hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

川からスカイツリー

2013年09月29日 | 行楽
東京ソラマチを出て、川沿いの散歩道を歩いていると、観光船が。



30分のミニクルーズ、一人1,500円。 傍らには、快適そうなカヌーがスイスイだが、お年寄りらしく、クルーズへ。



スカイツリーは、斜めでようやく画面に収まる。



ここから出発。



舟を操るのは美しすぎるうら若き船長さん。(写真は見せてあげない)

すぐに京成橋(?)を過ぎる。



時間がゆったりなので、じっくりツリーを眺める。まず、上のTVアンテナ部から、



高さ450mの展望回廊。



高さ350mの展望デッキ。



西十間川橋を見て、



さらに十間川橋を過ぎる。条件に恵まれれば、すこし前あたりで、逆さツリーが見られそう。



十間橋を過ぎて、右に曲がり、しばらく行って、第二機動隊の傍を通る。



春日通り下あたりで、Uターンして引き返す。
ゆったりと楽しめたクルーズ?だった。夜やっていれば、きれいかも。

















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東京ソラマチへ

2013年09月27日 | 行楽
ここは混んでいるので、パスして、


ここ、ソラマチへ。



スカイツリーの根元を見て、



混まないうちにと、31階スカイツリービューへ。代々木のドコモの鉄塔も都庁もよく見える。



下を見ると、ツリーへの連絡ブリッジや、8Fのプラネタリウムの屋根だろうか、良く見える。線路や電車はおもちゃみたいだ。



休日(9月23日)だからだろうか、まだ11時前なのに並んでいるレストランを避けて、30Fのブラッスリーオザミに。



まず出て来たローストビーフの量に圧倒され、写真を撮るのを忘れた。とても前菜とは言えない量だった。

私のメインは、オマールエビ。



相方は、ワラサ(ブリの子)。



私のデザートは、忘れた。



相方は、プリンとマドレーヌ。











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今年も墓参りを終えて

2013年09月26日 | 日記
9月21日、墓参りを終えて、ちょっと早いランチの店を探して麻布十番をぶらぶら。
いつもの永坂更科と思ったが、先週、たまプラーザの東急で入ったのを思い出して、パス。



それにしても、派手な車。

結局、これもおなじみの魚可津へ入る。



なぜか毎度同じ角の席。見える光景も同じ。



私は、ヒラメの煮つけ定食。



相方は、刺身定食。



各1000円でお腹いっぱい。ヒラメは薄味で思ったほど美味ではなかったが。

相変わらず、お土産は、昔からの豆源で買う。



向かいの洒落た女性に人気ありそうな「かりんと」は外から見るだけで、頭の硬直化を感じる。












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榎本まみ『督促OL修行日記』を読む

2013年09月25日 | 読書2

榎本まみ著『督促OL修行日記』(2012年9月文藝春秋発行)を読んだ。

「一時間に60本の電話がノルマ」「電話で怒鳴られるのは日常茶飯事・・」。
新卒で借金を返さない人に督促の電話をかける「督促OL」となった著者は、客からストーカーよばわりされたり、呪いをかけると恨まれたり、今から殺しにいくぞ・・と脅されたり、残業で洗濯の時間もなく紙パンツ生活、入社半年で10キロ減。
人見知りでヘタレな著者が、心が折れそうになる日々の中で、百選練磨の借金王の面々を相手に毎日格闘し、自分なりの方法を工夫し、やがて「スゴ腕 督促OL」になるまでをエッセイとマンガでつづる。

督促をしてよい時間は朝8時から夜9時までと決められている。督促リスト整理のため出社は朝7時で、9時に督促電話が終わっても、その後、電話連絡つかない客に督促の手紙を終電まで書く。

督促をしていると、客の勤務先、収入など細かな情報に接する。合コンのときに、会社名、仕事内容、年齢など聞けば、それだけで年収、安定度など、優良債権かどうかがすぐわかってしまう。

客に怒鳴られ、罵倒されることも多い。客が怒鳴るのは根っこにやましい気持ちがあるからだとわかるようになった。悪口系だめんずの彼も自分に自信がない人だった。ダメなのは自分じゃなかったんだと気付いた。

入金の日にちと入金根拠は絶対に客の口から言ってもらう。約束をたがえたときに罪悪感を感じてもらうために。

疑問形で問いかける。「お客さま、いつでしたらご入金いただくことが可能でしょか?」「いくらでしたらお支払いただけますか?」

初出:J-CAST 会社ウォッチの連載コラム「債権回収のトホホな日常」、著者ブログ「督促OLの回収4コマブログ」をベースに、大幅に加筆し、書き下ろした。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

督促という特殊な面から見た客の正体が良く描かれている。厳しい場面だからこそ、人の本当の気持ちが現れるのだろう。たまにはこんなまったく縁のない分野の、しかも、若い女性の書いたものを読んでみるのも、社会勉強のためによいかも。
しかし、最近は特徴あるブログから本になるものが多い。



榎本まみ(督促OL・N本)
新卒で信販会社に入社し、督促を行うコールセンターへ配属。気弱でヘタレな性格でも言い負かされず回収できる独自のメソッドを開発。成果を上げる。現在も某金融機関にて絶賛督促中!

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井上ひさし『十二人の手紙』を読む

2013年09月23日 | 読書2

井上ひさし著『十二人の手紙』(中公文庫1980年4月中央公論新社発行)を読んだ。

キャバレーのホステスになった修道女の身も心もボロボロの手紙、上京して小さな会社の社長の毒牙にかかった家出少女が弟に送る手紙、家出し、演劇スクールに通い、新人公演の主役を射止めた女性から高校の恩師への手紙。人妻に突然送られてきた、25年前に夫と同期だった男からの手紙。鞍馬山中で仕事に励む初老の画家への留守宅の妻からの驚くべき手紙。ペンフレンドを求める若き女性に寄せられた恐るべきなど、手紙の形だけで編まれた13編の物語。

初出:『十二人の手紙』1978年6月中央公論社発行



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

出生届、死亡届などの、公的文書だけを並べただけで、その人の人生が浮かび上がる「赤い手」、手紙の書き方の本からの引用を並べた「玉の輿」、投函もされず、返事も自分で書いていた手紙の束からなる「シンデレラの死」など著者の仕掛けは見事だ。
また、手紙の書き手が嘘をついていて、最後にどんでん返しとなる話も多く短編の面白さが満喫できる。

手紙には、人生の哀歓が凝縮されやすく、ドラマチックな展開が楽しめる。



井上ひさし
1938年山形県生まれ、上智大学外国語学部フランス語科卒
浅草フランス座文芸部兼進行係などをへて、戯曲「日本人のへそ」NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」
1972年「手鎖心中」で直木賞受賞
1981年「吉里吉里人」で日本SF大賞、翌年読売文学賞小説賞受賞
2000年死去
2010年『東慶寺花だより


プロローグ悪魔
柏木幸子は、下町の船山商事に集団就職するが、やがて社長の毒牙にかかる。妻と別れて結婚する、と言う話が真っ赤な嘘と知って、「悪魔」と云ったお嬢さんを・・・。

葬送歌
中野慶一郎は私立女子大の学生小林文子から、自分の戯曲を見てもらえないか、との依頼を受ける。中野は才能がないと散々こき下ろした返事を書く。しばらくして40年も前の自分の作品を真似たものではないかと疑い出す。小林からの返事には、大学で企画している中野慶一郎展に筆跡を展示するため、先生自筆の手紙が欲しかったため、ひっかけた形になってしまった。展覧会にはぜひ来てくださいとあった。

赤い手
母の死と共に生まれた前沢良子はベトレヘム天使園に引き取られ、やがて洗礼を受けるがあかぎれの手にひかれ焼芋行商の男と結婚する。しかし、死産、火事、夫の家出、キャバレー勤務、交通事故死。公的文書と最後の手紙だけで彼女の人生が浮かび上がる。

ペンフレンド
北海道旅行を計画した本宮弘子は旅の雑誌に案内者を求める文を載せ、何名かの中から網走の酒井なる男を選ぶ。何通かの手紙のやり取りの後、職場の無口で気味悪い西村が「彼は刑務所から出しているのかもしれない。」と言い出す。手紙でその事を言うと・・・。結局、弘子は西村と旅行に行くことになるが、酒井は実は・・・

第三十番善楽寺
行き倒れで発見された古川俊夫はほとんど口を利かない。しばらくして行方をくらました彼は四国の善楽寺で救われ仲間と洗濯挟みを作っていた。金の分配を能率給にして、できる者とできない者で喧嘩になる。突然、古川が喋りだす。

隣からの声
水戸博子の夫は西オーストラリアのパースに赴任している。彼女は夫に切々たる手紙を書く。そのうちに「隣のおばあさんのもとに娘夫婦が転がり込んできた。財産ねらいで、おばあさんの命が危ない。早く帰ってきて…。」夫からの依頼で相談を受けた平塚が調べると、・・・。


鞍馬山中で山の絵に取り組んでいる耳が聞こえず口もきけない鹿見木堂のもとにかってモデルだった妻の貴子から手紙が来る。賊が侵入し、集めていた大観など数十点の絵が盗まれ、弟子でしゃべることができない梅野が殺されたという。警察は犯人として弟子の住山を、木堂は貴子自身ではないかと疑う。


有名夫人のあつまりであるサロン・ド・シャリテは、孤児の面倒を見ている白百合学園に多額の寄付を送ると共に一日母親をやりたい、と申し出る。しかし園長は、学生達にとって単なる桃が村人にはかけがえのない桃だったという、「桃」という短編にたくして断る。

シンデレラの死
塩沢加代子から恩師の青木先生にあてた手紙と返信。長岡を飛び出したスーパーで働く加代子は、演劇スクールにも通う。主役に抜擢され、某プロダクションの宣伝部長の目に留まり、オーデイションを受けが、それは嘘で体を奪われる。これらは、自殺した加代子の部屋から見つかった手紙の内容だが、投函もされず、返事も自分で書いていた。現実ではなかったのだ。

玉の輿
長田美保子は、高橋忠夫先生が好きだったが、病気の父の面倒を見てくれると言う花山酒蔵の社長の息子と結婚する。やがて、結婚は破局する。これらの手紙11通はすべて、12冊の手紙の書き方の本から引用したものだった。

里親
甲田和子は、中野慶一郎の弟子の藤木英夫と結婚するが、中野が散々藤木の作品をけなした上、自分の作品として発表しようとしていると知って殺害してしまう。しかし中野の遺稿は「砂糖屋」で、・・・。

泥と雪
離婚届に印をおさぬ津野真佐子のもとに昔の同級生の佐伯孝之から贈り物とラブレター。真佐子は心惹かれるようになり、佐伯が急にパリに赴任する前に判を押す決意をするが、・・・。

エピローグ人質
雪深い山里のホテル5階の宿泊者18人を人質にとって男が篭城。男はプロローグの柏木幸子の弟弘。宿泊者は12の手紙の関係者。幸子を犯した船山太一は雪が積もっているはずの外に飛び降りた。


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井上ひさし『東慶寺花だより』を読む

2013年09月21日 | 読書2
井上ひさし著『東慶寺花だより』(2010年11月文藝春秋発行)を読んだ。(文春文庫2013年5月発売)

文藝春秋の担当者からの一言 

江戸時代、女たちが不幸な結婚から逃れるための「駆け込み寺」であった鎌倉の東慶寺。その門前に建つ御用宿の居候で、戯作者志望の青年、中村信次郎の目を通し、救いを求めて寺に身を寄せるさまざまな女たちの物語が描かれます。ただ虐げられるばかりではない。怒り、抵抗し、許し、受け入れる。名もなき人々の弱さと強さを優しい視線で見つめた井上文学の到達点とも言うべき、静かな感動に満ちた連作短篇集です。


江戸時代、離婚したい妻(or妾)は江戸から十三里ほど離れた鎌倉の東慶寺「縁切り寺」に駆け込むと、門前の3つの御用宿の一つで事情聴取されて調書がつくられる。その後、夫と夫方、妻方の関係者が呼び出され、「相対熟談」という話し合いの場がもたれる。まとまらなかった場合に、妻は入山、断髪し、生臭ものや五辛を断った24カ月を無事寺で過ごすと、夫は離縁状を書かなくてはならないし、その後は再婚自由となる。

入山の時に、六十両収めると上臈格となりお茶や手習いと優雅に暮らす。それ以下の金だと御茶間格でお針台でひたすら縫い物仕事をする。一文銭も積めなかったときは御半下格で、炊事、洗濯、清掃、畑仕事などあらゆる雑用をする。
(当時としては世界最先端のシステムが出来上がっていたようである)

お金への離縁状例(三行半)
離別一札之事       (りべついっさつのこと)
お金儀、この度不縁仕り候、  (おきんぎ、このたびふえんつかまつりそうろう)
後日何方へ縁付き申され候共、 (ごじつうすかたええんづきもうされそうろうとも) 
一切構無御座候、       (いっさいかまえござなくそうろう)
仍如件            (よってくだんのごとし)
鎌倉十四カ村の内、長谷村
山元屋重蔵 印

文化七年五月七日
東慶寺御用宿 柏屋源兵衛殿

御用宿のひとつ、柏屋(主は源兵衛、番頭は利平、娘は8歳のお美代)に居候している主人公の信次郎は、蔵前の医者・西沢佳庵(かあん)先生のもとで修行した見習い医者で、版元から滑稽本を1冊出しただけの駆け出しの作家で、新作を書こうと苦闘している。

東慶寺へ逃げ込んでくる女性たちのさまざまな事情や、たくらみなどが、信次郎の目から15話語られる。

井上ひさしの遺作シリーズの一つ。巻末の参考文献のリスト(死後に残された「東慶寺の本棚」と呼ばれる本棚の本)は約70冊ある。

初出:「オール読物」1998年4月号~2008年5月号(著者は2000年に死去)



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

なにしろ縁切り寺だ。離婚という人生の濃い縮図が次々展開されるので、面白くないわけがない。

その上、オランダ渡りの砂糖輸入店、砂鉄を加工する「鉄練り」職人など珍しい職業や、すし屋や落語家など当時徐々に広がりつつあった職業を紹介しつつ、江戸の庶民を生き生きと描いていく。



井上ひさし
1938年山形県生まれ、上智大学外国語学部フランス語科卒
浅草フランス座文芸部兼進行係などをへて、戯曲「日本人のへそ」NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」
1972年「手鎖心中」で直木賞受賞
1981年「吉里吉里人」で日本SF大賞、翌年読売文学賞小説賞受賞
2000年死去







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綿矢りさ『大地のゲーム』を読む

2013年09月19日 | 読書2

綿矢りさ『大地のゲーム』(2013年7月新潮社発行)を読んだ。

相変わらず大げさな宣伝にはこうある。
私たちは、世界の割れる音を聞いてしまった――。大地はまた咆哮をあげるのか? 震災の記憶も薄らいだ21世紀終盤。原発はすでになく、煌々たるネオンやライトなど誰も見たことのないこの国を、巨大地震が襲う。来るべき第二の激震におびえながら、大学キャンパスに暮らす学生たちは、カリスマ的リーダーに未来への希望をつなごうとする。極限におかれた人間の生きるよすがとは何なのか。未来版「罪と罰」。


半年前の「あの夏」に起こった震災で家族や友人の多くを失った学生たちは、多くが倒壊した大学構内に泊まり込み、学園祭を迎えようとしている。主人公の「私」は、「私の男」を恋人としつつも、「反宇宙派」のカリスマリーダーに惹かれる。

初出:「新潮」2013年3月



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

かわゆい綿矢さんに二つ星は、つける私も哀しい。近未来の大地震後、さらに大地震が予測される世界という状況設定の中で、若者たちが狂気なく授業を受け、寝泊り生活しているのに違和感があり、状況が生かされていないと感じる。また、グループの若者たちの青春群像が劇中の人物のようで、生き生きした生身の人間のように感じられない。

主人公の「私」から見た、やけに自信満々なグループのリーダー像が軸になっているのだが、単純そうで、あまり魅力的には見えない。
本書の語り手は一貫して「私」であるが、終盤近くの4ページ余りだけ突然リーダーが語りだす。この部分が、リーダーが正体を現す謎解きになっているようだが、単純な計算高い人間としか読み取れず、ピンとこない。



綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年、京都市生まれ。
2001年、高校生のとき『インストール』で文芸賞受賞、を受けて作家デビュー。
2004年、『蹴りたい背中』で、芥川賞を史上最年少で受賞。
2006年、早稲田大教育学部国語国文学科卒業。
2007年、『夢を与える
2010年、『 勝手にふるえてろ
2011年、『かわいそうだね?』で大江健三郎賞受賞、
2012年、『しょうがの味は熱い』、『ひらいて』
2013年、『憤死』

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台風一過で富士のシルエット

2013年09月16日 | 日記
9月16日17時半、久しぶりに見えたベランダからの富士山のシルエット


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『KAWADE夢ムック 文藝別冊 向田邦子』を読む

2013年09月15日 | 読書2
東條律子編『KAWADE夢ムック 文藝別冊 向田邦子』(2013年6月河出書房新社発行)を読んだ。

単行本未収録のエッセイ6本、鼎談と対談が各1本、作家の向田邦子に関するエッセイが9本、角田光代と小池真理子が向田の人気エッセイを同タイトルで競演したエッセイ、その他、発掘インタビューなど多面的に32年前に亡くなった向田邦子に迫る特集だ。

いかにも粋で猛烈に生きた向田さんが多くの人に大きな影響を与え、そして今も生きていると感じられる特集だ。

黒柳徹子の「向田邦子さん」におもろい話があった。
夜遅くタクシーに乗って、家に帰った時、アパートの前で鍵をゴソゴソやると「オイ!!」とかやられて、鍵を開ける時が、一番無防備になる、といわれたので、鍵とお金を、それぞれ手に持ち、アパートに着いたので、払って、タクシーを降りた。すると運転手さんが「ねえ、本気にしていいのかね?」という。どうぞどうぞ」って、少しくらいチップをあげたくらいで、と思ったら、また「奥さん、本気にして、いいんだね」なんだと思ったら、お金のつもりで、アパートの鍵を渡しちゃってた。


これは、「ちょっと」という話だが、乳がんの手術をした向田さんは、弟さんと話していた時に、
「向田さんは、ホームドラマの横綱である」と出ていたら、向田さんは「私は横綱には絶対なれないわ。だって、ワンカップ大関だもの!」といったという。


向田さんは脚本を急いで書くのでよくミスプリがあった。
池内淳子さんが真剣な顔でディレクターに「私、どんな顔したらいいんですか?」と聞いている。向田さんは、(どうして聞くんだろう、私は、池内さん、狼狽すると書いたのに)と思って印刷台本をよく見たら(池内さん猿股する)になっていた。




向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929(昭和4)年東京生れ。
実践女子大学卒業。秘書、「映画ストーリー」編集者を経て、脚本・エッセイ・小説家。
1952年「映画ストーリーズ」編集部へ
1962年「森繁の重役読本」脚本
「七人の孫」(1964年)「時間ですよ」(1970年)「寺内貫太郎一家」(1974年)「阿修羅のごとく」(1979年)などTVドラマ脚本
1975年 乳がん
1980年 短編連作小説「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で直木賞受賞
1981年8月22日台湾の飛行機事故で死亡(享年51歳)
向田邦子さんのお墓には森繁久彌さんの挽歌「花ひらき はな香る 花こぼれ なほ薫る」
が刻まれている。
その他、『父の詫び状』『無名仮名人名簿』『霊長類ヒト科動物図鑑』『眠る盃』『思い出トランプ』『あ・うん』『家族熱』『女の人差し指』『向田邦子ふたたび






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伊坂幸太郎『死神の精度』を読む

2013年09月13日 | 読書2

伊坂幸太郎著『死神の精度』(文春文庫2008年2月発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。



「死神の精度」
調査をするよう指定されたのは、大手電機メーカーの苦情処理係り藤木一恵。22歳の彼女は、何かというと指名して電話をかけてくるクレーマーに付きまとわれていた。その訳は・・・。

「死神と藤田」
やくざの藤田の調査を担当する。弱気を助け、強きをくじく任侠タイプの藤田は兄貴分を殺した栗木をあくまで狙うが、上部は穏便に解決しようとする。阿久津は親分藤田のために先に栗木を倒そうと、千葉とともに乗り込むが、・・・。

「吹雪に死神」
吹雪で閉じ込められた洋館で起こる連続殺人事件を死神が解決する。

「恋愛で死神」
指定された男萩原はブティックで働き、バス停であう古川朝美が好きだ。

「旅路を死神」
指定された森岡は指名手配中の殺人犯で、死神の車に乗り込んでくる。車は「おいらせ」に向かう。ホテルの受付の男は二人の男を見て「あんたたち、ホモかい」という。死神は「こいつはホモ・サピエンスだが、俺は違う」と答える。

「死神対老女」
美容院の老女は次男以外の家族をすべて亡くして、自身の死も近いことを予感している。そして死神に若い客を集めるように頼む。

初出:「オール読物」2003年12月号・・・2005年4月号、「別冊文藝春秋」255号、単行本2005年6月発行



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

私としては五つ星だが、癖が強いので、一般的には強くお勧めできないので四つ星に。

死神が登場し、いかにもメルヘンのなりがちだが、あくまでリアル、ユーモラスで、伊坂節全開だ。クールでスタイリッシュな会話が、映画の一シーンを思い浮かべさせられる。登場人物のキャラ作りも相変わらず上手い。

我々にはなんでもない日常を、死神からの視点で表すと、普通のものが見慣れない奇妙なものに見えてくる。解説の沼野充義氏によるとこれを文芸用語で「異化」というらしい。

「人間というのは実に疑り深い。自分だけ馬鹿を見ることを非常に恐れていて、そのくせ騙されやすく、ほとほと救いようがない」
「人間は不思議なことに、金に執着する、音楽のほうがよほど貴重であるにもかかわらず、金のためであれば、たいがいのことはやってのける」

「わたし、醜いんです」とぽつりと言った。
「みにくい?」・・・「いや、見やすい」と答えた、「見にくくはない」

「俺が、仕事をするといつも降るんだ」私は打ち明ける。
「雨男なんですね」・・・そこで、長年の疑問が頭に浮かんだ。「雪男というのもそれか」
「え?」
「何かするたびに、天気が雪になる男のことか?」






伊坂幸太郎&既読本リスト


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柚木麻子『ランチのアッコちゃん』を読む

2013年09月11日 | 読書2

柚木麻子著『ランチのアッコちゃん』(2013年4月双葉社発行)を読んだ。

「ランチのアッコちゃん」、「夜食のアッコちゃん」の連作と、「夜の大捜査先生」、「ゆとりのビアガーデン」からなる短編集

「ランチのアッコちゃん」
「雲と木社」の女性部長黒川はがっちりした肩幅で身長174cm、某大物歌手を思わせる。名前が敦子であることから、アッコ女史と陰で呼ばれる。4年付き合った恋人と別れて元気のない派遣の澤田三美智子は持参の弁当を食べたくないとぼやくと、女史がこの弁当を食べたいと言い出す。食べたアッコ女史は、来週一週間自分に弁当を作ることを三智子に強要する。その代り、行く店もメニューも決まっている自分の一週間のランチコースと交換するのだという。

月曜日は趣味で昼間だけやっているカレー店。火曜日は麹町から有楽町の国際フォーラムまでジョギングして黒人女性のワゴンでランチ。本屋で絵本を3冊受け取るお使いをしたり、屋上で出前を食べたり、カレー店を手伝い、品切れ後にドライカレーを急きょ作ったり、色々な所へ行き、色々な人と会い、そのうち、なんだか元気が湧いている自分に気付く。

「夜食のアッコちゃん」
「雲と木社」は倒産し、三智子が派遣された会社では営業部の正社員と派遣女子が対立し、三智子は狭間で苦労し、公園のベンチで食事する羽目となる。そこに、アッコ女史が「東京ポトフ」の屋台で登場。

「夜の大捜査先生」
カード会社の契約社員満島野百合は30歳。お嬢様学校の高校生だった頃に渋谷円山町で追いかけっこした担任教師のゾノせんに出会う。彼は相変わらず生徒を追いかけていた。

「ゆとりのビアガーデン」
長時間労働が定常化している社内ベンチャー会社に入社した佐々木玲実は、社長の豊田雅之を呆れさせるダメ社員だった。3か月で退職した彼女が会社の屋上でビアガーデンを始める。すぐに潰れると思っていたビアガーデンは・・・。

初出:「小説推理」2011年3月号、5月号、2012年12月号、2013年1月号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

若い女性にはお勧めだ。

ちょっとダメな主人公の3人の女性が、一人は上司に癒されて自立していき、一人は高校の時の担任教師に良く成長したと評価されて前を向こうと思い、もう一人は、怖くてただそのまま頑張っている社長を励ますことになる。

ちょっと都合よすぎる展開で、軽すぎる話だが、さわやかで心温まり、楽しめる。とくに、表題作の「ランチのアッコちゃん」が厳しく突き放して、しかし温かく、ダメな三智子さんを自立させていく過程が好ましい。



柚木麻子の略歴と既読本リスト

 





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海堂尊『極北ラプソディ』を読む

2013年09月08日 | 読書2
海堂尊著『極北ラプソディ』(2011年12月朝日新聞出版発行)を読んだ。

極北市が財政破たんし、病院再建請負人・世良雅志が極北市民病院の院長に就任する。世良は人員削減、薬剤費抑制、救急患者の受け入れ拒否の強硬策をとる。医師は院長世良と今中の二人だけで、極北市の救命救急業務は隣接する雪見市にある極北救命救急センターに依頼する。
極北市民病院が診察拒否した患者が死亡する。そこで、世良は、今中を極北救命救急センターへの出向させ、病院ただ一人の医師となり世論の非難をかわす。そしてそれは、同時に、今中にドクターヘリによる救急の最前線を経験させるためでもあった。

2013年3月19日、20日NHKで、瑛太主演の特集ドラマとなった。

初出:2011年2月4日号~11月18日号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

救命救急の現場、ドクターヘリの問題、自治体と市立病院の関係など良く書けていて興味深かった。しかし、登場人物が多く、かつ癖のある人ばかりなので、突っ込みが浅く、話が深まらない。

主人公の今中は目立った活躍がなく、世良の方針に疑問を持つなど迷いの多い語り手に徹している。したがって、隔靴掻痒(この言葉、初めて使えた)の感じで、読み終わってもすっきりしない。
いわくありげに登場した人物のその後がチラッと出るだけで、肩すかしだ。例えば、消防士の広崎宏明、極北大水沢教授が何かたくらんでいるかのようなのに、なんということなく終わる。IT分野の天才技術者として西野が登場するが、ネットの動画配信しただけで事が終わる。

速水などかつての作品で活躍したらしい人物が脇役として登場するが、シリーズの外の本を読んでいない私には乗り切れない。



海堂 尊(かいどう たける)
1961年千葉県生まれ。千葉大学医学部卒業、同大学院医学博士号取得。
外科医を経て病理専門医。
2009年より独立行政法人・放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター・Ai 情報研究推進室室長。剣道3段。
2006年『チーム・バチスタの栄光』で、「このミステリーがすごい!」大賞受賞。
その他、『ジーン・ワルツ』『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの伝説』『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』『トリセツ・カラダ』『死因不明社会』『ケルベロスの肖像

登場人物

今中 良夫
語り手。極北市民病院副院長。といっても、極北市が財政再建団体に指定されたので、医師は院長と2人だけ。院長世良の救急患者受入拒否の方針に対して、迷いがある。

世良 雅志
破たんした極北市の極北市民病院再建請負人として院長となる。しがらみ、同情を排し、論理的に考え、ストレートに意見をいうことから敵も多い。講演やメディアで活動し「テレビ先生」と呼ばれている。外科の名門・東城医大佐伯外科の外科医だった過去がある。彼が再建した後、去った後には多くの悪評が残る。

速水晃一
雪見市にある極北救命救急センター副センター長。東城医大で救命救急センターを率いていた過去がある。傲岸な性格から「将軍」と呼ばれ、彼が病棟責任者となる日は、患者が大挙押し寄せることから、「将軍の日」と恐れられる。

花房 美和
極北救命救急センター看護師長。速水とともに、東城医大から赴任した。

桃倉 義治
極北救命救急センター長。白衣の下に作務衣を着て坊主頭。

伊達 伸也
極北救命救急センターのフライトドクター。脳外科医だったが、救急にこだわる。

五條 郁美
極北救命救急センターのフライトナース。負けん気が強く、美人だが、酒癖が悪い。講演会で世良に救急患者を受入れるよう主張するが、世良に論破され悔し泣く。

大月
極東航空から派遣されているドクターヘリのパイロット。フライトに備え、烏龍茶を飲むが、酒豪。

越川
ドクターヘリと管制塔の連絡、ドクターヘリの運航管理を行うCS(コミュニケーション・スペシャリスト)。患者の命の危機よりもフライトドクターとフライトナースらの安全を第一に優先し、無謀なフライトは断固拒否する。

仲根 貴子
雪見市市長。強運の持ち主で、来年の統一地方選挙向けのドクタージェット構想を企画している。

久世 敦夫
神威島の診療所を30年間一人で守る。

後藤 継夫
神威島の診療所で働く医師。元極北市民病院研修医で、看護師の並木梢と結婚。前作からは一転し頼り甲斐のある医師となっている。


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阿川佐和子ほか『ああ、恥ずかし』を読む

2013年09月05日 | 読書2

阿川佐和子ほか69名『ああ、恥ずかし』(新潮文庫あ-49-1、2003年10月発行)を読んだ。

作家、イラストレーター、女優、タレントなど女性ばかり70人の“恥ずかし”体験集。
「小説新潮」で1994年1月号から連載されているコラム・「ああ、恥ずかし」を編集、文庫化。

ノンフィクション作家、工藤美代子さんは、上着にコートを羽織って登校したら、下にスカートを穿くのを忘れていて、頭痛を装い早退した。最近でも、前日に下着と一緒に脱いだGパンを翌日そのまま履いて外出したら、裾から花柄のパンティが顔を覗かせていた。

同じような話は多い。脱いだストッキングがスカートから顔を出していた(光野桃)。着物の下から薄桃色の防寒下着が顔を出していた(水原紫苑)。脱いだはずの紺のスカートがチェックのスカートの下から落ちてきた(酒井ゆきえ)。その他、いくつも。男性で同じような失敗はないだろうと思ったら、あった。


酔っぱらって額から血をだし道路の真ん中で寝ていて、パトカーに乗せられた。「ワーイ! パトカーって、犯罪者にならないと、乗れないんですよねぇー、・・・運転手さあん! 遠まわりして、ぐるっと、ぐるっと、いつもより、よけいにまわって下さああい」と言って「運転手さんじゃありません。おまわりさんと言いなさい!!」と怒られた。(阿部真理子)

自動車学校で補習が20時間近くついて紙を継ぎ足してハンコを押した。路上では「おまえ、俺を殺す気か?」と怒られた。やっと免許を手にしたときは、「ああ、これでもう運転しなくてすむ」と思った。(俵万智)



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

面白いことは面白く、笑えるのだが、同じような話が続くので、飽きる。
女性だから、洋服にまつわる失敗が多いが、男性からみれば、どうということないのだが。
えげつないことを堂々と書く女性も多いが、つつましやかなことを恥ずかしがっている女性もいる。前者は商売柄が多い。


1.ついうっかりと・・・。
諸田玲子/春口裕子/吉行和子/乃南アサ/工藤美代子/麻生千晶/光野桃/山田美保子/水原紫苑/高野裕美子/酒井ゆきえ

2.やらなきゃ、よかった。
阿部真理子/五條瑛/小林聡美/角田光代/米原万里/森青花/山本文緒/坂東眞砂子/小池真理子/村山由佳/富士眞奈美/藤田千恵子

3.なんというカンチガイ!
室井佑月/白石公子/高橋洋子/小沢瑞穂/黛まどか/益田ミリ/杉本彩/蜂谷涼/杉本章子/畠中恵

4.こんな結果になるとはね。
斎藤由香/俵万智/阿川佐和子/藤田弓子/林葉直子/篠田節子/林あまり/玉岡かおる/唯川恵/中村うさぎ/吉永みち子/向笠千恵子/残間里江子/鷺沢萠

5.これって恥ずかしいことなの?
山崎マキコ/川上弘美/佐藤多佳子/斎藤綾子/渡辺真理/土橋とし子/町山広美/池田理代子/近藤ようこ/前川麻子/岸田今日子/酒井順子/日向蓬

6.仕事だからって、ここまでする?
中山庸子/三浦しをん/相沢友子/中山可穂/さかもと未明/田口ランディ/小谷美可子/小川洋子/清水ミチコ/島村洋子




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加賀乙彦・津村節子『愛する伴侶を失って』を読む

2013年09月02日 | 読書2

加賀乙彦・津村節子著『愛する伴侶を失って 加賀乙彦と津村節子の対話』(2013年6月集英社発行)を読んだ。

妻を失った加賀乙彦と、夫を失った津村節子が、互いの出会い、思い出、伴侶の死、そして、ひとりになってからを語り合う。
2006年、津村さんの夫、作家の吉村昭さんは自宅のベッドで療養中、自死した。享年79歳。この対談の中で、医師でもある加賀さんは、吉村さんの死は見事な「自然死」だと肯定している。
(この時私はこのブログに、吉村昭さんの死のニュースとともに、「自らの死に方と残された家族の思い」を書いた。)

仕事を放り出せない津村さんは、最後を介護できなかった悔いが残っているという。
育子を打ちのめしたのは、かれの死後その日記を開いた時、「育子、目を覚ますといない。」というページが三日続いていたことだ。夕食が終わり、かれが眠るのを見とどけて家へ帰っていたのである。・・・細いペンで書かれたその文字の錐のような先は、今も育子の胸に突き立ったままになっている。(津村節子『遍路みち』より)


2008年、加賀さんの妻、あや子さんが浴槽の中に沈んでいるのを加賀さんが発見した。楽しみにしていた長崎旅行の前夜の突然の死。享年70歳、死因はくも膜下出血。

加賀さんは、キリスト教カトリックの洗礼を受ける前にある神父に多くの質問をした。そして、「全てがわかった。全てが信じられる、という平静で澄み切った、明るい光に満たされた気持ちでした。」同席した奥さんも「とても明るくてふわふわして、軽い感じがする」と言って、二人とも洗礼を受けたという。
140年も付き合いのある東京の菩提寺に埋葬を頼みに行くと、「何だ、耶蘇(やそ)になったんですか」と断られた。そこで、先祖の墓がある金沢の寺に移したが、手続きや、1トンもある墓石の運搬など大変だった。
吉村家の寺でも、建て替えの費用が払えない兄の家に対し、住職は「なら戒名を降格する」と言った。吉村さんは怒って、越後湯沢の寺に代えた。

吉村、津村の夫婦は二人そろって飛行機に乗るときには、二人同時に亡くなると後が困るからと、吉村さんが全日空、津村さんは日航だった。それは、日航機の事故があってからという。そんな!

表紙の絵、杉浦非水という方の「のぶだう」という絵がすっきりと美しい。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

男性と女性、それぞれの立場で連れ合いを亡くしたとき、その後が語られる。まだまだ参考になどしたくないし、有名人で、しかもまじめそのもののお二人のケースが私に当てはまるわけもないが、う~ん! 考えさせられる。
残して逝くのも心配ではあるし、先に逝ってしまうのもズルいと思う。

加賀さんは、「本が唯一の娯楽でしたからね。僕らが子供のころはテレビもゲームのパソコンもありませんから。小学生で漱石全集をだいたい読んじゃってたよ。」と語っている。
加賀さんは私より10歳以上上だが、私も家に一冊だけあった漱石全集の一部を読んだものだった。全部の漢字にルビがふってあって、小学生にも読めたのだ。理解などできるはずもないが、飢えたように読んだことを思い出す。



加賀乙彦
1929年東京生れ。東京大学医学部卒。本名、古木(さだたか)。
拘置所医務技官、フランス留学。東京医科歯科大学助教授、上智大学教授。
1968年『フランドルの冬』芸術選奨文部大臣新人賞
1973年『帰らざる夏』 谷崎潤一郎賞
1979年『宣告』日本文学大賞
1986年『湿原』大佛次郎賞
1998年『永遠の都』芸術選奨文部大臣賞受賞。
『雲の都』で毎日出版文化賞特別賞
魔のささやき』『不幸な国の幸福論

津村節子
1928年福井県生まれ。学習院女子短期大学国文科卒業
『玩具』で芥川賞
『流星雨』で女流文学賞
『智恵子飛ぶ』で芸術選奨文部大臣賞
『紅梅』で菊池寛賞



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