野さんには感心する。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

雨村慎介(あめむら・しんすけ):「茗荷(みょうが)」のバーテン。襲われて事故の記憶を無くす。29歳。

小野千都子(ちづこ):バー「茗荷」のママ。

 

岸中美菜絵(きしなか・みなえ):自転車で帰宅途中、慎介が起こした事故によって死亡。29歳。

岸中玲二:マネキン制作会社勤務。事故死した美菜絵の夫。事故1年後に慎介を襲った後に、自殺。

 

村上成美:ホステス。慎介と2年前から同棲。彼が襲われ記憶を失った後、失踪。29歳。

 

江島光一(えしま):慎介が前に勤めていたバー「シリウス」オーナー。

岡部義幸:シリウスのバーテンダー。

由佳:シリウスへよく来るホステス。事故時、慎介は由佳を送っていく途中だった。

 

木内春彦:帝都建設社員。慎介の車をよけきれず、女性をはねてしまった。現在は、羽振りのよい生活。

上原ミドリ:帝都建設の社長令嬢で木内と婚約する予定だったが、突然破棄された。

瑠璃子(るりこ):「茗荷」に突然やってきた謎の女。美人で目力が強い。

 

小塚:警視庁西麻布署の刑事

榎木:警視庁西麻布署の若い方の刑事

 

 

以下、ネタバレで白字

バーテンダーの西村慎介は店じまいして戸締りをしている時に襲われ、頭の骨が折れ、大手術を受けた。

同棲している村上成海が介抱し、慎介が働く「茗荷」のママ・小野千都子と以前勤めていた「シリウス」のオーナー・江島光一も見舞いに来る。

犯人、岸中玲二はすぐ分かり、自宅で自殺していたが、彼は慎介が起こした事故で亡くなった岸中美菜絵の夫だった。しかし、慎介は事故の記憶だけが無い事に気が付く。岸中玲二はマネキン職人だった。

 

店に美女が表れ慎介は一目惚れする。同棲していた成海が行方不明となる。

事故当時の担当刑事から聞いて、事故の様子が分かった。女性は慎介の車に接触し、きたもう1台にはねられ死亡したのだった。

ようやく、もう1人の加害者を調べ、帝都建設に勤める木内晴彦だと分る。

 

岸中玲二の隣に住む高校生の男の子が、部屋から1年前に死んだ奥さんが飛び出してきたと言った。

 

慎介は店に来る美女・瑠璃子と良く会うようになったが、呼び出された高層マンションに慎介は監禁されてしまう。なんとかタオル掛けの金具のネジを回すことができて、結局携帯電話を手繰り寄せ、小塚刑事に助けを求めた。

 

慎介は部屋にあったマネキンの顔が瑠璃子だと気づく。岸中玲二は妻・美菜絵とそっくりなマネキンを造ろうとしていたのだ。

 

自宅に帰りネジを回すことで思い出した鏡を取り外したが、中には3千万円はなかった。

 

慎介は木内がよく行くシーガル(カクテルバー)行き、木内と瑠璃子が写っている写真を見せられた。彼女は木内の婚約者上原ミドリで、事故後婚約解消したという。

 

事故時、運転していたのは江島で後部座席に座っていた慎介は3千万と引き換えに身代わりになったのだった。

いずれこのお金で独立しようと成海にだけ話していた。慎介の記憶がない事を知って、成海は金を見付け逃げたのだ。そしてその事をネタに江島から更に金を奪おうとしたが江原に殺され三千万も取られたのだろう。

慎介は江島にすべてを黙ってるかわりに5千万を要求し受け取った。

 

お酒を飲んでいた社長令嬢のミドリが運転する車が女性をはねてしまい、木内が身代わりになったのだ。

しかしミドリは死んでゆく時の美菜絵の目が忘れられず、精神を病んでしまう。被害者の家に行ったミドリは美菜絵似のマネキンを見て、自分が美菜絵となったように思い、やがて実際の顔もマネキンの美菜絵に変えてしまう。そして、岸中が殺しそこなった慎介に復讐しようと思う。

 

帰宅した慎介は後ろから江島に殴られ意識を失い酒を無理矢理飲まされていた。そんな江原の後には瑠璃子の姿があった。「あなた、だったのね。あたしを殺したのは。」

瑠璃子はベランダに行き、「あたしを殺しなさい」「そうして今度こそ忘れないで、あなたがあたしを殺したということを。あながが殺した女の顔を、女の目を」と江島の目をとらえて、せまる。江島は瑠璃子を持ち上げでベランダから下へ落した。ベランダに立ち尽くした江島は警察に捕まり、自分の両目を潰した。

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東野圭吾『使命と魂のリミット』を読む

2017年12月25日 | 読書2

 

 

東野圭吾著『使命と魂のリミット』(角川文庫 ひ16-7、2010年2月25日角川書店発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

「医療ミスを公表しなければ病院を破壊する」突然の脅迫状に揺れる帝都大学病院。「隠された医療ミスなどない」と断言する心臓血管外科の権威・西園教授。しかし、研修医・氷室夕紀は、その言葉を鵜呑みにできなかった。西園が執刀した手術で帰らぬ人となった彼女の父は、意図的に死に至らしめられたのではという疑念を抱いていたからだ・・・・・・。あの日、手術室で何があったのか? 今日、何が起こるのか? 大病院を前代未聞の危機が襲う。

 

初出:「週刊新潮」2004年12月30日~2005年11月24日

単行本:2006年12月新潮社より刊行。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 話の組み立ては良くできているし、相変わらず読みやすい。四つ星に近い三つ星だ。

 犯人さえも、人を気遣うように、登場する人物はすべて良い人、純粋人間で、クサイ台詞を平気で語る。良かった良かったの大団円で、読む人をハッピイにさせるが、物足りない気持ちが残る。

 

 なぜ犯人が停電させるのに、あんな複雑な方法を選んだのか、もっと簡単な方法があったのではと思う。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

以下、ネタバレ気味のあらすじ。

 氷室夕紀は、中学3年のとき大動脈瘤の手術で父・健介を亡くした。父の手術の執刀医は、心臓血管外科の権威西園教授だった。同じ病に苦しむ人たちを助けたいと、同じ帝都大学病院心臓血管外科の西園教授のもとで研修医になった。一方で、夕紀は父の死後の母と西園が恋人関係になっていることから、西園が意図的に医療ミスを起こしたのではとの疑惑を払拭できなかった。

 直井穣治は過去に死亡事故につながる問題を起こした大自動車会社社長の島原が帝都大学病院に入院したとの情報を得て、看護師の真瀬望に接近する。

 夕紀が発見した脅迫状には、「すべての医療ミスを公表し、謝罪せよ。さもなければ病院を破壊することになる」とあった。

 以下、白字

 聴取に来た警視庁の七尾は、健介の指導を受けた部下だった。そして、健介が少年グループのバイクを追跡中に少年が事故死したことを知る。

 再び脅迫状が届き、予告通りに病院で発煙騒ぎが起こる。多くの患者が転院するなか、過去に死亡事故につながる問題を起こした大自動車会社社長の島原など少数の患者は病院に残った。

 島原の大動脈瘤の手術を西園が行うことになり、夕紀も立合いを命ぜられた。しかし、犯人によって停電させられた手術室の中で・・・。

 

 

登場人物

氷室夕紀(ひむろ・ゆうき):帝都大学病院の心臓外科医を目指す研修医。「姫」と呼ばれる。

氷室健介:氷室夕紀の父。元警察官。夕紀が中学生の時に胸部大動脈瘤の手術中に死亡。

氷室百合恵:氷室夕紀の母。西園陽平との再婚を考えている。

西園陽平(にしぞの・ようへい):帝都大学病院教授。心臓血管外科の権威。氷室健介の担当医だった。

元宮誠一:帝都大学病院の心臓外科医。西園の弟子。30代後半で独身。

山内肇:氷室夕紀の指導医。中塚芳恵の主治医。40代。

真瀬望(ませ・のぞみ):帝都大学病院心臓血管外科の看護師。21歳。

菅沼庸子:帝都大学病院のベテラン看護師。

笠木:帝都大学病院の病院長。

田村:帝都大学病院の臨床工学技士(CE)。

 

直井穣治:電子機器メーカーのエンジニア。看護師真瀬望と同棲。

神原春菜:ノンフィクションライター。直井穣治の彼女。事故で重傷となり、渋滞に巻き込まれ死亡。

中塚芳恵:腹部大動脈りゅうと胆管癌で入院。79歳。

森本久美:中塚芳恵の娘。

島原総一郎:大手自動車会社社長。大動脈瘤の手術で帝都大学病院に入院。65歳。

 

七尾行成:警視庁の刑事。刑事だった氷室健介に指導を受けた。

坂本:警視庁の刑事。七尾の相棒で後輩。

本間和義:警視庁特種班捜査二課統括者。

小坂:七尾が懇意にしている新聞記者。

 

 

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黒川伊保子『女の機嫌の直し方』を読む

2017年12月23日 | 読書2

 

 黒川伊保子著『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書008、2017年4月12日集英社インターナショナル発行)を読んだ。

 

 表紙裏にはこうある。

なぜ女たちは思いもかけないところで不機嫌になるのか?“女の機嫌”は男にとって永遠の謎だ。

だがこの謎は、脳科学とAI研究でいとも簡単に解き明かすことができる。女性脳は共感のため、男性脳は問題解決のためにことばを紡ぐ。だから両者はすれ違い、優秀な男性脳ほど女を怒らせるのだ。

女性脳を知り、女の機嫌の直し方がわかれば生きるのがぐっと楽になる。すべての男たちに贈る福音の書!

 

女性脳と男性脳の違い

話の流れ:女性は発端から時系列に沿ってプロセスを語る「プロセス指向共感型」。男性はゴールから遡る「ゴール指向問題解決型」。

 

視点:男性は遠くを俯瞰的に広く見て、依怙贔屓しない。これに対し、妻は恋人は「なぜ私と隣の小母さんを公平に見て審判を下すような口の利き方をするの。何があっても私の味方じゃないの」と反発する。女性は近くにあるものの表面をなめるように見て、針の先ほどの変化も見逃さない。デートしたときも、女性は男性が注意散漫に見えて、自分にしっかり集中したくれていない。愛が足りないと感じてしまう。

脳の構造:男性脳は縦に深く使い、小脳が著しく活性化するため、空間認知力が高い。

女性脳は脳梁が太く、「感じる領域」の右脳と、「言葉を紡ぐ領域」の左脳の連携が非常に良く、察する天才であり、状況の変化に応じて動ける臨機応変力を持つ。

男性脳は、空間認知力を究極なまでに使うとき、右左脳連携がほぼゼロになる。感覚器からの情報(右脳)が、潜在意識(左脳)に上がらない。つまり、脳を最大限にフル回転しているとき、男たちは、ただ、ぼうっとしているように見えるのである。

 

 

 女性たちの口にする「カワイイ!」は、「可愛い」という評価を伝えるこどばではない。「私、心が動きました~、あなたも動いた?」という意味なのだ。

 

 女性が不機嫌になる理由はさまざまあっても、解消する方法はひとつ。それは「共感すること」だという。「いきなり問題解決」は仇になる。「察しない=大切に思っていない」となる。

 たとえば、「今日、昼間は暖かかったのに、急に寒くなったでしょ。薄着して出かけて、えらい目に遭っちゃった」なんて妻が言ったとき、「ほんと、急に寒くなって、びっくりしたね」と共感すれば、そこで会話は幸せに完結なのに、「朝から天気予報で言ってたろ」なんて頭に浮かんだことをそのまま言うから、「私が朝、どれだけ忙しくしていると思ってるの!?」とまくしたてられることになっちゃうのである。

 

 待ち合わせに遅刻したとき、・・・ほとんどの男性は、遅れてきた理由を言い募る。・・・ここでしなければいけないのは、彼女の“20分”の気持ちを慰撫することなのだ。「寒かったでしょう?ごめんね」「あなたのような人を、こんなところに20分も待たせて、どうしよう」なんて言ってくれれば、遅れてきた理由も聞きやしない。

 

 ことばは心を連れてくる。

「心にないセリフでいいの」・・・「でもね、その優しいことばに、奥さまがほろりとして笑顔になったら、あなたはきっと言ってよかったと思うはず。あとから、優しい気持ちが追いかけてくる。それで十分」・・・

 この男女のミゾは深くて、・・・。意外に幅が狭くて、ことばの橋がかけられる。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

 

 「男性は問いかけを解決しようとするが、女性はそんなこと求めてなくて共感して欲しい」のだとか、「女性はトラブルをしっかりひきだしに入れていつでも使えるようにする」などの男女の差について私に知識はあった。もちろん、知識があっただけで、差を克服というには程遠い状況であった。わかっていてやらないのは一層悪いと言われている。

 

 この本は夫婦の間の行き違いの具体例がいくつか提示されていて、双方の気持ちは納得できるものだ。さらに、その差の生ずるところと克服への道を教えてくれる。男性、とくに理工系男性必読の書だ。

 

 残念ながら、その克服方法は、女性に出来る限り合わせるという方法であり、男性には厳しいものだ。でも、我が家だけでなく、多くの家庭で女性が我慢を重ねているのは事実だろうから、どちらが正しいというのではなくて、歩み寄るのは男性の方だろうと思う。

 しかし、いまだに、男の沽券を捨てて、相手に追従するのに抵抗感があり、お体裁を言う気がしない。相手と違うことを言わなければ意味がなく、議論にならないのではとの気持ちもある。しかし、心地よい老後をお互いに過ごすために、やるべきことはすでにはっきりしている。

 

 

 

黒川伊保子(くろかわ・いほこ) 
1959年長野県生まれ。人工知能研究者/脳科学コメンテーター。

奈良女子大学理学部物理学科卒業。

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、人工知能(AI)の研究開発に従事。

2003年(株)感性リサーチを設立、同社代表取締役に就任。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発し、マーケティング分野に新境地を開学した感性分析の第一人者。

年間100回を超える講演・セミナーを行う。

著書に『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』 (新潮新書) 、『恋愛脳』『夫婦脳』『家族脳』(新潮文庫)、『日本語はなぜ美しいのか』(集英社新書)、『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す! 』(集英社)、『キレる女 懲りない男――男と女の脳科学』(ちくま新書)、『英雄の書』(ポプラ社)など

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東野圭吾『幻夜』を読む

2017年12月21日 | 読書2

 

 東野圭吾著『幻夜』(集英社文庫 ひ15-7、2007年3月25日発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

阪神淡路大震災。その混乱のまっただ中で、衝動的に殺人を犯してしまった男。それを目撃していた女。二人は手を組んで東京へ出る。男は女を深く愛するがゆえに、女に指示されるまま、悪事に手を染めていく。やがて、成功を極めた女の、思いがけない真の姿が浮かび上がってくる。彼女はいったい何者なのか!? あの名作『白夜行』の興奮がよみがえる、ミステリー史にその名を刻む傑作長編!

 

 『白夜行』の続編で、「雪穂と美冬は同一人物」とも解釈できる。直木賞候補作。

 深田恭子主演でWOWOW連続ドラマ化(2010年11月21日~2011年の1月16日)

 

 

 題名は、次の雅也の言葉から、

「何があっても美冬を守る、たとえ彼女との夜が幻であっても――。」

そして、最後に雅也は・・・、美冬は・・・。

 

 水原雅也の父・幸夫は、工場経営の失敗による借金苦で自殺した。その通夜には、亡くなった幸夫の妻の弟・米倉俊郎も出席していた。敏郎は、半ば幸夫を騙して書かせた借用書を持っていた、彼が通夜に来た狙いは幸夫の保険金でだった。幸夫が書いた借用証を盾に、息子の雅也に返済を迫ることが目的だったのだ。雅也は苦々しくは思いながらも、敏郎の要求に従うしかないと考えていた。

 しかし、その通夜の明け方に未曾有の天災「阪神淡路大震災」が発生した。雅也は難を逃れたが、叔父の敏郎は瓦礫の下に埋まって瀕死の状態であった。雅也は、敏郎への借金返済から逃れるために、被災に見せかけて敏郎を殺害することを決意する。そして、そばにあった瓦を敏郎の頭に振り下ろした。

 その殺害現場を一人の女性に目撃されてしまう。女性の名は新海美冬。彼女もこの震災で両親を亡くし、茫然と立ちつくしているところ、その殺害現場をたまたま目撃してしまうのである。雅也は、美冬が警察に告発をするのを覚悟するが、なぜか彼女はそうしなかった。それどころか、敏郎を殺害したのは雅也でないかと疑問を持った敏郎の娘夫婦たちがその証拠を掴もうとしたときに、未然に手を打って助けてくれたのである。

  そして、彼女は一緒に東京に出ることを雅也に持ちかける。「二人が幸せになるためや!」美冬はこの言葉で次々と雅也に悪事を実行させていく。疑問を抱えつつも、美冬を愛するがゆえに、美冬の指示に従っていく雅也。しかし、やがて成功を遂げていく彼女の思いもかけない真の姿が次々と明らかになっていく。

 

 

初出:「週刊プレーボーイ」2001年No.19/20号~2003年No.16号(連続短編)

単行本:2004年1月 集英社刊

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 このところ東野作品ばかり読み続けている。この作品は大部なわりに出来はいま一つ。悪女が惚れた男を思うがままに操り、罪を犯させる点はいくつかの作品と同じだ。それにしても、東野さんの描く美人は、大きな目がすこしつり上がっているに決まっているのには笑える。

 

 前編とも言われる白夜行の方が子供の頃の事を引きづっているのが見えて面白かった。本編は大震災から始まるが、主人公たちのその前が、震災後に写り込まれてこないので、単純すぎる。

 

 黒川博行氏の解説にあったが、東野氏は以下のように語っていたという。

ミステリーの作法として、謎を大きなものから小さなものへ、第一の謎、第二の謎、第三の謎、第四の謎・・・・・・というように順位をつけて読者に示し、それを収束するときは、小さな謎から大きな謎へ逆に解決していくのだという。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト


登場人物

 

水原雅也:阪神・淡路大震災時に、殺人を犯す。金属加工技術に優れる。新海美冬を愛す。

水原幸夫:水原雅也の父。経営する金属加工工場の業績不振で自殺。

水原偵子:雅也の母。

米倉俊郎:水原雅也の母方の叔父。阪神・淡路大震災で水原家の下敷きに。

米倉佐貴子:米倉俊郎の娘。奈良に住む。

小谷信二:左貴子の内縁の夫。

 

新海美冬:阪神・淡路大震災で両親を亡くす。女優並みの美人。常に冷静に、残酷な手段にも躊躇しない。倉沢克子を名乗り、VTRテープを預かる。後、「華屋」の販売員に。

倉沢克子:TV局の取材記者。

 

秋村隆治:高級宝飾店「華屋」の社長。後に新海美冬と結婚する。

倉田頼江:秋村隆治の実姉。夫は茂樹。

浜中洋一:「華屋」のフロア長。妻は順子

 

桜木:「華屋」の販売員。

畑山彰子:「華屋」の販売員。他に、坂井静子

 

福田(ふくた)金属加工の町工場「フクタ工業」の経営者。

中川:「フクタ工業」の職人。

前村:「フクタ工業」の職人。

安浦達夫:「フクタ工業」の元職人。右手を刺され工場を辞た。

有子:定食屋「おかだ」の娘。水原雅也が好き。母は聡子

 

青江真一郎:美容師。新海美冬に見出されて、カリスマ美容師に。

飯塚千絵:青江の彼女。

浜田美香:美容室「モン・アミ」の見習い。

中野亜美:美容室「モン・アミ」の最近雇った従業員。

 

曽我孝道:商社勤務。新海美冬の父親の元部下。美冬を探している。

曽我恭子:曽我孝道の妻。

新海武雄:曽我孝道の元上司。新海美冬の父。妻は澄子。

 

加藤亘:警視庁捜査一課の刑事。執拗に新海美冬を追う。                 

向井:加藤の上司で班長。警視庁捜査一課の刑事。

西崎:加藤の相棒の若い刑事。



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東野圭吾『仮面山荘殺人事件』を読む

2017年12月19日 | 読書2

 

 東野圭吾著『仮面山荘殺人事件』(講談社文庫ひ17-10、1995年3月15日発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。

 

 

 本書は1990年12月に徳間書店よりトクマ・ノベルズとして刊行。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 人物や人生の掘り下げはなく、割り切った謎解きが主体の推理小説だ。これはこれでありなのだが、その分、謎解きのびっくりするような意外性が要求される。

 そして、最後の大どんでん返しは実質ルール違反のように思うが、著者の期待にたがわず私はびっくりしてしまった。そして、ともかく面白く読まされてしまった。

 

 山荘の8人と強盗3人、警官2名と、珍しく登場人物が少なくて、読みやすい。

 

 途中で、なんとなく舞台劇をみているような、わざとらしさ、芝居っぽさを感じたのだが、おそらくこれは東野さんの意図的な技なのだろう。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

樫間高之:朋美と結婚予定だった。小さなビデオ制作会社経営。

森崎朋美:父が所有する別荘で樫間高之と結婚式を予定。4日前に交通事故死。

森崎伸彦:朋美の父。製薬会社を経営。

森崎厚子:朋美の母。

森崎利明:朋美の兄。

 

下条玲子:森崎伸彦の秘書。長身、ボーイッシュ。

 

篠一正:厚子の弟。朋美の叔父。小中学生相手の学習塾を経営。

篠雪絵:一正の娘。朋美の従妹。大人しい美人。学習塾の手伝。殺される。

木戸信夫:一正の主治医。雪絵に執心。

 

阿川桂子:朋美の親友。小説家。

 

ジン:銀行強盗。小男で頭が切れる。

タグ:銀行強盗。大男で粗暴。

フジ:銀行強盗。銀行員で、リーダ。後からやって来る。

 

 

 

 

以下、ネタバレのあらすじで、長文です。(以下、白字)

 

叙述トリック(語り手が実は嘘をついているという、ずるいトリック)

 

 

主人公高之と朋美は交通事故で出会う。朋美はスピードを出しすぎて前の高之の車に衝突し、左足の足首から先を失い、バレーへの道をあきらめることになった。しかし、これが縁で2人は結婚することになる。

しかし、父が所有する別荘(=仮面山荘)の近くの教会で高之と結婚式をあげる4日前に車の運転を誤って、崖から転落死する。

その日、朋美は生理痛を和らげるために鎮痛剤を飲んでいたはずなのに、発見されたピルケース(薬入れ)には2つ入ったままだった。

警察は居眠り運転による事故死と処理する。

 

3カ月程後に、高之は朋美の父・伸彦から別荘に来ないかと誘われる。別荘には、高之、伸彦、朋美の母・厚子、兄・利明、従妹・雪絵、従兄・木戸、親友・桂子、伸彦の秘書・玲子の8人がいた。

 

その日の夜、銀行強盗の小柄なジンと大柄なタグが警察に追われて、銃を持って侵入し、8人は監禁(軟禁)される。

 

高之たち8人と強盗との駆け引きが始まる。

見回りに来た警官に高之が指でSOSを伝えるが、警官は全く気づかない。「車のドアが半開きになっている」との警官の指摘で、玲子が車のドアを閉めるときに、地面に「SOS」と書いたが、強盗たち以外の誰かが別荘の窓からホースで水をまいて、SOSを消してしまった。SOSが書かれていることは、玲子と高之以外は知らないはずなのだが。

利明が、停電した隙に逃げ出すために、午後7時にトイレのコンセントをショートさせるようにタイマーセットし、全員に伝えた。しかし、午後7時10分になっても停電せず、伸彦がトイレに行って確認したが、タイマーは壊されていた。強盗たちが何も言わないということは、8人のなかに警察へ通報させたくない人がいることになる。

 

誰かが強盗の大男タグに睡眠薬を飲ませたらしく、眠り込んでしまう。監視ジンひとりになってしまい、部屋のドアを監視するだけでよいように、7人はそれぞれの部屋に入り、厚子だけが人質としてジンのそばにいることになる。

 

翌朝、雪絵が背中をナイフで刺されて死んでいるのが発見される。ジンは夜中1度だけトイレに行ったので、

そのすきに犯行が行われたと思われた。雪絵の部屋からは「ドアを開けて待っているように」と書かれたメモと、朋美が死んだ日のページが破られた雪絵の日記が見つかった。

 

高之と雪絵は互いに好意を持っていると感じていた。

 

強盗の小柄なジンは、もう一人の仲間フジがやってきたら、残った7人を縛り上げて、逃げるつもりだったのだが、雪絵を殺したのが誰かわからなければ皆殺しにすると宣言する。

 

敏腕秘書の玲子が探偵役となって、7人の中の犯人探しが始まる。

SOS作戦を知っていたのは、書いた玲子と見ていた高之の他に、厚子のカーディガンを取って来て窓を覗けば伸彦も知っていた可能性がある。

 

また、伸彦はトイレに行ったときにタイマーの時間を7時20分にずらしておいて、午後7時過ぎに確認に行ったときに、タイマーを壊した。

 

さらに、雪絵は朋美のピルケースにあらかじめ睡眠薬を入れておき、事件後鎮痛剤を補充したのだと推理する。そして、伸彦が朋美の仇を討つために雪絵を殺したと推理する。

 

ここで、突如伸彦が窓から下の湖に飛び込んでしまう。

 

強盗たちは、高之をラウンジに置いて、のこりの6人を各部屋に戻す。

 

 湖に飛び込んだ伸彦が戻って来て、高之に言う。

 

 私が雪絵を殺そうとしたとき、彼女は「殺していない…でも同罪だ」と言った。

彼女は、彼女は朋子殺しの犯人がわかり、その人をかばうためにピルケースに鎮痛剤を補充したんじゃないか。

高之は話を聞き終えると、伸彦の首を両手で絞め始めた。

彼は美人の雪絵を好きになってしまい、婚約者・朋美を疎ましく思うようになっていた。そこで、高之は朋美の鎮痛剤を睡眠薬と取り換え、殺そうとしたのだ。

 しかし、朋美の死後発見されたピルケースには睡眠薬がそのまま入っていたため、自分は朋美を殺していないと思っていた。事実は、雪絵が鎮痛剤を補充していたのだ。

 

突然明かりがついて、そこには玲子、利明などの他、強盗のジンやタグ、さらに死んだはずの雪絵も登場した。一連の「強盗侵入」と「雪絵殺人」はすべて狂言で、高之の犯行を確かめるための芝居だった。

 

高之と面識のある伸彦、厚子、雪絵以外はすべて役者だった。

 

さらに、朋美は鎮痛剤が高之によって取り換えられていることに気づいて、睡眠薬は飲まず、裏切られた絶望のために自殺したのだ。

 

 高之の罪は、殺人未遂??

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12月の花

2017年12月17日 | リタイヤ生活

12月8日に配送された花

12月は1回のみ。


昨年の12月の花




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「SHUTERS」でランチ

2017年12月15日 | 食べ物

吉祥寺の仲道通りを数分、まだ入ったことのないレストラン「SHUTTERS」で立ち止まった。

店頭の看板を見て、相方がバスク・リゾット(約1000円)なら食べられそうと言うので、入った。

13時過ぎなのにあまり広くない1階は満員で、手すりロープが張られている急な階段を登って2階へ。

SHUTTERSのHPには、
「SHUTTERSはスペアリブとアップルパイアラモードを看板商品とし、その他、本格的なパスタ等を取りそろえているカジュアルレストランです。」

ランチには、リゾットはなく、パスタ/カレー/サラダ/スペアリブのセットと、2000円以上のコースのみ。

私は今月のおすすめの「ベーコンの焼きカレー(?)セット」(¥1235)。美味しいのだが、我が家が薄味のためもあろうが、味が濃くて、帰宅してから喉が渇いた。

相方は「たかな漬けとベーコンのスパゲッティ セット」(¥1140)。たかなのせいなのか辛く、量が多いと、1/4位が残飯処理機にまわってくる。

その前に両方ともドレッシングが美味しいサラダと、深みのあるスープが出てくる。

コーヒーと紅茶。飲み口が厚くて飲みずらい。

二人で 2642円、今度は味が濃くないのを頼もう。


 
この店に入る前に行ったドコモショップで、スマホの他に、なぜか買った「メガネ型拡大鏡」約 5千円。

帰宅して、相方がかけて見て、あまりにも良く見えるのにびっくり。
似た商品が1万円で売っていて、なおご機嫌。


ランチ後、初めて入ったドン・キホーテで、予想を上まわる豪快な商品展示にあきれ、感心する。
階段の割れ目から手を伸ばしているトムがジェリーを捕まえようとしているのを発見。きっと逃げられたうえ、酷い目に遭うだろう。


 

 

 

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ヴァリノールでランチ

2017年12月13日 | 食べ物

 

荻窪駅南口5分のヴァリノール Valinor でランチした。

「繊細な和の食材から生まれフランスの風薫る無類の料理」
が提供されるフレンチレストランだ。


18席ほどの小さな店だが、男性のギャルソン(?)が丁重にお出迎えしてくれる品格あるレストランだ。

卓上にはコップがあって、これがメニューになっている。

最初は”Amuse” ハタハタ

丸い方は練り物みたいになっていて、煎餅状でパリパリなのも材料はハタハタだ。


次は、"Foie de Canard"
鴨の肝臓のパテとニンニクの芽

パンとバター。両方とも講釈付きだったが、忘れた。


次が"Pates"パスタ。でも、こんな形だった。

カボチャのソースに、〇〇、〇〇・・・。

 

魚料理は”Bar”スズキ。蒸してあるのだが、生っぽくて中途半端な感じ。
ドクダミの葉のようなものも食べられると聞いた口にしたがとくに・・・。

肉料理は”Porc”ブタで、ジャガイモを〇〇し、〇〇と・・・。


デザートは、"Kaki"柿。
結婚記念日と伝えてあったので、Felicitation(おめでとう)のプレートと、

ローソク

写真も撮っていただいて、

紅茶とコーヒーとお菓子で

 

 

おしまい。

全ての料理が凝りに凝っていて、フランス帰りの若いシェフのやる気には感心する。
おいしいし、キレイで見事だけど、やり過ぎ感が残る。

 

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散歩中に紅葉見つけた

2017年12月12日 | 散歩

 

小さな小さな公園のモミジ。
後ろから光が刺して鮮やか。

ブルーベリーの葉は明るく紅葉する。

成蹊学園正門前のイチョウ並木。

畑の向こうにイチョウがそびえる。

11月末のことでした。

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Bubbye's でランチ

2017年12月11日 | 食べ物

吉祥寺コピス1Fの”Bubbyy's”に入った。

わりと最近できた店で、気になっていたのだが、
どうみてもバーガー屋で若者向けの店なので、ためらっていたが、
一度だけはと、このブログネタにするために入ってみた。

店内の装飾も、オードリ・ヘップバーンや、マリリン・モンローが居て、

マスタードの入れ物も、

いかにもアメリカン。


相方は、温泉たまごにスモークサーモン。
味は良いが、量が多く、サラダとポテトが私に回ってくる。


私のは、ハンバーグもスープも美味しいのだが、
久しぶりのバーガーが大きくて食べにくい。

追加したデザートは甘すぎず、まあまあかな。

孫連れでもなければ、これが最後の御来店になりそう。

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ユキワリタケを食べる

2017年12月09日 | 食べ物

 

吉祥寺のマルシェで、細長く珍しいキノコを見つけた。

「ゆきわり茸」とあり、「レンジでチンしてワサビ醤油!」と書いてある。
今日も一人でお買い物なので、ためらわずカゴに入れる。

帰宅してさっそくレンジでチンしてワサビ醤油(してもらう)。

これで半分。350円と高かったが、けっこうな量がある。

味は絶妙とはいかないが、「いいね!」


調べてみると、まだ市場ではあまり見ることがなく、
30年ほど前に富士山の麓で菌が発見された品種だそうだ。
「月夜野きのこ園」による

 

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東野圭吾『美しき凶器』を読む

2017年12月07日 | 読書2

  東野圭吾著『美しき凶器』(光文社文庫 ひ6-7、1997年3月20日発行)を読んだ。

  裏表紙にはこうある。

安生(あんじょう)拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子。かつて世界的に活躍したスポーツ選手だった彼らには、葬り去らなければならない過去があった。四人は唯一彼らの過去を知る仙堂之則(これのり)を殺害し、いっさいのデータを消去。すべてはうまく運んだかに思われたが…。毒グモのように忍び寄る影が次々と彼らを襲った! 迫りくる恐怖、衝撃の真相! 謎が謎を呼ぶ傑作サルペンス!

 

 謎はほとんどなく、肉弾戦のシーンが続く。東野さんのハードボイルドだ。

 

 ドーピングの後遺症で小笠原が自殺した。安生、丹羽、日浦、佐倉の4人は、ドーピングの過去が暴かれ、現在の地位を失うことを恐れ、過去のデータを持つ仙道之則の屋敷に忍び込んだ。結局、仙道を殺してしまい、屋敷に火を放った。

 しかし、地下の部屋からモニターでその様子を目撃していた娘がいた。仙道が育て上げた超人的能力を持ちモンスターで、警官を始めであった者を次々と殺し、復讐のため安生、丹羽、日浦、佐倉を追う。彼らも秘密を守るためにも返り討ちにしようとするが・・・。

 

 1992年10月カッパ・ノベルス(光文社)刊

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

 タランチュラ娘は次々と爽快に男たちを殺していく。スピード感ある展開で読めるのだが、スーパー能力を発揮するターミネーター似のタランチュラ娘は漫画的だ。こんな小説ならどこにでもあるので、東野さんには時間つぶししてもらいたくない。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

安生拓馬(あんじょう・たくま): 元重量挙げの世界的選手。アスレチック・クラブの取締役。

安生恵美子:拓馬の妻。アスレチック・クラブの社長の娘。

丹羽潤也:元陸上400mの日本代表選手。会社の陸上部コーチ。

日浦有介:元陸上ハードルの選手。スポーツライター。

日浦小夜子:有介の妻。妊娠中。

佐倉翔子:元体操選手。TVのアシスタント・キャスター。

 

小笠原:元スキー距離競技の選手。ドーピングの後遺症での動脈硬化に悩み自殺。

 

 

仙堂之則(せんどう・これのり)元医者。

娘:タランチュラと称される。仙堂が育て、改造した七種競技の桁外れの女子選手。身長190cmほど。

 

加藤:警視庁捜査一課・課長

紺野:警視庁捜査一課・警視

根岸:警視庁・警部補

柴藤(しとう)県警本部の巡査部長

山科:県警本部の警部

日下:神奈川県警の警部

田代:成城署の刑事

吉村幸雄:派出所勤務。殺人のあった焼けた建物を調べていて殺され、拳銃を奪われた。

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