最初と、真ん中に各8ページの写真がある。さすがにシックでオシャレな雨宮さんのパリ生活、住まいが垣間見られる。本文は、「暮らすこと」、「食べること」、「装うこと」、「フランス語を通じて」の4章から成る。
この本は、「NHKテレビフランス語会話」などに連載したエッセイに加筆・訂正したもの13編に、書下ろし13編を加えたもので、「金曜日のパリ」の続編にあたる。
なお、雨宮ファンのわが奥様は、2007年発行の「小さなパリジャンヌ」を図書館に予約中で、まもなく私も読まざるを得ないことになるだろう。
「私の借りた本をかってに読んで、バカにしたようなことばかりブログで公開しないでください」と、どなたかの声が聞こえそう。「いや、私の読むのとは毛色の変わった本をいつも読まさせていただいております。なにしろ、日ごろのご迷惑な行動や、トンチンカンな対応を反省しておりまして、手遅れとは思いますが、女性心理を勉強させていただきたいものですから、ハイ」
2009年発行の最新刊の「パリごはん」は図書館の順番待ちが非常に多く、沈静化するのを待って予約するとのこと。ただし、その本のもとになった「パリごはん」は、今でもWebマガジン幻冬舎(ネット)で読める。
「暮らすこと」はフランスでの子育てが中心の話だ。子どもを預けても夫婦中心の生活を守るフランス流にとまどう塔子さんに、この本を読む日本女性は高感度を増すだろう。
「食べること」は、フランスのマルシェ(市場)などでのおいしそうな食材や料理の様子が紹介されている。値段の話があまり出てこないので、賞味期限近くの価格20%減を探しまわっている身には、ただ「ああそうですか」と言うしかない。
「装うこと」には、流行の服を買うだけでなく、リサイクルとか、直しとか、自分にあったものを手に入れる“いい女”な“ママ”が多いパリが語られる。
「フランス語を通じて」は、フランス語の単語、文章が出てくるので、私には読みにくい。相手に合わせるのでなく、自分の考えをストレートに伝えることが、まず自分のためであり、そして結局相手のためにもなるというフランス人の考え方が述べられている。その考え方が、とっさに反応する言葉に表れてくる。言葉から気持ちを類推するこのあたりの感性はさすがアナウンサー。
雨宮塔子は、1970年東京生まれ。成城大学文芸学部英文学科卒。1993年(株)東京放送(TBS)入社。「どうぶつ奇想天外!」「チューボーですよ!」など数多くの人気番組を担当する。1999年3月TBSを退社し、単身パリに遊学。西洋美術史を学ぶ。2002年フランス在住のパティスリー・サダハルアオキ パリのオーネーシェフ・青木定冶氏と結婚。2003年7月長女を、2005年に長男を出産。現在はフリーキャスター、エッセイストとして活躍中。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
パリでの暮らしの実際を知りたい人は、ひったくりが多いなど、パリの負の面に触れていなしが、ハイレベルな生活に限り、実感できるだろう。
いやみな言い方になったが、少なくとも、(少ないと思うが)塔子さんファンなら是非読みたい本だ。
私は、自分勝手で相手のことを考えないし、他人の意見に反対ばかりすると、常々どなたかに非難されている。駐車している車にぶつけても、まず相手をすごい勢いで非難するらしい(この本でなくどこかで聞いたことがある)フランスでは、そんな私でも、暮らす自信はない。この本を読む限り、普通の日本女性ほどの控えめな塔子さんがパリで暮らしていくには、大変なことも多いだろう。